- オフィスインタビュー
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自由に働き方を選べるからこそ、出社したくなる環境・機会を用意する。TIS 豊洲オフィス見学ツアー
新宿に本社を構えながら、豊洲に新拠点を設けたTIS株式会社。時間と場所を自由に選択できるABWの導入、レストランやカフェなど憩いの場となる空間を整備したこだわりのオフィスを見学させていただきました。
大手損害保険会社にてオフィス環境整備やビル移転、イベント企画運営を経験し、2021年にTISに入社、豊洲移転プロジェクトにジョインしファシリティ業務を担当。移転後は社員食堂を活用したイベント運用をメインで担うほか、社員に快適な環境を提供し続ける為に、グループ会社や他部門を巻き込んだ改善活動を推進している。
新卒でTISに入社しシステムエンジニアとして主にクラウド環境の顧客システムインフラ構築を7年間経験。その後社内公募制度で総務部のオフィス運用チームに所属し快適なオフィス環境の維持、改善活動に従事。テレワークが身近な働き方になったいま、より多くの社員にオフィスを活用してもらえるようなイベントの企画運営にも取り組んでいる。
目次
グループ間のコミュニケーション活性化を目指し、豊洲拠点に集約
御社についてご紹介ください。
弊社はいわゆるシステムインテグレーターと呼ばれるIT企業で、銀行や製造業向けのシステム開発を行っています。グループ全体で2万人、TIS単体で6000人規模となり、グループ会社は海外で60数社、国内で45社あります。
2021年にここ豊洲にオフィスを開設しましたが、新宿にもオフィスがありますよね。
現在、豊洲にはTISと中核グループ会社の事業部門の大半が入っていまして、それ以外のグループ会社とコーポレート系部門が新宿オフィスにあるに集約されています。
豊洲にも拠点を設けたのはなぜですか?
グループ会社間のコミュニケーション活性化ですね。各社の拠点が点在していたので、拠点を1つに集約することでグループ全体の一体感の醸成に期待していました。新宿に集約する案もあったのですが、拠点を分散させることで非常時・災害時のリスクを抑えられると考え、豊洲にオフィスを設けることにしました。
御社の働き方についてお聞かせください。
豊洲オフィスの設計にあたって、それまで固定席、フル出社だった働き方を変える動きが出てきました。そこからコロナ禍に入りテレワークが本格的に普及したこともあって、今は業務に合わせて働き方を自由に選べる環境が整っています。会社として出社ルールを定めることはなく、部門やチームによって自分たちで決めている感じですね。
私も週に2回ほどはテレワークをしています。かつては時短勤務の人が多かったのですが、テレワークを選べるようになった今は、子育てや介護をしている社員のなかにもフルタイムで働けるようになった人が増えています。一方、当然ながら課題も出てくるので、そこはルールやマナーの面から働きやすくなるよう工夫しています。
お二人はオフィスにどうお関わりなのでしょうか。
オフィス運用に携わっています。そのなかで、私は主に社員食堂を担当しており、イベントメニューの企画などを担っています。
後ほど、ぜひ食堂を拝見したいと思います。伏見さんはいかがですか?
私も弟子丸さんと同じチームの一員で、昨年からオフィス活用イベントに注力しています。
例えばどのようなものを企画されているんですか?
日本各地にグループ拠点があることを活かして物産品の販売イベントを行ったり、その地域のご当地メニューを社員食堂で提供してもらったりしています。
最近では、部署の垣根を超えた交流イベント「TIS縁結び」を企画しました。メインコンテンツの謎解きミッションを通して他部署の社員と打ち解けてもらえる機会を設けました。
このように、オフィスに来るきっかけ、他部署の人とコミュニケーションを取る機会になったらいいなと思い、日々社員に興味を持ってもらえる企画を検討しています。
成果はいかがですか?
