関連サービス

はたらくひとにとってのIBASHO=オフィスに
込められた想いを載せる情報メディア

ファシリティナレッジ

オフィス内装の原状回復工事の費用相場は?負担範囲も解説

オフィス内装の原状回復工事の費用はいくら?相場と負担範囲を解説

オフィス移転に際して忘れてはいけない重要な費用に、原状回復のための工事費用があります。原状回復費用についてしっかりと理解しておかないと、退去時に想定外の出費が発生する可能性も。

本記事では、オフィスの原状回復工事にかかる費用の構成や相場、負担範囲について詳しく解説していきます。

これから退去を予定している方はもちろん、新しいオフィスの物件探しや内装工事を検討中の方も、原状回復について同時に考える必要があります。記事後半では、原状回復費用を抑える具体的な方法についても解説しているので、ぜひご参考ください。

原状回復工事とは

オフィス内装の原状回復工事の費用はいくら?相場と負担範囲を解説

原状回復とは、物件の契約終了時に入居前の状態に戻すことを意味し、ほとんどのケースにおいてテナントは退去時に、物件内装の原状回復のための工事を手配しなければなりません。

原状回復については、民法621条において、以下の2点に該当する場合を除き、テナント(賃借人)が原状回復を行うことが義務付けられています。

  • 通常損耗:通常生活を送る中で生じた物件の痛みや損傷(家具の設置跡など)
  • 経年劣化:年数の経過によって生じた建物や設備の不具合や劣化(壁の色褪せなど)

しかし、原状回復工事において「誰」が「何を行うのか」という具体的な部分については定義されていないため、トラブルに発展しやすい、という点が問題視されています。

原状回復工事の内容

オフィス内装の原状回復工事の費用はいくら?相場と負担範囲を解説

オフィスにおける原状回復工事はオフィス内の様々な箇所で行われ、工事箇所ごとに費用が発生します。具体的な内容としては、以下のものが代表的です。

  • 壁・床:壁紙やタイルカーペットの張り替え
  • 天井設備:照明の撤去・交換や天井ボードの張り替え・クリーニング
  • 電気設備:電気や電話線・LANケーブルの撤去
  • 家具・什器:入居中に持ち込まれた家具や什器の撤去
  • 建具:窓やブラインドのクリーニング

先述の通り、原状回復は「入居前の状態に戻す」ことですので、入居時の内装工事で増設あるいは設置場所を変更したもの、新たに取り付けたものは全て撤去しなければなりません。

原状回復工事は、オフィスの規模や内装の状態などによって工事期間が変わってきます。目安としては、100坪程度のオフィスで1ヵ月程度です。

これはあくまで工事期間の目安となり、着工前には工事業者との打ち合わせや、見積もり・契約書の作成などのプロセスが発生するため、余裕をもって、契約解除日の6ヵ月前あたりから準備を始めることをおすすめします。

原状回復における工事区分

オフィス内装の原状回復工事の費用はいくら?相場と負担範囲を解説

原状回復の工事費用に関して、テナント担当者がおさえておくべきポイントに工事区分という考え方があります。

オフィスビルを含む建物の工事は、A工事・B工事・C工事と3つの区分に分けられており、区分によって、工事箇所・工事業者を選定する人・工事費用を負担する人が異なります。

関連記事
オフィス内装工事の【A・B・C】工事の内容と流れを解説

続きを読む

原状回復工事を含め、オフィスの内装工事は、基本的にはC工事に該当するため、テナント自らが選定した工事業者に発注して、その費用を負担します。

注意が必要な工事はB工事で、オフィス内で使用する電気や空調であっても、工事を行うことによってビル全体に影響を及ぼす可能性があることから、オーナーが指定した業者が工事を行うことになります。

オフィスの原状回復工事の費用相場

オフィス内装の原状回復工事にかかる費用は、坪単価で5〜7万円程度が相場とされています。

ただし、オフィスの規模や内装状況や、作業環境などの様々な要因によって、坪単価は変動するため、坪単価は必ず事前に確認しておきましょう。

費用が高くなるケース

オフィス内装の原状回復工事の費用はいくら?相場と負担範囲を解説

オフィス内装の原状回復工事にかかる費用は、様々な要因によって大きく変動します。

ここからは、原状回復費用が割高になる5つのケースについて解説していきます。

1.造作物の多い内装

内装工事で新たに設置する造り付けの家具や棚・収納スペースなどの「造作物」が多いオフィスは、撤去作業が増えるため、その分費用が高くなります。

近年は固定型のガラスパーテーションを設置するオフィス内装もよく目にしますが、借りた時の状態から新設・増設・場所変更をした箇所が多いほど、それらの撤去にかかるコストが工事費に反映されます。

2.廃棄処分費用

オフィスで使用していた家具や什器・タイルカーペットなどを退去に伴い廃棄する場合、産業廃棄物として処理されるため、許認可を得た業者に適切な処理を依頼するというプロセスが発生します。

産業廃棄物の処分費用は、多くの産廃業者が「2tトラックに積み放題でいくら」という風に、人件費や燃料費・処分費などを全て含んだ価格に設定されていることが一般的です。

他にも、オフィス用品の処理を得意とする業者であれば、「キャビネット1台〇円」という具合に、品物ごとに単価を設定している場合もあります。

いずれにしても、廃棄物が多ければ多いほど、そしてそれが大型の什器や家具であればあるほど、多くの処分費用がかかってしまいます。

3.ファシリティ管理がシステム化されているビル

ビル全体で1つのシステムを使用し、入退館や空調コントロールを一元的に管理しているタイプのオフィスビルの場合、テナントの退去に伴いシステム変更のための作業が発生することがあります。

その場合、原状回復のために新たな作業が追加されることになるため、費用はさらに加算されます。

近年は、オフィスビルにおいてもファシリティ管理のシステム化が進んでいることから、「元の状態に戻す」ために必要な作業工の分費用も割高になる傾向にあります。

4.広いオフィス

オフィス内装の原状回復費用を算定する際にベースとなる坪単価は、オフィス面積に大きく左右されます。

小規模なオフィスほど、原状回復の対象となる作業範囲が狭いため坪単価も安くなり、大規模なオフィスほど、各工事において作業範囲が広くなる分、坪単価も高くなります。

規模別の坪単価の目安は以下の通りです。

  • 小規模(10〜15坪程度):3〜5万円
  • 中規模(15〜50坪程度):4〜10万円
  • 大規模(50坪以上):10〜20万円

さらには、Aクラスビルと呼ばれる、主要なビジネス街に立地する築浅の高層・高スペックなオフィスビルになると坪単価はさらに上昇し、1坪30万円を超えるケースも出てきます。

5.通常損耗・経年劣化

先述の民法で定められている通り、通常損耗や経年劣化に該当する箇所については、テナントが原状回復の義務を負う必要はないとされています。

しかし入居時に取り交わす契約書内で「通常損耗や経年劣化も原状回復に含めます」という記述がある場合、そのことに同意して入居していることになるので、テナントが原状回復を行う必要があります。

オフィステナントに関しては、通常損耗や経年劣化を考慮せずに「全て」入居前と同様の状態に戻すことが常態化しているという側面もあるため、工事業者によっては見積書もその前提で作成する可能性もゼロではありません。

通常損耗や経年劣化も含めて原状回復するのであれば、工事が必要となる箇所も作業工程も増えるため、工事費用が高くなります。

1 2

ランキング (全体)