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オフィスデザイン

イノベーションを生むオフィスにはテクノロジー×デザインが必要。イトーキの「IT×家具計画」の軌跡と新商品に込められた工夫に迫る

ハイブリッド会議をより快適にする「Panora(パノラ)」

長尾さん :

こちらは2023年8月に発売された「パノラ」です。名前の由来はパノラマ仕様で、「これからの会議室は横型へ」がコンセプトです。

長尾さん :

コロナ禍で一気にオンライン会議が広まり、感染状況が落ち着くにつれ、オンラインとオフラインとが混ざるハイブリッド型の会議が増えました。そうなるとどうなるか。オンライン参加の人が少数派の場合、どうしても置き去り状態になってしまうんですね。オフライン参加者との距離感ができてしまう。

 

この問題に対し、Web会議ツールを提供しているMicrosoft社でも解決できるインターフェースを開発、提供しています。しかし、ツールの導入効果を十分に感じてもらうためには、会議室も適した仕様にする必要があると考えています。

長尾さん :

そこで、弊社ではWebカメラに向かって縦長にテーブルが置かれる従来の形式から、カメラの前に半円状のテーブルを置く「パノラ」を開発しました。

プロトタイプはサウナ型の会議室

▲【提供画像】サウナ型の情報共有用の会議室。当初は上司が下段に座っていた場合、上段に座っていいものか戸惑う社員もいたとのこと。今では空いている場所に各々が座れるようになったそうです
長尾さん :

横長の会議室は以前から試みていまして、空間デザインが先行して情報共有のための会議室のプロトタイプを横長で作ったという背景があります。

 

そこから着想を得て、ミーティング用の会議室も横長にできないのかという話になりました。プロトタイプはサウナのように段々になっている会議室で、小さな部屋に大人数を入れて情報共有をするにはどうしたらいいかという課題から作られました。

「パノラ」商品設計のポイント

長尾さん :

「パノラ」では、広角カメラの画角にオフライン参加者全員が入ります。テーブルサイズはWeb用カメラのスペックに合い、かつ従来の会議室に収まるものにしました。カメラやマイクからの距離がほぼ全員同じになるので、従来のように奥にいる人の声が聞こえづらくなることはありません。必要な機材はテーブルに仕込み、見た目にもすっきりさせました。

▲【提供画像】縦長テーブルの従来型の会議室と比べ、お互いの視線が合いやすい
▲ホワイトボードに書かれた文字だけが画面共有される仕組み
長尾さん :

テーブルサイズは4人部屋用と6人部屋用の2種類、さらに着座とハイスツールと高さも2種類用意しました。 ハイタイプは眠くなりにくく、集中力が続きやすいのがメリットですね。ホワイトボードを使うときに動きやすく、アクティブな会議ができるのもハイタイプの良さです。

 

実際に使ってみて、オフライン会議でも使いやすいと気付きました。半円型は対立構造を生みづらいので、心理的にも話しやすくなるんです。

――開発する上で苦労した点はありますか?

長尾さん :

サイズ感は試行錯誤を繰り返しました。段ボールでプロトタイプを作って試してみたりしながら、形やサイズを決めていきました。あと、最初は手元が隠れたほうがいいのではという意見があり、板を作ってみたこともあります。これは結論として「あってもなくても変わらない」「あるとバリア感がある」という意見があり、なしとなりました。

――機器メーカー側とも話をして進めていったのでしょうか。

長尾さん :

はい。会議システムのユーザーインターフェースとの相性が重要ですので、対話を重ねました。「システムだけでは理想の形にはならず、空間まで手を入れる必要がある」というのが機器メーカー側の意見です。「パノラ」はありがたいことに完璧だと言っていただけまして、一緒にプロモーションをしようという話も出ています。

 

ITの進歩に合わせ、空間やオフィス家具も進歩して一緒に進んでいく。これが最大限の良さを発揮するのに必須ですね。

ハイブリッド会議を快適にする空間の追求

長尾さん :

Web会議、ハイブリッド会議の課題あるあるが可視化されてきたのは、それだけ新しい会議の形が世に浸透してきたからでもあります。コロナ禍でWeb会議に移行しなければならなくなったときは、ツールを使いこなすだけで精いっぱいだったでしょう。そこからハイブリッド会議になり、「これなら全員オンラインのほうが楽では?」という気付きが生まれたことで、「ハイブリッド会議に適したツール、空間を考える」というフェーズに至っているのが今だと思っています。

▲【提供画像】こちらも実際に使われている会議室
▲【提供画像】オンライン参加者も含め、同時にアイディアを書き連ねられます
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