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- オフィスインタビュー
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移転と共に、コーポレートカラー・ロゴも刷新。「ゼロから始める」セルソースの新オフィス

新たな治療法として名を聞く機会が増えている再生医療。そんな再生医療領域において、治療を行う医療機関にサービスを提供しているセルソース株式会社。従業員数の増加に伴い、ラボを構える渋谷エリア内で移転することになりました。
新オフィスの呼び名は「ZERO BASE」。移転に合わせ、コーポレートカラーやロゴも刷新したというセルソース。代表の裙本さん、移転の実務を担った清森さん、デザイン面を担った大熊さんにお話を伺いました。

2005年神戸大学を卒業後、住友商事株式会社に入社しロシア・北米地域の木材資源関連ビジネスを担当。2014年、再生医療等安全性確保法が施行されるタイミングで住友商事を退職し、再生医療関連の事業をスタート。
2015年、セルソース株式会社を設立し代表取締役に就任。

2018年2月にセルソースに入社し、上場前より総務・法務・知財・人事・労務・システム等のコーポレート周りを幅広く担当し、現在は管理部門の責任者を務める。

2018年11月にセルソースに入社し、インハウスデザイナーとしてセルソースの事業活動に関わるあらゆるデザインを担当。今回のオフィス移転・ロゴ刷新等のCIアップデートのプロジェクトリーダーを務めた。
目次
再開発による立ち退きを機に、ラボのある渋谷エリアへの移転を検討
まずは御社の事業内容をご紹介いただけますか。
弊社は再生医療のスタートアップ企業です。研究開発ではなく、患者にサービスを届けることに特化しており、わかりやすくお伝えするために「再生医療のセントラルキッチン」と説明することが多いです。
飲食店や学校、病院で提供する料理の製造、加工を担う拠点のことですね。再生医療のセントラルキッチンとはどのようなものになるのでしょうか。
再生医療に必要な細胞の培養加工を担う拠点ですね。これまでは各病院が行ってきたのですが、再生医療の治療を受ける患者さんはそれほど多いわけではなく、月に多くても10名ほどだったりするんです。
少ない患者さんのために各病院が初期費用や維持費をかけてきたのですが、集約化してしまうほうが効率的だしコストも削減できるなと。渋谷のラボで細胞を培養、加工し、取引先である医療機関に納品するといった事業が弊社のビジネスです。

御社は資金調達をせずに3年11カ月で東証マザーズ市場(現グロース市場)への上場を果たしていますが、それだけニーズのあるビジネスだという表れなのでしょうか。
そうですね。事業のポテンシャルを決めるのは、解決する社会課題の深さと大きさだと思っています。膝の痛みに苦しんでいる患者が多くいて、その痛みを治せていないという現状に対し、再生医療は新たな治療法となるのですが、初期費用や維持費の問題もあり、まだまだ普及していません。その理由は、先ほどお話したコストと稼働率のバランスです。
再生医療を患者さんに提供したいけれど、費用面で難しいという病院にとって、我々のビジネスはお金を払う価値のあるものです。だからこそ、創業後から順調に成長できてきたのだと思っています。
そんな急成長スタートアップである御社ですが、これまでのオフィスの変遷についてご紹介いただけますか?合わせて、オフィスに対して重視してきたポイントについても教えていただきたいです。
最初は六本木ヒルズ近くの雑居ビルのワンフロアでした。その当時から常に意識してきたのは、経営や事業にとって大切なのはコミュニケーションであり、フロアを分けるべきじゃないということです。なお、1つ目のオフィス時代は従業員数が5人くらいだったのですが、破格の値段で借りられたこともあり、いきなり約100㎡くらいの規模でした。いつ頃には上場し、その頃には従業員数が何人いて……と未来から逆算をして、この規模のオフィスに決めたんです。
非常に気に入っていたんですが、2年ほど経ち、再開発が決定。残念ながら、退去をせざるを得ないことになってしまいました。いきなり手紙がきて、時間の猶予もあまりなかったですね。
最終的に、退去まで半年くらいの期間でしたね。最初は翌月と言われて、戸惑いました。
本当に急な話だったんですね。今回は渋谷エリアですが、エリア選びにはこだわりがあったのでしょうか。
ありました。先ほどもお話したように、ラボは創業時から渋谷にあったので、徒歩圏内にオフィスを設けたかったんです。ラボが渋谷なのは居抜き物件があったからで、オフィスは破格物件がたまたま六本木だったから六本木エリアだったんですよね。ラボとオフィスが離れているのは結構大変で、顔を合わせにくかったんです。

