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フリーアドレスで生産性向上?成功事例や実現のためのステップを解説

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近年の時代の需要も相まって、従来のオフィス環境に縛られない柔軟な働き方を導入することが企業にも求められています。

そんな中で今、オフィスの在り方として再度注目を浴びているのが「フリーアドレス」。固定の座席を設けず、自由な席での働き方を実現することがコスト削減や生産性向上、さらにはフルリモートでの働き方を段階的に実現する鍵にもなりえます。

今回は「フリーアドレス」について実際に実例を挙げながら、そのメリットや導入に際して気を付けるべきポイント、さらに実現するための方法や費用感についても解説していきます。
フリーアドレス導入の是非の判断や、導入にあたっての疑問点の解消の参考になるのでぜひご一読ください。

2021年05月13日


この記事を読むのに必要な時間は約 18 分です。

フリーアドレスとは?生産性向上に繋がる新しいオフィス形態

 

 

まず、フリーアドレスがそもそもどういったオフィスの様式なのかや、なぜ今再び注目を浴びているのかなど、概要を解説します。

 

フリーアドレスは近年、再注目されている「座席表なし」のオフィス様式

 

フリーアドレスとは、社員一人ひとりに特定の座席(アドレス)を付与するのではなく、オフィス空間の中で好きなスペースに着席して業務を行わせるワークスタイルです。

 

仕事に使うPCや書類などは普段はロッカーやキャビネットに保管し、必要に応じて持ち歩く形式で、各社員はその時々の状況に応じて働くスペースを選択することができます。

 

フリーアドレスが注目されているのは近年の話ですが、実はフリーアドレスの構想そのものが一番最初に提唱されたのは1980年代です。
当時は社員一人あたりに割り当てる区間の面積を大きくすることや、空席率を考慮し適切なサイズまでオフィスの規模を縮小することにより固定費を削減することが主な目的でしたが、当時はそれほど浸透はしませんでした。

 

その後、IT技術の発展により業務におけるペーパーレス化、クラウド化が進みました。そういった背景から、より現実的・効率的なフリーアドレスの運用が可能になると同時に、単にコスト削減にとどまらない社員のモチベーション向上や、コミュニケーション促進による効果が期待され、フリーアドレスが再び注目されています。

 

フリーアドレスはリモートワークとの相性も抜群!移行の足掛かりにも

 

現在社会情勢などの影響からも在宅ワーク・リモートワークが半ば強制的に推し進められていますが、従来の固定席のオフィス業態からいきなりのリモートワーク導入は障壁が高い面も多々あります。

 

フリーアドレスは一般的な定義としてはオフィス内に出勤することを前提としその着席場所を指定しない状態ですが、フリーアドレスで組織を回すことができるようになると、固定デスクでの業務からの脱却が進み、社員をオフィスに出勤させなければならない必要性も薄れてくるため、リモートワークの導入も円滑になります。

 

それこそ本当の意味で、座席ではなく居場所そのものを問わない「フリーアドレス」が実現します。

 

フリーアドレスのメリット

 

 

フリーアドレスがどういったものか、なぜ今さらに注目を集めているのかご理解いただけたところで、改めてフリーアドレスのメリットについてまとめていきます。

 

既存の「オフィスで働くとはこういったもの」という垣根が取り払われることで、働く社員のモチベーション向上、新たなイノベーション創造の足掛かりになるだけでなく、コストや資源の消費抑制にも繋がります。

 

オフィスの固定費の削減につながる

 

フリーアドレスにすることで、社員一人当たりに割り当てなければならない面積を削減することができるため、単純にオフィスの固定費を削減することに繋がります。

 

自由度が上がり、モチベーション向上になる

 

フリーアドレスになりオフィスのレイアウトが変更され、また座席に固定もされなくなります。物理的にも精神的にも、社員の働き方の自由度が上がります。

 

