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週休3日制の働き方ってどんな制度?|導入のメリット・デメリットも徹底解説

一般的に多くの企業では週休2日制もしくは完全週休2日制を設けています。しかし最近、テレビや新聞で週休3日制という文字をよく見かけるようになったとは思いませんか?週休3日制が実際に導入されることでどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。今回は導入が検討される理由や実際の導入事例と合わせてみていきます。
目次
週休3日制ってどんな制度?
週休3日制とは、1週間7日あるうちの3日を休日として過ごせる制度。…なのですが、そこまで単純にはいかないのが難しいところ。というのも、単に休みを1日増やして給与は変わらず、というわけにはなかなかいかないからです。
そのため、週休3日制を導入するには大きく2つのパターンに分けられます。
1日あたりの勤務時間を増やして休日を増やす
通常1日8時間週5日勤務、週の労働時間は40時間であったものを、1日10時間週4日勤務で40時間働く、その代わり給与は減額無しというパターン。メリハリをつけて働きたい!という人にとっては適している働き方でしょう。
1日に増えた2時間分については、通常勤務の前後1時間ずつで増やすパターンと後ろに2時間増やすパターンとで別れることが多いようです。
週あたりの労働時間と給与を共に減らして休日を増やす
1日8時間勤務は変わらず、週の労働時間も減るのでそれに伴い給与も減額されるパターン。1ヶ月の給与で見れば4日分減額になるというわけです。
例えば元々が完全週休2日、月収20万円とすると、おおよそ4万円が減額されることになります。給与よりも挑戦したいことがある!という人にとっては適している働き方でしょう。
週休3日制が検討される理由
ではなぜ今週休3日制の導入が検討されるのでしょうか?その理由は現在政府が力を入れて取り組んでいる「働き方改革」により、ワークライフバランスの改善が注目されていることにあります。
例えば「働きすぎ問題」としてあげられる過労死やサービス残業への対応、育児や家族の介護などの理由で満足に働くことができない、もしくは逆に仕事のために介護ができないなどの問題の解決が挙げられるでしょう。また、休日が増加することによる消費拡大を必要とする社会状況も挙げられます。
週休3日制を導入するメリット
では、週休3日制を導入することによってどのようなメリットが得られるのでしょうか。
人材確保しやすくなる
深刻な人手不足問題が挙げられる中、週休3日制を導入することで労働者にとって魅力的な労働環境を提供し、多様な人材や優秀な人材の確保に繋げることができます。
また、仕事を細分化し、一人あたりの業務量を減らし、増員した社員に回すことができれば企業としての総生産量には影響がない状態を作ることも可能でしょう。
生産性の向上
週休3日制にすることで、週5日かけて行なっていた業務を4日でこなさなければならなくなるため、業務の効率化が求められることになります。7日のうち3日休むということは、1週間の約半分を休める状況になるので、メリハリをつけて働けることが期待できます。休日が増えることでモチベーションアップに繋がり、生産性の向上が見込めることになるでしょう。
プライベート時間の充実
趣味の時間や自分の時間が増えることでプライベート時間を充実させることができます。資格取得のための勉強時間など、自分をスキルアップさせるための時間に当てる人もいるでしょう。また、平日に休みが取れるので、役所や銀行などの平日にしかできない手続きなども余裕を持ってこなすことができます。
プライベートの時間が充実することでリフレッシュにもなり、仕事に対するモチベーションのアップや集中力のアップも期待できます。
キャリア中断の必要がなくなる
育児や介護にあたり、離職するまでとはいかずとも育児休暇の取得によりキャリアを一時離れることになり、休暇が終わった後ちゃんと復帰できるかなどの不安がつきまとうものです。また、保育園の関係などですぐに復帰できないというケースもあり、退職をせざるを得なくなってしまう人もいます。そんな中週休3日制になれば、仕事を続けながら労働時間を短くすることで心的負担を軽くしたり、子供との時間を確保できるようになります。
通勤の負担削減
仕事に向かう「通勤」の時間をストレスに感じている人は大勢います。1都3県在住のサラリーマンの通勤時間の平均は片道58分なんだとか。1日往復2時間と考えれば、週5日で10時間もの時間が通勤にかかっていることになります。時間だけ見てもかなりのストレスですが、さらに満員電車に乗ると考えると精神的な負担は大きいと言えるでしょう。これが週1日、1ヶ月で4日減るだけでもだいぶ楽になるはずです。
