関連サービス

はたらくひとにとってのIBASHO=オフィスに
込められた想いを載せる情報メディア

オフィスインタビュー
vol.262 レジル株式会社

オフィスとは制約なく働ける「意思ある成長が叶う場所」。レジルの新オフィスツアー

レジル株式会社

変化の激しい時代に対応するため、会社を変えていく必要があると考えている方もいるでしょう。ただ、歴史の長い昔ながらの会社が大きな変革を遂げることは、ハードルが高いと感じるのではないでしょうか。

「会社は従業員が成長できる場である」とし、約2年間で会社の制度、働き方を変革、その1つとしてオフィス環境も大掛かりに変えたレジル株式会社。新オフィスを拝見しながら、その変革についても伺いました。

丹治 保積
インタビュー
丹治 保積(たんじ ほづみ)
代表取締役社長

楽天株式会社で楽天大学事業部長や子会社取締役等を歴任。ミスミグループ本社で経営戦略スキルを磨き、子会社シグニ株式会社の社長や複数企業の役員を経験した後、2020年に執行役員としてレジル株式会社に入社。2021年に代表取締役社長に就任すると、勤務体系やキャリアパス、報酬制度などあらゆる面から労働環境を刷新し、従業員が「意思ある成長」をし続ける組織へと変革させる。

30周年を機に、会社全体を大きく刷新

卯岡(IBASHOライター) :

まずは御社の事業内容からお教えください。

丹治さん :

分散型エネルギー事業、グリーンエネルギー事業、エネルギーDX事業の3つを展開していまして、メイン事業は分散型エネルギー事業です。マンションやビルに受変電設備や蓄電池、EV充電設備といった分散型エネルギー設備を設置し、それらを制御することで、災害停電時に水道ポンプやエレベーターを動かせるようにするという事業ですね。

実は長年別の社名だったのですが、来年迎える30周年を機に会社を刷新しようということで、従業員の働き方を変え、ビジネスモデルを変え、社名もオフィスも新しくしました。私は2年前に社長に就任したのですが、その前後で、別会社になったかというくらい大きく変化したんですよ。

卯岡 :

具体的に、どのような部分が変わったのでしょうか。

レジル株式会社
丹治さん :

まず大きく変化したのは働き方ですよね。以前はリモートワークはNGで、始業時間の8時45分、終業時間の17時45分にチャイムが鳴るような、「THE・昭和」な会社だったんです。今はコアタイムのないスーパーフレックスなので、各自の状況に合わせて柔軟に働けます。子育て中の従業員の場合、朝から昼過ぎまで勤務し、夕方からは一旦家庭の時間とし、また夜に少し働くといった具合に、労働時間を分散させている人もいるんですよ。

服装も自由にしました。あとは、「自分のキャリアは自分で決める」というコンセプトのもと、職種の公募制度に加え、2023年12月からは手を挙げた異動希望者をスカウトするというフリーエージェント制度も開始しました。

卯岡 :

昔ながらの週5日完全オフィス勤務だったところから考えると、本当に大きな変化ですよね。オフィスに関しては、今まではどのように考えていたのでしょうか。

丹治さん :

これまでは、オフィス=コストという価値観のため、そこまで費用を割いてこなかったんです。取り壊し予定が決まっている物件は、入居期間が限られる分、賃料が安くなりますから、そうしたオフィスに入っては出るといった形で、コストを削ってきました。取り壊してしまうため、原状回復費用もかからないんですよ。

レジル株式会社
提供写真:前オフィスの執務およびカジュアルミーティングスペース。昔ながらのオフィスのため、天井の低さも難点の1つだったのだそう
レジル株式会社
提供写真:前オフィスのランチスペース
丹治さん :

前オフィスは、天井が低いうえに蛍光灯が1本タイプと、個人的にはかなり薄暗い印象を抱いていました。きれいな物件ではあったのですが古さは否めず、正直お客様を呼びづらいオフィスだったんですね。