オフィスのレイアウトによっては、カジュアルに会話しながらイノベーションを期待したり、黙々と作業に集中したかったりと状況によって席を変えることも可能です。また、椅子・机や照明が異なるだけでも気分が変わるため、すこし席を変えるだけでも良い気分転換になり、集中力を切らさないなどの効果も期待できます。

 

いわゆる、事務デスクとは異なった、カフェの中で使うような机や椅子などを活用することで、社員が気分転換を進めることに繋がります。
こういった自由度の向上は、社員のモチベーションに直結する可能性も十分期待できます。

 

組織の垣根を超えたコミュニケーションが可能になる

 

デスクが固定されていると、必然的に会話するのは同部署の間や、仕事で密接に関わる部署に限定されがちです。しかし、フリーアドレスで座席が自由になると息抜きの雑談なども含めて今までそれほど関りが無かった部署同士の交流も盛んになり、組織としてのコミュニケーションが円滑になること、社内の風通しがよくなることが期待できます。

 

また、場合によっては今まであまり関わることのなかった部署同士の関わりが増えることによって、イノベーションが生まれる場合もあるかもしれません。

 

ペーパーレス化が促進される

 

フリーアドレスになると、固定でデスクを持っている場合と比べて自分が使う物品を持ち歩く必要が出てきます。これまで紙媒体だったリソースに関しても、必然的にオンラインに以降する必要がでてきます。

 

最初は多少不便なことが出てくるかもしれませんが、ペーパーレス化を推し進めることによって最終的には業務効率が向上するだけにとどまらず、紙のコスト・印刷コストが削減されることで経費が抑えられることや、環境に配慮したCSRの部分にも活きてきます。

 

クリーンデスクが促進される

 

自分のデスクが割り当てられていると、仕事が忙しい方や整理整頓が苦手な方の場合はついつい机に書類などをため込んでしまいがちです。

 

しかし、フリーアドレスであればそもそも物理的にため込んでおける机が存在しないため、嫌でも整理整頓せざるを得ない環境になり、クリーンデスクが促進されます。
フリーアドレスの主たる目的ではありませんが、副次的な効果としても業務効率やセキュリティ面の向上に期待できる部分です。

 

リモートワークなどさらに柔軟な働き方の足掛かりとなる

 

先述の通りですが、フリーアドレスは現在時世の流れを受けて促進されている在宅ワーク、リモートワークとの親和性も高いオフィスレイアウトです。

 

元々はメンバーが固定の座席で仕事をすることで物理的にマネジメントができていたものが、フリーアドレスになると、別の形で管理、評価を行う必要がでてきます。
そういったマネジメント体制が確立すると、最終的にはそもそもフリーアドレスでなくともオフィスに出社する必要性自体が低下し、在宅ワークや、自宅でもオフィスでもなく、旅行先からなどのリモートワークでも容易にオペレーションがとれるようになります。

 

フリーアドレスのデメリット

 

様々な観点からメリットの大きいフリーアドレスですが、一方で導入することにより従来のオフィスのオペレーションが通用しなくなることによるデメリットやリスクもあるため、注意しておきましょう。

 

マネジメントが難しくなる

 

社員が固定の席につかなくても良くなることは逆に言えばマネジメントする側からすると、部下がどこにいるのかが即座に分からず、管理の手間がかかるようになるリスクがあります。

 

中にはマネージャーの目が届きにくくなることで、業務にコミットしなくなるようなメンバーが出現するかもしれません。
リモートワークのマネジメントと通ずるところがありますが、定性的にではなく定量的に業務を評価するなど、マネジメント方法そのものを再考する必要がでてくるかもしれません。

 

セキュリティが下がる可能性がある

 

機密性の高い情報を扱うような業種・職種の場合、フリーアドレスにすることにより、紙媒体であれ、Web媒体であれ、その情報の秘匿性を維持するのが難しくなるケースがあります。
セキュリティ上懸念のあるような業種・職種においては特に慎重に設計を行うか、もしくはそもそもフリーアドレスにすることに適さないケースでは導入そのものを控えたほうが良いかもしれません。

