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- オフィスインタビュー
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「自社らしさ」を落とし込んだオフィス作り。medibaの新オフィスツアー

六本木一丁目のオフィスから目黒へと移転した株式会社mediba。今回の移転には、初めて自社のUIデザイナーがオフィスデザインに携わり、「medibaらしさ」を落とし込んだオフィス作りに取り組みました。移転プロジェクトを統括した狩野さん、UIデザイナーの山口さん、松本さんにお話を伺いました。

2010年4月法務担当として入社。その後、総務、組織開発、採用、広報等を経験。2016年から総務部マネージャーとして、2018年渋谷から六本木一丁目への本社オフィス移転に関わり、今回の移転は全体統括として推進。コーポレートとしての守り/攻め両面で「medibaらしさ」を高めて、CREDO「ヒトに“HAPPY”を」を目指す。

2021年4月UIデザイナーとして入社。ポイントためる、auウェルネスなどのサービス運営を担当する傍ら、コーポレートサイトリニューアルを担当。その後、medibaのブランドイメージ統一のため、オフィス移転では内装デザインの検討に従事。現在では、あらゆるタッチポイントで”medibaらしさ”を体現するため、コーポレートサイトのアクセシビリティ対応にも携わっている。

2022年4月UIデザイナーとして入社。auスマートパスで主にUI設計やグラフィックの作成を手がける傍ら、コーポレートサイトのリニューアルプロジェクトを担当し、medibaブランドの浸透を目標にサイト制作を行なった。今回、オフィスでも”medibaらしさ”を体現するためオフィス移転プロジェクトに参画し、内装デザインの検討にも従事した。
目次
ハイブリッドワーク移行後の出社数に応じた物件へ移転

まずは御社の事業紹介をお願いいたします。
弊社はKDDIグループ企業で、au関連サービスの運営から企画、新規サービスの立ち上げなど、幅広く事業を手掛けています。サービスの共通点はユーザーの課題を解決し、社会や人にハッピーを広げるものであること。「ヒトに“HAPPY”を」をミッションに掲げている会社です。
こちらのオフィスへの移転にあたって、皆さんはどのような役割を担ったのでしょうか。普段のお仕事内容と合わせてご紹介いただけますか?
私は管理部門の副本部長として、移転プロジェクト全体に統括として携わりました。
私はUIデザイナーで、移転に携わるのは初めてでした。弊社らしいオフィスになっているのか、内装イメージを表現し、内装業者さんに伝える役目を担いました。
同じくUIデザイナーとして働いています。山口さんと共にmedibaらしさを模索し、オフィスの雰囲気や配色の検討とチェックを行いました。
二人とも、新卒3、4年目の若手なんですよ。
そうなんですね!WebサービスのUIとオフィスデザインとでは同じデザインでもまったく違うのではないかと思うのですが、どういった経緯でお二人が担当することになったんですか?
オフィスデザインの前段階として、自社サイトのリニューアルを担当したんです。その流れで、オフィスについても担当することになりました。

2023年5月にサイトリニューアルをしてもらったところ、弊社らしさが表現されている出来栄えに感銘を受けたんです。これまで、オフィスの内装デザインは業者にお願いしていたのですが、サイトで表現してもらった弊社らしさをオフィスにも表してほしいと思い、二人に監修をお願いしました。今回のオフィスはコーポレートカラーのオレンジを採り入れた「らしい」雰囲気なのですが、前のオフィスはシックな雰囲気だったんですよ。ぱっと見た感じはおしゃれなのですが、medibaらしいかというとそこまでではなかったかなと思います。
オフィスのデザインをとのお話を受けたとき、どう思われましたか?
私は単純に「楽しそうだな」と思いましたね。
私は「おもしろそうだな」と思いつつ、先ほどおっしゃられたように、Webと空間デザインとは全然異なるので、今まで実務で経験したことがない空間デザインをすることに不安もありました。
やはり不安もありましたよね。内装デザインのお話は、後ほどあらためてお聞きしたいと思います。そもそも、今回移転を決められた背景や、御社の働き方についてもお伺いしたいです。
きっかけとしては、コロナ禍が大きいですね。前のオフィスは六本木一丁目の650坪の物件で、全従業員が出社するスタイルだったんです。コロナ禍により従業員の出社が減り、2021年からは働き方を変えようということで、ハイブリッドワークに移行しました。


