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- オフィスインタビュー
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社員同士の出会い・コミュニケーションが生まれる「Park」をオフィスに。Sansanのオフィス見学ツアー

「オフィス・セントリック」の方針のもと、出社したくなるオフィス作りに取り組んでいるSansan株式会社は、さまざまな「働き方を変えるDXサービス」を提供している企業です。10年ぶりの本社移転で選んだのは、渋谷サクラステージ。分散していた拠点を集約したという新オフィスへのこだわりについて、オフィス移転プロジェクトに関わる加賀谷さんに伺いました。

新卒で個人向け不動産の売買仲介営業としてキャリアをスタート。その後、複数の企業で総務・ファシリティマネジメントに携わり、オフィス移転やレイアウト変更、自社ビルの設備管理・修繕計画の立案・工事の推進、コスト管理を担当。2023年にSansan株式会社へ入社。オフィス戦略部にて、中長期的なオフィス戦略の策定や、オフィスセントリックな働き方を実現する「出社したくなるオフィス」づくりに取り組んでいる。
目次
コロナ禍でのリモート経験から対面の大切さを再確認。「オフィス・セントリック」を提示
Sansanさんというと、名刺のデジタル管理ツールという印象が強いです。まずは会社のご紹介からお願いいたします!
弊社は「働き方を変えるDXサービス」を提供している会社でして、先ほどおっしゃっていただいた名刺に関連するサービスとして営業DXサービス「Sansan」、名刺アプリ「Eight」が主なサービスの1つです。その他、インボイス管理サービス「Bill One」や契約データベース「Contract One」といったサービスもあります。
会議室に来るまでに通ったオープンスペースが非常に素敵で印象的でしたが、加賀谷さんはオフィス作りにどのように関わっていらっしゃるのでしょうか。

オフィス戦略部に所属していまして、日々のオフィスの困りごとへの対処や、移転や増床、レイアウト変更に関する取りまとめなども担当しています。このオフィスへの移転も担当しました。このフロアから上に向かって5フロアが弊社のオフィスとなっています。
かなり大規模ですが、基本的に出社スタイルでいらっしゃるんですか?
いえ、リモートワークとの併用型です。出社も大切にしていまして、オフィスで働くことを起点とする「オフィス・セントリック」を掲げてはいますが、フル出社ではなく週3出社が基本スタイルですね。
出社日は社員の方が自分で決められているんですか?
社員個人で決める、もしくは各部署でルールを設定しています。基本的に会社から「この日は出社必須です」と一斉に決めることはしていません。
ハイブリッドワークを基本とするなか、御社にとってオフィスはどういった役割を持つ場所なのでしょうか。
弊社は「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに掲げており「出会い」を非常に大切にしている会社です。お客様に対してはもちろん、社員同士の出会いもとても大切にしていまして、オフィスは社員同士の出会いや交流の場であり、さらなる事業の成長を促す役割を担っていると考えています。
先ほど申し上げました「オフィス・セントリック」を掲げたのは2021年と、コロナ禍により在宅ワークが増えたタイミングでした。まだまだ社会情勢的にリモートが優勢でしたが、リモートワークのみだと新入社員が相談しづらかったり、対面コミュニケーションと同じようにはいかなかったりと、出社の大切さを感じることが多々あったんですよね。そこで、対面コミュニケーションを大切にしましょうという想いを込め、「オフィス・セントリック」を掲げたという経緯があります。
今回の移転は約10年ぶりだそうですね。移転を決めた理由は何だったのでしょうか。
事業拡大に伴う採用強化ですね。ここ3年間で700人ほど社員が増えていて、前のビルにはもう入りきらなかったんです。分室含め、最大で4拠点に分散させていたのですが、それでももう限界だということで、これを機に拠点を集約したいという想いがありました。
集約の話が出たのは2022年で、そこから物件の見学をスタート。ここに決まったのが2023年の6月です。
前のオフィスからエリアを変える形となりましたが、渋谷サクラステージを選んだ理由は何ですか?