 

集中し辛くなる環境になる可能性がある

 

フリーアドレスのレイアウトにすると、「自分の席」といった概念がなくなります。また、メンバー間のコミュニケーションが活発されるということは、逆にいえば周囲で会話が盛んに行われることで集中し辛い環境になる可能性もあることを意味します。
対策としては、フリーアドレスのレイアウトの中に、オープンに会話を行いやすいスペースと、少し離れて周囲の音を遮断し一人の業務に集中できるようなスペースを設けることなどが挙げられます。

 

導入にコストがかかる

 

従来のような形のオフィスをとっている企業がフリーアドレスのスタイルを導入するには、後述しますが一定のコストがかかります。
レイアウト変更は当然のこと、場合によっては電話やデータ通信の配線を変えたり、業務フローそのものが変更になりシステム側の改修が必要な可能性もでてきます。場合によっては高額の初期費用が発生するため、導入後の効果がしっかりと期待できるかを慎重に検討した上で着手する必要があります。

 

また、大規模な改装などを行う場合は、オフィスを利用できない期間、代替の環境を用意する必要があり、そういった追加コストの評価も見逃せません。

 

フリーアドレスが形骸化する可能性がある

 

最後にフリーアドレスそのもののデメリットではありませんが、フリーアドレスのレイアウトのオフィスを実現してもそれが形骸化してしまう可能性もあります。
すなわち、レイアウトやルール上は席を自由とするような形式をとっても、結局チーム単位で座席が実質的に固定されてしまうようなケースです。

 

フリーアドレス化を実現しても、その恩恵を現場が受け取ることができなければ、かけたコストが無意味になってしまいます。
なぜフリーアドレスを実現するのか、その意義やメリット、実際にどのように活用すればよいのかなど事前の周知をしっかり行うことが求められます。

 

フリーアドレスの成功事例

 

 

フリーアドレスにはデメリットもあり、中にはフリーアドレスそのものが適していない業種もありますが、適切な業種でフリーアドレス化に成功すると、社員の満足度が向上したり、業務効率が改善されたりといった効果が得られるケースもあります。

 

実際にフリーアドレスの成功事例をいくつか取り上げていきます。

 

株式会社レコモット

 

 

フリーアドレスオフィスにしたい企業必見!導入事例3選

 

テレワークのセキュリティ向けソリューションを開発している株式会社レコモットでは、カフェ風の解放的なフリーアドレスの空間をオフィスに設けています。
こういったスペースで気分転換しながら仕事をしたり、カジュアルな打ち合わせをしたりと好きな形で活用できる一方で、エンジニア向けに業務に集中できる執務スペースも設けることでバランスをとっています。

 

株式会社ジブンハウス

 

 

フリーアドレスオフィスにしたい企業必見!導入事例3選

 

「スマホで家を買う」をコンセプトに、VRでの内覧やセルフでの見積を提供している株式会社自分ハウス様では大学のラボのようなレイアウトでのフリーアドレスを導入しています。
部署ごとではなく、プロジェクト毎に座る形を採用することで、横のカジュアルなつながりが促進され、コミュニケーションが促進されています。

 

また、毎月最終金曜日にはピザやアルコールを片手に、さらにフランクに情報共有を行う「サンクスフライデー」が導入されており、イベントを用いてフリーアドレスでの目的達成を後押ししています。

 

自社組織でフリーアドレスを実現するには?

