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テナントのオフィス利用!意味や他のオフィスとのあり方を比較

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「テナント」という言葉は街中での「テナント募集」といった広告を見て「店」や「小さい会社」といったイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

しかし実際にはテナントとは店舗だけでなくオフィスを指すこともあり、実際現在のオフィスの運用でテナント物件を利用している形態は主要な方法の一つといえます。

今回は「テナント」について改めて意味や分類を整理し、その中でオフィスのテナントがどのようなものなのか、他のオフィス業態とも比較しながらその特徴を紹介していきます。さらに、テナント契約で失敗しないための注意すべきポイントについてもまとめています。

オフィスのテナント契約において基礎的な考え方から最適な条件の考え方まで養えるので、ぜひご一読ください。

2021年05月13日


この記事を読むのに必要な時間は約 17 分です。

 

テナントとは「借り手」の意味。オフィス物件にも利用可能

 

 

テナントは「借り手」(賃借人)という意味を持ちます。つまり、テナント募集というのは「空き物件があるのでこの物件を借りてくれる人を探している」という広告ということですね。

 

一般に「テナント物件」と呼ばれる物件に利用用途としては「店舗」「倉庫」「オフィス」といったスタイルに分類されます。

 

店舗

 

「店舗」とは、不特定多数の顧客を集客し、その顧客に対して直接サービスを提供することで対価を得るスタイルの物件です。

 

代表的なのは「飲食店」ですが、その他「美容室」「ネイルサロン」「洋服などの物販店」などといったB to Cの業態が店舗として分類できます。

 

店舗のテナントと親和性が高いのは雑居ビルの低層階やショッピングモールなど人通りが多く、元々予定していた来店者だけでなく、通りがかった人も集客できるような物件です。

 

一般的に人通りの多い駅に面した物件など、人目につく視認性の高い物件が「条件の良い物件」と考えられ、賃料も高額になる傾向にあります。

 

倉庫

 

「倉庫」は利用の緊急性の低い物品や商品の在庫などを保管しておく目的で借りられる物件です。利用用途や利用頻度次第でもありますが、アクセスや運搬の導線やセキュリティなどを総合的に考慮した物件選びが求められます。

 

一般的に物流の拠点としての利便性が高い物件の方が賃料が高額になりがちです。

 

オフィス・事務所

 

「オフィス・事務所」は主に契約している企業の従業員が業務に従事するためのスペースです。

 

「店舗」との違いは原則的に不特定多数の来客などを想定しておらず、またその場でサービスを提供し、対価を得るような業態ではなく、一般にイメージされる「オフィス」として機能している点です。

 

(商談や打ち合わせなどの来客は想定されますが、主には想定された訪問者であるため「不特定多数」にはあたらず、また原則としてその場でサービスの提供や支払いが発生することも想定されません。)

 

「オフィス」と「事務所」には明確な違いはありませんが、オフィスは一定の規模、複数の部署を抱えるような事業所を指すような言葉として使われるニュアンスが強いです。

 

一方で事務所は少人数の企業や、会社全体の中の一部の機能を置いているようなテナント物件を指す意味合いが強いです。

 

基本的には駅に近いなど立地の良い条件の物件が賃料が高くなる傾向にありますが、セキュリティなどの観点から人通りが多い立地の低層階などはむしろ好まれない傾向にもあります。

 

テナントだけでない、オフィスの様々なスタイル

 

テナントオフィス、つまり賃貸契約しているオフィスへの入居は現在小規模な企業から誰もが知っているような大企業までごく当たり前に行われているオフィススタイルです。

 

テナントオフィスではないオフィスのスタイルについて、その簡単なメリット・デメリットなどの特徴も踏まえてまとめてみます。

 

自社物件

 

まず、自社で物件を持っておりその物件をオフィスにしている、というケースが考えられます。

 

自社で物件を持っていれば当然オフィスを借りて賃料を払うといった必要はなくなります。それどころか、自社物件が自社やグループ会社で入居してもさらに余る場合は他社にテナントオフィスなどとして貸し出すことによって、不動産収益を上げることすらできます。

 

また、物件の所有者でもあるためオフィスのレイアウトなども構造や法律などの制約は受けるものの、非常に自由度の高いデザインを展開することが可能です。

 

メリットの大きな自社物件ですが、当然自社で物件を所有するためには莫大な初期費用、もしくは高額なローンなどを組む必要があり、そもそも選択肢としてハードルが高く設定されています。

 

また、固定資産税や修繕費などの費用はどうしても必要になってくるため、賃料収入が思うように得られないと、かえって所有していることでキャッシュフローが悪くなってしまうリスクがあります。

 