オフィス=コストと考えれば、ひたすら削減するほうに意識が向きます。たとえば、ハイブリッドワークができるなら全員の席は必要ないと考えるのが自然です。ただ、私は会社として起点となる場所がオフィスだと考えていました。生産性を上げるとか、コミュニケーションを活性化させるとか、仕事に付加価値を付けていくための集合場所、起点となる場所がオフィスなんじゃないかなと。移転に際しては、いつ従業員が来ても自分の場所があるよう、全員分の席を用意しました。そのため、従業員一人当たりの面積は前オフィス時代より増えています。

卯岡 :

オフィスでの働き方としてはフリーアドレスなんですか?

丹治さん :

フリーで働けるところも用意しつつ、固定席を作ることが目標だったんです。ただ、各事業部の採用が想像以上に上手くいっていまして、想定の倍のスピードで従業員数が増えているため、袖机はなしにして、柔軟に使えるようにしています。そのため、3年ぐらいもたせるつもりだったこのオフィスですが、予定より前にキャパシティがいっぱいになってしまうかもしれないと思っています。

卯岡 :

そもそも、物件はどういった基準で選んだのですか?

丹治さん :

前オフィスはは赤坂と箱崎の2箇所に分かれていたのですが、今回は東京駅近郊に統合すると決めていました。大阪にもオフィスがあり、東京駅近郊だと行き来が楽ですから。あとは関東近県や関西、東北へ営業が行くため、やはり東京駅が1番利便性が高いと判断しました。

レジル株式会社
丹治さん :

あとはワンフロアで入れること、柱が極めて少なく見通しがいいこと。もう1つ重要視したのは、再生エネルギーを使っているビルであることでした。弊社は脱炭素を支援する会社ですから、入居するビルも脱炭素の取り組みを行っているところにしたかったんです。

卯岡 :

選択肢がかなり狭まりそうですね。

丹治さん :

そうですね。4件ほど検討しましたが、再生エネルギーを使っているビルはそのうち2件でした。

卯岡 :

では、そんなレジルさんのオフィスを見学しながら、引き続きお話をお聞きしたいと思います!

コンセプトは「意志ある成長が叶う場所」「働くことの制約にならない場所」。レジルの新オフィスツアー

「意志ある成長が叶う場所」「働くことの制約にならない場所」をコンセプトにしたレジルの新オフィス。見学ツアー、スタートです!

従業員用エリアが見通せるエントランス

レジル株式会社
落ち着いた色合いの家具が置かれたエントランス
卯岡 :

訪れたときにも感じましたが、非常におしゃれで洗練された雰囲気ですよね。

丹治さん :

ありがとうございます。家具の選定は「落ち着いた色合いで、ホテルのラウンジ風に」とデザイン会社に依頼しました。オフィスは空間を大きく3つに分け、来客エリア、コミュニケーションエリア、執務エリアとなっています。来客エリアはさらに分けられていまして、会議室と副業専用エリアの2種類があります。後ほどご案内しますね。

卯岡 :

副業専用エリアが気になりますね。では、ここは来客エリアでしょうか。

丹治さん :

はい。ガラス奥に見えるのが従業員用のコミュニケーションエリアで、さらにその奥に執務エリアがあります。従業員用のスペースは、お客様からも見えるようにしたいと思い、仕切りをガラスにしてもらいました。担当以外の働いている従業員の雰囲気も感じていただき、 レジルという会社とお付き合いいただくのではなく、従業員の集合体であるレジルへの信頼構築の一助に出来ればと思っています。

予約システムで効率的に使える会議室

レジル株式会社
扉横の黒く四角いパネルが予約システム。色合いで部屋の使用状況がわかります
丹治さん :

会議室は予約制で、Googleカレンダーから事前予約、会議室ドア横にある画面からその場で予約ができます。点灯の色で使用状況がわかるようになっていまして、緑が空室です。予約した部屋は、開始時刻からしばらく経っても入室手続きがされなければ予約が解除されるようになっています。

卯岡 :

パッと見て使用状況がわかるのがいいですし、空予約が防止されているのも効率的に場所を使えるのでいいですね。

丹治さん :

会議室の壁面はガラスを使用してクリアにしているのですが、お客様によっては外から見られたくないこともあるので、スイッチひとつで視界をさえぎれる仕組みにしています。

卯岡 :

おお!不透明になりました。これは便利ですね!

