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フリーレントとは?そのメリットと知っておくべきことを徹底解説

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フリーレントとは、新しくオフィスを借りるときに初期費用を抑えることができる契約方法の1つです。初期費用をおさえられるので得をする方法のように思えますが、長い目で見た場合に損をする場合もあります。

ここでは、フリーレントのメリットや会計処理の方法、交渉をするときのポイントや注意点などを解説します。

2021年03月10日


この記事を読むのに必要な時間は約 18 分です。

フリーレントとは

 

 

フリーレントとは、定められた期間において家賃を払わずに事務所などを使用できる契約のことです。オフィスの場合、移転に伴って設備工事をしたり、電話やパソコンなどの備品を移したりと住居の移転に比べて初期費用がかさみます。しかし、フリーレントのサービスを使って一定期間の料金を無料にすることで、移転時のコスト削減が可能になり、負担を抑えてオフィスの移転を行うことができます。

 

ただし、フリーレント付きの契約をするにあたっては確認した方がよいことがあります。ポイントを押さえて有利に契約を進めていきましょう。

 

入居者側のメリット

 

フリーレントを利用するメリットを具体的に見ていきましょう。
まずは、入居者側のメリットです。これは、なんといっても移転時の費用を抑えることができるという点にあります。
移転時の費用にはどんなものがあるのでしょうか。新しい事務所にかかる賃料の前払い分や礼金、敷金、また物件を紹介してくれた不動産会社に支払う仲介手数料、物件の火災保険費用などがあります。純粋な賃料以外にその何倍もの予算を用意しておく必要があるので、初期費用が抑えられることはとても大きなメリットといえるでしょう。

 

もう1つの大きなメリットは、古い物件に支払う家賃と新しい物件に支払う家賃の二重払いを防ぐことができる点です。賃貸契約の解除は、通常は1ヶ月前に行っておく必要があります。

 

しかし、古い物件の家賃を払って間もないタイミングで新しい物件が決まると、その期間は両方の物件に対する費用の支払いが重なることになります。フリーレントの期間があると、家賃の二重払いを防ぐことができるため、会社にとっても別のことに費用を使うことができて助かります。これは、フリーレント期間がない物件を借りるよりも、随分お得に感じるメリットでしょう。

 

大家さん側のメリット

 

大家さん側にとってのメリットは、フリーレントという付加価値が付くことによってその物件がより魅力のあるものになり、借りたいと思う人が増えることです。大家さんにしてみれば、フリーレント期間に少し損をしたとしても、長い目で見れば借り手が決まらないままでいるよりは得になります。

 

空室対策のために家賃を下げるという方法がとられることもありますが、家賃を下げた場合には毎月その分を損をしていくことになります。この場合、借り主がその物件を長く借りれば借りるほど損をすることになりますが、フリーレントにした場合はその期間に損をするだけです。

 

ですから、大家さんにとっては空室対策のために家賃を下げるという方法を選択するよりも、フリーレントにすることのほうが得になる場合が多いのです。また、初期費用の負担に悩む人にとってみれば、「フリーレント」という言葉のインパクトで興味を持つ可能性も高いといえます。その結果、物件を借りてくれる可能性が高まることも期待できるのです。

 

フリーレントの契約時に注意すること

 

フリーレント付きの契約をするときは、家賃が無料になる期間が何ヶ月かということを理解しておくことがもちろん大切です。しかし、それ以外にも共益費や光熱費、水道代など物件を管理する上で発生する費用の支払いも無料になるのかを確認しておく必要があります。

 

また、フリーレント付き契約は、〇ヶ月以上借りないとペナルティによる違約金が発生するケースが多くあります。その期間と違約金の額についても把握しておきましょう。「フリーレント」という言葉に飛びついて契約をしたものの、長く借りることができなくなり、多額の違約金に悩まされることになったというケースもあります。

 

フリーレントの期間は1ヶ月~6ヶ月ほどが標準

 

フリーレントで物件を借りることができる期間は、1ヶ月~6ヶ月程度というのが標準です。もう少し長くて1年間フリーレント期間があるというところもあります。フリーレント期間の決め方については、坪数の大きさが判断材料の1つで、50坪以下の物件だと1〜3ヶ月、50坪以上になると3〜6ヶ月の物件が多いです。

 

これは、坪数が大きな物件だと6ヶ月前の解約予告が一般的ですが、小さな物件だと3ヶ月前ぐらいの解約予告もあるといった事情からです。

 

フリーレントの会計処理の方法は2つある

 

 

フリーレント契約をするときに気になることの1つが、会計処理の方法です。これには、フリーレントの期間は計上しない方法と、賃金の総額をフリーレント期間も含めて分割計上する方法の2つがあります。

 

では、それぞれどのような手順を踏めば良いのでしょうか。ここでは、借主側の会計処理を例に挙げて詳しく見ていくことにしましょう。

 

(例:フリーレント期間3ヶ月 月々の家賃13万円 契約期間3年の場合)

