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- オフィスインタビュー
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固定席を減らし、フレキシブルに使えるフリースペースを整備。BASEのオフィス

インターネット通販をする方は、「BASE」のロゴを見かけたことがあるのではないでしょうか。今回訪問したのは、そんなネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」を始め、個人やスモールチームをエンパワーメントするプロダクトの企画・開発・運営をするBASE株式会社のオフィスです。コロナ禍での急激な事業成長による人員増、リモートワークの導入による出社率の変化を受け、オフィスを改変したという同社。人事面からオフィス作りに携わる樋口さん、ファシリティに携わる皆川さんにお話を伺いました。

大学を卒業後、三菱商事株式会社に入社し、投資およびトレーディング業務に従事。その後、2018年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに転職し、日本およびアフリカにおいて、消費財、製造業、インターネット事業など幅広い業界を対象に企業戦略、M&A、組織戦略のプロジェクトを担当。2023年11月BASE株式会社に経営戦略および組織戦略担当として入社し、2024年7月より全社の人事部門であるTalent & Culture DepartmentのDepartment Managerとして、人事および組織開発領域を担当している。

大学を卒業後、法律事務所や損害保険会社で専門業務を中心に、新事務所立ち上げやシステム企画等の幅広い業務に従事。その後、大手通信販売会社にて全15拠点の総務資産部門を統括する部門長を務めた後、2020年にLINEヤフー株式会社(旧LINE株式会社)に入社。フィンテック事業会社の経営管理マネージャーを務める。2023年3月にBASE株式会社に入社し、現在は総務ESG推進DivisionのManagerに従事。ファシリティやBCP等のリスク管理を中心としたバックオフィス全般の対応、ESG施策の推進等を担当している。
目次
人員増加=増床ではなく、オフィスの使い方を変更

まずはBASEさんについてのご紹介、お二人の自己紹介をお願いいたします。
弊社は「BASE(ベイス)」というネットショップ作成サービスを祖業とするIT企業です。他にも資金調達サービス「YELL BANK(エールバンク)」、購入者向けショッピングサービス「Pay ID(ペイ アイディー)」、オンライン決済サービス「PAY.JP(ペイドット ジェーピー)」など、EC・決済・金融を主軸にサービスを展開しています。個人やスモールチームをエンパワーメントすること、経済活動を活発に行えるような環境構築をすることが私たちのミッションです。
私は組織や人員に関わる戦略の策定や実行、採用や育成、労務などを担当しています。オフィスに関わるところでは、ワークスタイルに関わる部分が私の担当になります。オフィスそのものを形作る際のプロジェクトマネジメントは皆川さんが担当されています。
今お話があったように、私は総務ESG部門の責任者として、ファシリティ領域を担っており、最適なオフィス構築および運営ができるよう日々対応しています。
働き方はいかがですか?出社、ハイブリッド、リモート、どういった方針なのでしょうか。

オフィス出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドな働き方を採用しています。プロダクトや事業、組織の目的を達成するために必要な体制を整えることを重視し、関わる方々に最大の価値を出せるようにという前提のもと、具体的な働き方は各チームのマネージャーに決めてもらっています。そのため、出社頻度が週3の部署もありますし、それよりも少ない部署もあります。
部署によって出社頻度が異なるなか、会社としてオフィスの役割をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。
チーム内外の円滑なコミュニケーションをサポートする役割ですね。その役割を担えるよう、柔軟にオフィスの改変を行っています。執務室は端から端までが見通せる作りになっていて、フォンブースや半個室、パーテーションなどを利用して適宜共有スペースを区切り、用途に合わせて使用できるようになっています。弊社は創業13年目で、急激な事業成長に伴い事業内容や組織の在り方がダイナミックに変化することも少なくないため、それに合わせてオフィス環境も変えられることが不可欠です。
オフィスはコミュニケーションの場であると共に作業の場でもあるので、その2つの側面を両立できるよう考えています。執務スペースの座席はフリー席と固定席があり、出社日数の多い 部署または個人から申請してもらうことで固定席を用意するなど、働きやすさを担保しています。コロナ禍で事業が急拡大したことで人員が増え、2022年頃にはそれまでのように固定席を全員に用意することが難しくなったんです。

ただ、情勢がどうなるか見通しが立たないなか、人が増えたからといって増床するのは費用対効果も含めて適切な判断ではないと考えました。そこで、2022年12月にワークスタイルポリシーを定め、そのポリシーに沿ったオフィスを構築しました。具体的には、300席あった固定席をあえて200席程度にまで減らし、「ALL BASE」と呼ばれるコミュニケーションスペースを作りました。
元々弊社は「人が集まって顔を合わせプロダクト作りをする」というポリシーで、人とのつながりを重視する姿勢はハイブリッドな働き方を採用した今も変わっていません。例えば、新しくメンバーが入社した際には、部署を越えて今後の業務でかかわるメンバーとのランチを補助するメンターランチ、という福利厚生があるのも、コミュニケーションを大切にしている弊社ならではの制度です。
また、風通しの良さを重視しつつも、決済・金融事業を手掛けているため、オフィス構築にあたっては、情報セキュリティの管理体制を整えることが重要です。その上で多くコミュニケーションの機会を持つことができるように設計しています。
「ALL BASE」は外部ゲストの方にも来ていただく場所でして、ユーザーさんを招いたイベント、採用イベント、そして社内研修用に使っています。セキュリティ基準を満たすために、適切に外部ゲストの方がアクセスできる場所を設計しています。
「BASE」を利用されているショップオーナーさんをはじめ、外部ゲストの方とのコミュニケーションを取ることも大切にしているので、可変式のパーテーションを用意して仕切るといった設備面の工夫の他、ゲストとわかるカードを下げてもらってオフィスを案内するといったルール作りの面での工夫も行い、セキュリティ遵守とコミュニケーションを両立させています。
気分に応じて働ける場所がたくさん!BASEのオフィス見学ツアー
「柔軟」をキーワードにオフィスの改変を行ったというBASEのオフィス。その中身を見学させていただきました。
エントランス

