関連サービス

はたらくひとにとってのIBASHO=オフィスに
込められた想いを載せる情報メディア

オフィスインタビュー オフィスツアー オフィスと経営
vol.289 株式会社プレイス&アビリティ

デザイン性と機能性を両立。IPOを目指すプレイス&アビリティのオフィス見学ツアー

29歳で資本金250万円から創業し、現在174名の企業へと成長した株式会社プレイス&アビリティ。代表取締役の刑部斉さんが掲げる創業時からの目標は「IPO(株式公開)」でした。

2025年6月、始まりの地である虎ノ門に東京本社を移転。「当初予算を超えてでも理想を実現したい」と語る刑部さんの想いが込められた空間は、単なるオフィスを超えた「IPOへの覚悟を形にした場所」。今回、その新オフィスを見学させていただきました。

刑部 斉
インタビュー
刑部 斉
株式会社プレイス&アビリティ 代表取締役

大学卒業後、人材会社に新卒入社し、営業力・採用力・マネジメント能力を培う。リーマンショックの最中となる2009年に退職し、同年に自己資本250万円のみで当社を創業。現在、役員7名、従業員数174名となり、東京に本社、大阪・名古屋・福岡に支社を設置し、日本全土を網羅する体制へと拡大。自社メディア「バズくる!!」をリリースし、学生と企業の新たな出会いを創造するSNS連動型就活アプリを展開している。

7回の新設・移転を自ら手がけた実績をもとに、IPO目標を支える空間を

源(IBASHO.ライター) :

まずは御社についてご紹介をお願いいたします。

刑部さん :

コア事業は採用支援で、企業様の新卒・中途採用のサポートを行っています。それ以外にもSNS事業、社員研修事業、メディア事業、人事サポート事業と、計5つの事業を展開しています。

源 :

働く方々を包括的にサポートされているんですね。今後はどのようなことに注力されていくのでしょうか。

刑部さん :

現在はSNS連動型新卒求人メディア「バズくる!!」の開発・運営に最も力を入れています。

そして弊社は、数年以内のIPOを目指しています。実は29歳で独立・創業した際からの目標がIPOでした。何度か倒産の危機に直面したこともありましたが、16年間ずっとその目標に向かって走り続けてきました。このオフィスにいる間に、実現したいと考えています。

源 :

どれほど厳しい時期があっても、決して諦めることなく走り続けてこられたと。並大抵のことではありませんよね。

刑部さん :

恵まれた仲間、顧客、取引先の皆様のおかげだと実感しています。

源 :

企業成長において、オフィス環境も重要な要素ですよね。旧オフィスでの課題や、新オフィスへの想いを教えてください。

刑部さん :

今年は新卒社員を55名採用したため、その人員増加ペースに対応できる坪数が必要でした。お昼休憩時にも、カフェスペースが不足し、自席でランチを取らざるを得ない社員が増えてしまっていました。

加えて、社長室の必要性を強く感じるようになりました。IPOに向けて、極めて慎重に取り扱わなければならない情報やミーティングが大幅に増加しました。これは社員に秘密にしたいということではなく、情報開示の順序を一つでも間違えれば、IPOそのものが不可能になってしまうような、厳格なルールが存在するためです。

さらに支店展開も進み、地方在住者との面談機会も急増しました。その都度会議室を予約し、移動するという非効率さを解消するため、次の移転では社長室を設置しようと決断しました。

源 :

単純な拡張ではなく、企業フェーズの変化に応じた機能強化が必要になったということですね。ご多忙な日常業務と並行して移転プロジェクトを遂行するのは、相当大変だったのではないでしょうか?

刑部さん :

確かにコストとスケジュールの問題は深刻で、非常に苦労しました。しかし幸い、これまで東京本社と各支店(大阪・名古屋・福岡)を含む計7回の新設・移転業務すべてに直接携わってきた経験があります。その過程で蓄積した知識とノウハウを最大限活用し、プロジェクトを推進できたと思います。

源 :

計7回すべてを刑部さんご自身が担当されたのですか!驚きです。この規模の企業で、代表の方がここまで深くコミットされるケースは珍しい。ちなみに、移転完了後の社員や来客の方々の反応はいかがでしたか?