事後アンケートで満足度100%の回答も出ており、手ごたえがあったと感じています。社員食堂でお酒を出したこともあってか、大いに盛り上がりました。終わったあとにグループで二次会に行ったチームもおり、初対面の社員同士が次につながるきっかけにできたのではないかと思っています。
モチベーション高く働ける仕組みが盛りだくさん!TIS 豊洲オフィス見学ツアー
新しい未来を築く場所として、社員一人ひとりが主役となれる環境の整備を目指したTISの豊洲新オフィス。こだわりポイントをお聞きしながら、オフィスを見学させていただきました。
開放感のあるエントランス
広々としたエントランスですね。
技術活用を進めていまして、受付もシステム機器で行うようになりました。
豊洲は海が近いエリアなので、随所に海らしさを感じられる内装にしました。写真だとわかりづらいかもしれませんが、会議室に向かう通路の床は、水面(みなも)のような模様のカーペットを選んでいます。
ここの照明は時間帯によって色味が変わるタイプのものを採用していて、日が暮れるにつれて、観葉植物を照らす照明強度を変化させ、天井に葉の影が広がるようにして時間の経過を表現しています。
通路にも工夫があります。
通路にですか?何でしょう。
天井部分に記されているように、通路を「CANAL(運河)」と名付けまして、運河らしくあえてジグザグにすることで、まっすぐ先を見渡せないようにしているんです。
本当だ。単純にまっすぐな通路じゃないんですね…!
こちらはスタジオです。セミナーや社長メッセージの配信ができるよう、会議室の一室を専用スペースにしました。
コーポレートカラーの青にちなんだ会議室
実はお話を聞いていたときから、会議室内にあるこちらが気になっていました。
これですね。ちょうど今まさに会議室にドリンクを運んでいるロボットが見られますよ。
おお!ああやって運んできてくれるんですね。便利!
この他、案内してくれるロボットもいます。弊社では異なる機種のロボット同士や設備を相互連携させるシステムである「RoboticBase」を開発しており、プラットフォームで一元管理できるのも弊社の強みですね。
フロア内のどこに何のロボットがいるのか、こちらで見られるようになっているんですよ。
会議室名は、わかりやすくA~Zまでのアルファベット順にしました。
たくさんあると、部屋名で覚えるのは大変ですもんね。
ただ、そのアルファベットから始まる青色の名前を付けてもいます。ブランドカラーが青だからなのですが、この名づけが大変で…。
アルファベット縛りがあるなかで、さらに青縛りということですから、文字によってはかなり難易度が高かったでしょうね。
そうなんです。そして、採用面接に使っている会議室は、その色の名前にちなんだ壁紙を選んでいるんですよ。
部屋によって雰囲気が大きく違いますし、華やかでいいですね!
社内外でのオープンイノベーションの舞台 TIS INTEC Group Innovation Hub
ここはTIS INTEC Group Innovation Hub(以下 イノベーションハブ)と呼ばれる場所で、グループの社員が新しい事業を着想できるよう設けた場所です。ただ、グループ社員だけでの利用はできないようにしていまして、弊社が出資しているスタートアップの会社の方が自由に使えるようになっています。そうした会社の方々とコラボすることで、新しいものを生み出すことを狙いとしています。
暗闇の先に光があるというイメージになるよう、入口部分はあえて暗くしています。奥に見えるカウンターはステンレス製のもので、斜めに光を走らせ、尖った雰囲気を演出しました。
それにしても眺めがいいですね!
夜景も非常にきれいなんですよ。
人数や必要に応じて広さを変えられるよう、可変性のある作りにしています。
レールに沿って自由に仕切りを動かせるんですね。
用途に応じて自由に場所を選べる執務エリア
こちらが執務エリアです。
柱にアルファベットと数字がありますね。あれは?
どのフロアのどこなのかをわかりやすくした目印ですね。手前の柱は、32階のS(南側)の2を示しています。
固定席ではないため、社員同士が落ち合うときに場所をわかりやすくするためです。
とてもわかりやすいと思います!
ここは静かに仕事をしたいときに使えるフォーカスエリアです。
同じエリア内でもいろいろなデスクがあっていいですね。気分に応じて使い分けられそうです。
いわゆるファミレス席と呼ばれるこちらは、船の中をイメージしています。壁面に窓をイメージした模様を付け、ランプも船のようなデザインのものを選びました。
細かいこだわりですね!
