- オフィスインタビュー
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目指すは「若者の熱狂を生み出すオフィス」!SNSマーケティング集団・FinTのオフィス見学ツアー
平均年齢26歳。100名のZ世代が活躍している「SNSマーケティング集団」が、今回訪れた株式会社FinTです。急拡大に伴い、100坪から300坪のオフィスへ移転した同社が目指したのは、「若者の熱狂を生み出すオフィス」。一体どんなオフィスなのか、石原さんと太田さんにお話を伺いました。
中央大学卒。大学1年生の時に「出張トリミングサービス」で起業。新卒でサイバーエージェントの株式会社シロクに入社。自社事業であるN organicのマーケティング・CRMを担当。2021年にFinTに入社し、広報部門の立ち上げを経験、現在は広報だけではなく、組織・カルチャー作り、toBマーケティングも担当。
立教大学卒。高校ではドイツ、大学ではフランスにそれぞれ1年間の留学を経験。20年に新卒で株式会社ニトリに入社し、店舗運営部にて売り上げの管理等に従事。その後FinTにジョインし、アカウントコンサルタントからHRへ異動。24年10月よりマネージャー就任。
目次
「熱狂」を軸にしたFinTの成長と組織戦略
まずは御社の事業についてご紹介ください。
「みんなの強みを活かして、日本を世界に前向きに」をパーパスに掲げている企業で、大手企業300社以上の、SNSを起点としたマーケティングを手掛けています。2023年5月にはベトナムに進出し、2024年にはフィリピンにも進出したグローバル企業でもあります。
続きまして、お二人のオフィスへの関わり方についてもご紹介いただけますか?
私はHRのマネージャーで、採用や評価制度の設計が主な仕事です。移転に関する部分でいうと、メンバーとのモメンタム作りがメインとなります。
私はコーポレートコミュニケーションのマネージャーを務めています。社内向けたカルチャー作りが主な仕事で、どうすればメンバーがカルチャーを理解して動いて成果につなげられるのかを考え、施策の設計から運用を行っています。2023年12月から移転が終わるまで、不動産巡りやレイアウトの検討などをメンバーと伴走しながら実行してきました。
移転プロジェクトはどのようなメンバーで進められたのですか?
代表を筆頭に、私とディレクター、デザイナーとの4名がメインです。ディレクターは会社のカルチャーを理解している古参メンバーとして、デザイナーは社内の動線の設計や家具の選定といった部分にデザイン視点を持って入ってもらいたいということで加わってもらいました。ちなみに、オフィス移転はあえてメンバーだけで行う形で進行しました。もちろん引っ越し業者さんのお力は借りますが、他の業者さんには一切お願いしていないんです。
びっくりです!それはなぜですか?
移転プロジェクトに携わることで会社の伸びを肌身で感じてもらいたかったからです。メンバーからもオフィス移転が今年1番のモメンタムになったと言われています。移転に携わることで視座が上がり、会社目線を持てるのも良さなんです。
今回のオフィスは「若者の熱狂を生み出すオフィス」だそうですね。
そうなんです。前のオフィスにいたころも、クライアントさんから「若い世代の方が集まっている熱気を感じられるオフィスですね」と言っていただいていたんですね。確かに社員の年齢層は若く、現在100人規模で平均年齢は26歳です。
ただ、平均年齢が若ければ熱気がある会社になるわけではありません。「熱気がある」と感じていただけているのは、対面コミュニケーションが多いからではないかと思いました。ただ話しているという意味でのコミュニケーションではなく、チャレンジや刺激を与え合える環境なんですよね。それが熱狂につながっているのではないかと。
環境的な部分でいうと、個々の席の近さも熱狂を生み出す要素だと思っています。物理的に近いと、個々のチャレンジが自然とわかりますから。
今回、オフィスが広くなるにあたって熱量が分散してしまうのではという懸念があったんです。そのため、広いスペースの中でも自然と集まりやすいよう、席の配置を工夫し、意図的に距離感を近く保つことのできるレイアウトを取り入れました。個人のデスクもあえて少し小さめのものを選んでいます。
