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オフィスの耐震マニュアル!地震対策は外側と内側から行う!

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「地震大国」日本では、いまやいつどこで大きな地震が起きるかわかりません。

地震が起きた際の対処は何よりも大切な社員の人命、そして次に大切な事業の継続性などに大きな影響を及ぼします。

しかし、地震対策といってもどういった部分をどの程度行えばよいのか論点が複雑で分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、オフィスの耐震、地震対策をテーマに、特に重要な論点をピックアップして説明しています。

自社の地震対策、とりわけ地震対策を念頭に置いたオフィス選びの考え方など大いに参考になる部分があるかと思いますので、ぜひご一読ください。

2021年08月13日


この記事を読むのに必要な時間は約 18 分です。

オフィスの耐震制を決める要素は何か

 

 

大地震の際、最も懸念しなければならないリスクが建物の倒壊です。建物が倒壊すると、避難そのものが困難になり、いくらオフィス内に何らかの対策を行っていたとしても人命に直結します。

 

地震に強いオフィスを選ぶことは、地震対策の基本と言っても過言ではありません。「耐震性の高いオフィス」の選び方についてポイントをまとめます。

 

建築確認が新耐震基準か旧耐震基準か

 

日本の全ての建物には建築基準法により耐震基準が設けられています。この基準を下回る耐震性能しかない建物はそもそも建築自体が許可されていません。

 

この耐震基準ですが、改正されるたびに基準値が厳格化されていますが特に大きな変化があったのが1981年です。1981年の6月1日以前に適用されていた基準を「旧耐震基準」6月1日以降に適用された基準を新耐震基準と言います。

 

旧耐震基準:震度5程度の地震で倒壊、破損したとしても補修すれば利用可能な水準
新耐震基準:震度6強、7程度の地震でも倒壊しない水準

 

建物が旧耐震基準で建てられたか、新耐震基準で建てられたかによって実際に大震災が起きた際の倒壊率には大きな差があることがデータとして残っています。

 

例)
阪神大震災(1995年):最大震度7
旧耐震基準の建物の大破率が3割なのに対し、新耐震基準の建物の大破率は10%未満

 

熊本地震(2016年):最大震度7
旧耐震基準の建物の大破率が約45%なのに対し、新耐震基準の建物の大破率は15%程度

 

この基準の差は、建物の建築の許可を得る「建築確認」が1981年の6月1日よりも前か後かによって異なります。正確には建築確認の日付を確認することが望ましいですが、当時のオフィスビルの場合建築に最長で2年程度かかることから1983年以降に完成した建物であれば、概ね新耐震基準で建築されていると判断してよさそうです。

 

旧耐震基準の場合、耐震診断・補強が行われているか

 

旧耐震基準など現在よりも低い基準をクリアして建築された物件については、現在の基準に適合していなくても直ちに違法となり、補強工事が必要となるわけではありません。(こういった建物の状態のことを「既存不適格建築物」といい最初から基準値を下回るような建築を行う「違法建築」とは異なります。)

 

旧耐震基準で建てられた建物の中にも建築された段階から現在の新耐震基準に適合している水準のものあり、また、適切な耐震補強工事がなされることにより、一定の耐震性が保証されている場合もあります。

 

こういった建物を識別する方法として「耐震診断」を受けているかが挙げられます。診断の結果、対策の必要がないという結果が出ていたり、もしくは必要な耐震補強工事が行われていれば、ある程度は安心できると言えます。

 

旧耐震基準以前に建てられた建物は賃料が安い傾向にあり、内部にリノベーションを加えることによって理想の内装のオフィスをコストをかけずにつくることも可能です。

 

築年数が古いオフィスビルをコスト面などからあえて選ぶ場合は、耐震診断を受けているか、その結果、必要な水準をクリアしている、もしくは適切な対策を行っているかが大きなポイントです。

 

現実には耐震診断の結果、耐震補強工事が必要と認定された場合、相応の費用がかかることから、そもそも診断を行っていないオフィスビルも少なくありません。(それ自体は法的には問題ありません。)

 

診断を行っていること自体がそのビルのオーナーの信用性のバロメーターにもなりうるので、ぜひ参考にしてみてください。

 

建物の建築資材も重要

 

現在、日本の建築物は用いられている建築資材によって大半は「木造(W造)」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」などに分類されます。

 

この内、木造は強度などの問題で高層の建築には向いておらずオフィスビルにはあまり用いられません。現在オフィス物件の主流で用いられているのは「S造」か「RC造」、次いで「SRC造」ですが、これらの建物の内、S造は素材の耐久性の面から言うとRC造やSRC造と比較して劣ります。

 

加えて、熱にも強いとは言えず、震災に伴って火災が発生した場合、540度以上から強度を失い始めるため、倒壊のリスクが高まってしまいます。(RC造やSRC造の場合は1,000度以上)。

 

S造のオフィスビルは建築コストがかかりにくいことから、家賃にも反映され、オフィス賃料も比較的抑えられる傾向にあります。

 

しかし、地震やそれに伴い発生する火災のような防災の観点を重視する場合はRC造やSRC造の物件を選んだほうが安心感があります。

 

