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プロパティマネジメントがオフィスビル経営に今後もたらす価値は?

不動産の運用の中で「プロパティマネジメント」の重要性が徐々に注目されています。しかし、プロパティマネジメントの具体的な内容を見ても従来の管理会社がしていることと一見似通っておりその違いが分かりづらいと感じる方もいるようです。

 

今回はプロパティマネジメントについてその具体的な役割や業務内容、物件のオーナーがプロパティマネジメントを行う「プロパティマネージャー」に不動産の運用を委託するメリット・デメリットやさらには入居者目線から見たプロパティマネージャーの重要性についても説明します。

 

所有物件の運用にお悩みの方だけでなく、オフィスの移転を考えている方にとっても役に立つ情報が多く含まれていますので、ぜひご一読ください。

プロパティマネジメントとは?アセットマネジメントとの違いや関係


まず、そもそも「プロパティマネジメント」とは何か、その定義や背景、対となる「アセットマネジメント」との違いなどを中心に解説していきます。

プロパティマネジメントは資産価値の最大化を目指す不動産経営代行

プロパティマネジメントとは投資用不動産の現物の物件の管理を、不動産のオーナーにかわり専門のプレーヤーが委託されて行うことを指します。

「プロパティ」には「属性・性質・資産・所有物」など多義的な意味がありますが、投資の用語でいうプロパティマネジメントは不動産のことを指します。

単にオーナーに代わって不動産の管理・運用を行うのではなく、その不動産の収益性を最大化することを目的としながらその物件と関わっていく部分が特徴として挙げられます。

不動産オーナーがその物件の管理を他社に委託すること自体は特段に珍しいことではありませんが、その多くは単に本来行う業務を外注している程度の認識です。プロパティマネージャーは物件の資産価値を高めることを目的に管理・運用の業務を行っていく部分が一般的な管理委託との大きな差です。

プロパティマネジメントが注目され始めた背景

プロパティマネジメントの概念自体は古くからありましたが、特に注目され始めたのは1990年代以降です。それまでは都心を中心にオフィスビルの稼働率が高く不動産オーナーも物件の収益性など特に注目していなくとも満室の状態が続いていましたが、バブル崩壊後は多くにオフィスで空室率や家賃の下落に悩まされることになりました。

そういった市場の変化を受け、手持ちの物件の収益性を高めるために策を講じる必要が出てきたところに、外資系の企業を中心に「プロパティマネジメント」の概念が浸透し始めたのが最初の発端です。

その後、REITのような現物不動産を所有せず、不動産を証券化した投資商品の取引も盛んに行われるようになるにつれ、より収益性不動産の資産価値を高めるための専門家の役割が重要になり、プロパティマネージャーの市場での重要性が高まりつつあります。

プロパティマネジメントとアセットマネジメント

不動産の収益の最大化をミッションとして掲げる役割として、もう一つ「アセットマネジメント」を行う、「アセットマネージャー」の存在が挙げられます。アセットマネジメントとプロパティマネジメントの違いについては混合されるケースも少なくありません。

結論としては両者の目的は概ね一致していますが、その目線や業務内容が異なり、両者は協力しながらそれぞれの使命を果たそうとします。

具体的には、アセットマネージャーの役割は個別の投資家の不動産を中心とする資産、ないしはREITのような不動産を証券化した投資商品の収益の最大化です。

資産全体としての収益の最大化を目指すため、物件の買い付けから運用、そして売却を一手に担いますが、この運用において重要な役割を果たすのがプロパティマネージャーです。

つまり、アセットマネージャーは個々の物件を資産ポートフォリオの一つとして扱い、その一つ一つの資産である不動産物件の価値を最大化するための実務にあたるのがプロパティマネージャーです。

両者が自身の業務領域において、そのミッションを果たすべく適切に動くとともに連携をとることによって不動産資産の価値の最大化が実現します。

プロパティマネジメントの具体的な業務内容

プロパティマネジメントという概念や、その目的などについて明確になったところで、実際にプロパティマネージャーがどのような業務を行っているのかについて解説していきます。

業務の内容自体は一般的な管理会社に委託する場合と大きく異なるわけではありませんが、それら一つ一つが「物件の資産価値の最大化」を目指して行われることにプロパティマネージャーの付加価値があります。

リーシングマネジメント業務

リーシングマネジメント業務とは、空室の専有部分にテナントの募集を行い、賃貸契約を締結するまでの業務です。

市場調査を行い、適切な賃料設定をすることや、募集の広告、テナント入居の希望者が表れた際の入居の審査や場合によっては条件の交渉などが業務の範囲として挙げられます。

不動産の収益を決定づけるのに直結する部分であり、市場調査能力から募集の企画能力、入居者候補との交渉力や審査によるリスクマネジメント能力が求められるプロパティマネージャーの業務の中でも重要な業務の中の一つです。

