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もうすぐオフィスの契約更新。更新料にはどんな決まりがあるのか?

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オフィスの契約を更新するタイミングで支払う更新料。更新料の支払いは慣例ではありますが、法的にその支払いの義務はあるのでしょうか。

今回は、更新料の支払いに関する法的な考え方やその根拠、更新料の金額や契約期間を守れなかった場合に発生する違約金などの注意点についてお伝えします。

2021年03月10日


この記事を読むのに必要な時間は約 17 分です。

更新料とは何か?

 

 

オフィスを借りれば、賃料や共益費など毎月費用が発生します。他にも、契約更新という節目のタイミングでかかる費用があります。それが更新料です。

 

更新料は法律上は必ず支払わなければならないものではありませんが、最初に決めた契約期間を終了したあとも契約を続行する意志があるなら、支払うのが一般的です。

 

また、この契約更新においては、借主と貸主の双方で契約内容の見直しを行うことも可能になるので、交渉したいことがあれば伝えるチャンスでもあります。契約を更新する意志があるなら、更新日の数ヶ月前から費用を準備するとともに、契約内容がこのままで良いのかを検討しておくようにしましょう。

 

更新料の支払いは法律で定められてはいない

 

 

賃料や共益費、光熱費などは毎月支払う必要があるものです。一方、更新料は法律によると必ず支払わなければならないというものではありません。それでも更新料を支払うことには、これからも物件を利用したいという借主の意志を貸主に示し、信頼関係を形にするという意味があります。

 

また、更新料は、貸主にとって収入源の1つである不動産に対し、その利益に対する保証のようなものでもあります。ちなみに、2011年7月に更新料の支払いに関する裁判で出された最高裁の判決では、以下の点が守られている場合には借主側に支払いの義務があるものとされました。

 

・更新料の支払いが契約書に記載されている
・借主と貸主の双方が同意している
・更新料が高額すぎない

 

契約するときの契約書には、更新料の支払い義務があるかどうかも記載されます。その契約書に基づいて約束を実行することが必要なので、契約時にはしっかりとその内容を確認しておくようにしましょう。

 

更新料を払いたくない場合は先に交渉をしておく

 

もし、更新料を支払いたくない事情がある場合、契約を結ぶ際にあらかじめ貸主と交渉をしておかなければなりません。逆にいえば、その時にしか更新料を払いたくない意志を正式に伝えることはできません。契約時には支払いに関する様々なことが決められるので、必ず契約書を隅々まで見ておきましょう。

 

ただし、更新料は貸主と借主の双方が信頼関係を築く上で大切な位置付けにある費用です。更新料を払わずに長くオフィスを使用できるよう交渉をする場合は、やむを得ない事情があることを貸主に理解してもらえるようにしましょう。

 

契約がもともとどうなっていたかが大切

 

契約書の確認は必須であるとはいえ、細かく難しい文章が並べ立てられている契約書は、読むのが面倒な気分にもなるものです。しかし、契約書に同意をするということは、そこに書かれていることを守る約束をしたということになるので、内容をしっかり確認しておきましょう。

 

万が一、契約書にないことを要求されるようなことがあったとしても、契約内容さえ理解していればはっきりと断ることができます。

 

経理処理の手続きで知っておきたいこと

 

 

ここまでは、更新料の支払いに法律的な義務はないものの、契約書に定められている場合は支払う義務があることを見てきました。では、更新料の支払いについて経理処理上の手続きはどうすればいいのでしょうか。

 

ここでは、更新料の経理処理について知っておきたいことを複数の側面から見ていくことにします。

 

更新料の勘定科目は何になる?

 

更新料とどの勘定科目で処理されるのでしょうか。

 

契約更新のタイミングで更新料を支払うときは、「(長期)前払費用」の科目を使って金額などを記載します。更新料は契約更新のタイミングで支払われるものですが、それは新たに契約をしたすべての期間に対して効力を有するものとなります。

 

契約期間が2年であれば、その2年間に対して支払うお金なので、支払年度だけの経費ではなく、2年間にわたった経費となるのです。

 

更新料は繰延資産になるか?

 

前述したように、更新料は支払った年度だけではなく、2年なら2年、3年なら3年の契約期間全般にわたってその効力を有するものです。これは、貸主側にとってみればその年度だけの資産ではなく、取り決めた期間にわたる資産です。

 

したがって、貸主の会計処理上は繰延資産として扱われることとなります。

 

更新料に消費税はつくか?

