- オフィスインタビュー
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ブランディング施策の実験場としても活用。「カオス」が楽しいシェアフルのオフィス
スキマバイトアプリ「シェアフル」を提供しているシェアフル株式会社のオフィスは、パーソルグループ本社ビルの4階に位置しています。共有スペースであるビルエントランスは洗練された雰囲気とは一転、自社フロアで大切にしているのは「カオスであること」。代表の横井さん、ブランドマネージャー(2024年8月取材時)の大渕さんにお話を伺いました。
早稲田大学商学部卒業。Webデザイナーからキャリアをスタートしたのちエンジニアに転向。証券会社のオンライントレードシステムのリーダーをはじめとして多くの開発案件に関わったのち、シアトルコンサルティング株式会社にてWebサービス事業部長を務める。2015年よりランサーズ株式会社CTO、2018年より同社開発執行役員。2019年1月よりシェアフル株式会社に創業から取締役として参画。2020年より同社取締役副社長COO。2023年4月より代表取締役社長。
青山学院大学経営学部卒業。新卒で不動産会社に入社し営業や人材育成に関わる。
その後印刷会社にデータの調整や加工などを行うDPTオペレーターとして入社。2022年よりシェアフル株式会社に入社。2024年4月より同社ブランドマネージャーを務める。同年10月よりクリエイティブディレクター。
目次
個人の「はたらく」選択肢を創造
シェアフルさんの事業についてご紹介ください。
シェアフルは、パーソルグループの子会社として2019年に設立された会社で、スキマバイトアプリ「シェアフル」を展開しています。ただ、スキマバイトは事業テーマの1つにすぎません。シェアフルのミッションは“誰もの「はたらく」をひろげ、新しい「はたらく」をつくる”で、雇用の創造がテーマ。スキマバイトはあくまでそのうちの1つであり、個人の就労の選択肢をどう広げていくかを考えている会社となります。
ありがとうございます。オフィスやはたらき方についても教えてください。
職種によって異なると思っています。大きく分けると営業サイドとそれ以外ですね。リモートワークの制度はありますが、営業は基本的に出社です。対面でないとお客さまに伝えきれない部分がどうしてもあるんですよ。
一方、マーケティングや開発はリモートワークが基本です。ただ、リモートワークだけになってしまうと、雑談の機会が減ってしまい、偶発性が損なわれてしまいます。そのため、オフィスに定期的に集まってディスカッションしたり、コミュニケーションを取ったりしてもらっています。オフィスは、出会い、コミュニケーション、アイディア創出のための場ですね。
熱意を共有するうえでも、社員が仲間と日々の喜びや悩みを分かち合える場を整えることは非常に大切だと考えています。営業活動においては、成功することもあれば、お客様からお断りされることもありますが、そうした状況でも仲間と感情を共有することで、気持ちをリフレッシュし、次に向かって前向きに進む力を得られるのではないかと思います。
あとは新卒社員がいきなりフルリモートになってしまうと、会社や仕事に慣れるハードルが上がってしまうため環境を整えてきました。
出社のみにしてしまうと、家庭の状況ではたらきづらい社員も出てしまうため、リモート制度を用意し、はたらき方を選べることが大切だと考えています。
オフィスはブランディングにも使えると思っています。弊社では、自社サービス「シェアフル」を使ってユーザーの方にはたらきに来ていただいているため、オフィス内にユーザーの方が来られるんですよね。最寄り駅に広告を出したり、オフィスの入り口に広告で使っているビジュアルを活用したりと、モチベーションが上がるようなオフィスデザインを意識しています。
現在のオフィスに至るまで、どのような変遷をたどってきたのでしょうか。
今オフィスが入っている4階フロアは、もともとグループ内のイノベーション領域用のフロアで、新規事業を育てる社内ベンチャーのなかにシェアフルがいたという形でした。コロナ禍によるオフィスの縮小、その後の会社の拡大、人数の増加に伴い、外苑前のパーソルのオフィスに引っ越したり青山に戻ってきたりを繰り返し、今に至ります。2024年9月からは同ビル5階もシェアフルが使うことになりました。
まだ5階はこれから作っていくところなので、今回は4階をご案内します。
よろしくお願いいたします!
