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スケルトン天井を徹底解説!オフィスのお洒落化で社員満足度も向上?

近年、従来空間の効率だけが求めれていたオフィスにもデザイン性や想像性が求められ、
今までにないようなレイアウトとして「スケルトン天井」に注目が集まっています。

基本は天井を外すだけの施工なのですが、オフィスをお洒落な空間にし、働く社員のストレス軽減、モチベーション向上にも繋げられます。

今回はスケルトン天井について、事例も用いて視覚的にも理解してもらった上で、メリットとデメリットを比較しつつ、実際にスケルトンオフィスの天井を実現するためにはどのような方法があるのかやその費用相場を紹介していきます。

オフィスをクリエイティブな空間に作り変えたい方、オフィスで働く社員のモチベーション向上の方法を模索している方はぜひご一読ください。

スケルトン天井とは?

スケルトン天井とは、天井に壁紙やパネルといった仕切りが設置されておらず、建物の構造(躯体)がむき出しになっている状態のレイアウトのことを指します。

近年オフィスでも流行の空間デザイン

スケルトン天井は元々縦に空間が必要であるような用途の物件やデザイン性を重視する飲食店などの空間では数多く採用されているレイアウトでしたが、オフィスにおいては一般的ではありませんでした。

防音や空調の効きなどを重視した場合、部屋の天井はパネル等を使って分けた方が合理的なためです。

しかし、最近ではあえて従来のオフィスのようなレイアウトではない形を取ることによってオフィスにおいても開放感や創造性を求められるデザインとして注目されています。

スケルトン天井の施工事例

実際にスケルトン天井のオフィスにどのような事例があるのか、いくつか紹介します。

①六本木ヒルズ クロスポイント


▲出展:森ビル公式 六本木ヒルズ クロスポイント 物件詳細

六本木ヒルズ クロスポイントは森ビル株式会社様所有の2011年竣工の比較的新しいオフィスビルです。当時では珍しく、デフォルトで占有スペースにスケルトン天井を採用しています。

②株式会社ストロボライト

植物はコミュニケーション促進の一手に。どこを見渡しても“緑”な、ストロボライトのオフィス

植物に関する事業を手掛けるベンチャー企業、株式会社ストロボライト様のオフィスの様子です。

「緑」をテーマに、事業とも密接に関連する植物を天井からも吊るしており、スケルトン天井のデザイン性の高さを見事に活用した事例と言えます。

③株式会社マクアケ

訪れたお客様に驚きと感動を。アタラシイが生まれ世の中に飛び出していくマクアケのオフィス

クラウドファンディングによる新商品のリリースのサポート事業などを展開する株式会社マクアケ様では「Buzz」×「Jack in the box(びっくり箱)」=「Buzz in the Box」をテーマにオフィスをデザインしています。

空間を壁と天井で完全に仕切らず、スケルトン天井の開放感を活かしたこだわりの空間は、単なるお洒落な空間にとどまらず、事業を通して実現したい会社のビジョンをも象徴していると言えるでしょう。

スケルトン天井のメリット

スケルトン天井がどのようなものなのか、視覚的なイメージも含めてご確認いただいたところで、改めてスケルトン天井のメリットをまとめてみます。

天井が高くなること自体、開放感や良い意味での「オフィスっぽくなさ」が現れ、それが社員の仕事へのモチベーションに影響を与えうる可能性があります。

天井が高くなり、開放感が出る

天井の板を抜くことによって、建物の構造次第ですが平均して約70cm~100cmほど、天井が高くなります。

天井が高くなるだけでも上からの圧迫感がなくなり、開放感が出ます。

「オフィスっぽさ」がなくなり、クリエイティブなイメージになる

スケルトン天井はオフィス向けとしては最近流行りだしたレイアウトですが、元々お洒落なカフェやバーでは好き好んで取り入れられていたスタイルです。

天井がなくなることで良い意味で「オフィスっぽさ」がなくなり、カフェやバーで仕事をしているかのようなクリエイティブで先進的なイメージのオフィスが実現します。

空間が広がることでデザインの幅が広がる

天井がむき出しになり、空間が縦に広がるため、デザインの幅も広がります。たとえば天井から何かを吊るしたり、照明やシーリングファンを取り付けたりすることによっても、さらに自由度の高い空間を創り出すことが可能です。

社員のストレス軽減・モチベーション向上につながる

主に空間の見た目や開放感に大きな影響を出すことができるスケルトン天井ですが、単に見た目や居心地が良くなるといっただけはなく、オフィスで働く社員のストレス軽減やモチベーション向上が期待できます。

