- オフィスインタビュー
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目指すは5%のコウテイペンギン。会社のアイデンティティ「探究」を込めたアルゴリズムの新オフィス
内装にこだわったおしゃれなオフィスが数ある中、「ただの綺麗なオフィスにはしたくなかった」という想いを持って作られたのが、今回訪れた株式会社アルゴリズムの新オフィスです。
コンセプトは会社が掲げている「探究」。代表取締役社長の勝俣さん、今回の移転プロジェクトを率いた事業本部 事業部部長の酒井さんにお話を伺いました。
株式会社アルゴリズム 代表取締役
学生時代から起業に関心があり、高校時代から複数のWEBサービスを個人で立ち上げ、収益化に至る。東京大学では起業サークルに所属し、OBである金田卓也氏と出会ったことをきっかけに2017年、アルゴリズムを共同創業した。
株式会社アルゴリズム 事業部 事業部長
大学時代に株式会社キュービックでインターンとしてデジタルマーケティングの基礎を学ぶ。2018年、株式会社オールアバウトに新卒入社し、2年目に年間MVPを受賞。2020年株式会社アルゴリズムに中途入社。半年で売上数百万円から数十億円規模までの事業成長を牽引。
目次
内装にまでこだわった移転は会社初。ただの綺麗なオフィスにはしたくなかった
エレベーターの扉が開いた瞬間、ホッキョクグマやペンギンのかわいらしいアニメーションが目に飛び込んできました。このアニメが投影されているのにも、理由があるというアルゴリズムの新オフィス。まずは「ADELIAE」と名の付く会議室でお話を伺いました。
卯岡
アルゴリズム社さんは、どのような事業を展開されているのでしょうか。
勝俣さん
いろいろな事業を手掛けてきたのですが、現在は「医療機関向けのデジタルマーケティング」がメイン事業です。オンライン診療を行っている企業やクリニックのデジタルマーケティング支援、ネット広告の運用、メディアプラットフォーム事業などを手掛けています。
卯岡
今回、オフィス移転をすることになったのはなぜですか?
勝俣さん
最初のきっかけは、人員増によるスペース問題と、ビルの建て替え問題の2つでした。前のオフィスは五反田のTOCビルで、広さは40坪でした。その面積に対し、最後はメンバー数が30人と、本当にギチギチだったんですよ(笑)。
酒井さん
全員が出社すると座る場所がない人が出てきてしまうので、「週に2回出社すれば、あとはリモート・出社どちらでもいいですよ」と言っておきながら、こちらで出社人数をコントロールしないといけない状態でした。
勝俣さん
そうした社の都合に加えて、TOCビルの建て替え話が浮上してきたものですから、移転を進めることになったんです。
酒井さん
一般的には経営陣や総務が移転を担当すると思うのですが、今回は事業部長の僕がオフィス移転を担当するということにも意味がありました。実はアルゴリズムには「横断プロジェクト」と呼ばれる制度があり、会社全体に関わるイベントが自発的に企画され運営されています。その一発目を任されていた私がオフィス移転をプロジェクト化しようと決めました。「自分たちらしさを表現し、より全員が会社に対して愛着が持てるようになるイベント」として取り組んだという背景があったんですね。正直、一発目としては少々大きすぎるテーマではあったのですが……。
勝俣さん
チームビルディング周りを酒井に頼んでいたこともあり、オフィス移転をテーマに選んだのだろうと思って見ていました。
酒井さん
そうですね。オフィスはみんなが働く場ですから、ただの業務タスクにしてしまうのはもったいないなとは思っていました。一大イベントとして、みんなの記憶に残るものにしたいなと。
卯岡
移転は何度目だったのでしょうか。
勝俣さん
2度目ですね。最初は先輩のオフィスを間借りしていまして、前オフィスが自社で初めて構えたオフィスでしたが、当時は内装を考えるところまで至らず、本当に一般的なオフィスでして。内装にこだわった移転は今回が初です。これまでは五反田エリアで、今回初めて田町に移ることになりました。
卯岡
エリアにこだわりがあったわけではなかったのですか?
勝俣さん
そうですね。ただ、やはり最初は五反田・渋谷・目黒・大崎といった五反田周辺エリアで探していました。田町になったのは、担当の方が今の物件を紹介してくれたからなんです。
酒井さん
担当の方には多くのオフィスをご紹介いただき、内見には10件くらい行きましたね。ある日の打ち合わせの最後に、「最後に、もう1件ご紹介したいんです」と言って出していただいたのがここだったんです。当初は五反田エリアに絞ってご紹介いただいていたんですが、今回のオフィス移転に込めた私たちの想いをお話していたところ、田町にあるこのオフィスがぴったりなんじゃないかと思ってくださったそうです。
卯岡
どのような想いですか?
勝俣さん
会社のアイデンティティである「探究」を表せるオフィスにしたいという想いですね。バリューの1つである「創発」を生み出せる場にしたいなと。酒井からすぐに話を受けて内見に行ったのですが、「ここだ」と思いました。
酒井さん
ここのオフィスは長方形ではなく、くの字型に曲がった変わった間取りなんですが、この形が当社の「探究」を表すのに適しているなと思いました。あえて先が見えない作りにすることで、奥深く潜っていく動きを表せるのではないかと。
勝俣さん
明るい雰囲気も好印象でした。あとは広さ。100坪程度を希望していたのですが、ここは150坪あるので、第一印象は「広い!」でしたね。
酒井さん
勝俣の目の輝きを見て、「あ、ここに決まりそうだな」と思ったのを覚えています。ただ、経営陣やプロジェクトチームだけの独断で決めたわけではありません。最終候補を3つほどに絞った上で、社員投票を行って決定しました。
卯岡
社員の方の意思も尊重されたんですね。
酒井さん
「みんなが出社したいと思ってもらえるオフィスにしたい」という目標を裏で掲げていたんです。エリアが変わることで「出社したくない」と思う社員があまりにも多かったら本末転倒だなということで、できる限り多くの意見を反映できるようなプロジェクト進行を心がけていました。
卯岡
「探究」を表すオフィスを目指したとのことですが、他に重視したことはありますか?