そこで、前オフィスでは製造メンバーと交流できるようにオフィス内にもラボを作ったんですが、人数の増加に伴ってフロアを分けなければいけなくなってしまいまして。同じビルにいるのにコミュニケーションが取れないという課題が浮上していました。そのため、移転するなら渋谷エリア、ラボから徒歩圏内が条件でした。
オフィス移転と同時期に、コーポレート・アイデンティティのアップデートも行われています。これはたまたま重なったのか、移転があったから合わせたのか、どちらだったのでしょうか。
以前から変えたいなという話はありましたが、結果としてオフィス移転をすることになったので、そこに合わせて変えようということになりました。オフィスを移転するとなると内装も変えるので、コーポレート・アイデンティティとも合わせたいなと。私と大熊とで主に考えました。

先に移転が決まり、「走るぞ」となりました。弊社ではHSF経営という同じ志を共有する仲間が集まって社会課題を解決し、より良い未来に変えていくための経営手法を掲げていまして、そのHSF経営を推進するためにパーパス、ミッション、バリューを定めています。
以前のロゴでは、それらを背負いきるのは難しいのではないだろうかと思っていたんですね。パーパス、ミッション、バリューを背負えるロゴを作る必要があると思っていたので、移転と同じタイミングで考えることになりました。

コーポレート・アイデンティティのアップデートとオフィス作りとの絡みについてもお聞かせください。
わかりやすくオフィスに反映されているのは、ロゴにも表れている曲線、あとは色ですね。色は最初から決め打ちで、弊社のアイデンティティであるセルソースグリーンに、持続可能な社会を表すインフィニティブルー、可能性に満ちたフリーダムホワイトの3色をコーポ―レートカラーとし、単色やグラデーションでオフィスに使っています。

曲線を使われているのはなぜですか?
直線は弊社に合わないなと。曲線の方が常に動いている感じを表せるという思いがあって、カーブや球体にこだわっています。
柔軟な発想が大切で、そのためには頭が丸くないといけません。ですから、角があるのは嫌だなと思っていました。誰も気づいてくれないんですが、カーペットの角もこっそり丸くカットしているんですよ。
ぜひ後ほどご案内いただきたいと思います。今回の移転で大変だったことについてはいかがでしょうか。

時間が限られていたことですね。時間をかけたからといっていいものが作れるわけではありませんが、時間が短いことによるプレッシャーがありました。依頼したデザイナーさんの提案プランに対し、弊社側から「こうしたい、ああしたい」と要望が出てくるわけですが、仮の期日には間に合うよう進めなければならないわけで。加えてコスト面も意識しなければなりません。デザインは大熊を中心に進めていってもらいました。

でも、清森さんは短い納期が好きですよね。
嫌いではないですね(笑)。夏休み最後の3日間で宿題を終わらせることに燃えるタイプの子どもでしたので。
このあと、詳しくオフィスを見学させていただきますが、あらためて新オフィスに対する感想、他の方から寄せられているお声はいかがですか?
来社される方から「すごい」と言ってもらえるのがうれしいですね。神宮の花火大会のときに従業員の家族も招待してオフィスから花火を鑑賞するイベントを企画したのですが、家族にも「すごいところで働いてるね」と言ってもらえるオフィスを作れてよかったなと思っています。エントランスで映像を動かせる仕組みを体験してもらったんですよね。

エントランスの映像は皆さんに「すごい」と言ってもらえますね。
満足していますね。住めるくらいだなと。メンバーからも感謝の声をもらっています。
来社された方から言われたのは、エントランスから会議室エリアへ、共用部を通っていく作りに対する「参考になりました」という言葉ですね。空間の有効活用を考えて行き着いたレイアウトでした。
ゼロから始めた「リアルで集まれる場所」づくり。セルソースのオフィスツアー
コーポレートカラーやアール使いが特徴的なセルソースの新オフィス。移転を機に掲げた「ゼロから始めよう」という想い、バリューにある「ゼロベースで考える」から、「ZERO BASE」と名付けられました。
印象的な映像が流れるエントランス

改めて見ても、本当に印象的なエントランスですよね。美術館や博物館のようなシンプルで洗練された雰囲気だなと思いました。家族イベントのエピソードであった「映像」は、こちらのことでしょうか。
そうです。この映像は、人の動きによって変わるんですよ。弊社のパーパス「Change Our Future 未来を変える」から、人にフォーカスすることで一緒に変えていけたらという想いが込められています。