「カオス」な空間がイノベーションを推進!シェアフルのオフィス見学ツアー
イノベーションを起こす会社として、「カオス」を大切にしているというシェアフル。4階フロアを見学させていただきました。
オフィスの入り口はブランディングの実験場として活用中
オフィスの入り口に顔はめパネルがあるんですね。
ブランディング施策の1つとして置いています。屋外で使用しているポスターの縮小版を掲示したり、CMを流したりと、シェアフルらしさを感じられるようにしました。ここから左側は「シェアフル」を使ってはたらきに来てくださったユーザーの方たちがはたらく場、右側が社員のはたらく場と大まかに分かれています。5階が完成したあとは、4階が社員、5階がユーザーの方向けフロアとなる予定です。
スキマバイトとしてはたらきに来られている方は多いんですか?
多いですね。弊社にとってははたらいてくださる方でもあり、サービスのユーザーの方でもあります。
ユーザーの方が来られる場でもあるからこそ、オフィス自体も認知度アップに使える場になるんです。屋外広告や駅構内に出す看板は、成果を把握するのが難しいものですが、ここであればユーザーの方に感想を聞くことができます。「このクリエイティブはどうか」「サイネージを試してみたい」など、実験の場としても活用しています。
なるほど。だから顔はめパネルや広告が入口にあるんですね。
ゆくゆくはオフィスの概念を拡張したいと思っています。最寄り駅である青山一丁目駅にシェアフルのポスターがあり、ここではたらき、お昼ご飯を買いにコンビニに行けば、そこで「シェアフル」ユーザーの方がはたらいているといった具合に、オフィス外も含めてストーリーを描きたいんですよね。
おもしろいです。オフィス自体のコンセプトは何なのでしょうか。
全体として大切にしているのは、手作り感、わちゃわちゃ感ですね。そのため、オフィスも計算し尽して完成度を高めたものというよりは、カオスな感じになっています。計算づくな会社なら、イノベーション事業をする意味がないのではと思っているんです。
フロア左側を「シェアフル」ユーザー、右側を社員用のはたらく場に
ワークチェアは質を重視し、個々のはたらきやすさにつながるものを選びました。カオスを大切にしていますが、机の配置を変則的にするとイノベーティブだけれど使いにくい空間になってしまうため、使いやすさを重視しています。
こちらは段ボール製のフォンブースです。
居心地が良さそうです!
「フォンブースが欲しい」という要望があったので、自分たちで作る段ボールタイプのものを導入しました。作り上げたこと自体も思い出になると思っています。
ちなみに、スタンディングデスクも社員の希望で取り入れたのですが、こちらも自分たちで組み立てています。ただ、届いたあとなかなか組み立て始めず、放置されていたんですよね。
総務の社員は女性が多く、20個のスタンディングデスクを総務だけで組み立てるのは荷が重かったんです。
そこで、オフィスで開催した飲み会のあとに「DIYグランプリ」を開催することに。社員20名に1つずつデスクを割り振り、「よーいどん!」で組み立てました。アルコールが入った状態かつタイムアタックで作ったわけですから、まあひどい仕上がりのものがたくさんあるんですが、それも思い出だなと(笑)。
社員向けのスペースにはソファ席もあります。
ガラス壁の中のスペースは、オープンスペースでは話しづらい仕事をするときや会議に使われています。
現状、完全に個室になっている会議室が少なくて。そこが課題ですね。
社員と思い出を共有できるオフィスに
「お越しいただいた方に『ただのオフィス』と思われることのない、ワクワクするカオス感のあるオフィスに進化させていきたい。コミュニケーションが生まれる場にしていきたいです」と語ってくれた大渕さん。
横井さんは「1番最初にあるべきははたらきやすい環境」と述べます。その上で、「楽しめるオフィスにしたい」と語ってくれました。
「『あの時、毎日大変でボロボロになりながらデスクを作ったけど、その後、酌み交わしたお酒の味って今でも覚えているよね。』とか、オフィスを通じて思い出の共有をしていきたいんです。完璧にきれいな仕上がりより、多少凸凹があるほうが思い出に残るんじゃないかと思っています。制度作りもそうですが、ゼロから作り上げた思い出を、5年後10年後に振り返られるのがスタートアップの意義であり良さ。これから入ってきてくださる方とも、振り返れる思い出を作っていきたいですね」(横井さん)
事業の成長と共に規模が拡大していくシェアフル。イノベーションを起こすスタートアップとして、まだまだ「カオス」を大切に歩みを進めていきます。5階のフル活用後、オフィスがどうなっているのかも楽しみです。