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オフィスインタビュー
vol.268 オシロ株式会社

目指すは「オシロのお城」。情熱をかけたこだわりの新オフィス見学ツアー

入ってすぐ目に飛び込む印象的なタイニーハウスの数々。開放感のある高い天井に、まるで額縁で空を切り取ったかのような大きな窓。今回訪れたのは、コミュニティに特化したプラットフォームを提供しているオシロ株式会社の新オフィスです。自らこだわってオフィス作りに携わっている代表取締役社長の杉山さん、そんな杉山さんの話の聞き役を務めた社長室室長の石田さん、広報の藤島さんにお話を伺いました。

杉山 博一
インタビュー
杉山 博一(すぎやま ひろかず)
代表取締役社長

世界一周後、アーティスト&デザイナーとして活動、30才を機にアーティスト活動に終止符。32歳で日本初の金融サービスを共同で創業(2024年IPO)。外資系IT企業の日本法人代表を経て、2017年コミュニティに特化したオウンド・プラットフォームを開発・提供するオシロを創業。これまで、クリエイター、ブランド企業、メディア、国のプロジェクトなどを含む、300強のコミュニティを創出。

石田奈帆美
インタビュー
石田奈帆美(いしだ なおみ)
社長室室長

大学卒業後、通信サービスベンチャー企業に入社。退職後、JICAの青年海外協力隊としてガーナの森林局でコミュニティ開発に従事。帰国後、通信系ベンチャー企業に戻りミャンマーに駐在しながら新規事業立ち上げを担う。2016年、創業前のオシロにジョイン。コミュニティプロデュースの経験を積んだ後、現在は社長室に所属。

藤島 和
インタビュー
藤島 和(ふじしま のどか)
広報

新卒でマーケティングリサーチの会社へ入社。ネットリサーチャーとしてトイレタリー・美容業界のネットリサーチ業務を担当。その後日本で唯一のTVドラマやVOD作品を用いたプロダクトプレイスメントに特化したPR会社にて映像媒体を用いたPR業務を担当。現在はオシロ株式会社にて初の広報専任者としてジョインし、企業やサービスの広報業務を担当する。

社員のクリエイティビティを高められる物件に移転

卯岡 :

オフィスというよりはギャラリーのような雰囲気を感じますね。開放的な空間です。

杉山さん :

ありがとうございます。まさに開放感がほしくてこの物件に移転してきたんですよ。物件を選ぶ際は、面積よりも天井の高さを重視しました。社員がクリエイティビティ高く働くには、広々とした空間が必要なんです。そのため、窓の多さも重視しました。

提供写真:取材当日は曇天でしたが、晴れた日はご覧の通り
卯岡 :

確かに窓も多いです。高い位置にある窓からは空だけが見えるので、まるで絵画のようですね。ここであらためてオシロさんについてご紹介いただきたいのですが、どのような事業をされていらっしゃる会社なのでしょうか。

杉山さん :

コミュニティに特化したプラットフォームの開発と、クリエイターさんやブランドさんへ提供するだけじゃなく伴走支援までを行っております。

卯岡 :

「コミュニティ」、よく耳にする言葉ではありますが、わかるようでわかりづらい印象があります。

杉山さん :

定義が広い言葉なんですよね。メディアっぽいコミュニティもあれば、メディアそのものを指すこともあり、かなり幅広い意味合いを持っている言葉だと思います。私たちが考えているコミュニティは手段です。主催者とメンバー、メンバー同士という縦糸と横糸の双方をしっかり紡ぎ、強靭な布になるようなイメージでシステムを開発し、コミュニティ活動の支援までを行っています。

卯岡 :

カリスマ性のある代表者がメンバーに発信するだけの場ではない、ということですね。

杉山さん :

そうです。縦糸だけでは布は強くないですからね。

卯岡 :

先ほど、社員のクリエイティビティを高めるためにここに移転したというお話がありましたが、それが移転理由だったのでしょうか。

杉山さん :

アート作品を置くためですね。

卯岡 :

初めて耳にする移転理由です。でも、確かにあちこちにアート作品が飾られていますね。

杉山さん :

応援している作家さんの作品をオフィスに置いているんです。という理由も本当ですが、先ほど申し上げた「社員のクリエイティビティを高めたい」が優先度としては高かったです。

石田さん :

オブジェを置くために越してきたような部分も本当にありますけどね(笑)。

卯岡 :

オフィスとしては天井が高い特徴的な物件ですが、ここを選んだ理由は?

