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フリーレントの会計処理はどうするの?基本的には「仕訳なし」にする理由
オフィスをお得に借りられるフリーレント。フリーレントをした場合、会計処理はどうしたらいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。フリーレント中は、賃料は0円のため基本的に「仕訳なし」としても問題ありません。
本記事では、フリーレント中の会計処理の2つの方法について紹介します。「オフィスを利用しているのに、賃料0円としてもいいのかな」と不安な方は、ぜひ確認してみてくださいね。
フリーレントとは?
まずは「フリーレント」の意味を確認しておきましょう。フリーレントとは、賃貸物件の入居において一定期間賃料を無料にすることです。管理費や共益費は発生することが一般的ですが、賃料が無料になる分、入居者はお得に利用できることに。
オーナーにとっても、フリーレントをすることで賃料を下げずに貸出できることや、一定期間入居してもらえることなどメリットがあります。
<フリーレントの詳細>
<フリーレントを交渉する方法>
入居者にもオーナーにもメリットがあるフリーレントですが、問題は会計処理の方法です。フリーレントの処理は「仕訳あり」「仕訳なし」とする2つの方法があります。それぞれの方法と見解を確認していきましょう。
フリーレント中の会計処理は仕訳なしとする方法
まずは、フリーレント中の会計処理は「仕訳なし」とする方法についてです。実際にフリーレント中には現金の動きがないわけですから、現金の動きに合わせてフリーレント中の会計処理は仕訳なしとすることが実務では一般的です。
先ほども解説したように、フリーレント中でも管理費や共益費は発生しています。そのため、仕訳でも実際に発生した金額だけを仕訳すればOK。
税務研究会が発表している税務通信3338号で「最近のフリーレント取引の取扱いを確認、税関係認識しない処理にも合理性」と発表されています。つまり、フリーレント中、賃料は「免除・値引き」されていると考えるので、仕訳をする必要はないという考え方です。そのため、計上しなくても問題ないと言えるでしょう。
参照:https://www.zeiken.co.jp/mgzn/tusin/back_number/335499.php
実際に使ったお金だけを計上する方法なので、わかりやすく中小企業でよく使われている方法です。
フリーレント中も会計処理をして仕訳をする方法
フリーレント中は仕訳なしとすることが一般的だと紹介しましたが、会計処理をして仕訳をする方法もあります。仕訳をする場合は、契約期間が決まっている場合です。期間が決まっている場合は、最終的に支払う賃料の総額がわかっているということ。そのため、総額を契約期間で割り、その金額を月々計上していきます。
上場企業の場合、フリーレント中も仕訳をすることは多いのですが、実際の支払いとずれてしまうことや計算が面倒なことなど、デメリットも多いので、難しい場合は実務であえて行う必要はないでしょう。
また、フリーレント中に解約した場合や、契約期間よりも前に解約した場合は、違約金が発生することがほとんどです。契約期間で割った金額で計上していた場合、契約期間前に解約することで計算がずれてしまうトラブルがあることも覚えておきましょう。
もし、フリーレント中の会計処理を間違えて税務署に申告してしまった後は、再提出や修正申告をしましょう。修正申告をした場合は、計上されていなかった税金と延滞税が課されますが、税務署に指摘された場合はさらにペナルティがあります。もし、処理を間違えていた場合は、できるだけ早く税務署に申告してくださいね。
オフィスを移転するときには出費も多くなり、会計処理も大変になりがちです。フリーレント中の会計処理について不安な場合は税理士に確認して、トラブルのない会計処理を行ってくださいね。
フリーレント中は仕訳なしとすることが一般的
フリーレント中は「仕訳なし」とすることは一般的だとわかりました。実は日本では、フリーレント中の賃料をどのように仕分けをするのかについて明確な決まりはありません。そのため、簡単でわかりやすい「フリーレント中は仕訳なし」とする方法がとられていることが多いのです。
一方、オフィスの契約期間が始めから明確にわかっている場合では、フリーレント中も仕訳することも。どちらを選んでも税務上問題はないので、わかりやすい方を選びましょう。
また、フリーレントをしている期間の賃料をいつ計上するのかによって、法人税が課されるタイミングが変わります。どちらの方法が自分たちにあっているのか考えて、都合がよい方を選択してみてはいかがでしょうか。