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失敗したくないオフィス内装。内装工事の内容を詳しく解説
「イメージしている理想のオフィスを実現したい!」
「内装工事で失敗をしたくない!」
その為には、まずA工事、B工事、C工事を把握し、内装工事全体流れやどんな工事がいつ行われるのかを理解しておくことが重要です。
本記事では、オフィスの内装工事について、工事内容を詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
オフィスの内装工事の流れとポイントを把握
失敗が許されないオフィスの内装工事。内装工事をスムーズに、かつ理想的なオフィスへ仕上げるためには工事全体の流れを理解し計画的に準備や手続きを進めることが重要です。
内装のコンセプトの決め方や業者選定時のポイント、工事の内容まで、一連の流れにそって各プロセスごとに詳しく解説していきます。
1.内装コンセプトの決定
オフィスをどのような内装に仕上げるかの方向性を決めるうえで、コンセプトの設定は非常に重要なプロセスです。
オフィスの内装工事が初めてで、「コンセプトって具体的に何を決めたらいいの?」と思われている方は、以下のステップを参考に決定してみてください。
- 課題の洗い出し
- 会社として発信するメッセージの決定
- 具体的な内装デザイン・レイアウトの方向性を決定
まず最初に、現状のオフィスにおける課題を洗い出すことで、新たなオフィスにどのような役割や機能性を持たせるかを明確化することができます。
そして次に、新しいオフィスを通じて会社としてどのようなメッセージを発信していくかを決定します。
対外的なブランディングや社員に対してのインナーブランディングという観点から、どのような企業イメージを演出するかを考えていくとよいでしょう。
そして、オフィスの役割や機能性と発信したいメッセージとを、内装デザインやレイアウトにどのように反映させていくかを具体的に決めていくことで、最終的に一貫性のあるコンセプトの内装プランが完成します。
2.内装工事業者の選定
内装工事業者の選定に際しては、3〜5社程の工事業者から相見積もりを取ることをおすすめします。
相見積もりを取ることで、工事内容と各工程にかかる費用を比較することができるため、自社の要望に合った内装工事を行ってくれる業者を見つけやすくなります。
見積もりの提示価格の他にも、業者選定では以下のようなポイントをチェックしておくとよいでしょう。
- 実績:オフィスの内装工事に関して豊富な実績があるか
- 専門性:オフィスの内装工事に関する高い専門性があるか
- サービス内容:設計から施工・アフターサービスまでワンストップでの依頼が可能か
- 人柄:担当者は信頼できる人柄であるか
内装工事業者の選定は、工事費用だけでなく、施工品質や信頼関係という観点もふまえた総合点によって行うことで、後の施工不良や不当請求といった様々なトラブルの回避につながります。
3.デザイン設計
内装工事業者に内装デザインやコンセプトを伝えて、図面や仕様書を起こしてもらいます。
このプロセスでは、依頼主の要望に応じて業者が提示してくる様々な提案について打ち合わせを重ねながら、詳細な設計図を完成させていきます。
ここで注意すべきは、施工内容によってはオーナーや管理会社の許可がいる場合や「B工事」扱いとなる場合があるという点です。
オフィスが入居するビルや施設のルールや基準に沿わない形で工事が行われることがないように、適宜先方への確認や調整・交渉を行いながら、デザイン設計と工事計画を立てていくことが大切です。
4.契約締結
内装工事業者との契約締結に際しては、契約書を工事業者が用意することが一般的です。
契約書のフォーマットに規定はないためどのような形の契約書でも問題はありませんが、契約書がないままに内装工事を行うことは建設業法違反となるため、どんなに小規模の工事であっても必ず契約書を交わす必要があります。
また契約内容も入念に確認することが大切で、特に追加工事やオプション施工、保証期間やアフターサービスなどお金に関係する条項には特に注意して確認しておきましょう。
施工不良などの不具合や事故が発生した際の責任の所在をチェックすることもリスクヘッジとして重要なポイントです。
5.内装工事
内装工事がはじまると、各工程において様々な専門技術を持った職人による施工が行われます。
ここからは、オフィスの内装工事で行われる代表的な7つの工事の内容について解説していきます。
それぞれの工事ごとに専門業者に依頼することも可能ですが、見積もり依頼や契約手続きなどの手間を考えると、できるだけ多く種類の内装工事を一括で請け負ってくれる業者の方がコストダウン効果もあるためおすすめです。
軽鉄(LGS)工事
軽鉄(LGS)工事とは、壁や天井といった箇所の土台となる骨組みを軽量鉄骨を用いて組んでいく作業です。