桜丘、渋谷はさまざまなビジネスの交流が生まれている土地なので、「出会い」を重視する弊社と親和性が高いと思いました。出社ルートが変わることへの懸念もありはしましたが、親和性の高さを重視した形ですね。採用強化を進めていくうえで、人員を入れられるだけの物件が出てきたところも大きかったです。2、3年を見越して選んだはずなのに、想定以上に採用が上手くいっているので、すでにパンクしそうなフロアもあるくらいでして(笑)。サクラステージにしておいてよかったなと思っています。
では、あらためてエントランスからオフィスを拝見させてください!
コンセプトは「ネイチャー」。こだわりぬいた28階フロアを見学
新オフィスのコンセプトは「ネイチャー」。今回は、オープンスペースや会議室のある28階を見学させていただきました。
ランチ・飲み会・イベントに大活躍。28階「Park」

エレベーターホールからエントランスに向かうところはシックな雰囲気だなと思ったのですが、そのあとで広がるオープンスペースの雰囲気はがらりと変わりますね。

自然の豊かさから活力を受け取ってほしいという想いで、「ネイチャー」をコンセプトにしました。28階を起点にコミュニケーションが生まれる空間を設計しています。

ガラス張りの部屋があるんですね。
主に人事部のエリアです。


ガラス面にイラストや文字が書かれています。「Park」とありますね。
28階フロアを「Park(公園)」と呼んでいるんです。
確かに、グリーンが多くて公園の広場のような雰囲気だなと思います。

200ぐらいあります。環境を選ばずに育つものを入れるようにしていますね。当初、オフィス環境に不向きで枯れてしまったものもあったんですよ。

こちらは?
弊社のノベルティですね。




ステッカーは他社さんでもよく見ますが、他にもいろいろ作られているんですね。どれもこれもおしゃれです。
ありがとうございます。デザイナーがこだわって作ってくれているんです。
デザイナーがいらっしゃるんですか。
いろいろな分野のデザイナーがいる部署があるんです。ノベルティはブランドの体験を形作るデザイナーが担当しています。

こちらにも何かありますね。

こちらもデザイナーが作っているものですね。1年に1冊、会社のことを記した本を作って社員に配っているんです。
堅苦しさがないのが新鮮ですね。
クリエイティブに徹底的に注力する社風なんです。デザイナーの部署があるのもその表れですね。長期的な視点で質の高いものづくりを追求する私たちの企業文化の一環です。
会社の歩みも、社員だからこそわかるところがありますもんね。


今はちょうど人が少ない時間帯ですが、お昼になると人がいっぱいになるんですよ。

いろいろな家具があるのも楽しいですね。
顧問デザイナーとデザイン設計会社と相談しながら決めていきました。グリーンをただたくさん置けばいいわけではなく、抜け感があり、空間が広がるような体験ができる場づくりを重視してデザインしていただいています。「公園ってどういう空間だっけ」から考え、「気軽に座って話せる場所」など、要素を足していきました。

真っ先に目が入ったのが、奥の大きなモニターでした。
狙い通りです。顧問デザイナーの意思で、視線が自然と斜めに向き、その先にモニターがあるように作っているんですよ。実は床材も斜め45度に張っているんです。床と同じ素材を天板に使ったテーブルがあるなど、統一感も大事にしています。


28階からは中階段ですべてのフロアに行けるようになっています。さすがに1番上のフロアの社員はエレベーターを使うことが多いですが、オフィス内の行き来を手軽にしたい、28階での交流機会を創出したいという想いで、中階段を設けました。

あらためて見ても大きいモニターですね。
このLEDビジョンは新しい試みの1つでした。コンセプトの「ネイチャー」は自然を意味しますが、デジタルも融合させようと。イベントにも使っていて、月1の全社会ではここをメイン会場とし、資料を投影しています。ただ、全社員が集まることはできないので、各フロアでもパブリックビューイングを行っています。