(参考)高層オフィスビルは「制震」「免震」の構造も

 

建築基準法により「耐震」の基準は全ての建物に設けられていますが、超高層ビルの高層階においては倒壊しなくても揺れが大きくなる傾向があり、それが室内での什器の倒壊などに繋がるリスクもあります。

 

そこで、建物の内部に「制震ダンパー」と呼ばれる地震の揺れを吸収することで建物への衝撃を軽減する「制震構造」や、建物と地盤の間に免震装置を取り付け、建物への地震の衝撃を抑える「免震構造」などの特別な対策を取っている建物もあります。

 

こういった地震対策には高いコストがかかるため、オーナーの災害への意識が反映される部分であると言えます。

 

オフィス内部での地震対策で注目すべきポイント

 

 

オフィスビルが倒壊するリスクを軽減することがまず最優先ですが、オフィスビルが倒壊しなくともオフィスの内部で地震の対策をしていなければ、火災に繋がる可能性があったり、什器が揺れで倒れることによってオフィス内で被害が出るリスクなども生じます。

 

また、避難経路が適切に確保できなかった場合適切に避難を行うことができず、そこから被害が生じてしまう可能性も考えられます。

 

そういったオフィスの内部での地震対策について重要なポイントを挙げていきます。

 

什器の転倒対策は何よりも重要

 

まず、オフィスの防災対策において最も重要なのは棚などの家具什器やパーテーション、サーバーやコピー機など重量のある什器の転倒対策です。重量のある棚の下敷きになると人命に直結する事故になりえます。

 

また、直接は下敷きにならなくとも倒壊や揺れにより位置が動いただけでも避難経路の妨げになったり、扉を塞いでしまったりと避難に大きな支障が出る可能性も大いにあります。

 

そういったリスクを避けるためにも、家具什器が転倒するのを防ぐことはオフィス内の防災対策の最重要事項です。

 

具体的な対策としては壁や床、天井と固定したり、突っ張り棒を天井との間に設置するといった方法が考えられます。

 

また、床に耐震マットやストッパーを敷くことで床との接着性を高めることで転倒防止を行う手法もあります。

 

その際にはタイルカーペットの材質なども影響するため、要確認です。

 

平時から避難経路の確保を行うために床の整理も大切

 

有事に避難を行う際には普段より避難経路を確認し、いざという時にスムーズに避難できることが重要です。

 

ただでさえ焦っている際に床が散らかっていると転倒の原因となり怪我や逃げ遅れのリスクも生じてしまうため、いつどんな災害が起きても危険が生じないよう、平時より整理整頓を行うことが重要です。

 

オフィスの床で転倒リスクが生じるのは、とりわけ電話線やインターネット回線、電源などの配線です。

 

オフィスの規模が大きくなればなるほど複雑になりがちですが、床に伸ばしっぱなしで放置していると災害時だけでなく普段から従業員が足を引っ掛けて転倒したり、複雑に絡まって断線したりというリスクがあります。

 

天井や壁などの収納も活用しながら配線が極力オフィスのフロア上に出ないようにすることはオフィスの見た目を良くするだけでなく、安全性の確保にも重要です。

 

とりわけ、OAフロアのように床下に配線を収納する仕組みを使うことによって、複雑な配線でも床下に収納することで業務スペースは綺麗に保つことが可能です。

 

日常時から社員の整理整頓を促すことも大きなポイント

 

家具什器の転倒対策を行い、床を綺麗に整理していても社員一人一人が業務に用いる備品などを整理整頓していなければリスクになりえます。

 

例えば、棚そのものは天井と固定していても、上に段ボールが放置されていると振動で落下して命に関わる事故にも繋がりかねません。

 

また、机の上にPC等を放置しているだけでも、揺れで床に散らばることにより避難の妨げになるリスクがあります。

 

そういった思わぬリスクが大きな事故につながる可能性もないとは限らないため、普段から注意し防災も含めて整理整頓に関する意識を抱かせておくことも重要です。

 

適宜整理整頓を行うことは有事の際にリスク軽減になるだけでなく、情報漏洩などのリスクを減らしたり、業務効率向上にも繋がります。

 

オフィスの外の安全性についても要検討

 

 

オフィスの建物自体が耐震性が高く、内部での地震対策を行っていたとしても震災で発生するリスクは揺れによる倒壊やそれに伴う火災のみではありません。

 

東日本大震災のように揺れによって発生した津波が起きな被害をもたらすケースもあれば、地震により地盤がゆるみ、土砂崩れなどの二次災害によって被災してしまうようなケースも、場合によっては考えられます。

 

そういった外的要因からの災害への対応として取りうる対策についてまとめます。

 

災害リスクに関わる重要部分は「重要事項説明」で説明される

 

そもそも、オフィスの契約にあたって災害に関わるリスクとなりうる部分(建物に起因する部分や地域に起因する分)については対面での重要事項説明の中で必ず説明される部分です。

 

例えば、旧耐震基準の元に建築された物件においては耐震診断の受診の有無や、その結果を説明する義務があります。

 