杉山さん :

ここは天井高が5メートルあるんですが、天井高がある空間ではクリエイティビティが上がるというデータがあります。それがこの物件を選んだひとつの理由です。
また、この物件は「いつか入りたい」候補でもあったんです。過去に近所で間借りしていた時期がありまして、ランチをしにこのあたりを通ることがよくあり、「いい建築だな」と思い調べてみたところ、当時の弊社にはとてもじゃないけれど払えない賃料だったんですよね。巡り巡って、今回こちらに縁あって入ることができてとてもうれしいです。

卯岡 :

気に入ったポイントはどこですか?やはり天井でしょうか。

杉山さん :

天井の高さもですし、外観も気に入っています。

卯岡 :

天井が高くなったことで変化はありましたか?

杉山さん :

ストレスの値は低くなっているんじゃないかと思いますね。

石田さん :

数値を計っているわけではないのですが、個人的にオフィスに関してストレスを感じていません。空間が広いので開放的なんですよね。窓から光がたくさん入るのも精神的にプラスに作用していると思います。

杉山さん :

酸素が濃いんだと思いますよ。(笑)

卯岡 :

オフィスを訪れる方の反応も良さそうですね。

石田さん :

アーティストやクリエイターさん含めいろいろな方が来られますが、みなさんとても良い印象を抱いてくださっていますね。

藤島さん :

窓やオフィスに散りばめられているアートに関心を示してくださる方が多いです。

卯岡 :

では、各スポットについて拝見しながらお話を伺いたいと思います!

情熱をかけたこだわりの新オフィス見学ツアー

「よりクリエイティブに」をコンセプトにしたオシロの新オフィス。より詳しいお話を伺っていきましょう。

印象的なタイニーハウスが並んだ会議室

卯岡 :

入ってすぐ目に入ったのが、こちらの家型のお部屋だったのですが、こちらは?

藤島さん :

こちらは会議室です。手前からナイト、ビショップ、クイーンで、先ほどお話をしていた場所がキングと、サイズに合わせてチェスの駒の名前が付いています。

卯岡 :

ユニークですね!

卯岡 :

中の壁がそれぞれ違うブルーで塗られていて素敵です。

石田さん :

私たち社員が塗ったんですよ。いつも自分たちでオフィスのペンキ塗りをするのが恒例なんです。何度も経験している社員は腕が磨かれているので、ムラの出やすい濃い色を担当してもらいました(笑)

藤島さん :

1番上手いのが杉山で、私も教えてもらって参加しました。

卯岡 :

天井のほうまで綺麗に塗られていてすごいです。それにしてもユニークな会議室ですね。

杉山さん :

柱のない広々とした物件を契約し、移転できることになって舞い上がっていたんですけど、はたと「大変だ、会議室が作れない…」なんて物件を契約してしまったんだと焦ったんですよ。

卯岡 :

1つの大きな空間だからですね。

杉山さん :

そうなんです。でも、「あ、小屋を建てればいいんだ」と思って元気になりました。会議室は狭いほうが短い時間で会議を終わらせられると言われているため、タイニーハウスを建ててしまえばいいと思いつきました。もともと狭いところが好きで、タイニーハウスを作って住みたい願望があったので、それを会議室にしようと思ったんです。

卯岡 :

それで家型に。

杉山さん :

自分でタイニーハウスに住みたいと思っていたので、10年かけていろいろなタイニーハウスやツリーハウスを見ていたんですよ。友人でもあるタイニーハウスアーティストの竹内友一さんに時間のない中、だいぶ無理をいって作ってもらいました。

石田さん :

今回の移転で、1番杉山がこだわっていたといっても過言じゃないと思います。屋根の角度は部屋の広さに応じたものにし、3つの大きさの部屋が美しく連なって見える配置にこだわりました。

杉山さん :

そうですね。配置する角度にこだわり、入ってきた人から見たときにどの角度が1番いいのかを熟考しました。

卯岡 :

両側の壁面を中が見通せるガラスにしたのはなぜですか?