加えて、オフィスの移転などを考える際テナントで入居しているのであれば解約すれば足りますが、自社で物件を所有している場合は物件をその後どうするのかなど検討した上で売却など工数のかかる手続きが必要になる可能性もあります。

 

自社物件のメリット

 

・支払う賃料が発生しない
・テナントを入居させることで不動産収入を得られる
・オフィス改装の自由度が非常に高い

 

自社物件のデメリット

 

・そもそも物件を所有するハードルが高い
・固定資産税や修繕費など物件を持っているが故のコストが発生する
・移転のハードルが上がる

 

シェアオフィス

 

シェアオフィスとは、運営会社が展開している複数の法人が入居することが想定されたワークスぺースのことを指します。

 

一般的にシェアオフィスには自社用の占有スペースとラウンジ・フリースペースのような共有スペース、そして応接室・会議室なども共有で使うことができます。

 

1人~数人の規模の企業の場合、自社でオフィスの会議室を契約していると単純計算でその面積分の賃料が上がるにも関わらず、利用頻度は高くないため、余計なコストになりがち。

 

それを複数の企業でシェアすることにより、相対的に安いコストで使うことができるのは大きいメリットとなります。

 

このように料金面の優位性や利便性の高さが特徴的な一方で、共有スペースにも占有スペースにも自由度が低いことがデメリットとして挙げられます。

 

また、リソースのシェアは費用面では優位ですが、当然利用したいときに利用できないリスクも生じます。

 

メリット

 

・自社の占有スペースも確保でき最低限のセキュリティは担保できる
・リソースをシェアすることにより、利用コストを抑えられる
・初期費用などが通常のテナントと比べてかかりにくい

 

デメリット

 

・空間を自由に使える裁量が低い
・共有リソースは好きな時に利用できないリスクがある

 

コワーキングスペース

 

コワーキングスペースはシェアオフィスと似た形態ですが占有スペースがなく、共有スペースの中で好きに仕事をするようなスタイルが一般的です。

 

コスト面ではかなり抑えることができ、初期費用の安さや契約の柔軟性(月払い~都度利用まで)の高さが魅力ですが、占有スペースがないことからも一定以上の人数のいる法人のオフィスの在り方としては現実的ではありません。

 

メリット

・コストがかかりにくい
・契約の自由度が高い

 

デメリット
・スペースを自由に活用できる裁量が一切ない
・そもそも一定以上の規模の法人の形態として現実的ではない

 

バーチャルオフィス

 

バーチャルオフィスとは空間ではなく「事業用の住所」を貸し出すサービスです。法人登記が可能であるほか、郵便の受け取りや、電話・ファックスなどの回線を引いて自分の携帯に転送したり、場合によってはオペレーターのサービスも使えます。

 

テレワークなどで、完全に自宅やカフェなどのリモートワークで回っているような組織が活用できるスタイルですが、そもそもオフィスとしての空間が存在しないことが不便になる可能性もありえます。

 

メリット
・コストが非常に低い
・各種転送や代行などのサービスが充実している

 

デメリット
・そもそも基本的に空間を提供していない

 

テナントでオフィスを利用するメリット

 

 

ここまで比較材料としてテナントオフィス以外の形態について紹介してきましたが、改めて別の形態と比較しながらテナントでのオフィス利用のメリットをまとめていきます。

 

必要十分な広さの占有スペースを確保できる

 

テナント物件であれば、募集している物件の中から自社に必要十分なスペースを兼ね備えている物件を選ぶことができます。

 

空間の需要は長期的には変化していく可能性もありますが、現状のニーズや将来予測されるニーズを予めシミュレーションした上で必要な物件を探すことにより、契約中にスペース不足で悩むことや余分な面積の分まで賃料を払うといった懸念を抑えることができます。

 

オフィスのレイアウトをある程度自由にできる

 

テナントオフィスは物件の構造、法律およびオーナーの意向による制約はあるものの、一定の裁量のもとに自由にオフィスを改装して利用することができます。

 

エントランスや会議室をこだわってデザインするだけでも、社員のモチベーション向上や、来客者向けの企業のブランディングにも大いに活用することができます。

 

固定資産を抱える必要がない

 

毎月のオフィスの家賃は「固定費」としての支出はあるものの、物件自体は所有していないため、テナント形式でオフィスに入居している場合は固定資産税の課税や、物件の資産計上などの必要はありません。

 

移転などの自由が比較的ききやすい

 

移転に伴いテナントのオフィスを解約する場合、一般的には6ヵ月前から解約予告通知を出し、具体的な退去・移転に向けての準備を行う必要がります。

 