また、土砂災害警戒区域や水害リスクに関わる部分についても重要事項説明の対象です。

 

ハザードマップを見ることよっても周辺のリスクを評価できる

 

重要事項説明において十分な説明が行われなかった場合でも、国土交通省の運営する「ハザードマップポータルサイト」などのハザードマップを確認することによっても、オフィスが存在するエリアが災害時に孕んでいるリスクについては簡単に調べることができます。

 

洪水や土砂災害・津波などのリスクに加えて、道路防災情報についても確認することができるため、素人目には判断がつきにくいようなリスクに関しても可視化できるため、適宜確認することが重要です。

 

災害時のオフィスからの避難経路の確保も

 

ハザードマップなども参考にしながら災害時のリスクを評価した上で、災害が起きた際にはどのような経路でどこに避難すべきかといった部分についてもあらかじめまとめた上、社員に周知しておくことも重要です。

 

また、定期的に防災訓練を実施することも有事の際に取るべき行動のシミュレーションを行うのと同時に社員の災害時の行動に対する意識を高めることにつながります。

 

災害時に事業の継続・復旧を迅速に行うBCP対策とは?

 

 

震災が起きたとき、まず優先しなければならないのは人命の確保です。次に事業の中核への損害をとどめたり、復旧を早めることで事業の継続を計ることも重要です。

 

この考え方を「BCP対策」と呼びます。

 

BCP対策を行うことにより、自社にとって中核となる事業を改めて見直したうえで、災害など不測の事態に伴うリスクを洗い出すことは、実際に万が一の事態が起きなくても改めてその対策を行うこと自体にも大きな意味が見られます。

 

企業の業態によっては事業がストップすることが人命に直結するケースもあるため、BCP対策は従業員の人命の確保と同水準に重要なケースも出てくるので、多くの企業にとって重要になりうるポイントをピックアップします。

 

災害時の通信手段の確保

 

災害時、社員の安否確認や多拠点の場合、拠点ごとの被害状況確認など迅速に通信が行えるようにすることは大切です。

 

しかし、実際には震災が起きると法人・個人問わず安否確認用途で多くの人が電話を使うため回線が混線してしまいがちです。

 

また、オフィスの電話がIP電話であった場合、停電時には使えなくなってしまうためそういったリスクも織り込んだ通信手段を確保する必要があります。

 

例えば、ソフトバンクの「おとくライン」は従来のアナログ回線のサービスで法人専用のサービスのため、災害時でも混線せず高い通信制を確保できます。

 

また、少し高額になりがちですが重要な拠点においては衛星電話を用いれば災害時でも高い通信品質を確保することができます。

 

機密データの「クラウド化」もBCP対策として重要

 

企業の重要なデータをオフィスの中のサーバーで保管することで、一般的には外部漏洩のリスクが軽減でき、安全性が確保できるような印象も受けます。

 

しかし、建物が倒壊するレベルの地震などの直面し、サーバーそのものが破壊されるような事態に陥った際、事業の継続が困難となってしまうリスクを抱えています。

 

事業の継続の可否を左右するような重要なデータはクラウドサーバーに保存する、もしくは自社サーバーとクラウドサーバーにバックアップをとって保存するといった形で確保することによってデータの安全性を保つことができます。

 

クラウドサーバーにさえ保存していれば絶対に安全、ということではありませんがどういった方法を取ることによってどのような安全性が確保でき、どのようなリスクを排除できないのかを包括的に調べることが大切です。

 

SERECTで地震対策が安心の物件と出会うことができる

 

 

オフィスの地震対策においては、オフィスの内部で対策できる部分も少なくありませんが、建物の構造や立地など、入居者側ではどうにもできない部分も大きく影響します。

 

そういった部分で認識の齟齬なく、十分に地震の際にも安心できるような条件の揃ったオフィスを見つけるには、入居者の方で必要なポイントを明確にしたうえでオーナーと直接やり取りし、不安な部分を全て解消することが重要です。

 

SERECTでは物件の貸し出しに積極的なオーナー複数とチャットを通じて同時に繋がることができます。

 

物件に誰よりも詳しいオーナーと事前にやり取りすることで地震対策も含めて納得のいく条件が揃っていることを確認できると、その後のオフィス運用も不安や懸念を減らすことが可能です。

 

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まとめ

 

 

オフィスの地震対策について、重要な論点をピックアップしてまとめました。オフィスの地震対策においては正しい知識を持ち、主に「建物」「オフィス内部」「オフィス外部」の3点について納得の行く水準の条件を選ぶに越したことはありません。

 

どれだけ対策すれば絶対に安全、といったことはありませんが必要な知識を持った上でオフィス選びをすることによって、不安を大幅に解消することができます。

 

条件の中には事前にオーナーと繋がった上でしっかりと条件を確認することによってリスクを大幅に軽減することも可能なので、ぜひ念頭に置いておいてください。

この記事を書いた人

IBASHO編集部

IBASHO編集部

オフィスで働くことをもっとたのしく・働く場所としてもっと快適に。「はたらく人を幸せにするメディア」IBASHOを運営しています。
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