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MDFについてオフィス担当者が知っておきたい知識・論点を総まとめ

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オフィスにおいて、電話回線やインターネット、VPNなど社内外との通信回線は必要不可欠なインフラです。

 

オフィスの通信設備担当者様にとって、オフィス入居時の回線の引き込みや、回線の追加や変更に伴う工事などの対応は頻繁に発生するものではありませんが、非常に重要な業務の一つです。

 

今回はオフィスの通信設備工事について、とりわけその中でも重要な設備である「MDF」についてそもそもどういったものであるかや、どういった位置づけの設備であるか、MDFに関してどのようなポイントを理解しておけば回線の工事がスムーズ化といった論点をピックアップしてまとめます。

 

オフィスの設備管理において重要なポイントの一つなので、ぜひご一読ください。

2021年08月21日


この記事を読むのに必要な時間は約 17 分です。

MDFとは?

 

 

MDFは「Main Distributing Frame」の略で、日本語では「主配線盤」と訳されます。その役割や特徴、他に抑えておくべき関連用語と比較しながら解説していきます。

 

MDFはテナント入居者の配線をまとめる役割を果たす

 

例えば一軒家であれば、電話線やインターネット回線を敷設する場合が個別に直接引き込みを行えば問題ありません。

 

しかし、一定以上の規模を持つマンションのような集合住宅やオフィスビルのように複数のテナント入居者が各々の占有スペースで通信回線を敷設する需要がある場合、それぞれが個別に引き込みを行っていては配線が非常に煩雑になり、効率が悪いだけでなく外観を損なってしまう可能性もあります。

 

そこでNTTからの回線の引き込みについてはまずMDFで行った後、それぞれの占有スペースへの配線に関してはMDFから引き込みを行うような形がとられます。

 

MDFはビルの資産としてオーナー側で管理される

 

MDFは各テナントに配線を行うための重要なビル設備であり、オーナーの資産として管理されます。どのように配置されているかはビルの規模や形態にもよりますが、一階の共有スペースに設置されている、管理人室に設置されている、もしくはMDFを収納する部屋が用意されているなどのケースが考えられます。

 

基本的には外部から不用意に操作された場合、テナント全体に影響が出てしまう可能性があるため、何らかの形で施錠され、テナント側では工事などが必要な場合に都度許可をとる必要があります。

 

IDFはMDFからさらに配線を分配する装置

 

IDF(Intermediate Distribution Frame)とは中間配線板のことを指します。ビルの規模により、フロアごと、隔階、もしくは中間階に1つなどの間隔で設置されるMDFの縮小版のような装置です。

 

特にオフィスビルの場合、一つのテナントが業態によっては多くの電話線を敷設する必要があるケースもあり、MDFから全ての占有スペースに配線が行えない場合もあります。

 

そのようなケースにおいてはまずMDFからIDFに向けて回線の引き込みを行い、IDFからそれぞれの電話線に引き込みを行うような形が取られます。

 

EPSはIDFなどを収容する専用スペース

 

EPS(Electric Pipe Space)はIDFを含めた電気通信設備を収納する専用スペースです。建物の規模やIDFの設置状況により、そもそも設置されているかや、設置されている状況も異なりますが、IDFがEPSの中に収納されている場合、工事を行う際には両方を解錠するための鍵が必要となりますので留意する必要があります。

 

オフィス担当者が把握しておくべきMDF・IDF・EPSの知識

 

実際の配線の工事は専門の業者が行うため、オフィスの担当者がそMDF・IDF・EPSの構造の詳細についてまでは把握している必要はありません。

 

ただし、それぞれの設備はオフィスのオーナー側が所有している設備であり、工事する際にはオーナーの許可や鍵の解錠などが必要なケースが一般的です。

 

また、MDFは基本的にオフィスビルに設置されていますが、IDFやEPSに関してはどのように設置されているかや、そもそも設置されているか含めてオフィスの規模や構造により異なります。

 

こういった前提について全体像を理解した上で、入居しているビルの配線がどのような構造になっており、どのように自社の占有スペースまで回線が引き込まれているのか、また業者に工事を依頼するためにはどの部分を解錠しておく必要があるのかなどを把握しておくと工事の手配もスムーズに行うことができます。

 

(参考)PBXはオフィス内部の電話交換機

 

オフィスに電話を設置するにあたって連想される装置として「PBX」が挙げられます。PBXは社内で用いる内線通話や内線、外線の切り替えなどを設定する装置であり、あくまでオフィス内部の電話線を操作する装置です。

 

オフィスで用いたい電話の内線、外線の設計図によっては重宝する装置ですが、オフィスの外から宅内まで線を引き込むMDFやIDF、EPSとは位置づけは異なります。

 

