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原状回復とは|費用・注意点・居抜き退去について
オフィス移転の際にでてくる「原状回復」。普段あまり聞きなれない言葉ですが、知っておくとトラブルを未然に防ぐことができ、無駄な費用を抑えることにつながります。是非、この機会に覚えておきましょう。
原状回復とは
原状回復とは、賃貸しているオフィスから退去する際に「入居したときの状態に戻すこと」です。具体的には、間仕切り、パーテーション、受付などの造作物の撤去、床壁天井の修繕作業等を指します。
原状回復費用と相場について
入居したときの状態に戻すには、それなりのコストが発生します。基本的には、ビルのグレードや、使用坪数に比例してかかるコストも大きくなります。
小規模のオフィス(20坪)
SOHOタイプのオフィスやマンションタイプのオフィスなどの小規模なオフィスの場合は、1坪あたり2万~5万円
中規模のオフィス(100坪)
利用者数60人~70人前後中規模オフィスで坪あたり5万円~10万円
大規模なオフィスの場合(200坪以上)
利用者数200人以上の大規模のオフィスでは坪15万~
入居前に設備されていた空調やクロス、照明器具といったものを入居時に改装した際には、スケルトン状態に戻します。さらに入居した状態に原状回復しなければなりません。そのため、1坪あたりの負担が増額するので、入居時にしっかり計画しておくことが大切です。
賃貸借契約を結んだ際の契約書に記載される特約に影響されることが多くなっています。退去時には契約内容を精査して確認する必要があれば、専門的な知識を持つ第三者に依頼し精査してもらうことが負担軽減に繋がります。
原状回復での注意点について
先ほど、費用についてご説明しましたが、その他に原状回復費用が高くなってしまう要因となるのが、工事業者が多くの場合、オーナーの指定業者となります。(B工事)
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適正な金額なのかを第三者の専門業者によって判断してもらいましょう。また、「居抜き」という、オフィスの内装をそのまま次のテナントに引き継いでもらうという方法があります。居抜きの場合は、オーナーの理解と許可、次のテナントに原状回復義務も引き継いでもらう必要があります。
居抜き退去の場合、原状回復の必要がない?
そもそも「居抜き」とは、以前別の企業が使用していたオフィスを内装や設備をそのまま引き継いで入居することです。居抜きにより、新しく入居する企業にとっては内装工事のコスト削減ができます。
以前入居していた企業にとっても、原状回復のコストが削減できます。
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原状回復におけるオフィスと住宅との違い
住宅の場合の原状回復の範囲は、「経年劣化」は範囲に当たらず、「通常損耗」を超える範囲を復旧すること、と定められております。
「経年劣化」
月日がたち、自然的な劣化や損耗をさします。例えば、日に当たり畳や壁紙の劣化など。
「通常損耗」
普通に生活している範囲で生じる損耗をさします。例えば、家具を置いたことによっての床の凹みなど。
タバコのヤニや画鋲などは通常に使用している範囲(通常損耗)を超えているため、原状回復義務が発生します。また、年月がたって古くなってしまった部分は借主の責任ではない為、原状回復義務は発生しません。
このようにオフィスと住宅では、原状回復に関する内容が異なります。オフィスでも住宅同様に「通常損耗」「経年劣化」が考慮されると思っている場合には注意が必要です。この機会にぜひ、覚えておきましょう。
最後に
賃貸していたオフィスから退去する際に「入居した状態に戻す」のが原状回復です。多くのオフィスビルで「通常損耗」や「経年劣化」などは考慮されず、多くの場合が全てを一度壊し、綺麗な入居した状態に戻します。
原状回復の範囲は、契約書の内容によって異なるため、まずは契約書の内容をしっかりと確認しましょう。そのうえで、見積りやコスト、居抜きなどを検討することをおすすめします。