希望の内装デザインやレイアウトを実現するための下地部分となる工事で、施工した骨組みの上に石膏ボードを貼り、塗装やクロスなどによって仕上げていきます。
防音材や防火材を用いる場合は、骨組みと石膏ボードの間に入れられます。
パーテーション工事
パーテーション工事は、オープンな1つの空間に後付けの間仕切りを設置し複数の空間に分ける作業です。
パーテーションには固定式と可動式の2種類があり、組織編成や事業拡大に伴うフレキシブルなレイアウト変更が可能となる可動式パーテーションの設置は、スタートアップを中心に近年人気の高い内装工事の1つです。
クロス・塗装工事
クロス・塗装工事は、壁や天井にクロス(壁紙)を貼ったり、塗料を塗ったりする内装の仕上げ作業です。
部屋の印象を左右する重要な部分である壁や天井の仕上げ工程であるため、丁寧で繊細な作業が求められます。
大量生産型の格安クロスから消臭や抗菌効果などがある機能性クロスまで、クロスは幅広いバリエーションから用途や目的に合ったものを選ぶことができ、短い工期で完了するというメリットがあります。
一方で塗装は、クロスにはない独特の風合いがおしゃれな印象を与えるとして、店舗や住宅でも人気が高まっており、補修・塗り替えのしやすさや廃材が出ないという点も塗装仕上げの魅力の1つです。
床工事
床工事は、建物の床に関する作業全般を指し、新築オフィスのフローリングや古くなったフロアの張り替えの双方が含まれます。
単に床材を配置するだけでなく、配線や配管を床下に収納することでフリーアクセスフロアに適したネットワーク環境を構築することができる「二重床」など、オフィスの機能性向上においても重要な役割を担っています。
床材のバリエーションは非常に豊富であるため、床シートやタイル、フローリングなどの中から、予算とイメージに合うものを選ぶことが可能です。
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建具工事
建具工事の「建具」とは、ドアや窓などの開口部に取り付ける設備を意味し、建具を設置する作業を建具工事と呼びます。
扉や窓、室内ドアなどが建具工事の中心となりますが、防音室を設ける際などは、「防音建具」という高い遮音性を持つ建具を取り付けることもあります。
防音室のような特殊な内装デザインや目的がある場合、使用する建具をオーダーメイドで制作するケースもありますが、既製品よりも格段高価になるため、基本的には一般規格サイズのものが使用されます。
電気・照明・通信工事
コンセントや照明などの電気設備に加え、インターネット回線やLAN工事、ネットワーク機器の設置などの作業も内装工事に含まれます。
電気設備に関する工事は、専門的な知識や技術力が求められるため、電気工事士などの国家資格を持った技術者が行うことがほとんであるため、内装工事業者が提携している電気設備に特化した業者を紹介されることも珍しくありません。
水道工事
水道工事では、オフィスへの給水やトイレ・シンクからの排水設備の設置作業に加え、トイレやシンクの新規取り付け、配管の追加作業なども行います。
水道や電気に関する工事は、専有部分のみを対象としたものであっても、建物全体に影響を及ぼす可能性があることから、内容によっては「B工事」とみなされます。
「C工事」と「B工事」の線引きを明確にしておかなければ、工事中・工事後に業者やオーナーとの間でトラブルに発展する可能性が高くなるため、注意が必要な工事箇所です。
6.竣工・引き渡し
すべての工程が完了し竣工検査をクリアしたら、確認書類にサインをして内装工事は終了となります。
竣工検査は、内装工事業者が立ち会いのもとで行われる最終チェックの機会ですので、ポイントをおさえてしっかりと確認していきましょう。竣工検査を実施する最大の目的は、当初作成した図面や仕様書通りに工事が行われたかどうかを確認することです。
もしも竣工検査時に不具合が発覚した場合は、補修や工事のやり直しが発生します。早く引き渡しを終えたい気持ちがあっても、ここではきちんと具体的な工事内容や工期を明記した書面を作成し、双方合意のうえで工事を進めていくことが大切です。
引き渡し後に修繕・やり直し工事が発生すると、業務遂行にも支障をきたすうえに、様々な手続きや手配・調整に余計な手間が生じてしまいます。新しいオフィスで快適に仕事を進めていくためにも、竣工検査で気になった箇所は臆せず担当者へ伝え、不安要素は入居前にしっかりと対応してもらうようにしましょう。
失敗したくないオフィスの内装工事
複雑で専門性の高いオフィスの内装工事。特に初めてオフィスの内装を担当されることになった場合は、自社の理想を形にしてくれる信頼できる内装会社と出会えるかどうかがポイントになります。
社内調整や合意形成など、自社内で行うべきポイントは自社のファシリティ担当者が、オフィス空間の構築や工事の進捗管理は内装会社と役割分担をして、二人三脚で進めていきましょう。