それぞれの特徴やどういった場面で調整が必要か、どのようなリスクが生じうるかといった認識を区別しておけると、設定変更やトラブル時の対応がスムーズです。

 

MDF等によるキャリア・オーナー・入居者の責任分界点

 

 

MDFはオフィスビルのにおいても入居者の占有スペース(宅内)まで配線の引き込みを行う重要な役割を果たしますが、もう一つ「責任分界点」を定めるにあたってもポイントとなります。責任分界点とは何か、キャリア(通信会社)、オーナー、入居者の切り分けについて解説します。

 

責任分界点とは?通信設備のケースを解説

 

責任分界点はインフラにおいてどの部分が誰の責任で管理されるかを定めたポイントのことを指します。

 

例えば、回線のトラブルが起きた際それがユーザーの専有部分の不具合なのか、MDFを中心とするビルオーナーのインフラでの不具合なのか、それともそもそも通信キャリア側の問題なのかによって、修理の責任や、場合によっては損害賠償の発生の有無などにも関係してきます。

 

この責任分界点について、キャリア(通信会社)、オーナー、入居者(ユーザー
)それぞれどこからどこまでが範囲になるのかを解説します。

 

電話線の場合

 

オフィスビルの電話線の責任分界点は電柱からMDFまでの範囲が通信キャリア、MDF以降がビルオーナーが原則です。ただし、IDF以降テナントの占有スペースまでの配線が敷設されていない場合はIDF以降の回線の敷設および、運用時の責任分界点はテナント側に移行します。

 

つまり、元々の配線の有無によりテナント側に責任分界点が生じるかが変わってくるため、よく確認する必要があります。

 

光回線の場合

 

光回線の場合、電柱から専有部分の宅内ルーターまでが通信キャリアの責任分岐点、それ以降の個々の機器への接続がテナント側の責任分界点とされます。

 

オーナーには明確な責任分界点は生じませんが、ルーターまでの配線の内、配電盤や配電管の故障などについてはオーナー側で修理の責任が発生します。また、電話線同様、IDF以降の回線の敷設が行われていない場合は、その敷設および保守の責任分岐点はテナント入居者側に発生します。

 

改めてまとめる「MDFまで引込済」の意味

 

オフィスの物件を探す際、インターネットの配線に関して「MDFまで引込済」といった表記がされている場合があります。

 

ここまで解説した内容からわかるように「MDFまで」というのはあくまでビル施設内の途中までは回線が引いてある状態であり、入居した時点から回線を利用できるということを意味するわけではありません。その先の敷設に関してはテナント入居者の方で工事の手配を行い、保守の責任を負う部分がある、という表記であることを今一度理解しておきましょう。

 

オフィス運用でMDFに関わるリスクと対策

 

 

オフィスの通信設備を整えるにあたり、MDF起因でリスクとなりうる部分について解説します。MDFはビルのオーナーの所有物であるため、オーナー起因でトラブルになる可能性が僅かながらあるほか、事前の手配が不十分であり工事を行うことができない可能性なども考えられます。

 

考えうる代表的なトラブルや、それを回避するポイントについて解説します。

 

MDFに空きがなく、配線工事を行うことができない

 

MDFは建物で共有の設備であり、他のテナントの利用状況によっては空き設備がなく配線工事が行えないようなケースがあります。

 

実際はオフィスビルにおいては全てのテナントが一定の通信設備を備えられるようMDFが手配されているのが基本です。

 

しかし、状況によっては他のテナント、もしくは自社において通信回線を多く手配する必要がありMDFの空き状況にイレギュラーが発生してしまうケースや、オーナー側で理解が不足しており、必要なMDFの空き状況が確保されていないケースなども全く想定されないわけではありません。

 

可能性としては低いですが、万が一このような状況に直面した場合、対策を行ったり代替案を講じるのにも時間やコストがかかるケースがあります。

 

対策としては、工事を計画している段階からMDFの不足などを起因とするトラブルが起こりえないよう状況を予め確認しておくことが挙げられます。

 

調整不足によりMDF室に工事業者が入ることができない

 

MDFはオーナー側で鍵をかけ、テナント入居者側には必要な場面を除いて触らせないケースも少なくありません。

 

配線工事などMDFを入居者側で手配した工事業者によって操作する必要がある場合、事前にオーナーや管理を委託されている業者に確認を取り、鍵を空けておいてもらう手配を行う必要があります。

 

入居者側でそれを失念していると、予定日当日になって鍵が開かない、管理会社にも連絡がつかない、といったような状況に陥ってしまい、当日工事を行うことが出来なくなってしまうリスクがあります。

 