このベンチのカーブは、ロゴのSから取っています。

社名の頭文字、CとSをモチーフにしたロゴです。ベンチのカーブの緩やかなS字は、Cに見えるロゴの真ん中に通っている線部分を指しているんですよ。
ZERO BASEを体現する廊下の仕組み

では、共用部の廊下を通って移動しましょう。
青い丸が印象的ですね。

これもZEROを表したものですね。ぜひ前にお進みください。

わっ、近づいたら見える形が変わりました!
そうなんです。トリックアートになっているんですよ。丸く見せるために床も変え、壁の巾木も取りました。
すごいこだわり…。え、でも、ここは共用部というお話でしたよね。
そうなんです(笑)。でも、巾木があると丸に見せることができないんですよ。許可を得て手を加えさせていただきました。
抜け感が印象的な会議室エリア

ここは会議室エリアです。
非常に明るいですね。
抜け感にこだわりました。

このカーブしたガラスも、こだわって入れた1つです。



会議室はいくつあるんですか?
8部屋ですね。プラスオンラインブースが3つありますが、スペースが広いのでどこでもオンライン通話できる環境です。前は会議室が2つしかない上、1部屋はほぼ私が使っていたので、ずいぶん便利になりました。
広々とした空間にさまざまなスペースが。執務スペース

執務スペースの一角にスペースがありますね。階段はやはりカーブですね。
ここは仕事や休憩に使えるリフレッシュスペースです。
私のお気に入りスペースですね。同じ空間に執務スペースとファミレス席、休憩スペースがあり、移動することでオンオフを自然と切り替えられるんですよ。息抜きでここにきて、コーヒーサーバーでコーヒーを入れて飲んだり、食事をしたり、雑談したりといった過ごし方をしています。

このテーブルも、エントランスのベンチと同じく、ロゴのS字のデザインになっています。




いろいろなタイプの作業スペースがあるんですね。


ここがオンラインブースですね。

壁面にあるサインがシンプルなデザインでかわいいですね。
ありがとうございます。自分たちでデザインして作ったものです。わかりにくいかもしれませんが、実はロゴの裏がブルーになっているので、影が青っぽく見えるのもこだわったポイントなんですよ。

本当だ…!かなり細かいところまでこだわられているんですね。
執務スペースの真ん中にある「コア」はZERO BASEを体現する場所

執務スペースのセンターに位置しているこちらは、コア(CIRCLE ZERO)と呼ばれている場所です。ZERO BASEを体現している場所ですね。
印象的な場所ですね。照明も丸く、テーブルも円を描いています。円卓の内側、外側の両側に座れるようになっているんですね。


執務エリアの一角にある、ここが私のスペースです。
社長室はないんですね。
いらないなと。従業員を呼ぶときに部屋を出なければならないのは不便ですし、みんなを見渡せる場所に席を用意してもらいました。

この執務スペースに敷かれているカーペットが、お話した「角を丸くカットした」カーペットです。

本当だ…!違和感がないので、従業員の皆さんに気付いてもらえなかったのも仕方ない気もします(笑)
本当に誰にも気付かれませんでした(笑)


社長室はないのですが、社長専用の会議室はあります。
ここは白を基調にしてもらいました。ここから花火が見られるんですよ。
イベント時には人が集まっていましたね。

この会議室の名前はXなんですね。
はい。今日インタビューしていただいた会議室はZです。
Xは無限の可能性という意味を込めています。社長専用ということで、発信される場でもあることから名付けられました。Zはアルファベットの最後の文字ということで、「決める、終わる」を意味しています。こちらは役員陣の会議など、最終決定する場だからということで名付けられた会議室です。


ZERO BASEを拠点に、生産性の向上を目指すフェーズへ

「ZERO BASEから退去するイメージは持っていない」と語ってくれた裙本さん。従業員が増加しても、あくまでもこのオフィスを起点にしていきたいと話してくれました。
「今後も人は増えるでしょうが、今後の弊社は人を増やすフェーズではありません。今いるメンバーで生産性を高め、エンゲージメントを上げてクリエイティブな仕事をしていくフェーズにあると思っています」
社内にデザイナーを抱え、会社としてのあり方も再度デザインし、オフィスに落とし込んだセルソース。この場所から、新たに未来を変える挑戦を始めていきます。

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取材先
セルソース株式会社 (英文表記: CellSource Co., Ltd.)
https://www.cellsource.co.jp/ 公式サイト再生医療領域において、治療を行う医療機関にサービスを提供しているセルソース株式会社。
再生医療領域において、治療を行う医療機関にサービスを提供しているセルソース株式会社。