 

オフィスを借りる時の賃料には消費税がかかります。では、更新料はどうでしょうか。

 

更新料にも消費税が発生します。ただし、契約をするときには、消費税が外税として扱われるのか内税として扱われるのかを明確にしておきましょう。ちなみに、礼金にも消費税がかかります。敷金や保証金は、償却されることが決まっていれば消費税がかかりますが、戻ってくる予定であれば消費税がかかりません。

 

更新料なしの物件もある

 

ここまでの説明で、法律上支払いが定められていないのなら、更新料を払いたくないと思われた方もいるのではないでしょうか。更新料を払わずに済ませるためには、契約時の交渉が必要ということもお伝えしました。

 

しかし、更新料は貸主側にとっての大切な収入でもあるので、支払いを回避したり減額の交渉をしたりしても、成立させるのが難しいこともあります。どうしても更新料を払いたくない場合は、最初から更新料なしの物件を探しましょう。

 

実際に、インターネット上にあるオフィス用の不動産の検索サイトなどでも「更新料なし」を謳っている物件もあります。

 

更新料の相場とは

 

 

これまで、契約更新において、引き続き契約を更新する意志を伝えるために支払うのが更新料であることを伝えてきました。では、その金額はどのくらいなのでしょうか。実際に多いのは、賃料の1ヶ月分を更新料としている物件です。たとえば月々の賃料が13万円だった場合は、更新料も13万円ということです。

 

しかし、通例で更新料の目安が1ヶ月分だったとしても、そうではないところもあるので、ここでもやはり契約書の内容をしっかり確認しておくことが必要です。

 

賃料の値上がりがあると更新料も値上がりする

 

一般的には、賃料の値上がりがあると更新料も値上がりします。契約書に「契約更新時に賃料の1ヶ月分を更新料として支払う」という記述がある場合を見てみましょう。月々の賃料が13万円で更新料も13万円の場合、契約期間の途中で賃料が値上がりしたらどうでしょうか。

 

たとえば、2年契約で2019年の9月から物件を借り、2021年の4月に賃料が13万5千円に上がったとします。その場合、2021年の10月以降もその物件を借りると、更新料としても13万5千円の支払い義務が生じるということになります。このとき、事前に更新料に対する消費税が内税なのか外税なのかの確認が必要であることは前述のとおりです。

 

更新時は契約内容の見直しのチャンスでもある

 

更新料の支払いについては、契約時に決められるということをお伝えしました。ただし、最初の契約で決められた内容を守り続けなければならないということはありません。契約更新は、契約書の内容のなかで変えてほしいことがある場合、変更を申し出ることができる貴重なチャンスです。

 

更新料のほかにも、月々の賃料などについても変更を望む場合はこのタイミングに申し出るようにしましょう。交渉せずに契約期間を延長すると、最初に決めた契約内容をそのまま守っていくこととなります。

 

更新の期間は2年になっていることが多い

 

 

オフィスを借りる場合の更新期間は、どれくらいが一般的なのでしょうか。これは、2年で設定されていることがほとんどです。

 

しかし、一概に2年で定められている物件ばかりとはいえないので、物件を借りるときにはしっかりと契約期間を確認しておきましょう。ちなみに、店舗を借りる場合は3年、家を借りる場合は1~5年の場合が多いです。

 

オフィスの契約には2つのパターンがある

 

オフィスの契約には、2つの方法があります。1つ目は多くの場合に用いられる普通借家契約、もう1つは何か事情がある場合に結ばれる契約である定期借家契約です。

 

では、それぞれどのような契約なのかを詳しく見ていくことにしましょう。

 

基本的には更新を続ける普通借家契約

 

まずは、普通借家契約についてです。この契約の場合、よっぽどの事情がない限り更新し続けていかなければなりません。基本的には、正当な理由のない限り、借主側から契約更新をストップすることはできません。

 

更新方法としては3つのパターンがあります。法定更新、自動更新、そして合意更新です。それぞれどのような更新方法なのか見てみましょう。

 

法定更新:借主側から契約を更新しない旨を伝えたり、契約内容の見直しを要請したりしない限り、更新され続けていく更新方法です。貸主側から更新を認めないという意見が出たとしても、その理由に正当性が認められない場合は契約が更新されます。

 

自動更新:先に決めていた契約期間が終わったとき、何も伝えなくても更新され続けていく更新方法です。自動更新は法律上の専門用語ではありませんが、内容的には法定更新のようなものです。貸主も借主も契約に対して変更や拒絶の申し立てをしなければ、自動的に契約が続いていく状態をいいます。

 

合意更新:契約更新において、契約書の内容に借主か貸主のどちらかが変更希望を出し、出された側がそれを承諾して契約を更新する方法です。

 

もともと更新しない予定の定期借家契約

 

