- オフィスインタビュー
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もっとユーザーと「わかりあう」ため、配信・イベントスペースを設置。ミラティブの新オフィス
スマホゲームは好きですか? ゲーム配信を見たことはありますか?
今回、取材に訪れたのは、ライブ配信プラットフォーム「Mirrativ(ミラティブ)」を運営する株式会社ミラティブ。スマホゲームを手軽に配信でき、視聴者とのコミュニケーションを楽しめるアプリを提供している会社です。
迫力満点のイラストが描かれた扉と、リアルタイムのゲーム配信の様子を写す画面が目を引くエントランスで、大泉さんが出迎えてくれました。
1988年生まれ。2012年に株式会社trippieceへ入社しコーポレート業務からライティング旅行企画など幅広く業務を担当。2016年に株式会社フンザに入社し、チャットサポートの立ち上げ・カスタマーサポートマネージャー・メディア事業マネージャーを担当後、執行役員に就任。2018年に株式会社ミラティブへ入社後はコーポレート担当者としてオフィス移転・組織活性施策立案実行・日々の細かい業務まで幅広く球拾い。
目次
アバター「エモモ」がキュートなゲーム配信サービス「Mirrativ」
卯岡
扉の絵のインパクトがすごいですね……! 横の壁に映し出されているのは、サービスのデモ画面なのでしょうか?
大泉さん
ありがとうございます。あれは、サービスのライブ映像ですね。では、中の会議室にどうぞ。
卯岡
ホイミ……。会議室の名前、非常に見覚えのある言葉です。
大泉さん
ゲームに出てくる呪文ですね。ゲーム、やられますか?
卯岡
パズルゲームのようなものしかやらないのですが、それでも「あ、この言葉は」とわかりました。
大泉さん
有名ですよね。最初は代表が音楽オタクなため、ロックアーティストの名前を付ける話も出ていたんですが、今の形に落ち着きました。「会議室名に使える呪文は何だ?」と考えた結果、回復系に統一されています。
卯岡
回復できる会議室……。
大泉さん
回復できる会議室……というわけではないですが、回復系呪文に統一されているほうが良いかなと。攻撃系呪文の部屋にお客様をご案内するのもちょっと嫌じゃないですか?(笑) 事業が目指すイメージにも合うかなと思っています。
卯岡
どういったイメージなのでしょうか。
大泉さん
当社のミッションは「わかりあう願いをつなごう」、サービスのコンセプトは「友達の家でドラクエやってる感じ」です。ひとり用のRPGゲーム「ドラゴンクエスト」を友達がプレイする様子を、みんなで囲んで見ているイメージですね。
卯岡
友達と一緒にプレイするのではなく?
大泉さん
はい。実際にプレイしているのはひとりでも、周りから友達が「あ、そこそこ!そこに敵がいる!」とか、「わー! 惜しい!」と口を出してくることで楽しめる……みたいなことってありましたよね。
卯岡
なるほど。ダメ出しとか、アドバイスとか。
大泉さん
そうです。当社が提供している「Mirrativ」というアプリが、まさにそうした体験をスマートフォンゲームで再現したサービスなんです。
卯岡
詳しく教えていただけますか?
大泉さん
自分の好きなゲームをプレイする様子が配信できるんです。ただ、YouTubeとは毛色が異なります。YouTubeの場合は、人気コンテンツになれば何十万人もの視聴者がつきますよね。それに対し、Mirrativは視聴者が50人くらいの配信が多いんです。
卯岡
視聴者数が多すぎないことよるメリットは何なのでしょうか。
大泉さん
先ほどお話した「友達が周りから声をかけてくる感じ」がサービスのコンセプトです。つまり、ゲームを軸としてコミュニケーションを取れるコミュニティサービスがMirrativの目指す形なんですね。視聴者が多すぎないことで、配信者と視聴者との間でコミュニケーションが取りやすくなるんです。
卯岡
なるほど。ゲーム配信と聞くと、基本的にゲームが上手い人が行っているイメージがあります。あまりにも下手だとライブ配信しづらい気がするのですが……。
大泉さん
それが、そうでもないんです。実は私も一時期配信してみたことがあるんです。人気パズルゲームを配信していたんですが、私は本当に超下手で。すると、視聴しに来てくれた大学生くらいの男の子が、的確なアドバイスをし始めてくれたんですね。
卯岡
優しい!