作業もミーティングも可能。副業専用エリア

丹治さん :

来客エリアの奥にあるのが、先ほどお話した副業専用エリアです。スーパーフレックスなので、従業員によっては本業の合間に副業をすることもあります。そうした際に使えるよう、副業専用のオープンな机、テレカンブース、会議室を用意しました。

卯岡 :

副業を推進される企業は増えていますが、専用エリアを設けている会社は聞いたことがありません。なぜ作ろうと思ったのですか?

レジル株式会社
レジルでの仕事用のテレカンブースとは別に、副業用にも設けられています
丹治さん :

副業を推進したところで、「いつ、どこでやるの?」という問題があると思ったんです。社内でやるとしたら、どのパソコンを使うの?というセキュリティ問題がありますし、自分の席でやっていると、今やっている仕事が本業なのか副業なのかわかりにくく、労働管理も難しい。

では、社内での副業を禁止すればいいのかというと、そういうわけでもない。社内でできなければ外でやらざるを得なくなりますから、朝や夜に無理やり働くことで、体調を崩す従業員も出てくるかもしれない。それは避けたいということで、机とテレカンブースと会議室、もちろん副業用のWi-Fiも設けました。

卯岡 :

なるほど。反響はどうですか?

丹治さん :

副業を続けられるのであればということで、弊社への転職を決めた方もいます。ただ、副業専用エリア設置以降に新たに副業を始めた既存の従業員はまだいません。副業をしている方が入社してくることで、挑戦しようと思ってくれる従業員が出てきたらいいなと思っています。

卯岡 :

なぜそこまで後押しされるのですか?

丹治さん :

1社だけで仕事をしていると視野が狭くなると思うんです。私自身が常に副業もしていたことで、人脈や経験が広がり、今の財産になっているんですよ。また、副業をするには特徴的なスキルが必要なので、企業から求められるくらいスキルを伸ばしてほしいという思いもありますね。資格支援制度やセミナー受講支援制度なども設けて、社員の成長をサポートしています。

フロアの2分の1を占めるコミュニケーションエリア

丹治さん :

こちらが従業員用のコミュニティエリアです。フロア面積の約半分を占めています。

卯岡 :

所々にオブジェも置かれていて、ますますホテルのラウンジ感がありますね。

卯岡 :

元が昭和感のあるオフィスだったとのことなので、昔からいた従業員の方はこの変貌ぶりに相当驚いたのではないですか?

丹治さん :

そうですね。最初に出社したときはおどおどしていたかもしれません(笑)。今ではすっかり順応して、ここでくつろいでいる姿もよく見られますよ。

レジル株式会社
真ん中の人が出入りしづらいソファですが、意外と人気だそう
丹治さん :

雑談や仕事、ランチタイムなど、思い思いの使い方をしてくれています。

家具によって雰囲気の異なるソファ席
卯岡 :

いいですね。どの場所も落ち着いて過ごせそうです。

丹治さん :

弊社ではクラブ活動も行っていまして、カウンタースペースはコーヒー部の活動で使われることもあります。年末には、ケータリングを用意してここで忘年会を実施しました。

シンプルに整えた執務スペース

丹治さん :

こちらが執務エリアです。本当は袖机を置いて一人ひとりのスペースを固定したかったのですが、予想以上のペースで従業員が増えていることから、ロッカーを設置して個人の荷物はそこに入れるスタイルにし、ゆくゆくフリーアドレスにせざるを得なくなったときに備えています。

卯岡 :

出社日数はどれくらいなのですか?