杉山さん :

パッと見で閉ざされた雰囲気にしたくはないけれど、閉ざされた空間であるという2点を両立したくてガラスにしました。

卯岡 :

視線が抜けるため、圧迫感がないですね。

こちらが1番大きな会議室「キング」
石田さん :

いろいろな家具がありますが、実は什器にはあまり費用をかけていないんです。

杉山さん :

この机もIKEA店舗で売られていた中古品ですからね。お金ではなく情熱をかけたオフィスなんです。私はZOZOさんの千葉オフィスとクラシコムさんのオフィスに感銘を受けていて、あのぐらいこだわったオフィスづくりをしたいと思っています。ただ、クリエイター気質だからこだわってしまうだけで、社長がオフィスにあまり情熱を傾けすぎるのはどうなのかと思っていたんですよ。むしろ、こだわっていてはいけないんじゃないのかとすら思っていました。

杉山さん :

でも、オシロの投資家でもあるメルカリの小泉さんから「オフィスは1番大事なんだから、社長がこだわって作った方がいい」という言葉をいただきまして。今後もオフィス作りにも情熱を注いで、オシロの聖地にしていきたいと思っています。

卯岡 :

皆さんが働く場がより良くなることは、良い仕事にもつながりそうです。

杉山さん :

そうなんです。先ほど、天井高があるとクリエイティビティが上がるというお話をしましたが、「半径10メートルの距離だと仕事の品質が上がる」という論文もあるんですよ。

卯岡 :

同じ場所で働くことは、本当にパフォーマンス向上につながるということなんですね。

杉山さん :

ええ。ですから、ワンフロアにこだわっているんです。

藤島さん :

仕事自体はオンラインでもできますが、周りに人がいるから良い影響を受けてより仕事がはかどることってありますよね。このオフィス空間で仕事をすることで、パフォーマンスを最大化をはかれたらと思っています。

キングとオープンスペースとを仕切っているのは小家具。アートも飾られています

アートが散りばめられたオープンスペース

右側に見えるたまご型の白いオブジェは、長年オシロオフィスに飾られてきたアート作品
卯岡 :

「アートを置きたかった」というお言葉の通り、あちこちに作品が点在していますね。

杉山さん :

藝大学生の作品など、アーティストの卵を応援したい気持ちからさまざまな作品を置いています。入口すぐのところにある白いオブジェは、30坪時代のときからオフィスに置いていたんですよ。

卯岡 :

その広さにこのサイズだと、かなり迫力があったでしょうね。

石田さん :

ようやく作品が空間に合うように私たちが成長したなったなと思っています。

石田さん :

タイニーハウスの向こう側が執務室、こちら側はオープンスペースとなっています。この場所はイベントスペースとして利用いただけるようにしているんですよ。これまでのオフィスでも貸し出してきたのですが、移転後はより利用頻度が高まったと感じています。私たちもリアルの場でのイベントを大切にしているんです。

卯岡 :

これだけ広いと、大勢でのイベントも難なく開けますね。

藤島さん :

私もこのスペースがお気に入りなんです。このテーブルでは、お昼になると自然に人が集まってきて、給食の時間みたいにわいわいランチを食べることもあるんですよ。

藤島さん :

あとはこちらのカウンターもお気に入りです。社内イベントで、杉山がカクテルを振舞うこともあります。

提供写真:花火大会をみんなで眺めることも
石田さん :

これまでのオフィスでも、会話のきっかけになる場所を作ってきました。以前は動線上にカウンターをあえて設置することで、雑談が生まれやすくなるようにしていたんです。新オフィスでは、カウンターがオープンスペースと執務スペースとの2ヵ所に増えました。執務スペース内のカウンターは壁沿いに置いて、カフェコーナーとして活用しています。

卯岡 :

飲み物を取りに来た人同士で会話が生まれそうですね。

石田さん :

そうなんです。あと今回、動線面で工夫したのは、オープンスペースから執務スペースに行く通路ですね。

石田さん :

どのタイニーハウスの間からも移動しようと思ったらできるのですが、隙間に観葉植物を置くことで、通路として使う場所を1ヵ所に制限しました。顔を合わせやすくするためのちょっとした工夫ですね。

卯岡 :

そうした意図があっての観葉植物だったんですね。

こちらが通路。奥に見えるのが執務室のカウンター。ペンキ塗りがまだ未完成なのはご愛嬌ということで…(笑)
執務スペースはこちら。まだまだデスクを増やせる余地があります

新オフィスはまだ完成途中。聖地作りはこれからも続く

実は、まだまだ完成途中にあるというオシロのオフィス。「オシロのお城」を目指して、これからも手を加えていく予定だといいます。

「お金があればいいオフィスが作れる、お金をかけなければ作れないわけではないんです。情熱をかけることで、その会社にとって聖地となるオフィスができるのだと思っています」と杉山さん。

社員たちも手を動かし、作り上げられていくオシロのオフィス。今後のアップデートと、それに伴うクリエイティビティのさらなる向上が楽しみです。

取材先

オシロ株式会社

https://osiro.it/ 公式サイト

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