刑部さん :

反響は想像以上に良好です。特に嬉しい変化は、現在では社員の半数以上がファミレスブースやカフェスペースでランチを楽しむようになったことです。その結果、社員の休憩時間がより充実し、同期間の絆や事業部を超えた結束が強化されています。

当初の課題が解決できただけでなく、社員が生き生きと会話している姿を目にするたび、私自身も深い安堵感を覚えますし、このオフィスに移転して本当に良かったと心から感じています。

源 :

刑部さんの深い愛情と配慮が伝わってきます。

刑部さん :

ここは特別にこだわり抜いたオフィスで、私の16年間の経験値と想いを結集した集大成なんです。

源 :

素晴らしいです…!それでは早速、プレイス&アビリティさんの新オフィスを拝見させてください!

企業の未来を映す、戦略的オフィス。プレイス&アビリティのオフィス見学ツアー

デザイン性と働きやすさ、その両方を追求したプレイス&アビリティさんのオフィス。それは企業ブランディングの強化にも大きく貢献しているといいます。今回はその全貌を、エントランスから順に見学させていただきました。

洗練された空気を纏うエントランス

グレーとゴールドを基調に、清潔感と誠実さが感じられるエントランス
刑部さん :

さん来客スペース側は特にモダンなデザインを重視しています。高級ホテルのような重厚感ではなく、白を基調とした植物豊かな空間に仕上げました。こうすることでオフィスが自然と調和し、社員にも来客にも程よいリラックス感をご提供できると考えています。

また、エントランスには2WAY仕様の受付台を設置しました。通常は受付電話での対応ですが、場合によっては、ここで直接お出迎えし、スムーズにご案内できるよう、この受付台を特別に造作いたしました。

源 :

なるほど。非常に考え抜かれた工夫ですね。

緑豊かな会議室

刑部さん :

エントランスの奥に、ガラス張りの会議室を複数配置しました。20階ならではの絶景を最大限活用するため、可能な限りガラスを採用し、開放的な展望をお楽しみいただけます。壁で区切らないことで、より広々とした空間も演出できています。カーテンで遮蔽することも可能ですが、実際には開放したまま使用する社員がほとんどですね。

源 :

風通しの良さが伝わってきます。

まるで自然の中で会議をしているかのような、緑に囲まれた空間
刑部さん :

大会議室への動線にも特別なこだわりを込めました。海外の一部地域で導入されている環状交差点という円形システムをご存知でしょうか。交通渋滞や交差時のストレスを劇的に軽減する仕組みなのですが、その考え方をオフィス全体に応用したんです。

従来は廊下で他の社員や来客とすれ違う際、お互いに立ち止まったり道を譲り合ったりしていました。実際、私が移動するだけで多くの社員の足を止めてしまうことが頻繁にありました。

そこで新オフィスでは、環状交差点のような複数動線を整備しました。前方に誰かが見えた場合、もう一つのルートを自然に選択できる。こうした小さなストレス軽減の積み重ねが、ミスコミュニケーションの防止にもつながっています。

源 :

確かにそうした細やかなストレス、日常的に経験しますね…。お互いに気遣いが生まれてしまいますし。そこまで配慮されたオフィス、本当に働きやすそうです!

刑部さん :

ありがとうございます。あいにく今日は雨天で曇っていますが、この大会議室からは晴れた日には東京タワーの絶景を一望できるんですよ。

カフェスペース「PANDA」

刑部さん :

プレイス&アビリティの頭文字から、カフェスペースを「PANDA」と名付けています。旧オフィスの「PANDA」は来客エリアと隣接していたため、見た目の美しさという点では機能していました。しかし実際は、外部の方の視線が気になり、社員の利用頻度が著しく低下してしまったんです。

天井を抜いて高さを確保することで、開放感のあるスペースに
源 :

確かに、会話内容が外部の方に聞こえてしまう懸念もありますね…

刑部さん :

まさにその通りです。そこで新オフィスでは、デザイン性と機能性の完璧な両立を目指し、複数の工夫を施しました。まず執務室とカフェスペースをガラスで仕切りつつ、執務室からPANDA内を視認でき、かつ直接アクセスできる動線を確保しました。同時に、来客からは執務室が見えすぎないよう、戦略的にプランターボックスを配置して適度な死角を創出しています。

正面のガラスの奥には、執務スペースが広がる
源 :

社員の皆さんが「PANDA」の利用状況を一目で把握できれば、無駄な移動も削減できますね。

刑部さん :

来客スペースは先ほどご紹介した通り、白基調に植物を配した清潔感ある空間ですが、そこから「PANDA」エリアに進むと、木材・石材・植物が絶妙に調和した全く異なる世界が展開されます。まるで森林を訪れたような自然豊かな環境を演出し、ここで心の余裕とリラクゼーションを感じていただきたいと考えています。

エントランスと「PANDA」の間に、ガラス張りの小会議室があるので、旧オフィスほど来客者の目線が気にならない作りにすることができ、「PANDA」の利用頻度も上がってきています。