壁面に写真が飾ってありますね。こちらは?
こちらは弊社のユーザー様のお写真です。サービスを使ってくださっている方がどの様な方々なのか、イメージができるよう、飾っています。

名前は歴代のビル名。会議室

会議室名は、歴代オフィスが入っていたビル名にしています。



ちなみに、執務室内にはこんな会議室もあります。
会議室という雰囲気ではないですね。
あえてデスクを置かないことで、カジュアルに話し合いやすい会議室になっています。
シームレスに空間が仕切られた執務室

「見通しが良い」とおっしゃっていたことがよくわかります。奥のほうまで見渡せますね。
使い勝手の良いスペース作りにコストをかけ、フリーで使えるスペースを作りました。また、2023年のレイアウト変更を機に什器も刷新しています。「今あるもので十分ではないか」という議論が経営陣の中であったのですが、良いプロダクトを生むために刷新しようという代表の意思決定により入れ替えました。

当初レンタルしていたフォンブースの反響が良かったので、4台設置しています。弊社には1on1文化があり、ハイブリッドワークであるために一人が在宅ワークで、もう一人が出社しているというケースも多いです。そういった1on1や社外の方との打ち合わせなどに活用されています。

こちらは完全にクローズドである必要のないWebミーティングの時などに使えるスペースです。


バーカウンターはコミュニケーションのきっかけの場として活用されています。

窓側にもデスクを置きました。

外の景色を見てリフレッシュしている人をよく見かけます。
解放感がありますね。

ここが「ALL BASE」です。
オフィス改変時、1番大きな変化があった場所ですね。コロナ禍前はここにも固定席があったんですよ。このスペースができたことで「チームラーニングできるようになった」と言われています。人数の多いチームはランチ会でも利用しています。
イベントに使われているというお話でしたね。
ええ。ただ、イベントスペースというわけではなく、特に用途を定めてはいません。全社定例や社内懇親会でも使いますし、休憩スペース、ミーティングスペースとしても使われています。
オフィス改変にあたり、大変だったことは何ですか?
社内の意見や要望を取りまとめることです。チームメンバーでディスカッションをし、今後のオフィスの話をしながら考えていったのですが、みんなの理想の落としどころをどうしていくのかを決めるのが難しかったです。箱には限りがありますから、動線などどうしても決まってきてしまう部分もあります。その中で皆さんが納得できる形を模索しました。
声が上がりやすい社風なんですね。
そうですね。プロダクト作りの中でコミュニケーションを大切にしてきた組織なので、何かあるとすぐに声が上がる社風だと思います。Slackにヘルプオフィスチャンネルがあるのと、定期的に実施している社内満足度調査でオフィスに関する設問も設けており、そこで上がってきたメンバーの声を出来る限り拾い、オフィス空間やそこに関連する部分を日々アップデートしていっている感じですね。
例えばどのような取り組みがありますか?
「ミーティングが続いて外にランチを買いに行く時間がなかなか取れない」というメンバーがいたのでオフィスコンビニや健康に配慮した冷凍弁当サービスを導入したり、「執務室の乾燥が気になる」という声を受けて加湿器を設置しました。
最近だとすべての座席においてモニターや充電器が一つのUSB-Cにまとまったことなども情報システムのチームやオフィスづくりに関わっているチームが対応してくれていました。一見小さい変化ですが、働くうえで最大限のアウトプットができるよう、上がってきた要望にクイックに対応していく文化となっています。
「ちょっと不便だけど我慢すればいいや」という風にはならないんですね。
そうですね。いい会社だなと思いますね。
今後も良いプロダクトを生み出せる環境づくりを

「プロダクト第一の会社として大事な創造性と協力体制を維持できるような環境を作りたい」と語ってくれた皆川さん。
「その先に、人生を変えるようなプロダクトを生み出せる可能性がある。常に環境をアップデートしていきたいですね。非連続な成長を続けているなか、最適なオフィスの広さや運用について考え続けています。グループとしてシナジーを起こすには、どんなオフィス設計をすべきなのか。増床なのか移転なのか、出社率も鑑みながら考えていけたら」
樋口さんは「キーワードはオーナーシップ」と語ります。
「プロダクトができ、最小限の時間でミッションを最大限達成できることが1番であり、そのための手法はある程度自由に持ってもらっているのが現状です。それはつまり常に何かを考え続けなければいけないと言えますし、責任も持たなければいけません。
『自分だけのためにいい』ではなく『チームとして、会社としてゴールを達成するために1番いい働き方、オフィスの使い方』を考えることが肝になってくるでしょう。会社の変化を一緒に楽しみながら、どうすればミッションを達成できるのかを考え、オフィス作りを含めた環境整備に取り組んでいますし、今後も作っていきたいと思っています」
M&Aによる組織の拡大、変化もあるBASE。変化に伴い、働く場もアップデートを続けています。