あと、社内風土としてあげられるのは、抜擢を重視していること。移転プロジェクトしかり、組織施策しかり、チャレンジを大切にしているのも「熱狂」につながっているのかもしれません。
採用されるときも「熱狂」はキーワードになっていらっしゃるのでしょうか。
そうですね。若い世代を採用していることもあり、スキルよりはポテンシャルを重視しています。入社後に伸びる可能性を考えますと、やる気があるか、前向きな方かどうかという点が重要になり、結果的に熱量の高い社員が集う会社になっているのかもしれません。
熱量の高さを重視するのは、事業戦略でもあるのかなと思っています。弊社では「関係性の質」「仲の質」という言葉を使うことがあるんですが、仲が良ければ話す機会が自然と増えるため、思考の質が上がります。思考の質が上がればアクションにつながり、アクションを起こせると成果につながりますので。会社として、経歴やスキルはまだまだ他社よりも足りていないところがあります。だからこそ、みんなで関係性の質を担保し、熱量を持ってクライアント様や事業に貢献していくことが大事なんです。熱自体が事業の優位性であると考え、組織作りを行っています。
新オフィスは立地を重視
新オフィスは居抜きだとお聞きしています。どのような理由でこちらを選ばれたのでしょうか。
実は前のオフィスも居抜きだったんです。今回はフラットな物件も見てはいたのですが、居抜き物件はスピーディーな移転が可能なため、結果的に今回も居抜き物件を選ぶことになりました。想像以上に組織が急拡大しているため、できるだけ早く移転を進めなければならなかったんです。移転直前は「会議室がない!」の悲鳴があふれていたほどで。
もう1つ重視したのはエリアですね。弊社には学生インターンもいるので、彼らがオフィスに来やすい立地を重視しました。恵比寿、代官山、中目黒を中心に物件を探しました。これが例えば丸の内だと、学生さんにとってはちょっと来づらいよねと。
たしかに丸の内エリアは学生さんが多い印象の街ではないですもんね。
加えて、SNSマーケティングを事業としている会社として、洗練されているイメージに相反しない場所かどうかも見ていました。最寄り駅によってイメージが変わることもあるのかなと。
あとは代表のこだわりとして、ワンフロアであること。これは偶発的なコミュニケーションが取れること、2、3回すれ違うことで相手の表情や空気感がわかる距離感であることを求めてのポイントでした。あとは明るさも重視しました。
どれぐらいの物件から選ばれたのでしょうか。
15~20件ほどだったかと思います。
居抜きオフィスの場合、前の入居者の内装の影響を受ける部分もあると思いますが、「こういうオフィスにしたい」という雰囲気的なイメージは重視されましたか?
雰囲気はメンバーが作り出してくれているものだと思っているんですよね。そのため、デザインやビジュアルにこだわるというよりは、「このオフィスならこういう会話が生まれそうだよね」「活躍しそうだよね」とカルチャーを体現できる場所づくりができるかどうか、余白があるかどうかを見ていました。
それだけ急拡大していると、コミュニケーションが取りづらくなるなど、組織の壁も見えてきそうですよね。
ありますね。どうしても経営陣との距離が開いてしまうところがあるので、施策を打っています。オフィスに関していうと、リーダーや役職者はできるだけ出社するように少し強めに伝えていて、メンバーの顔を見て話す機会を少しでも増やすよう工夫しています。やはり対面のほうが関係性の質は上がりますから。あとは、先日リーダー合宿も行いました。マネジメントや組織について、リーダー職全員で考えようと。
試行錯誤をしているところですよね。
リーダー以外の方たちの働き方はいかがですか?
出社を推奨していて、週3以上は出社してほしいと採用時点でお伝えしています。現状で週3以上の出社率が9割ですね。モメンタムはオフラインでのほうが伝わりやすいからという理由があっての方針です。
物件がただあるだけでは、「熱狂を生むオフィス」にはならないのではないかと思います。先ほど「あえてメンバーの距離感を近くするようにデスクを配置する」というお話もありましたが、他に工夫したことはありますか?