勝俣さん
会社のアイデンティティを語るきっかけになるオフィスにしたいと思っていました。綺麗でかっこいいオフィスは、最初こそ気持ちが上がるものですが、それ以後は「ただのおしゃれなオフィス」になってしまいます。そうではなく、採用候補者や来客の方に「これってなぜこうなってるんですか?」と聞かれるような仕掛けを施すことで、自然と会社について語れるオフィスにしたかったんです。
卯岡
最初に「なんでペンギン?」と尋ねましたが、これはまさに狙い通りだったというわけですね。では、さっそくその理由も含めて、見学ツアーの中でお聞かせください!
コンセプトは「探究」。会社のアイデンティティを込めたアルゴリズムの新オフィス見学ツアー
「探究」をコンセプトに作られたアルゴリズムの新オフィス。さっそく見学ツアー、スタートです!
「これはなぜ?」会話のきっかけになるエントランス
卯岡
あらためて、エントランスのロゴ横で動く彼らについてお聞かせください。
酒井さん
「探究」から「深海」「深さ」「潜る」を連想し、プロジェクトチームで「深海まで潜れる生き物」について調べたんです。そこでメンバーが見つけてきたのがコウテイペンギンでした。コウテイペンギンは実は潜るのが得意な生き物で、そのうち5%が水深180メートルまで潜れ、540メートルほどまで達する個体もいるのだそうです。挑戦者を表す「ファーストペンギン」という言葉もありますし、これはうちの会社の象徴になり得る存在だなと思ったんです。「僕らが目指すのは5%のコウテイペンギンだ」と。
勝俣さん
とはいえ、当初からそこまでの明確なコンセプトは決め切れておらず、途中から「コウテイペンギンを…」と言い始めたんです(笑)。内装会社さんには急な要望にも柔軟に対応していただいてありがたかったです。
▲エントランスから左手には、何やら木が……
卯岡
これは流木ですか?
酒井さん
はい。エントランスが海面で、会議室スペースに行くにつれて潜っていく様子を表しています。流木があるこの場所は海と氷山との境目を表した場所ですね。
潜水艦をイメージした会議室スペース
▲深い青が印象的な会議室前のスペース
勝俣さん
会議室は潜水艦をイメージしています。扉に貼られたアルミ板は潜水艦で実際に使われている素材です。照明も船舶用のものなんですよ。
▲アルミ板も照明も、実際に潜水艦で使われているもの
▲会議室の扉に記載された部屋名
卯岡
先ほどペンギンの話をお聞きしていたので、ピンときました。会議室のお名前はすべてペンギン由来なんですね。
▲コウテイペンギンの首元の色味である黄色が表現された「EMPEROR」の文字
酒井さん
おっしゃる通りです。「エンペラー」とコウテイペンギンの名を冠する会議室が1番広いんですよ。
▲会議室の照明スイッチ。こちらにも潜水艦らしいものを採用
勝俣さん
ここにはもう1室、1on1スペースもあります。話しやすい雰囲気になるよう、対面ではなく斜めに座れるような作りにしました。社員にも「話しやすくなった」と好評です。
「深海へ潜る」イメージを表した執務スペース
▲左奥側にスペースが続いています
酒井さん
執務スペースが、くの字になっている部分ですね。
卯岡
入口からは曲がっている先が見えないですね。
酒井さん
潜っていかないと海底の様子は見えない。深海に潜っていく動きをイメージしています。
勝俣さん
創発も今回のオフィスのテーマなので、椅子はキャスター付きのものにし、動きやすい環境を整えました。ガーッと移動してコミュニケーションを取る姿が見られたらいいなと。
酒井さん
まだまだ席数には余裕がある今の状況から、人数が増えて密度が濃くなったときに、どのようなコミュニケーションが生まれ、探究活動がなされるのかが楽しみなんです。
▲執務スペースの一角にはWeb会議用スペースも
▲くの字型オフィスの1番奥には、窓に向かって作業できるスペースが
陸地をイメージした休憩スペース
▲エントランスから右側に行った先には、これまでと打って変わって青が少し少なめの空間が
勝俣さん
ここは休憩スペースです。電源も用意しているので、ここで仕事をしているメンバーを見ることもあります。
酒井さん
休憩スペースは陸地をイメージしました。
卯岡
だから青の量が少なめなんですね。
▲奥には小上がりスペースも。窓に向かって作業することもできます
▲休憩はもちろん、仕事スペースとしても活用されています
オフィスは創発が生まれる場
▲ペンギンポーズを決めていただきました!
移転後、狙い通り来客や採用候補者の方にオフィスについての質問を受けていると語ってくれた勝俣さん。裏テーマだった「みんなが来たくなるオフィス」に関しても、移転後の社員の出社率が1.4倍と、数字で結果が表れています。「インターンを入れると、さらに数が増えると思います」と酒井さんが語ってくれました。
「今の時代は変化のスピードが速く、新たなものを生み出しても、最初から計画通りに事が運ぶことはなかなかありません。だからこそ、新たな物事が生まれる場所自体に価値がある。会社にとって、オフィスはそんな『場』のもっとも象徴的な存在だと思っています」と勝俣さん。これからどのような創発が生まれていくのか、楽しみな新オフィスです。