参考:https://www.athome.co.jp/contents/at-research/vol33/
週休3日制を導入するデメリット
では、今度はデメリットについてもみていきましょう。
1日の労働時間が増える
「1日あたりの勤務時間を増やして休日を増やす」パターンを取る企業に起こるデメリット。生産性の向上というメリットとも相反することになります。
勤務時間や仕事量の帳尻を合わせるために長時間労働することになってしまえば、それだけ勤務日の負担は増えることに繋がるでしょう。また、残業時間が増えることも懸念されています。
収入が少なくなる
「週あたりの労働時間と給与を共に減らして休日を増やす」パターンを取る企業に起こるデメリット。せっかく休みがあっても給与が減ってしまえばプライベートにかけるお金も減ってしまいます。また、生活そのものに支障が出るという人もいるでしょう。
コミュニケーションロスが生まれる
週休3日制にすると必然と平日のどこか1日が休みになるわけですが、週休2日制の会社が多い現状、他企業とのズレがでる可能性が挙げられます。このデメリットを解消するためには、リモートでも休み中のやりとりが可視化できるチャットツールを導入する必要があるかもしれません。
週休3日制を導入している企業事例
では、すでに週休3日制を導入している企業について、どのパターンで導入しているのか、どのような目的で導入しているのかについて事例をみていきましょう。
ファーストリテーリング
ユニクロでおなじみのファーストリテーリングでは、「地域正社員」として働いている約1万人の従業員に対して、働き方の多様性に対応するために導入しています。
「変形労働制」を利用した働き方で、1日10時間×土日を含む週4日の勤務で、給与は通常のフルタイム勤務(8時間×5日=週40時間)と同額で支給されます。お休みは週に3日、平日に取得する形態。
社員には家族と過ごす時間や自己啓発のための時間に費やしてもらい、仕事とプライベート共に充実させることが導入の狙いのようです。
ウチヤマホールディングス
介護事業を展開しているウチヤマホールディングスでは、週休3日制を平成27年度より福岡県などの施設をはじめ、全国69施設で働く職員2100人を対象に導入しています。
こちらも「変形労働制」を利用しており、1日10時間×週4日勤務で給与はフルタイム勤務と同額。そして従来の週休2日と3日を社員が自由に選択できる選択式を採用している形態です。
労働条件を選べることで、よい人材の確保に繋げたいというのが導入の狙いのようです。
日本IBM
日本で最初に週休3日制を導入したとも言われているのが日本IBMなんです。
日本IBMでは全社員を対象に「短時間勤務制度」を導入。制度利用の理由は原則不問となっています。勤務形態は週3日勤務、週4日勤務、週5日勤務(労働時間はフルタイムの60%)、週5日勤務(労働時間はフルタイムの80%)、の4つの中から選択可能で、給与は労働時間に応じて減額される方式。しかし成果主義の面が強い会社のため、必ず不利になるとも限らないそうです。
エンジニアの多い日本IBMでは、仕事と私生活の両立に悩むエンジニアが多いことからワークスタイルの選択肢を増やす狙いがあるそうです。
シーエーセールススタッフ
アパレル業界向けの人材会社シーエーセールススタッフでは、「気分で出勤制度」というユニークな形態で導入しています。
どのような制度かといえば、週2日の休日に加え、3日目の休日ではなく「自由に勤務できるフリー出勤日」と定義。業務に関するやり取りが必要な場合には、オンラインやテレワークで対応するため、電波の届く場所にはいなければならないという決まりになのだとか。
「職場環境を向上させて、優秀な人材の退職を防ぎ、さらに活躍してもらおう」という発想から導入しており、社員のモチベーションを上げる狙いがあるようです。
まとめ
まだまだ課題も多くあるとはいえ、今後週休3日制を取り入れる企業は増えてくることでしょう。また、週休3日制の他にも、時短勤務やアニバーサリー休暇、変形労働制など、正社員の働き方にも多様性が生まれ、働き方の選択肢が増えるかもしれません。
自分のライフスタイルに合った働き方を選択ができることで、「働きやすさ」や「働きがい」も生まれてくるのではないでしょうか
企業としても、ただ流れに乗って制度を導入するだけではなく、今後どんな会社を目指していきたいのか、そのためにはどんな制度が必要なのか、なんのために導入するのか、といった「目的」を考え進めていくことが、新しい制度を成功させる重要な鍵になることでしょう。