 

フリーレント期間は計上しない方法

 

ひとつめは、純粋にフリーレント期間を空室状態と同じ扱いにする方法です。

 

たとえば、フリーレント期間が3ヶ月だった場合、4ヶ月目の家賃から帳簿の「借方」に地代家賃を、「貸方」に現預金を記入します。単純な方法なので帳簿の付け方も分かりやすく、よく用いられる一般的な方法です。

 

フリーレント期間も含めて分割計上する方法

 

最初に、フリーレント期間も含めた契約期間の総額から、フリーレント期間分の家賃を引いた金額にして月々の金額を割り出します。たとえば、月々13万円の家賃でフリーレント期間を2ヶ月として3年の契約を交わした場合です。

 

この場合、13万円☓36ヶ月の468万円から、2ヶ月分の家賃である26万円を引いた442万円が実質の総額となります。この総額を契約期間の36ヶ月で割ると12万3千円(百円単位以下は四捨五入)が実質の家賃となり、この金額を1ヶ月目から記帳していきます。

 

この方法はフリーレントの期間は計上しないやり方と比べて少し複雑です。そのため、家賃の実質総額を契約期間で割って月々の家賃を算出する方法はあまり使われませんが、1つの方法として知っておくと良いでしょう。

 

フリーレントの会計処理の方法、貸主の場合は?

 

以上の方法は、借りる側における会計処理の方法ですが、貸主側の会計処理も考え方としては同じです。前者では4ヶ月目から、後者ではフリーレント期間の1ヶ月目から「借方」に現預金を、「貸方」に地代家賃を書く方法で会計処理を行います。

 

フリーレントでの消費税の扱いはどうなる?

 

 

会計処理の方法に関しては、フリーレント期間は計上しない方法と、賃金の総額をフリーレント期間も含めて分割計上する方法の2つがあることを見てきました。それぞれ簡単か否かの違いはありましたが、どちらのパターンも実際に使われているものなので、両方知っておいて損はありません。

 

では、消費税はどのように扱えば良いのでしょうか。ここでは、消費税の会計処理について見ていきましょう。

 

フリーレント期間は計上しない方法の場合

 

この方法では、フリーレント期間に家賃自体が発生していない計算になるので、当然消費税も発生しません。したがって、4ヶ月目から賃料が発生する場合、消費税も4ヶ月目から発生することとなり、消費税分を課税仕入として処理します。

 

フリーレント期間も含めて総額を分割計上する場合

 

こちらの方法では、実質かかる総額を契約期間分で割っているので、会計処理上はフリーレント期間にも家賃が発生しているようになっています。したがって、1ヶ月目から12万3千円の家賃に対する消費税を課税仕入として処理します。

 

消費税の増税にともなう会計処理の変化は?

 

2019年10月から消費税率が10%に改正されました。先払いで10月分の家賃を9月の末日に払った場合、実際の消費税は10%で計算されますが、9月の時点では増税後の税率に対応したフォーマットになっていないため、10%で処理をすることができません。

 

そのため、9月末日の時点での支払いは10%の消費税で行い、計算上は8%のままで処理をします。そして残りの2%は、仮払金の科目で計算するなどして次に繰り越して会計処理を行います。少しややこしいですが、増税などで税率が変わる場合にはこのような手続きがとられます。

 

フリーレントは交渉がカギ

 

 

フリーレントを利用した契約ができるのは、初めからフリーレント期間付きの物件として借り主を募っている物件ばかりではありません。交渉によっては、お目当ての物件にフリーレントがつくこともあります。

 

ここでは、交渉しやすい物件や時期について見ていくことにしましょう。

 

交渉しやすい物件がある

 

フリーレントの交渉をしやすいのはどんな物件なのでしょうか。フリーレントは大家さんが空室対策のために行うサービスとして使われますが、なかなか借り手が見つからないことを理由にフリーレント期間を設けていることも考えられます。

 

借り手が付きにくい物件だと、フリーレント期間付きで借りる交渉も行いやすいといえます。下記のような条件のオフィスはフリーレントにしやすいでしょう。

 

・空室がたくさんあるビル
・駅から距離がある
・建物自体が古い

 

空室がたくさんあるビルは、周りの騒音が気になったり、周辺環境にマイナスの要素があったりするなどの理由があります。その理由が何かを確かめてから交渉に入るようにしましょう。

 

交渉しやすい時期について

 

また、交渉しやすい時期もあります。それは、物件を借りる人が少なくなる時期です。たとえば、卒業や入学、入社などで転居が多い1月~3月と、転勤が増える9月は物件に新たな借り主も付きやすい時期です。

 

その時期は、物件にフリーレントの期間を付けなくても入居希望者があることが見込まれます。引っ越しなどが少なくなる5月~8月や10月~12月あたりなどの不動産業界のオフシーズンは、希望の物件でフリーレント付き契約をしやすくなる可能性があります。

 