そうなると、650坪のオフィスでは広すぎたんです。出社数が減ったことでオフィスがすかすかになり、従業員間に距離ができてしまい、さみしさがありました。そこで、一旦面積を320坪に減らしたんですが、それでもすかすかした感じは変わらなかったです。ちょうどオフィスの更新が1年後に迫ってきていたこともあり、移転して適した広さのオフィスにしようということになったんです。
サイトデザイン時に追求した「自社らしさ」をオフィスでも体現

新オフィスを作るにあたり、どのようなオフィスを目指されたのでしょうか。
先ほども申し上げた通り、弊社は「ヒトに“HAPPY”を」と掲げている会社ですから、従業員がHAPPYに働けるよう、ハイブリッドワークに適した空間を作りたいと思いました。あとは、リモートワークが増えたことで希薄になったmedibaらしさをオフィスで表せればとも思いましたね。そうした意味もあり、六本木一丁目から目黒へとエリアも変えています。六本木一丁目の雰囲気よりは、目黒のほうが弊社の雰囲気にマッチしているかなと。
どのような雰囲気の方が多いのでしょうか。
やわらかい雰囲気の方が多いと思います。派手な街よりは、落ち着きがあり、かつおしゃれさが感じられる街が合うのかなと。
目黒は生活のにおいがする街だと思っていて、そこが弊社の雰囲気に合っていると思うんです。個人的にはここが弊社にとってベストなエリアではないかと思いますね。
では、ここからはオフィス作りの話をお聞きしたいと思います。
移転により面積を縮小したため、どう引き算するかを考えなければならず、かつハイブリッドワークを実現しやすいものを考える必要がありました。デザイン面については、先ほどお話した通り、山口さんと松本さんにお願いしています。
お二人は初めての空間デザインをどのように進めていったのでしょうか。

最初のプロジェクトとしてサイトデザインを考えたとき、複数の案と、そこから連想するキーワードを提示して社内アンケートを取ったんです。従業員が「medibaらしい」と感じたデザイン、キーワードを見てみると、「ヒトに“HAPPY”を」を大事にしている人が多く、あたたかい感じのデザインがmedibaらしいと思っていることがわかりました。最終デザインは、そうしたあたたかみのある雰囲気に加えて、KDDIグループとして先進的な挑戦をしていることも含めています。

コーポレートカラーはあたたかみのあるオレンジなのですが、そこにグラデーションで明るい黄緑を入れるといった色使いに表れています。
オフィスデザインは、このサイトデザインのときに設計したブランドアイデンティティを活かして考えました。イメージボードを作り、雰囲気や配色を内装業者さんに伝え、試行錯誤しながら進めていきました。
詳しいお話はこのあとのツアーでお聞きしたいのですが、お二人がこだわったポイントはどこですか?
今いる来客エリアですね。イメージボードを作り、雰囲気や配色を内装業者さんに伝えながらこだわって作りました。執務エリアよりもオレンジを多用し、medibaらしさが伝わる場所にしています。あとは開放感ですね。最初は予算的に厳しいと言われたのですが、交渉の末、天井を抜いてもらいました。
前のオフィスでは、面積を縮小したことで来客スペースがほぼなくなってしまったんですよ。
私は広く見せることを意識していました。前のオフィスは床が濃い茶色だったのですが、このオフィスの天井高で濃い茶色の床だと閉塞感があるなと思い、明るい色味を選びました。
では、ここからはオフィスを拝見しながらお話を伺いたいと思います!
従業員がHAPPYに働ける、「medibaらしいオフィス」。medibaオフィスツアー
ハイブリッドワークに適した、従業員がHAPPYに働ける環境づくりを目指したmedibaのオフィス。オフィスツアー、スタートです!
バラエティ豊かな雑貨たちが視覚的にも楽しいエントランス

エントランスから、明るくておしゃれな雰囲気が印象的ですね。来客スペースもそうでしたが、壁面にいろいろな雑貨類が飾られているのも見ていて楽しいです。
さまざまな小物は人の多様性を大事にしたサービス作りをしている会社であることを表現したものなんです。
実は直線的なもの、尖ったものは選ばず、丸みのある曲線的な小物が多いのもやわらかな雰囲気を出したいというこだわりなんです。

リフレッシュにもイベントにも活用可能。来客スペース

抜いた天井は白く塗っているのですが、ダクトだけコーポレートカラーのオレンジに塗っています。先進性と挑戦を表しているんです。


このロゴにもこだわりがあるんですよ。
どこがこだわりポイントなんですか?
ロゴを吊るしたところですね。
イベント時の集合写真時に撮りやすいよう、貼り付けるのではなく浮いた感じにしてくれているんです。