壁面に会社の歴史が描かれているんですね。年ごとにキャッチコピーのようなものがあるんですか?
そうなんです。年始にテーマが発表され、その振り返りを最後にするのが恒例となっています。2025年は「AIファースト」で、もうすぐこちらにも仲間入りする予定です。
壁面にあると、新しい社員の方の目にも入るので良いですね。
では、会議室エリアのほうに向かいましょう。ちなみに、Parkの裏側にはこんな場所もあるんですよ。


定時後にお酒を1人3本飲める福利厚生があるんです。そのお酒置き場であり、電子レンジなども裏側に集約しています。
いい福利厚生ですね。反響はいかがですか?
以前からあったのですが、このオフィスに来て利用率が2倍以上に上がりました。前のオフィスは3~15階で、お酒が飲めるのが13階だったんですよ。12階以下の社員は帰りにわざわざ上がらなければならなかったんです。ここでは帰り道に通る場所が開催場所なので、動線的にも使いやすくなったのかなと思います。
帰りがけに知り合いを見つけて飲むシーンもありそうです。
実際にそういうシーンを見かけることがあります。このように、ランチタイムや仕事後の利用率は良いのですが、今の課題は日中の稼働率をいかに上げるかでして。密室でやる必要のない1on1などにも、ぜひ使ってほしいなと思っています。
会議室とは違う気持ちで話せそうです。
そうなんです。打合せも、自然の場で話したほうが良いコミュニケーションが取れるだろうなと。人事と相談しながら施策を考えているところです。
利用率のデータを取っているんですか?
体感ベースではありますね。私の席が29階なので、時々見にきたり、GoProで映像を撮ってみたりしながら把握しています。
ネーミングは社員のアイディアから。会議室

会議室は以前より増えました。商談する部屋がほしいという要望があり、間仕切りで仕切れる個室、密室として使えるブースもあります。会議室の名前は、「場所がわかりやすくなるように」と「ネイチャーっぽい名前」という要望を組み合わせて、社員から募集して名付けています。

通路の壁面にあるこれはSansanの「S」ですね。
社内のブランディングチームがブランディングの一環で考えたものです。



先ほどお話したのがこちらのお部屋ですね。1番見晴らしが良い部屋です。


渋谷の街並みを一望できます。気持ちがいいですね。あらためて、今回の移転プロジェクトはいかがでしたか?
「妥協を許さない」社風なんですが、今回のプロジェクトはタイムリミットが1年と短かったので、正直かなり大変でした(笑)。
あとはこだわりですよね。特に時間がかかったのはParkの床材で、これが決まらないと什器も階段も決められなかったのですが、なんと検討に3カ月もかかりまして。ただ、そのおかげで良い空間に仕上がったと思います。
もうひとつ大変だったのは、スケジュール管理と執務エリアの什器の転用です。元のオフィスで使っていた什器がバラバラだったうえ、原状回復工事と入居工事のスケジュールがパズル状態で、原状回復工事の開始時期をずらしながら、新オフィスに転用する什器を徐々に入れていくという、綱渡りのような進行でしたね。
そんな苦労を経て完成したオフィス。周りからの反響はいかがですか?
総じて評判がいいですね。執務エリアにはファミレス席や昇降式デスクといった席もあり、好評です。



人事施策にもいい影響が及んでいまして、リファラル採用の候補者を招いて行う簡単な飲み会のような「Sansan バー」の参加者が増えていると聞いています。
採用は本当に好調で、2025年4月には入る新卒社員は120人が入社しました。、中途社員は毎月20~30人と続々と社員が増えています。キャパシティの状況次第でフロアの使い方を工夫したいのですが、「エンジニアと営業が同じフロアでコミュニケーションを取れる今の形がいい」という要望もあり……なかなか難しいです(笑)。
社員の出会いが生まれる、「出社したくなるオフィス」に

今後のオフィスの活用について、「素敵な出会いがあるオフィスにしたい、Parkをよりコミュニケーションの取れる場にしていきたい」と語ってくれた加賀谷さん。
「オフィス・セントリック」を掲げる会社のオフィスとして、より出社したくなるオフィスを目指し、これからも試行錯誤が続いていきます。