フリーレントの交渉のポイントとは

 

 

フリーレントの期間がない物件であっても、交渉によってフリーレント期間が付くこともあるのは前述したとおりです。しかし、ただ「フリーレント期間を付けてほしい」といって簡単に付けてもらえるものではありません。

 

交渉を成立させるためには、そのためのポイントがあります。ここでは、そのポイントについてお伝えします。

 

本命物件を内覧したあとの交渉がオススメ

 

交渉にはタイミングが大切です。いきなりフリーレント期間をつけてほしいと申し出るのではなく、内覧を終えたあとのタイミングがベストです。内覧のあとは、営業担当にも「このまま契約が決まればいいな」という思いがあります。

 

借りる側、大家さん、仲介業者の3者にとってメリットとなりうるので、ほかのタイミングで伝えるよりも交渉が通りやすいのです。営業担当にも気持ち良く協力してもらえるよう、丁寧な態度で「この物件をとても良いと思ったけれど、フリーレント期間が〇ヶ月付くなら契約を決めようと思います」などと伝えましょう。

 

違約金や値上げ提示による交渉

 

状況によっては、「短い期間で解約した場合は違約金を払う」と申し出るのも交渉が通りやすい方法のひとつです。物件をしっかりと確認した上で、気に入って長く利用したいという思いが固まっている場合などに利用しましょう。

 

また「月々の賃料は高くなっても初期費用の負担を何とか抑えたい」というような場合は、フリーレント期間を付けてもらう代わりに、月々の家賃の値上げを申し出るというアプローチの仕方もあります。

 

フリーレントの期間は、坪数を目安にした1ヶ月~6ヶ月が標準であるとお伝えしました。しかし、実際にどれくらいの期間をフリーレントにできるかは、オフィスを移る時期にも大きく関係してきます。

 

たとえば、実際に借り始めるのが4ヶ月先なのに5ヶ月のフリーレント期間を付けて欲しいといっても、オーナーにしてみれば9ヶ月分の家賃が入らないわけですから、なかなか首を縦には振ってくれないでしょう。 借りる側にしてみても、まだ使ってもいないオフィスの共益費だけを長期間払い続けるのは、あまり賢い選択とはいえません。

 

先々から借りて長めのフリーレント期間を付ける交渉をするよりは、移転時期が近くなってからのほうが交渉成立となりやすいでしょう。

 

フリーレントの契約前に確認が必要なこと

 

 

良いことだらけのように思えるフリーレント期間付きの契約ですが、借りる前に確認しておかないと損をすることもあります。それはいったいどのようなことでしょうか。

 

フリーレント期間の共益費は払わなくていいか?

 

まずは、共益費を誰が負担するかということについて確認が必要です。フリーレント期間といえば、その期間には費用が発生しないように思えますが、必ずしもそうではありません。

 

確かに物件の家賃に関しては無料になりますが、ビルの場合には共益費や光熱費といった費用の負担が発生することがあります。契約書に「家賃の中に共益費が含まれている」と書かれていることもありますが、フリーレント期間の場合はどうなるかを明確にしておきましょう。

 

うっかりすると、契約後に共益費や光熱費の支払いが発生していることに気が付く、といったことにもなりえます。営業担当に対して家賃に共益費や光熱費を含めてもらうように交渉するなどしてみましょう。

 

近辺の賃貸料の相場を知っておく

 

フリーレント付きの契約で損をする場合の1つとして挙げられるのは、周辺地域の家賃相場が安いケースです。このようなケースでは、そもそも相場が安いにもかかわらず、月々の家賃を相場よりも高めに設定していることがあります。

 

フリーレント期間が付くことで一見得するように見えたとしても、家賃相場について確認しておかなければ、後々損をすることもあります。

 

契約期間や違約金をよく確認する

 

契約時には契約期間を決めますが、その契約期間にはフリーレント期間を含むのかどうか、双方の認識をすり合わせておく必要があります。

 

たとえば、契約期間が2020年4月からの3年間でフリーレント期間を3ヶ月とした場合、2023年の3月末日に退居すれば違約金がかからないと思っていたのに、2023年の6月まで借りないと違約金が発生するというような事態も起こりえるのです。

 

また、違約金が高すぎないかどうかもしっかりチェックしておきましょう。万が一、契約期間よりも早く解約するようなことがあった場合、違約金の負担に苦しむことになります。しっかり計画を立てて下調べをした上で契約するようにしましょう。

 

まとめ

 

 

フリーレントは、賢く利用すればオフィス移転時の負担を抑えることができるお得な賃貸契約の方法です。しかし、契約をする前に契約期間や共益費などについて確認を怠ったり、物件の下調べをあまりしなかったりすると、実際には損をしてしまうことも多々あります。

 

しっかりと下調べをした上で、お気に入りの物件に対してフリーレントの交渉をすることが納得のいく契約につながります。せっかくの良いシステムを賢く利用しましょう。

 

この記事を書いた人

IBASHO編集部

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