丹治さん :

一応、週に3回は出社してオフィスを活用してもらうのがベースではありますが、絶対ではありません。基準を設けているのは、完全フルリモートにしてしまうと、ミーティングを組むのが難航しがちなのと、従業員のコンディションがわからなくなりがちだからなんですよ。会社として、対面コミュニケーションも必要だと思っているという考えの表れとしての「週3日出社」であり、フルリモート希望者に対しては希望に沿っています。

妊娠中の方や小さなお子さんがいる従業員、あとはエンジニアがフルリモートを選ぶことが多いですね。特に小さなお子さんがいる従業員には、スーパーフレックス制度の評判がいいです。自分の1日、1週間のスケジュールをパズルのように組み合わせ、自分にとって最適な働き方をする従業員が増えてきたと感じます。

卯岡 :

妊娠や出産の影響が強い女性従業員が特に働きやすくなったでしょうね。

丹治さん :

お子さんのいる女性の転職者が増えましたね。子育て中の男性従業員も保育園の送り迎えなど共働きの奥様との連携ができて便利と聞いています。
あと弊社には、女性従業員の悩みから始めた「DX育成プロジェクト」があります。

卯岡 :

どういうプロジェクトなんですか?

丹治さん :

女性従業員のうち、特に営業はあちこち動かなければならない分、ライフチェンジで仕事復帰への不安を抱えている人が多いんです。じゃあ、手に職をつけようよということで、Salesforce認定アドミニストレーター資格の取得支援を始めました。

第一期は未経験の2名を指名して、Salesforce.com社から「Salesforce MVPに」選出された経験を持つ当社従業員がメンターについてデジタルスキルを育成しました。第二期は希望者を2名募り、第一期で育ててもらった2名がメンターを務めました。次は4名のメンターが新たな4名を……といった形を目指しています。

その結果、営業職から事業開発の部署に公募制度を活用して異動したり、知識を持ったことで「これをやりたい」と意思が芽生える従業員が出てきたりという変化が起こりました。この資格は弊社以外のところでも通用するものです。選択肢が従業員にあることは、その従業員のキャリアにおいて非常に重要なことだと思いますね。

印刷機や文具はバックヤードに隠すことで、視覚的にすっきりさせています

トレーニングもオフィスで実施。電気保安研修室

卯岡 :

こちらは何の部屋ですか?

丹治 :

電気の研修室です。都内でオフィス内に設置しているのは弊社だけだと思います。弊社はマンション向けに電気を供給していまして、受電変電設備のメンテナンスも行っているんです。そのトレーニングをここで行っています。

卯岡 :

前のオフィスのときからあったのですか?

丹治さん :

赤坂オフィスにはなく、箱崎オフィスに設けていました。ただ、スペースが十分ではなかったため、、今回はスペースを広げ、トレーニングをしやすくしています。

大阪2拠点の働く環境も整えたい。意思を持って仕事を成し遂げられる場づくりを

「『意志ある成長が叶う場所』『働くことの制約にならない場所』の2つのコンセプトを大切に、従業員がオフィスを自身のキャリアの起点として自由に使ってもらえたら」と語る丹治さん。今後について、大阪拠点への思いを語ってくれました。

「大阪には難波と東大阪の2拠点があります。東大阪拠点は、創業者の大きな3階建ての家をオフィスにした創業の地。歴史はありますが、少し使いにくい環境なのが難点です。また、難波拠点にはコールセンターが入ったため手狭になりました。こちらも東京オフィスのように手を入れられたらと思っています」

ニュースでもたびたび話題にのぼる「脱炭素」に取り組もうとすると、企業や家庭に負担が生じてしまうことが課題です。その負担をなくしながら日本のエネルギー社会を変えられるサービスを展開していきたいと語る丹治さん。

「誰もやったことがない仕事であり、成し遂げるには意思がいる。その意思を育み、支援できる場を作っていきたいです」と締めくくってくれました。

取材先

レジル株式会社

https://rezil.co.jp/ 公式サイト

ランキング (全体)