テナント管理業務

テナントの入居者の毎月の賃料の請求や設備の点検などをはじめとする入居者とのコミュニケーションを取り、円滑な賃貸契約を維持する業務です。入居者からのクレーム対応などもこの業務に含まれます。

密にコミュニケーションを取ることにより物件や管理不足による早期退去を防止すると同時に、入居者の動向を確認し、やむを得ない理由での退去にあたっても早めに察知することができれば先だって次の入居者の募集に動けるため、機会損失を減らすことができます。

ビルディングマネジメント業務

日常の清掃や設備点検、警備など物件が入居者にとって安全かつ快適に利用できるように環境の保全を行う業務です。この部分についてプロパティマネージャーから専門の業者に外注されることも多い分野です。

物件の環境の保全は建物そのものの資産価値の保全に直結すると同時に、入居者の満足度にも大きく影響する分野なので、定期的な対応が求められます。

コンストラクションマネジメント業務

建物は経年劣化に伴い定期的な修繕が必要になります。中長期の修繕計画も大きな費用を要する部分ではありますが、適切な修繕を行えることは物件の資産価値の維持に直結し、ひいては物件のトータルの収益性にも大きな影響を及ぼします。

こういった計画の立案から業者の選定、施工の管理などを行うことも資産価値の最大化を目的とするプロパティマネージャーの重要な業務の一つといえます。

オフィスビルのオーナーがプロパティマネージャーに依頼するメリット

オフィスビルのオーナーが所有する物件の管理をプロパティマネージャーに委託するメリットについて説明します。

管理業務を委託することでオーナー自身の工数を削減できる点は一般的な管理会社に委託する場合と変わりませんが、加えて不動産の収益性が向上することが期待できるのが大きなメリットとして挙げられます。

手間のかかる不動産の管理を委託できる

不動産投資は一度入居者をつけると一定期間継続的な賃料収入が得続けられるため、株式などの投資と比べて手離れの良い投資であると言われています。

確かに、不動産は流動性が低い分、常に注視していなくとも入居者がついている限り一定の収益が見込めます。とはいえ、不動産は証券や仮想通貨などとは異なり「現物」がある投資のため、特に実際に不動産を所有しているオーナーからすると、その物件の適切な管理は投資家としての義務の一つと言えます。

入居者の募集広告から、入居の希望が合った場合の審査、場合によっては交渉。日常的な入居者からの問い合わせへの対応や賃料滞納などの問い合わせがあった場合の督促、物件を満足して使ってもらうための物件の清掃や共有部分の備品などの管理、適宜必要な共有部分の修繕も必要です。退去の際に一般的には6ヵ月前からテナント入居者の側で退去の準備が始まるため、スケジュール通り進行しているかを適宜確認の上でまた新たな入居者を募集する必要があります。

そのため物件を所有している限り繰り返し続けるのは相応に工数がかかります。上記の業務の一部を他社に外注しているオーナーも少なくありませんが、プロパティマネージャーに委託することにより、各業務に適切な業者の選定も含めて一任することが可能です。

的確な市場把握による収益の最大化が期待できる

不動産投資の最大のポイントの一つは家賃設定です。テナント入居者からどの程度の賃料を得られるかによって物件の利回りが決定するため、物件そのものの資産価値にも直結します。

しかし、単純に家賃は高ければ高いほど良い、というものではなく、家賃が不当に高額であればテナント入居の希望者が表れにくくなるため空室期間が長くなり、結果的に機会損失が出てしまうリスクもあります。

重要なのは市場の状況を把握した上で適切な範囲で高額な家賃設定を行うことですが、市場の把握から設定すべき賃料の策定など、経験の少ない不動産オーナーには難しい部分です。

こういった市場の調査から適切な家賃の策定までを、蓄積されたノウハウを使いこなして高い精度で行えることを期待できるのがプロパティマネージャーです。

プロパティマネージャーの報酬は入居者の賃料をベースに算出されるのが一般的なため、自らの利益のためにも迅速に動くことが期待できます。

適切な物件管理によりテナントの定着が期待できる

不動産運用において継続的・安定的な収益化を図るためにはテナント入居者の定着率も重要です。

事業用不動産の場合、解約に伴い発生する原状回復費用は経年劣化や自然摩耗も含めて入居者負担となるのが一般的です。そのため、解約に伴いオーナー側に発生する出費は居住用の物件を比較すると軽微であるとも言えます。

しかし、オーナー側にとって次の入居者がすぐに見つけられず、物件に空室の部分がでてしまうと、サブリース等で家賃保証の契約をしていない限りはその期間の全てが損失となってしまいます。

加えて入居者を募集するための広告費用、仲介業者を介した場合の仲介手数料なども考慮すると一度契約したテナント入居者にはできるだけ長く定着してもらうことが望ましいのはいうまでもありません。