普通借家契約と違って、定期借家契約は更新をしないことを前提にした契約です。たとえば、建て替えされる期日が決まっている物件で、あらかじめ入居できる期間が定められている場合などに定期借家契約が結ばれます。

 

それ以外にも、更新時に賃料に対する増減の申し立てなどに起因するトラブルを回避するために貸主側が定期借家契約を用いる場合もあります。定期借家契約の場合には、もともと契約を更新しない予定なので更新料というものはありません。

 

しかし、建物の建て替えなどの予定もなく、引き続きその物件を借りたい意志を借主が持っている場合には、再契約により借りることもできます。その場合、更新料の代わりに再契約料の支払いが必要になることが常です。

 

なお、建て替えのために出ていかないといけない状況であっても、原状復帰をしないといけないことが契約書に書かれていれば、そのための費用が別途必要になるので注意しましょう。

 

中途解約になる場合の注意点

 

最初に2年などの契約期間が決まっているオフィスの賃貸借契約を結んだとしても、諸事情によりその契約期間を守れない状況になることもあります。契約書にはそのような場合に備えて、解約に対する取り決めである「解約条項」が書かれています。

 

「中途解約をする場合は6ヶ月前に貸主に伝えることが必要」という内容もその1つです。この解約条項には、中途解約をする場合の違約金についても触れられていることがあります。たとえば、「中途解約の場合は、残りの期間分の賃料と共益費の支払いを違約金として支払う」といったようにです。

 

これは、とても負担の大きい内容なので、事前の確認で見落とさないようにしましょう。ちなみに、過去に同様のトラブルに対して裁判所が出した判決は、残りの契約期間が3年ほどあったとしても、次の借主が決まるまでの期間をおおよそ1年と考え、1年ほどの期間分は貸主側の不利益を補填するために賃料と共益費の支払いが必要であることを認めるという内容でした。

 

このように、契約時には賃料や共益費の支払いが違約金として定められていないかもチェックポイントとなります。

 

更新料を払わないとどうなるか

 

 

もし更新料を支払わなかった場合、引き続き同じオフィスを使用できなくなる可能性があります。

 

法定更新によって更新される契約であったとしても、その契約書に更新料の支払いが契約更新の条件である旨の記載があった場合は、更新料の不払いが法定更新をさせない正当な理由になります。更新料を支払わなければ退去ということにもなりかねません。

 

契約書に更新料の支払いに関する記載のない場合は、たとえ貸主側ともめて更新料を支払わなかったとしても自動的に更新されていきます。

 

更新の2年前くらいから準備をしておこう

 

更新料の支払いは、一般的には賃料の1ヶ月分相当になるので、借主にとっては大きな負担です。契約期間が終了する頃になって支払えないことが分かっても、更新料の支払い義務について契約書に記載がある場合、支払わなければ退去しないといけないことになります。

 

したがって、オフィスを移転する予定がないのであれば、事前に更新料を準備をしておくことが必要です。更新料を支払わずに契約を終了して次のオフィスに移るにしても、解約予告が数ヶ月前から必要ですし、時期によっては次の物件が見つかりにくいこともあります。

 

オフィスの賃貸は2年契約が一般的ですが、契約した当初から契約期間満了時のことを見据えて、更新や移転のことを考えておくと良いでしょう。

 

更新事務手数料というものも存在する

 

更新料とともに発生することがあるのが更新事務手数料です。これは、更新時の事務手続きに対する手数料で、仲介の不動産会社が受け取る費用です。「この費用は貸主側が払うものではないの?」と思う人もいるかもしれません。

 

この更新事務手数料の支払いについて借主側に義務があるかどうかは、契約書でそれが定められているかによります。借主側が負担するという内容で契約したのであれば、借主からの支払いが必要です。

 

また、更新事務手数料とはっきり明記されていなくても、元から更新時の賃料だけ割増になる契約をしている場合などは、その割増分が事務的な手数料であることも考えられます。そういった場合には、0.25ヶ月分や0.5ヶ月分として上積みされていることが多いです。

 

まとめ

 

 

契約更新において支払うことの多い更新料ですが、契約したオフィスを気に入って長く使いたいと思っている場合は、あとになってトラブルにならないように前もって更新料の準備をしておくと安心です。

 

そして、何よりも契約の前に契約書をしっかりと確認しておくことが必要です。更新料の有無や中途解約の際の違約金などについても、契約書に書かれているので、しっかり確認しておくことが大切です。事前に入念に確認を行い、スムーズにオフィスの契約更新ができるようにしておきましょう。

 

この記事を書いた人

IBASHO編集部

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オフィスで働くことをもっとたのしく・働く場所としてもっと快適に。「はたらく人を幸せにするメディア」IBASHOを運営しています。
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