無柱空間で開放的な執務室

余白を大切にした、圧迫感のないゆとりある執務室
刑部さん :

各事業部の成長スピードが異なるため、柔軟にレイアウト変更可能なプランターボックスシステムを導入しました。

源 :

壁や柱のない開放的な環境で、作業効率も向上しそうですね。

刑部さん :

その通りです。部署間やファミレス席など、適度な区切りが必要な箇所にプランターボックスを配置することで、着席時には集中できるプライベート感を、起立時には全社を見渡せる一体感を実現しています。このフルフラット構造により、組織全体に活気が波及し、事業部ごとに生まれがちな文化の分断を防ぎ、統一感と連帯感を醸成しています。

源 :

確かに部署間で文化が分離してしまうと、横断的なコミュニケーションが難しくなりますね。

刑部さん :

その課題をさらに解決するため、全事業部に囲まれた執務室中央に、ゆとりある社内コミュニケーションスペースを設置しました。

源 :

素晴らしいアイデアですね。空間に余白があることで、自席を離れて考え事をしたい時や、気軽な対面ミーティングの際にも、スムーズに移動でき、生産性向上につながりそうです。

刑部さん :

まさにその効果を実感しています。さらに各事業部内にも、より小規模なミニコミュニケーションブースを設置しました。

源 :

驚きです、これほどゆとりのある空間なら、こうした細やかな配慮まで実現できるのですね…!

毎朝「何時に帰宅したいか」をカードで提示し合う文化。時間を過ぎそうな人がいれば、チームで自然とサポート

スムーズにアクセスできる男女別トイレ

源 :

あれ?執務室内にトイレが…?

刑部さん :

一般的なオフィスビルでは珍しい、執務室直結型のトイレのあるビルなんです。移動距離の大幅短縮により、業務効率が格段に向上しました。

源 :

しかも個室は奥まった位置にあり、プライバシーへの配慮と利便性が見事に両立されていますね。

刑部さん :

先ほどご説明した環状交差点方式の通路に接続しているため、どの方向からアクセスしても、他の方との譲り合いが発生しません。

源 :

本当ですね。執務室全体も環状動線で設計されているのですね。これならトイレに限らず、直接的なコミュニケーションの際も、移動がとてもスムーズです。

初導入の社長室

刑部さん :

先ほどの課題でお話しした通り、新オフィスから社長室を新設しました。オフィス拡張とオンラインミーティング・IPO関連会議の急増を受け、効率性を重視して設置を決断しました。ただしこの空間も、重厚感よりも、社員が気軽に相談に来られる親しみやすい雰囲気づくりを心がけています。

源 :

親しみやすさを保ちながらも洗練されたセンスが随所に光っていますね。

刑部さん :

ありがとうございます。以前は会議室まで片道数分の移動が必要でしたが、ここで連続してオンラインミーティングを実施できるようになり、生産性が飛躍的に向上しました。各支店での新卒面談も、非常に効率的に進行できています。

源 :

こちらに立派なだるまが飾られていますね…!

刑部さん :

16年前、29歳で250万円を手に独立した際、元同僚たちから贈られた大切な品です。片方の目は独立達成時に入れ、もう片方は念願のIPO実現時に入れる予定です。

おもてなしの精神が息づく空間。次世代へつなぐプレイス&アビリティの想い

1人創業し、始まりの地・虎ノ門でIPOを目指している、プレイス&アビリティ。刑部さんはこのように語ってくれました。

「このオフィスで面談を行った来年の新卒学生たちの内定承諾率が、驚くほど向上しました。既存社員の働きやすさや、お客様への快適な空間提供はもちろん重要です。それらに加えて、日本の若者たちが『こんな素敵なオフィスで働きたい!』と胸を高鳴らせて社会に一歩踏み出してきてくれること。これはある種、オフィス環境を整える意義だと感じています」

今回の取材を通じて、刑部さんの言葉の端々から溢れ出る、深いおもてなしの精神と熱い情熱を感じることができました。関わるすべての人が生き生きと輝けるように。そんな想いを込めて丁寧に作り上げられた新オフィスです。

その精神は事業そのものにも色濃く反映されています。プレイス&アビリティで働く一人ひとりが、顧客企業に対してどれほど価値ある支援を提供していくのか。16年間変わらぬ想いで築き上げた刑部さんの覚悟が、空間のすみずみにまで息づいていました。

取材先

株式会社プレイス&アビリティ

https://www.place-ability.jp/ 公式サイト

ランキング (全体)