入居者起因のミスにより後日再工事となってしまった場合、追加費用がかかるだけでなく、予定していた工事内容によってはその工事を行えないことが業務に大きな支障を及ぼす可能性も考えられます。

 

オーナー、管理会社への連絡が入居者側にとって必須のタスクであることを理解した上で対応するように心がけることと、万が一工事のトラブルがあった際のリスクヘッジもしておくことが望ましいです。

 

オーナーが許可を出さず、MDF室に工事業者が入ることができない

 

ごく稀ではありますが、オーナーが特定の通信業者や工事業者などを嫌って当該業者の工事に対して正当な理由なく許可を出さず、MDFの工事を行うことができないといったトラブルが実際に起こっています。

 

オーナー側で利用可能な業者を指定し、契約を定めている場合などを除いてはオーナー側のこういった対応は認められるものではありませんが、現実問題として当日オーナーからMDF室の鍵を預かることが出来なければ工事を行うことができず、業務に支障が発生するリスクがあります。

 

また、このような状況に際しての再手配の費用は理屈の上ではオーナー負担となるべきものですが、こういった対応を取るオーナーからは回収ができず、テナント側で支払わなければならないようなことも想定されます。

 

こういったトラブルはオーナーが法人、とりわけ大手企業の場合は通常起こりえないものですが、個人が所有しているオフィスビルにおいて実際に起こっています。

 

事前のトラブル回避策としては、オーナーに事前に工事の詳細も伝えた上で許可を取るなどの対応が考えられます。

 

とりわけ、個人オーナーが何らかの工事を行う際にトラブルになりうる人物であることが予見できる場合、事前の確認はさらに重要になります。

 

IDFから占有スペース宅内までの配管がない

 

工事当日になっていざ引き込みを行おうとしたところIDFからオフィス宅内までの配管がなかったり、老朽化していて工事が行えないというようなケースがあります。

 

このような場合、そもそも付帯工事による追加費用は避けられませんが回線の引き込み工事が行えなかった分に関しても不要に多重で発生するコストとなってしまいます。とりわけ、築年数の古い建物において起こりうるトラブルであるため、配管の手配を行う前に現地調査を行い、必要であれば配管工事よりも事前に付帯工事の手配を行うことが必要です。

 

SERECTでMDFに関する心配を事前に解消できる

 

 

MDFはビルのオーナーが管理する設備ですが、入居者の方でも最低限の知識やMDFから始まる回線の自社占有スペースへの引き込みの経路、工事の際に必要な工程などを理解しておかなければ、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。

 

現在、オフィス探しにおいては仲介業者を介して候補先を検討するのが一般的ですが、仲介業者がそれぞれのオフィスのMDFの事情まで把握しているということは期待できません。

 

SERECTは仲介業者を通さずオフィス物件のオーナーや、オーナーから委託されている管理会社と直接繋がることのできるプラットフォームです。オーナーや管理会社であれば物件のMDFから占有スペース宅内までの配線も当然に把握していることが期待できます。また、工事に伴うリスクなどについても事前に確認することが可能です。

 

MDFに限らず、オフィスの契約において問題となりうるような論点については事前にやり取りをして物件の状況やオーナーの物件に対する理解、入居者への制約等の意向など、入念に確認することにより、様々なリスク回避に繋がり、安心感をもってオフィスに入居できることが期待できます。

 

SERECTではチャット機能を通じて複数のオーナーと同時並行でコミュニケーションを取ることが可能なので、自社にとって望ましい条件を絞り込んでいくことで効率的に理想のオフィス物件探しを行うことができます。

 

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まとめ

 

 

オフィスの重要な配線設備であるMDFについて、関連する設備や役割、重要な論点や起こりうるトラブルなど、特にテナント入居しているオフィスの担当者の方が最低限知っておくべき知識を中心にまとめました。

 

MDFそのものはビルオーナーの所有物であり、基本的にはテナント入居者は自社の内線工事の際などを除いては触れる機会はありません。しかし、MDFから先にどのような配線設備を経由してオフィス宅内に回線の引込を行うかや、全体の配線のうちどの分野の工事や責任を自社が持たなければならないとかといった事項を事前に把握し理解しておくことは重要です。

 

そういった事項を把握しておくことにより、配線工事などで思わぬトラブルが起きることなく円滑に回線を引き込み、業務を行うことが可能になります。

 

また、自社として入居する設備のMDFの状況を把握するのは当然のこと、オーナーのMDFへの理解度や工事への意向なども事前に確かめておくことで、一層スムーズなオフィス運用が期待できます。

 

この記事を書いた人

IBASHO編集部

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オフィスで働くことをもっとたのしく・働く場所としてもっと快適に。「はたらく人を幸せにするメディア」IBASHOを運営しています。
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