前のオフィスで課題に感じていることを知るため、匿名性の目安箱を設置しました。熱量を高めるにはオフィスに来たくなる理由を作ることが必要だと考えたためです。新しいオフィスでは、その課題を解決できるような設計にしました。
ただ、それだけで作ったオフィスでは、作り手の意見を押し付けることになってしまいます。そのため、前夜祭と称して「こういう設計にしたいと考えています」というお披露目会を開催しました。まだ何も搬入されていない状態のオフィスに集まって、オフィスの地図を作ってオープンキャンパスのように見て回ってもらったんです。
できあがった状態のオフィスに入ってもらうだけでは、ありがたみも伝わらないだろうなと思って。プロジェクトメンバー以外の社員にもオフィス作りに関わっていることを感じてもらいたかったんです。そこで得た意見も取り入れ、最終的に今の形になりました。
具体的にどんな意見がありましたか?
当初はすれ違う瞬間を増やすために出入り口を1つにするつもりだったのですが、クライアント用の出入り口を増やし、自分たちは1か所にすることで、リスク管理とコミュニケーション施策とを両立しました。あとは執務室と集中スペースとを分けることで、コミュニケーションを取りながら仕事をしたいとき、没頭したいときとで使い分けられるようにもしています。
あとはロッカーもですよね。
そうですね。前はなかったので、用意しただけでも喜んでもらえました。自分らしさを出した使い方をしている社員もいるので、ぜひご覧いただきたいです。
楽しみです。ちなみに、意見の集約は大変ではなかったですか?
大変でした(笑)。なかには「これは実現できるのか?」というものもあって。「サウナがほしいです(笑)」とか、「個人ブースがほしい」とか。そのあたりは、代表がこのオフィスを通して弊社をどういう会社にしていきたいのかという考えを基準とし、実現不可能なものは私たちがメンバーとのつなぎ役として理由とともにお伝えしました。
「ここは拡大していった最大値の想定で作っているから、個人ブースを作ってもすぐにつぶさなければならないので無理なんです」とかですね。みんなの視座を成長させようという想いの元で動いたので、細かいところでいざこざが起きなかったのかなと思います。
オフィス移転前だけではなく、あとにも幕開け祭と称したイベントを開いたんです。それらの様子は動画にもまとめてもらったんですよ。みんなでオフィスを作った記録になり、良かったんじゃないかと思っています。
では、ここからはオフィスを拝見しながらお話を伺いたいと思います!
自分たちで作った「熱狂を生み出すオフィス」見学ツアー
「若者の熱狂を生み出すオフィス」を目指して作られたFinTの新オフィス。見学ツアースタートです!
明るい印象のエントランス
明るい雰囲気が印象的ですね。
用途に合わせてスペースをゆるやかに使い分け。広々とした執務室
こちらが執務室です。
おっしゃっていたように、みんなで集まっている感じが伝わります。
このあちこちに浮いている風船は何ですか?
入社1カ月目の社員の席の目印です。どんどん新しい社員が増えているので、目立つように風船を飛ばしているんですよ。先輩社員たちが「風船が飛んでいる間に成果を出せるようサポートしよう」と思ってバックアップしています。
自己紹介はしてもらうんですが、そのあとどの席になったのかがわかりづらくなるため、前のオフィスから始めた施策です。
ユニークですね!見た目的にも楽しいです。ということは固定席なんですね。
事業のことをディスカッションできるよう、部署ごとに席を決めています。ただ、毎週金曜日はフリーアドレスです。
結局同じ席に座ってしまう…なんてことはないですか?
結構バラバラで座ってくれています。役職者が声もかけてくれていますしね。
日報でも「今日はAさんと話せた」など、コミュニケーションを取れた様子がうかがえます。金曜日にフリーにすると、シャッフルした席の相手と飲みに行ったりできるという利点もあります。いつものメンバーじゃなく、たまたま席が近かったメンバーで「飲みに行こうか」となるといいなと。ちなみに飲み会といえば、太田さんは同世代飲み会を開いているんですよ。
97年世代として、「97会」を開いています。
こちらが集中スペース側ですね。
没頭したいときにはここで仕事をしています。
余談になりますが、この椅子の脚はもともと別の色だったものを、コーポレートカラーに合わせて塗り直したものなんですよ。
アクセントにもなりますし、会社らしさが出ていて、とてもいいですね!