従来の「仕事をするための空間」というようなオフィスよりも、開放的で遊び心のある空間の方が居心地がよく、長時間仕事をしていても苦にならないという方も多いようです。内勤者の場合、勤務時間の多くをオフィスの中で過ごすことになるため、オフィスの空間が業務効率に与える影響は特に大きくなりそうですね。

特に、新たなアイディアが求められるような業種・職種であればそういった環境で仕事ができることによって思わぬ閃きが得られるようなことがあるかもしれません。

スケルトン天井のデメリットや注意点

一方でスケルトン天井にするデメリットもあるので、考察していきます。天井を高くする工事自体にかかるコスト増に加えて、スケルトン天井のオフィスを運用していくこともコスト増となってしまう可能性もあります。

空調の効率が悪くなり、電気代が上がる可能性

天井を抜くことによって、まず空間全体のスペースがその分だけ広くなるため、単純に空調の効率が悪くなります。

そもそも、オフィスビルの空調は天井にボードを貼った状態で効率よく冷暖房が効くように設計されているケースも多いため、天井を外してしまうことによる効率の悪化が予想以上のものになる可能性もあります。

オフィス内を快適な温度に保つためには従来よりも空調の電気代が上がってしまうリスクがあることを念頭に置いておきましょう。

対策としてはシーリングファンを取り付けることで空気の対流を良くすることで、空調のコストが抑えられます。理想とするデザインと親和性が高い場合はシーリングファンの導入は有力な選択肢です。

部屋全体が元の照明だと暗くなる可能性

天井を高くする分、照明から床までの距離が離れるため、従来のオフィスよりも元々の照明だと暗く感じるようになる可能性があります。

天井の色を明るくすることや、照明を明るいものに取り替える、数を増やすなどの対策が考えられます。

施工費用や原状回復費用などの費用がかかる

今使用しているオフィスをスケルトン天井にする場合、当然ですが施工の費用が発生します。

費用の相場は一概には言えませんが、天井の設備状況によっては追加で工事が発生し、コスト増となってしまう可能性もあります。

例えば、防災、排煙などのオフィスに必須の設備や、ダクト・配線などが天井裏でむき出しになっているケースでは、見た目重視に改装においてそういった設備の移動の作業が付帯工事として発生します。

さらに、賃貸オフィスの場合、退去時には原状回復が求められます。スケルトン天井を契約時の状態に戻す際にも同様に工事費用が発生することを念頭に置かなければなりません。

物件によってはそもそもスケルトンにできないケースも

今使っているオフィスをスケルトン天井に改装しようと思っても、契約や建物の構造、建築基準法などの制約を受け、そもそも改装工事を行えないようなケースもあります。

スケルトン天井にするための工事を検討する際は、まずは検討に入る前から借主や管理会社に対して確認をとることが奨励されます。

オフィスでスケルトン天井を実現するには?

施工の費用や、運用のコスト増などの観点からはデメリットもあるスケルトン天井ですが、やはりオフィスのイメージを大きく変えることができ、ひいては社員のモチベーション向上にも繋がります。

スケルトン天井を実現する際、どのような選択肢が取りうるのか、場合分けして紹介します。

①自社ビルを改装する

まず、現在自社ビルに入居している法人様の場合、言うまでもなく借主への許可は必要なく、構造や法律での制約がなければ天井工事を行うことが可能です。

また、該当するケースは少ないかと思いますが今後自社ビルを建築する、という場合は建築の段階から天井工事を行わないように設計を依頼することで、そもそもの建築コストを抑えることすら可能になります。

②賃貸オフィスを改装する

現在入居しているオフィスが賃貸の場合、最も手軽にスケルトン天井を実現する方法は借主の許可の元に今契約しているオフィスの改装工事を行うことです。

費用はオフィスの現状によっても大きく変わってきますが、スケルトン天井の実現に適した構造・配線であれば、比較的費用を抑えつつ施工を行うことが可能です。

ただし、退去時に原状回復のために費用がかかり、将来的にまた大きな一時金が発生することが確定している選択でもあります。

③スケルトン天井の施工が可能なオフィスを探す

既存のオフィスでスケルトン天井を実現するのが難しい場合、実現可能なオフィスを新たに探すというのも選択肢として考えられます。

「スケルトン天井のためだけにオフィスを探す」ということもあまりないかもしれませんが、総合的な判断からオフィスの移転を考えている場合、その用件の一つとして「スケルトン天井が実現可能であること」を含むことは検討しうるのではないでしょうか?