大泉さん
途中からは、もうほぼ答えを教えてくれていました(笑)。ゲームの話だけではなく、今の学生が何をして遊んでいるのかとか、「仕事、大変だね」と労いの言葉をかけてもらえるなど、雑談も楽しんでいましたよ。
卯岡
そこまで円滑なコミュニケーションが生まれるのは、何かサービスに工夫があるのでしょうか。
大泉さん
まずは、「エモモ」ですね。いわゆるアバターです。これですね。
▲大泉さんの名刺の裏に描かれていた、大泉さんのエモモ
卯岡
かわいい……!
大泉さん
私が配信時に使っていたエモモです。カスタマイズができまして、顔や髪形、服装などを自分好みに変えられます。「手を振る」など、動きも指で操作できます。口は配信者の声に合わせて動くように作られています。
卯岡
すごい。生きている感がありますね……!
大泉さん
エモモの世界観は「サードプレイス」なんです。映画「サマーウォーズ」、ご存知ですか?
卯岡
はい。アバターたちが描かれていましたね。
大泉さん
あの世界が「サードプレイス」です。学校や仕事といった現実世界でつらいことがあっても、楽しい時間が過ごせて、コミュニケーションが取れる場所ですね。常連さんも生まれやすいので、よりコミュニケーションが活発化しやすいんです。ひとりで遊べるゲームをしているのに、ひとりじゃなくなるんですよ。
卯岡
別の場所にも居場所があると、安心にも繋がりますね。
大泉さん
はい。また、コミュニケーションがよりはかどるように、4人まで実際に通話できるコラボ通話機能も付けました。通話も配信されます。
卯岡
ラジオのゲストみたいな。
大泉さん
そうです。あとは、2019年5月からカラオケを配信できる「エモカラ」も始めました。エモモが歌っている様子が配信されます。
卯岡
かわいい……。
社員同士が「わかりあう」ための工夫とは
卯岡
ミラティブさんのコーポレートサイトに、「わかりあう願いをつなごう」がミッションとして掲げられていました。アプリの内容からコミュニケーションを大切にされていることが伝わってきましたが、社内で「わかりあう」ために何か工夫されていることはありますか?
大泉さん
社内制度としてあるのは、「こんにちはシート」や「プレミアムエモイデー」、「なじみ飯」ですかね。
卯岡
何やら変わったネーミングですね。ひとつずつ詳しく教えてください。
大泉さん
「こんにちはシート」は、子どもの頃に流行っていたプロフィール帳みたいなものです。
卯岡
「好きな食べ物は~です。趣味は~」みたいに、空欄を埋めていくシートですね。卒業前なんかに特に書き合っていた。
大泉さん
それです! そうした雛形をGoogleドライブ上に作って、入社時にSlack内の専用チャンネルに投稿してもらっています。アカウントのプロフィール部分にも貼って、いつでも見られるようにして。ここ1~2年で始めた取り組みですね。
▲実際の「こんにちはシート」
卯岡
なぜ始めたのですか?
大泉さん
メンバー同士、興味を持つきっかけを作りたかったんです。互いに興味が持てない組織は、いずれ壊れてしまいます。良好な人間関係はロイヤリティにも繋がりますしね。プロフィール帳形式にしたのは、書くのが苦手な人でも書き進めやすいものにしたかったためです。
卯岡
なるほど。「プレミアムエモイデー」は何なのでしょうか。
https://note.com/jakaguwa/n/n91708759cc38
大泉さん
いわゆる「全社会」ですね。経営陣から、事業の状況や戦略を共有する会です。また、会の中に「最近あったエモい話」を各自発表する時間を設けているんです。テレビ番組の「すべらない話」みたいなイメージですね。最後には、トップオブエモい話を選んでいます。
ミラティブ公式note:「プレミアムエモイデー」とは?自己開示の心理ハードルを下げる運営のコツ
卯岡
おもしろいですね。
大泉さん
これからどんどん大きくなっていく組織なので、社員の人となりを知る機会がほしいということ、「エモい」がミッションにもリンクする感情であることが始めた背景にあります。
卯岡
どういった話が寄せられますか?