オフィスの解約・退去にはテナント入居者側の事情も絡むため、オーナー側でコントロールできない部分も多くあるものの、「物件の清掃が行き届いていない」「オーナーや管理会社と円滑なコミュニケーションが取れない」「他のテナント入居者とのトラブル」といった、物件への不満を起因とする解約については可能性を下げることは可能です。

プロパティマネージャーは単に管理を代行するだけでなく入居者の定着率の高さが安定的な収益に直結することも考慮した上で日常の管理業務を行うため、高い定着率が期待できます。

なお、既存の入居者との賃料交渉を行う際にも定着率の高さ・空室率の低さは一つの値上げの交渉材料になりえます。

オフィスビルのオーナーがプロパティマネージャーに依頼するデメリット

一方で、ビルオーナーがプロパティマネージャーに依頼することによってデメリットも生じえます。

具体的にはプロパティマネジメントの報酬は割高になりがちなため、その分の手数料がペイできなくなることがリスクとして存在します。

通常の管理契約よりも割高になりがち

プロパティマネージャーへの委託報酬は相場としては賃料の4~9%程度です。一般的な管理会社に対して支払う報酬は賃料の5%前後が相場なので、平均的に見るとプロパティマネージャーに対して支払う報酬額は割高になりがちであると言えます。

仮にプロパティマネージャーが期待よりも不動産の資産価値を高めることができなければ、かえって手数料負けしてしまう可能性もあります。

現在、自主管理していたり、管理会社と一般管理契約を結んでいる場合、プロパティマネージャーに管理を委託することにより、どの程度資産価値の向上が期待できるのかはシミュレーションしておくべき事項です。

適切な業者選びが難しい

プロパティマネジメントは比較的新しい概念であり、まだ具体的なノウハウや成功事例が蓄積されていないプロパティマネージャーも珍しくはありません。

また、オーナーの代理で一般的な管理を行う管理会社とプロパティマネージャーの間には何らかの資格や定義などで厳密な線引きがあるわけではありません。

中には一般的な管理代行を行うだけであるにも関わらずプロパティマネージャーを名乗るような業者もないとは限りません。

そういった業者に「資産価値の最大化」が可能であるかは疑問が残るため、本当に信頼に足る業者であるかは精査する必要があります。

実績や業務方針など綿密に確認した上で業者を選定することが重要です。

業者の失敗により資産価値の最適化に失敗するケースがある

プロパティマネージャーは豊富な知識・ノウハウと最新のデータを駆使しながら不動産の資産価値を最大化するために日々の業務を遂行することが期待できます。

しかし、資産運用の世界には「絶対」はなく、大きな外的要因やプロパティマネージャーの判断ミスなどによって不動産の収益が悪化してしまうことも可能性としては考えられます。

対策としては、事前にプロパティマネージャーの実績について確認するとともに、オーナーが望む運用方針(多少リスクを取ってでもアグレッシブな運用がしたい、ローリスクローリターンで手堅く運用したい、など)を明確にしつつ、プロパティマネージャーがその希望を理解しているのか、また希望に沿った運用を得意としているのかなど事前に確認し、運用失敗のリスクを減らすことが大切です。

SERECTでプロパティマネージャーと直接やり取りができる

基本的に物件からあがっている収益を成功報酬として得るプロパティマネージャーにとって、管理する不動産の収益性はオーナーと完全に利害が一致するポイントです。

優秀なプロパティマネージャーがついている物件は、その時の市場に合わせた適切な条件で入居者の募集が行われ、定着率を高めるためオフィスの管理、円滑なコミュニケーションなど総合的に入居者の満足度を高めるケアがされていることが期待できます。

SERECTは従来仲介業者が入ることが慣例であった賃貸オフィスの市場において、入居を希望している企業とオーナー、もしくはオーナーの物件を管理しているプロパティマネージャーと直接繋がり、事前にやり取りすることができます。

優秀なプロパティマネージャーをつけているビルオーナーは物件の運用に積極的であり、オーナーとの相性がよければストレスの少ないテナント入居を行える可能性が高まります。

新たなオフィスの移転を検討している場合、SERECTでプロパティマネージャーと直接交渉を行うことで、よい条件で理想のオフィスに入居することができるかもしれません。

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まとめ

プロパティマネジメント業務を行う、プロパティマネージャーについて重要な論点を中心に説明しました。

不動産運用のプロパティマネージャーが、物件の資産価値の最大化を目的として管理・運用を代行してくれることはオーナーだけでなく、入居者にとっても満足度向上にも繋がり、収益性が改善したぶんだけプロパティマネージャーの報酬もあがるため、まさに「三方よし」が実現します。

物件を所有する立場からも、賃貸契約する物件を探している立場からも、プロパティマネージャーの存在は重要なので、ぜひ念頭に置いてみてください。

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