元々要望があるのであれば、物件を探す段階から契約、構造、法的制約の観点からそもそも実現可能であるかといったも事前に確認できる上、天井の構造を確認した上で施工に際してどの程度の付帯工事が発生するかも予見可能です。

オフィスの移転自体が改装以上に一大イベントとなるため、一概に「手軽な選択」と言うことも難しいですが、元々オフィスの移転が選択肢として存在する場合は一つの検討材料として盛り込む価値はありそうです。

④元々スケルトン天井のオフィスを探す

最後に、オフィスの改装を前提としない形として「元々スケルトン天井のオフィスを探し、賃貸契約を行う」という選択肢があります。

この場合、言うまでもなく建物や法律の制約でスケルトン天井が実現できるか確認を行う必要性が一切なく、また、「天井を空けてみないと具体的にどのくらいの費用が発生するかわからない」といった不確実性も完全に排除することができます。当然、退去時の原状回復で再度天井を取り付ける工事を行う必要もありません。

さらに、施工前、もしくは施工段階の物件である場合、天井工事前に入居を内諾しておくことにより、オーナー側としても天井の工事にかかるコストが抑えられるため、賃料の部分で有利な条件で契約できる可能性があります。

しかしそういった物件の件数自体が多くないため、条件に合う物件を探すのは簡単ではないかもしれません。

移転後実現したい要望としてスケルトン天井の度合いが特に強い場合、このポイントを重視して物件探しを行うことで、コストを抑えつつ理想を実現に近づける可能性が高まります。

オフィスのスケルトン化にかかる費用

スケルトン天井を実現する方法を紹介しましたが、実際にそれぞれの方法を選択した場合どういった費用がどの程度発生するか、目安としてまとめます。

※工事費用はあくまで目安であり、実際に施工する環境の現状次第で大きく異なるためあくまで目安としてご認識ください。

①自社ビルを改装する場合

自社ビルを改装する場合、今後パネルを再度設置する工事を行わない限り、天井を抜くための工事が一度だけ発生します。

この工事費用ですが、これまでの事例からすると相場として3~5万円程度、多くは3万円台後半程度となるようです。

概算費用:坪単価×3.5万円

②賃貸オフィスを改装する

賃貸オフィスを改装する場合、天井を抜くための工事に加えて、退去時原状回復のために再度施工工事を行うコストが想定されます。

工事と原状回復を同額と考えると、改装しっぱなしでよいケースに比べ2倍の費用がかかります。

概算費用:坪単価×7万円

③スケルトン天井の施工が可能なオフィスに移転する

スケルトン天井の施工が可能な賃貸物件を探す場合、発生する費用としてはオフィスの入居にかかる費用、工事費および退去時の原状回復工事費が発生します。

入居時の費用をスケルトン天井にするための費用と捉えた場合、最も項目・金額が大きくなる選択です。

概算費用:坪単価×7万円+物件の家賃の3~15ヵ月分程度
(内訳:保証料(もしくは敷金)、礼金(個人所有の場合など)、仲介手数料、前家賃・管理費)

④元々スケルトン天井のオフィスに移転する

元々スケルトン天井のオフィスを探した場合、当然施工費はかからないため入居時にかかる費用のみがコストとして考えられます。

オフィスの移転自体をそもそも別の用途で必要な経費と考えた場合、スケルトン天井を実現するための費用としては0円とも捉えることができます。

実際のところ、条件に該当する物件を探すこと自体が簡単ではありませんが、コスト面でもメリットの大きな選択といえるでしょう。

概算費用:物件の家賃の3~15ヵ月分程度
(内訳:保証料(もしくは敷金)、礼金(個人所有の場合など)、仲介手数料、前家賃・管理費)

まとめ

スケルトン天井について、オフィスの新しいレイアウトとして事例も交えつつ一つの選択肢として紹介し、そのメリット・デメリットや実現する方法、費用の相場などを紹介しました。

これまで効率化を考えて設置されていた天井を「あえて」取り払ってしまうため、工事費や電気代などのコスト面ではマイナスとなる面が多いものの、開放感を得られることや、従来のオフィスでは考えられなかったクリエイティブな空間を演出するにあたっては魅力の多い選択肢でもあります。

また、新たにオフィスを探す場合要望の内容としては少し珍しい形となるため、改装するにせよスケルトン天井の物件を探すにせよ貸主と直接つながった上で、内覧から契約までを行える方が望ましいです。

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