通路横には打ち合わせができるハイテーブル席があります。通りかかった人と目線の高さが合うので、話かけやすい設計になっています。
こちらは1on1用の場所ですね。イラストも付いていてわかりやすいです。
1on1がやりやすいよう、横並びの配置にしています。
コロナの影響で設計時の想定よりもオンラインミーティングの需要が増えたため複数ブースが必要となり、ロッカーを減らして増やしました。
フロアによって雰囲気激変!コラボレーションエリア
各フロアには、コンセプトの違うコラボレーションエリアを設けています。ここは緑を基調としていて、「新しい気づき」に出会うエリアです。
落ち着いた感じの雰囲気ですね。
では、下の階にまいりましょう。
吹き抜けの階段があるんですね!
31階のコラボレーションエリアは黄色を基調としています。
このエリアは、気づきやアイディアを具現化する場を想定していまして、壁の模様も照明も斜めのラインを使っているのが特徴です。
床面も斜めに色が分けられていますね。
また雰囲気がガラリと変わりました!
30階はご覧の通り赤が基調となっています。アイディアを広く発信できるように、スタジアムのような場所を作りました。キックオフのときなどに使われています。
カーペットの赤が気持ちを高ぶらせますね。
わ、ベンチの下に椅子が!
収納スペースとして使えるようになっているんです。
賢いアイディアですね!
ちなみに、このベンチシートは高さにもこだわりがあるんですよ。
このように、後ろから傍聴できる高さになっています。
発表している様子が気になって見にくる、なんてこともできそうです。
イベントや限定メニューの企画もたくさん。社員食堂「IRODORI」
では、社員食堂にまいりましょう。下に見えるのはグループ全体で使える共有スペースです。
休憩やランチに使える便利な場所です。
こちらは?
授乳中の社員が搾乳に使える専用スペースです。
わあ、ありがたいですね!
ヘルスキーパー(企業内理療師)の施術を受けられる部屋も用意しています。グループ会社には鍼灸師の資格を持っている社員がおり、社員は福利厚生制度でマッサージ施術を受けることができます。
さて、いよいよ社員食堂です。
「IRODORI」という名前なんですね。
床にラインが描かれています。
選びたいメニューごとに動線を分けています。
「カレー」というラインがありますね。
人気メニューなんですよ。インド人シェフの方が作ってくださっていて、本社でカレー弁当を販売したときにはあっという間に100食が完売しました。シェフはスパイスの調達に2ヵ月インドに帰省することもあるそうです。
看板部分にはオールを付け、船のイメージを演出しました。
こちらはそのまま船をモチーフにした場所ですね。
こちらも船舶照明ですね。
「シンプル」とありますが、これは?
TISインテックグループの基本理念「OUR PHILOSOPHY」に示された行動理念「オープン」「オネスト」「シンプル」です。
TISならではのネーミングだったんですね。それにしても広々としていますが、何人ぐらい入れるのでしょうか。
400人程度まで入れると思います。食品会社とコラボしたメニューやサービスメニュー、サイドメニュー半額デーなど、いろいろな企画をしており、多くの社員に興味を持ってもらえるよう取り組んでいます。
カフェもあるんですね。
これはもう…社員食堂というよりカフェ&バーレベルの充実っぷりですね。すごい…!
ビールサーバーもあります。17時半からお酒を楽しめます。ボトルキープもあります。
本格的にお店のようですね。羨ましい…!
出社するかどうかはあくまで自由。そのなかで、「行きたい」と思ってもらえるオフィスを作り続けたい
「自由に働き方を選べるからこそ、オフィスに携わる者としては、ハード面、ソフト面の双方からコミュニケーション施策を実施して、出社したくなる環境を提供したいと思っています。『来てください』とは言わないのですが、とはいえ来てほしいなと。今後も出社を選びたくなる施策を打っていきたいです」と語ってくれた弟子丸さん。
伏見さんも「普段はテレワークをしつつも、イベント目的で久しぶりに出社し、『リアルなコミュニケーション機会にふれられ、出社してよかった』という社員も多くいます。イベントを通してオフィスの価値や魅力向上に取り組んでいきたいですね」と続けます。
「働き方が変わって出社頻度が減ったように、今後も時代によって求められるものは変わるでしょう。それを敏感にウォッチして、社員が求める環境を提供していきたいです」とオフィス作りへの思いを語ってくれました。