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SDGs配慮型オフィスが企業にもたらすメリットと導入事例

地球環境や社会・人権に関する様々な課題が露呈し、日々深刻さを増している昨今において、全ての企業には、それぞれの立場から社会的責任(CSR)をどのように全うするかが問われています。

環境への配慮や人権保護、地域社会への貢献をはじめとする持続可能な社会の構築を目指す指標として設けられたSDGs(持続可能な開発目標)は、オフィスデザインにおいても重要な要素として注目されています。

本記事では、SDGsを軸としたオフィスデザインが企業にもたらす効果について、実際の事例をふまえながら解説していきます。

SDGsに配慮したオフィスが注目される理由

2015年の採択以降、企業の経営方針や国家の政策策定において重要視されているSDGsですが、特にオフィスデザインにその要素を取り入れる動きが各国で顕著に見られます。

その背景には、SDGs配慮型のオフィスに期待される3つの効果が注目されていると考えられます。

気候変動対策につながる

近年、多くの企業にとって重大な経営リスクとなっている気候変動の原因とされる温室効果ガスですが、地球上に排出されるガスのおよそ9割が企業の事業活動から生じていると報告されています。

事業活動の拠点であるオフィスを環境配慮型に変え、温暖化に対し特に影響力の大きい二酸化炭素排出量を減らすことは、気候変動に対して大きなインパクトを与えることになります。

そのため地球環境に対する負荷の軽減と、日々の事業活動の継続を両立できる事業拠点づくりは、企業にとって持続可能な経営戦略の一つでもあり、社会的責任を果たす取り組みでもあるのです。

雇用を生み出す

SDGsで定められた17の目標の中に「働きがいも経済成長も(目標8)」という目標は、労働に従事する人々の労働環境や生活環境に不利益・不平等な点をなくし、誰もが働きがいのある人間らしい仕事(ディーセントワーク)につける社会にしようという趣旨のものです。

賃金や雇用条件、福利厚生に大きく関わってくるこの目標を達成するためには、企業側の取り組みが不可欠となってきます。

そのため、どのような労働環境を整備するかという点が企業にとって大きな課題となり、オフィスデザインへの関心も高まっているのです。

従業員の健康を保持増進する

SDGsにおける3つ目の目標に「すべての人に健康と福祉を」というものがあります。

これは、近年国内企業の間でも注目が高まっている「健康経営」と同様の趣旨をもった目標です。

従業員に対する健康投資を行うことによって仕事の生産性が高まり、結果的に企業の競争力強化・業績向上につながることから、持続可能な経営戦略の一環として重要な取り組みと位置付ける企業が増えています。

このような流れから、従業員の健康増進を図ることができる職場環境、ひいてはオフィスデザインに注目が集まっているのです。

オフィス+SDGsが企業にもたらす3つのメリット

オフィスデザインは、SDGsへの取り組みにおいて非常に親和性が高く、SDGsの要素を取り入れたオフィスデザインを導入することで、企業は様々なメリットを享受できることが考えられます。

ここからは、SDGs配慮型オフィスデザインを導入することによってもたらされる3つのメリットを紹介していきます。

1.コスト削減

オフィスの中で行われる環境対策には代表的なものとして、使用するエネルギーや備品類の使用量削減があげられ、これらの対策を実施することで、企業にとっては大幅なコスト削減が可能となります。

オフィス内の照明や空調、電子機器などを省エネ機種に変更したり、こまめな節電を行うことはもちろん、ペーパーレス化を進めることで、これまで発生していた印刷代やコピー用紙やファイルなどの消耗品にかかる費用も大幅に削減することができます。さらには、業務フローが電子化されることで人件費抑制にもつながるでしょう。

2.企業イメージの向上

SDGsに対する取り組みが企業のイメージ評価において重要視される機運は、年々高まっています。

ファストファッションで急成長を遂げたユニクロは、全商品のリユース・リサイクルやサプライチェーン全体における二酸化炭素排出量削減をはじめとする社会課題の解決を目指す取り組みが高く評価され、様々な調査においてイメージアップが報告されています。

企業ブランディングにおいて大きな役割を担うオフィスにSDGs要素を取り入れることで、社会貢献や環境負荷削減に取り組んでいるという企業イメージを発信することができます。

※参考:ユニクロとSDGs | 服のチカラを、社会のチカラに。 UNIQLO Sustainabilityより

3.資金調達に有利

投資家や金融機関が企業に対して投資・融資判断を行う際も、SDGsに対する姿勢は厳しくチェックされます。

これは、環境・社会・ガバナンスにおいて持続可能な経営を行っている企業に投資するESG投資の浸透によるものです。

現在は国内外の評価機関が企業のESG活動を数値化したESGスコアを公開しており、機関投資家や金融機関の多くが重要な判断材料として活用しています。

ESG活動は、気候変動対策や社会貢献活動という点においてSDGsと共通していることから、SDGsに配慮したオフィスを構えることで、資金調達を有利かつ円滑に進めることが期待できます。

SDGsに配慮したオフィスづくりに取り組む企業

ここからは、実際にSDGs達成を目指したオフィスを実現した2つの企業事例を紹介していきます。

事例1.株式会社イトーキ

創業130年を超えるオフィス家具メーカーの株式会社イトーキの本社オフィスは、従業員の働きがいや生産性とサステナビリティをバランスよく実現した空間が印象的なオフィスです。

ショールームとしての機能も持つ同社のオフィスには、もみ殻やケナフという植物の繊維などを使って開発したエコ素材や、製造工程で廃棄物がほとんど排出されない工法を用いて作られた椅子やテーブルが並んでいます。

働く人の快適性や見た目の美しさ・可愛らしさを大切にしたオフィスデザインに自然とエコな要素を組み込むことで、そのオフィスが稼働し、人が働くこと自体が、複数のSDGs達成につながる仕組みに仕上げられています。

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事例2.株式会社サイカ

データサイエンスを活用したマーケティング支援を行う株式会社サイカは、2023年に従業員の才能開花や組織の活性化を図るため、新オフィスへと移転しました。

従業員同士のつながりを強化する空間を作り上げていく際、同社は「経済的合理性と社会的責任を両立するオフィス」というもう一つのコンセプトを掲げ、既存設備の再利用や環境負荷が少ない資材の活用を進めることで、什器の再利用率80%、壁材など構造物の再利用率100%のオフィスを実現しています。

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SDGs配慮型オフィスは企業の持続性・競争優位性の向上につながる

SGDsに配慮したオフィス空間は、地球環境や社会に対してだけではなく、従業員やその他のステークホルダーに対しても、ポジティブな効果をもたらします。

企業は、優秀な従業員の獲得や離職率の低下、組織の生産性向上により経営基盤強化を図り、自社の体力を高めることで、競争が激化するグローバル市場においてもより持続的な成長・発展を目指す事ができるようになるでしょう。普段の業務品質を落とすことなく、SDGs配慮型オフィスへのスムーズな移転を成功させるためには、専門家のサポートを受けることも有効な手段ですので、検討してみてはいかがでしょうか。

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