ファミレス席も人気なんです。
こちらはカウンター席です。
こちらはプロジェクトの状況を共有して盛り上げていくため、カウントダウンしているものですね。こういうところからも熱狂を生み出せるのかなと思っています。
こちらがロッカーですね。ナチュラルな雰囲気が、オフィス用品っぽくなくていいですね!
いきなり購入するのが不安で、まずはレンタルで試してから、正式に購入しました。
高校生のように、扉に推しを貼ったりして自由に使ってくれています。若者が多い会社だなという感じですね。
これをきっかけに同志に出会えるなんてこともありそうですね。
あります(笑)。仕事をするうえで人気のインフルエンサーやアイドルを知ることも大切なので、今誰が人気なのかを伺える材料になったりもしています。
なるほど…!
まだまだスペースに余裕がありますね。
ぐるりと回る形になっていて、今は数人で集まれる席を置いていて、主に食事スペースとして使われています。社内の部活、懇親会にも使える場です。
部活でピザパーティーをしたり、毎週ある昼会をここで開いたりしています。昼会では代表が話す機会を設けていて、急拡大するなかでも物理的な距離をできるだけ埋めるようにしています。
そういえば、社長室はないんですか?
そうなんです。
会議室エリア
ここに会議室が並んでいます。
壁面には、事業にちなんでSNS会社の歴史を記しました。
会議室には行動指針を具現化した絵を飾っています。1on1などで思い出すきっかけにしたいねと思い取り入れました。
移転後、社内外の反応はいかがですか?
事業を拡大して、このオフィスを埋めようという雰囲気があります。メンバーが増えるなか、「ミーティングスペースが少ないよね」など細かな要望は出ているので、今はそこを微調整している感じですね。あとは、想像以上にざわざわしてくれているのがうれしい(笑)。来社された方にも「すごいざわざわしてるね!」と言っていただいています。
面接に来た方に「きれい」と言っていただいています。オフィスはきれいですが、中身はカオスな会社ですし、カオスから生まれる熱量を訴求していきたいところですね。
平均年齢は上げたくない。これからも若者の熱を活かせる会社作りを
「人事からすると、身の丈に合っていない大きな規模のオフィスに入ったことはプレッシャーでもあります。次のステージとしてより大きなオフィスに移れるよう、ここで組織も事業も伸ばしていきたいです。前向きで熱量高い仲間を採用し、想像できないステージに行きたい」と語ってくれた太田さん。
石原さんは「過度な装飾やコストをかけたオフィスではなく、成長できる空間をメンバーに提供したかった」とし、「オフィス作りだけではなく、制度の面においても、オフィスが大きくなったからこそ意図的にカオス感を残せるようにしていきたい」と語ります。
なお、今は平均年齢が若くカオスな会社でも、そのままでは年齢が上がり、「大人」になってしまうもの。そのあたりに関して伺うと、「平均年齢は上げずにいきたい」というお答えが返ってきました。
「SNSマーケティング事業には、若者のトレンドを把握することが重要です。どんどん若い世代を迎え入れ、年齢と経験を重ねたメンバーには、その強みを活かせるところで活躍できるような会社にしていくことで、強固な会社になると思っています」(太田さん)
「代表も『若者に入り続けてほしい』と話しています。若者の強さは、変化への受容力や挑戦できる力。どんどん若い方に入ってきていただくことで、今までにない会社の在り方を作りたいですし、私たちであれば作れると思っています」(石原さん)
若者の熱狂を生み出すオフィスで成長した先も、落ち着いてしまうことなく、熱狂しつづけられる会社へ。このオフィスにいる間に、どのような変化を遂げるのか、今後がとても楽しみです。