棒にもこだわりがあります。最初は鉄だったのですが、棒の主張が強いなと思い、あとから木製のものに変えてもらいました。
太さもかなり調整しましたよね。


一角にはハンモックがありますね。
1個ぐらい遊び心を入れたいというリクエストがあったので、入れたものです。
従業員から「ハンモックを使ったよ」という声をよく聞きます。会話を生む起点になってくれていますよね。
社外の方も試しに座られることが多いんですよ。それで場が和んだりして。思わぬ効果があるアイテムだったなと思います。

ソファスペースにあるクッションは、実は「mediba」と社名に並べられるアイテムなんです。

知らなければ気づかない小ネタですね。
移転後、エンジニアの方などが社外の人を呼んでイベントを開催することが増えましたよね。
「イベントをやりたい、オフィスに場所がほしい」という要望があったんですよ。
六本木一丁目時代は、カフェスペースが人気で、「そういう場所がほしい」という声もありました。今回、来客スペースを作れて良かったです。

オノマトペのネーミングがユニークな会議室

来客スペースの一角にあるのは会議室ですか?
そうです。弊社の会議室はネーミングがユニークで、オノマトペを使っています。今回もそれは踏襲していまして、「ぺちゃくちゃ」「イキイキ」「ずばっと」など、いろんな名前があるんですよ。
壁面はガラス張りが良かったのですが、セキュリティ面を考えてすりガラスにしました。「ずばっと」は話を詰める意見を「ずばっと」と言う場所というイメージから、すりガラスの模様が三角形っぽいものになっているんですよ。
部屋の目的と名前を連動させているんですか?

その通りに使われているわけではないんですが、関連はさせていますね。特にユーザーインタビューする部屋は、「ぺちゃくちゃ」で話してもらい、「ジーッと」で聞くといった具合に分けて使われています。

ハイブリッドワークに合わせて作った執務エリア

執務室は席数を減らしました。前は10人席の島に3人しか出社していないという具合だったので。一方で、Web会議ができるよう、ボックスは5つに増やしています。


ボックスは「もしもし」なんですね。かわいい…。
ちなみに、「モクモク」というスペースもあります。


個人で集中できるスペースです。


「ちょこっと」は壁のないミーティングスペースです。


人が集まれる場所を執務内に。マグネットスペース

執務スペースの一角には、マグネットスペースと呼ばれる場所を作りました。
何のための場所なんでしょうか。

社内のエディター(ニュースサービスなどで記事編集などを行うライター)が考えた名前で、磁石=人がくっつく、要は集まってくる場所ですね。休憩やランチに使われています。
なるほど、それで「マグネット」なんですね!

移転後、従業員の皆さんの反応はいかがでしたか?
最初は「狭くなった」と言っている方もいましたが、気に入ってくださっているのかなと感じます。
内装はかなり好評だと思いますよ。従業員と会う機会が増えたようにも感じています。前のオフィスは駅直結だったので、アクセス面で出社率がどうなるかが懸念ではあったんです。でも、今のところ前オフィスよりも出社率が上がっていますね。目黒の街を開拓したい気持ちがある人もいるのかもしれません。私もランチ場所を探す楽しみが増えたと思っている1人なんです。
お二人は初めてオフィス作りに携わってみて、いかがでしたか?
楽しかったです!専門用語もわからないところからのスタートでしたが、内装業者さんが私たちの意図を汲んでくださり、素敵に仕上げてくれました。やっぱり、こだわって作った来客スペースをもっと活用してほしいですね。オープンでありつつ、オープン過ぎない場所もあるので、イベントだけではなく、気分転換にも活用してもらえたら嬉しいです。
思ったよりも決めることがたくさんあること、細かいところでも、こだわると見た目の印象が様変わりすることを実感しました。前のオフィスより明るくなりましたし、いろいろな仕掛けがあって面白いオフィスになっていると思います。気軽に来て、コミュニケーションを取ってもらえたら嬉しいですね。
新オフィスで「自社らしさ」を体現したい試みは大成功

「デザイナーの方にきちんとお願いした試みは大成功でした。弊社のコンセプトをオフィスで体現してもらえたのは本当に大きいですね。今後、ますます『ヒトに“HAPPY”を』を感じられるオフィスに育っていってくれるといいなと思います。共に働く仲間同士、オフィスを上手く活用してもらえると嬉しいですね」と語ってくれた狩野さん。
ただ「おしゃれなオフィス」「明るいオフィス」を作るのではなく、自社らしさにこだわって作ったオフィスは、より愛着の湧く空間に仕上がっていました。シーンや気分に応じて使い分けられる場所がたくさんあり、これからどう活用されていくのかが楽しみです。