 

自社組織でフリーアドレスを検討する場合、基本的な考え方として

 

①今オフィスをフリーアドレスの仕様に変更する
②フリーアドレスを実現するのに適したオフィスを探す

 

の2通りが考えられます。それぞれのメリットやどのように実現していけばよいかといった部分を解説していきます。

 

既存のオフィスをフリーアドレス仕様に変更する

 

現在利用しているオフィスを利用することを前提とする場合、フリーアドレスを実現するためには

 

・レイアウト変更、配線変更の工事
・社内のシステムをフリーアドレス仕様に整える
・事前に説明のもと、順次システムや運用を切り替えていく

 

といったアクションが必要になってきます。オフィスそのものの移転が伴わない分、移行にかかる工数や費用は比較的抑えられる可能性が高いですが、既存の業務に支障が出ないよう計画的に切り替えていく必要もでてきます。

 

なお、フリーアドレスとの親和性の高いシステムとしては、空席の確認・座席の予約や、誰がどの席もしくはどの事業所で仕事をしているかを把握できる「OFFTICKET」(株式会社 日本オープンシステムズ)や、デスクの裏にビーコンを貼り付け、スマホアプリからデスクを予約できるシステム「Suwary」(プラス株式会社)などが挙げられます。
システムの導入に莫大なコストをかけることなく直観的に使いこなせるシステムでフリーアドレスの懸念の一部を解消しうる選択肢です。

 

フリーアドレスに適したオフィスを探す

 

現在のオフィスを改造してフリーアドレスにする需要がある一方で、移転に伴いフリーアドレス化を検討しているケースも多いのではないでしょうか?
そもそもオフィスの移転自体が費用や手間のかかるアクションであり、単にフリーアドレスを実現するために移転する場合はその費用対効果は慎重に検討する必要があります。

 

とはいえ、新しい物件を検討している段階でフリーアドレスの構想があるならば、オフィスの内装工事段階からフリーアドレスに適したレイアウト設定や配線工事などを行うことができます。
また、移転前から新オフィスでのフリーアドレス化を事前告知することや、可能な環境から徐々にシステムを移行していくなど、準備も比較的スムーズに進めることができます。

 

オフィスをフリーアドレス化するための概算費用

 

 

フリーアドレスのオフィスを実現するための概算費用として目安を解説します。実際は様々な状況により大きく異なるケースもあるため、参考程度の指標としてご確認ください。

 

既存のオフィスを改装する場合

 

既存のオフィスをフリーアドレスに改装する場合の目安は
改装費用の目安:坪単価×10~15万円
程度の費用が目安です。

 

システムの改修などが必要な場合は別途その部分の費用も必要になります。

 

なお、自社ビルの場合など改装後原状回復工事の必要がない場合は不要ですが、賃貸オフィスで原状回復が必要な場合は
原状回復費用の目安:坪単価×5~10万円
程度が退去時に将来的に必要になります。

 

新たなオフィスを探す場合

 

新たなオフィスを探す場合はオフィスの工事費用に加えて、「フリーアドレス化実現」のための費用ではないですが、別途オフィスの賃貸契約の初期費用も発生します。

 

①新たなオフィスを契約する場合の初期費用の目安:物件の家賃の3~15ヵ月分程度
(内訳:保証料(もしくは敷金)、礼金(個人所有の場合など)、仲介手数料、前家賃・管理費)

 

②オフィスの工事費用の目安:坪単価×15~20万円

 

まとめ

 

 

フリーアドレスは、導入に成功するとコスト削減と同時に社員のモチベーション・生産性向上にもつながり、さらなる幅広い働き方の実現に段階的に移行するにあたっても取り入れやすいスタイルです。

 

しかし、導入するにあたっては既存のオフィスを改装するにせよ、新たなオフィスを探すにせよ、一定のハードルがあり、導入後に期待していた効果を得られなければかけたコストを回収できなくなるおそれがあります。
フリーアドレスの運用開始にあたっては目的を明確化するとともに、社員に対して事前に理解を得た上で導入していくことが奨励されます。

 

また、フリーアドレスのオフィスを実現するにあたってはレイアウトや設備など、適した環境で行うことも重要です。必要な条件を理解した上で、場合によっては直接貸主とやり取りできる形で物件の選定を行うことも選択肢に入れることも大切かもしれません。

 

この記事を書いた人

IBASHO編集部

IBASHO編集部

オフィスで働くことをもっとたのしく・働く場所としてもっと快適に。「はたらく人を幸せにするメディア」IBASHOを運営しています。
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