大泉さん
家族が登場する話が多いですね。Mirrativを甥っ子がやっていて、帰省時に盛り上がれた、といったものとか。もちろん、Mirrativ関係なくカジュアルなエピソードもあります。エモいのハードルを上げたくないので、「こういう話でもいいんだな」という雰囲気づくりを意識しています。
卯岡
あまりにも素晴らしいエピソードばかりになると、話しづらくなってしまいますもんね。
大泉さん
そうならないようにしていきたいです。
卯岡
あとは「なじみ飯」ですが……。
大泉さん
こちらは端的にいうと飲み会の補助制度です。新入社員になじんでもらうところに課題を感じていたので、代表と考えて始めたものですね。ただ、一般的には「1人2,000円会社負担」と会社の負担額が定められていますが、当社では「社員負担が2,000円」と逆になっているのが特徴です。
卯岡
太っ腹ですね。
大泉さん
会社のルールは、基本的に性善説で考えているんです。「上限がないなら5万円のメニューを食べに行っちゃおう」といった使い方もできてしまうわけですが、そこは「みんな大人でプロなんだから、匙加減をわかって利用するだろう」と。実際に良識ある使い方をしてくれていますよ。あまり会話したことがない人を誘って飲みに行くメンバーが多いです。
卯岡
自ら誘える方が多いんですね。
大泉さん
誘う側の言い訳として使えるんですよ。「一緒に行くと、なじみ飯が使えてお得だから行かない?」って。ハードルを下げるためにある制度なので、活用されているのは嬉しいですね。
使い勝手の良いシンプルさがこだわり。ミラティブのオフィス見学ツアー
2019年7月に、渋谷から今の目黒オフィスに移転してきたミラティブ。重視したのは、シンプルさだったといいます。誰もが疑問を持たずに使えるオフィスを目指したかったのが、シンプルさを重視した理由です。
インパクト大の「エントランス」
卯岡
何度見てもこのエントランスのインパクトはすごいですね。
大泉さん
むしろ、派手な場所がエントランスくらいしかなくて。移転作業を急ピッチで進めなければならなかったため、オフィスデザインにあまり時間をかけられなかったんです。次はコンセプト作りから練って計画したいと思っています。
広々とした開放感のある空間「会議室」「イベントスペース」
▲会議室
扉を開けた先には、広々としたスペースが。移転後、イベントが行えるスペースを新たに設けました。奥に見える空間は、インタビューで利用した会議室。
卯岡
壁に飾られているイラストがかわいいですね。
大泉さん
これはMirrativユーザーさんが描いてくれたファンアートです。
卯岡
愛されているのがわかりますね……!
▲隅にはボードゲームが。アナログゲーム好きの社員もいるのだとか
音漏れを気にせず配信可能な「防音会議室」
▲壁が布張りになっている防音仕様の会議室
ミラティブの会議室のうち、2部屋は防音仕様。毎週火曜日に配信しているクイズ番組「ミラティブQ」の収録や社員が配信をするときに使われているのだそう。
大泉さん
社内に声が外に漏れると、どうしても気になってしまうため、防音仕様にしました。
よりよいサービスへの議論の場「畳スペース」
執務スペースは、イベントスペースや会議室のあるフロアとは別フロアにあります。特徴は奥にある畳スペースです。
卯岡
居心地がよさそうです。
大泉さん
休憩スペースとして利用するほか、毎日の夕会、毎週月曜と金曜の全体会議、毎週水曜日にユーザーフィードバックを行う場としても活用しています。
卯岡
ユーザーフィードバックでは何を行っているのですか?
大泉さん
Twitterやアプリストアに寄せられている書き込みや評価コメントを共有しています。定期的に行うことで、認知の度合いに差を生じさせずに済むんです。プロダクトに関わるメンバーに限らず、全職種の社員が集まるため、各々の観点から意見を出し合い、議論する場にもなっています。
卯岡
その積み重ねが、よりよいサービスに繋がっていくんですね。……あ、ここにはゲームもあるんですね。
大泉さん
ゲーム好きが多い会社なので(笑)。みんなで遊ぶこともありますよ。
執務スペース内の配信スペース「だんぼっち」
執務スペース内の一角にある、扉付きの小さなスペース。こちらも配信用スペースです。
大泉さん
「だんぼっち」という段ボール製の簡易防音室を設置しました。防音室と同じく配信用として使われています。
▲だんぼっちの手前には、集中スペースも
▲社員の多数を占めるのはエンジニアとデザイナー。フィードバックを重ねることで、より愛されるサービスへと進化を続ける
もっと楽しいゲームライフを送れるサービスを目指して
「あつまる、つながる、一緒にあそぶ スマホゲームのおともに」。2019年10月にミラティブが掲げたタグラインです。
ひとりでも楽しく遊べるスマホゲームは、誰かと繋がることでもっと楽しいものになる。ミラティブのオフィスは、目指す「友達の家でゲームをやっている感じ」を実現させるため、社員同士がコミュニケーションや議論を活発に交わせる場でした。