居住用の賃貸物件のケースや、オフィス入居でもシェアオフィスの場合に比べると解約できるまでの縛りが長く不便な印象も受けますが、仮に自社ビルであった場合は移転に伴い自社ビルを売却するのか、他社に貸し出すのかなど含めて事情が複雑になります。

 

基本的には解約予告をすれば解約できる契約形態はオフィスとしては比較的動きやすいといえます。

 

テナントでオフィスを利用するデメリット

 

 

一方で、他のオフィス形態と比較した際のテナントオフィスのデメリットをまとめていきます。

 

入居時に多額の初期費用がかかる

 

オフィスの入退去時の費用に関しては次の項目で改めてまとめていますが、テナントオフィスに入居する場合の初期費用は敷金や仲介手数料などを考慮すると家賃の3~15ヵ月分程度が必要です。

 

レンタルオフィスなどと比較し非常に高い初期コストが発生する可能性もあるため、条件は事前によく確認する必要があります。

 

オフィスの改装に制約がかかる可能性がある

 

テナントオフィスの場合、シェアオフィスなどと比較すると、オフィスを自社の望むようにレイアウトをつくり変えることができる可能性があります。

 

自社ビルと同様構造や法律面での制約を受けるのは当然のことですが、加えて貸主との契約の内容や、契約にない場合貸主からの直接の意向などによって、オフィスの改装に一定の制約がかかる可能性があります。

 

そもそも大規模な改装の予定がなければ、それほど気にすることでもありませんが、空間にこだわりを持ちたい場合はよく注意すべき事項です。

 

退去時に手続きの手間や、原状回復工事の費用がかかる

 

テナントオフィスを契約した場合、解約時には借りた時の初期状態に戻す義務があります。自然な経年劣化を除いた借主の故意・過失によって生じた修繕費を負担するだけでなく、オフィスに改装を加えていた場合、それを元の状態に戻す費用も発生します。

 

たとえば、カフェのように天井が剥き出しとなっているスケルトン天井などの改装工事はオフィスの雰囲気の変えるのに非常に効果的ですが、天井を抜くのに費用が発生した上、さらに元に戻す際にも費用が発生します。

 

テナント物件で必要となる契約から退去までの費用の相場

 

 

テナントに入居する場合、契約してから退去までに必要な、「オフィスに必要なコスト」の概算費用をまとめました。

 

具体的な金額は契約・条件によっても大きくことなるため、参考程度にご確認ください。

 

入居時

 

入居時にかかる費用は、入居そのものにかかる費用および、内装工事費用です。

 

・貸主、仲介業者に支払う費用

 

敷金(賃料3~12ヵ月分)、礼金(賃料最大2ヵ月分)、火災保険料(年間1万円程度)保証委託料(賃料1ヵ月分※保証会社に加入する場合)、前家賃(最大賃料1ヵ月分)、仲介手数料(賃料1か月分)

 

最大で賃料15ヵ月分の費用を用意する必要があると抑えておきましょう。なお、敷金は家賃の滞納や償却費用などがなければ原則として契約終了後に返還されます。

 

・内装工事費用

 

50坪以下の場合、1坪あたり5~10万円程度、50坪以上の場合1坪あたり10~15万円程度

実際はどのような工事を行うかによっても金額が変動します。

 

入居中

 

入居中には当然ながら毎月の家賃が発生します。また、契約の内容によっては契約が更新を迎えるごとに更新料が発生します。

 

退去時

 

退去時に物件に関する費用は償却費という費用が設定されていない限り、原則として特別に何か発生はしません。ただし、契約期間および満了前の解約に対する違約金の定めがあった場合はその違約金は支払の対象となります。

 

また、原状回復の工事費が発生します。相場としては以下のようなものですが、手を加えた内容によってはさらに高額になる可能性もあります。

 

原状回復工事費:50坪以下の場合、1坪あたり3~5万円程度、50坪以上の場合、1坪あたり6~8万円程度

 

まとめ

 

 

オフィスの「テナント」が意味するところについて、他にテナント物件との比較や、オフィス形態との比較も行いながら解説を行いました。

 

テナント物件のオフィスを賃貸契約することは現在多くの企業で現実的に選択されているものであり、自由度や利便性などのバランスが他の方法と比較して望ましいと考えられがちな方法でもあります。

 

ただし、オフィスの賃貸契約は長期かつ高額な契約になるため、物件のミスマッチがないよう細心の注意を払って契約することも求められます。自社のニーズを把握するともに貸主と直接つながる、という方法も含め事前にしっかりと調整を行った上で入居することも大切です。

 

この記事を書いた人

IBASHO編集部

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オフィスで働くことをもっとたのしく・働く場所としてもっと快適に。「はたらく人を幸せにするメディア」IBASHOを運営しています。
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