- オフィスインタビュー
-
関わる人すべてに「価値を、本気で」。オフィスづくりにもにじむ、PIGNUSのタグライン
未開拓の領域に分け入り、未解決の社会課題を解決することで、誰かを幸せにできる。誰かに提供した幸せを足がかりに、自らもビジネスパーソンとして存在意義を証明できる──。
自分を含めた誰もが幸せになることを目指すPIGNUSのタグラインは、上場を射程距離に捉えたベンチャー企業らしい熱量の奥に、「誰か」を思う暖かな人間味を感じさせます。彼らが3ステップ目に選んだ六本木のオフィスにも、躍進する企業ならではの創造性と確信性の中に、働く仲間への優しさが満ちていました。
新オフィスに込めた思いや展望について、プロジェクトを主導した同社取締役・松浦大輔さん、全体のデザインを担当したクリエイティブディレクターの大久保洸平さんにお話を伺いました。
アジア6か国10拠点・従業員2,500名以上を有するBPO企業にて経営企画に従事。複数の新規事業の立ち上げやM&Aの実施、上場準備・人事・営業などに携わる。その後、ファイナンスを中心としたコンサルティングを手がける中でPIGNUSに出会う。同社の提供する圧倒的な価値を目の当たりにし、この価値提供を強めていく一助になりたいとジョインを決意。2020年4月、取締役就任。
代表の水戸氏とは前職の同期。クリエイティブ部門で9年間実績を積み、PIGNUSがクリエイティブ組織を立ち上げるタイミングでジョイン。「1000億企業にならなかったら解散する」との言葉に強く共感し、ここでなら新たな組織の立ち上げにトライしてみたいと思ったという。水戸氏とは地元が同じで、偶然にも母親同士が友人という奇縁も。
起業家精神と多様性に満ちたサンフランシスコがコンセプト
――スタイリッシュな中に遊び心のある、素敵なオフィスですね!
大久保さん
ありがとうございます。全体のコン セプトは、移転前に代表の水戸が行ったサンフランシスコなんですよ。サンフランシスコは、ベンチャー企業がしのぎを削るエリアのすぐ近くにチャイナタウンがあるような、とてもエネルギッシュな街なんだそうです。
常識にとらわれない雑多な空気感の中で生まれるアイデアは、未知の領域に挑む自分たちに必要なものだと水戸は感じたようでした。オフィスのデザインについて話し合う中で、サンフランシスコの街で得た着想をオフィスに反映しようということになり、ビジネスに集中するエリアと遊びのエリアを隣接させたんです。
▲仕事場でありながら、仕事を忘れて過ごすこともできるスペース。執務スペースとは床のデザインから変えている
松浦さん
全社員にアンケートもとっていたよね。
大久保さん
ほしいもの、あると良いものなど、自由に出してもらいました。飲み物や甘いお菓子などをオフィス内で買いたいという希望が多かったので、ウォーターサーバーを入れたり、購入できる軽食のバリエーションを増やしたりしています。
――自分の意見が反映されるのは、社員の方にとってもうれしいでしょうね。執務スペースは、事業部ごとに区切られているのですか。
松浦さん
バックオフィスや開発のメンバーもいますが、チームとしては大久保が率いるクリエイティブチーム、新規事業チーム、Webマーケティングチームの3つに大別されます。
出社か在宅かの選択は個人に任されているものの、Webマーケティングチームは出社が多く、新規事業チームは半々、クリエイティブチームはほぼ在宅と、業務の性質によって出社状況に違いがあります。
また、Webマーケティングチームは一人で黙々と取り組む仕事が多く、他の2チームは闊達に意見を交わして組み立てていく仕事が多いなど、業務の進め方にも違いがあるんですよ。
そこで、遊びのエリアに続くスペースに新規事業チームとクリエイティブチームを、壁を挟んで反対側にWebマーケティングチームを配置しました。
▲個々の仕事に集中しつつも、ふとしたコミュニケーションが生まれやすいWebマーケティングチームのデスク
▲それぞれ異なるコンセプトをもつ会議室
大久保さん
新規事業チームには今年から新卒が2名入り、研修などで比較的多く出社していますね。また、クリエイティブチームはほぼテレワークなので、出社したときには賑やかにコミュニケーションをとります。壁を作ったことで、異なるチームに属する各人がうっすらとお互いを意識しつつ、かと言ってそれぞれの作業の邪魔をすることなく、良い距離感で仕事ができる環境が整いました。
事業化の判断基準は、未解決の社会課題に、独自の価値を提供できるか否か
──チームのお話が出たところで、御社の事業について教えていただきたいです。
松浦さん
私たちは、事業ドメインには制約を設けず、「価値を、本気で。」をタグラインとしてすべての事業活動を行っています。創業以来、Webマーケティングのコンサルティング事業を軸として、既存事業で得た利益を積極的に新規事業に投資してきました。
事業部ごとに異なるミッションに取り組むことも多いため、コアの部分はブレないように、タグラインを行動指針としています。
――価値提供する対象は絞られているのですか。
松浦さん
まだ解決策が存在しない、未解決の社会課題であることを前提として、私たちの強みであるIT、Web領域の技術と知見で価値が提供できるか否かを見極めています。
価値が提供できるのなら全力でやる。価値が提供できない、あるいは提供できるのが他の誰かと同じ価値ならやらない。その線引きは徹底していますね。
――明確な強みがあるからこその幅広いチャレンジで、ワクワクしますね。差し支えなければ、今取り組んでいる事業についてお聞かせください。
松浦さん
既存事業のWebマーケティングのコンサルティング事業では、Web広告の運用やSEO対策といった個別最適からWebマーケティングの全体最適にシフトするにあたり、全チャネルを横断的に支援できる方法を構築しています。その実現方法として、今年からは独自のソフトウェアと独自の仕組みを用い、クライアントの課題解決に邁進しています。
また、今年度中には、企業の特性にフィットしたSaasの選定を支援するサービスをローンチする予定です。
▲Webマーケティングを横断的に見るうえで、クリエイティブチームのパフォーマンスは重要と話す大久保さん
───コンテンツマーケティングやWeb広告の領域で成果を出すには、クリエイティブの質も問われますね。
大久保さん
Webマーケティングを一気通貫で見るプロセスにおいて、クリエイティブが果たす役割は大きいと自負しています。トップクラスのデジタルマーケティング企業で培ってきた自分自身の知見に加えて、新たに採用した方の技術とアイデアで、クリエイティブの面からも自社サービスの価値とオリジナル性を高めていきたいですね。
この場所から、PIGNUSの新たな10年を
――事業の成長に合わせて採用を強化し、組織の規模も着実に拡大している印象です。今回の移転は、さらなる組織拡大が目的ですか。
松浦さん
一つ前の麹町のオフィスには3年いましたが、最後のほうは出社率7割ほどでもかなり手狭でした。
事業計画上、今後は毎年30名前後の増員を予定しているため、とにかくしっかり広さを確保できるオフィスが必要だったんです。会議室も少なく、早い者勝ちで取り合いの状況でした。
せっかく出社してくれているメンバーにより良い環境を提供したい、と常々思っていましたね。
――それで、ここまで内装にもこだわられたんですね。
大久保さん
そうですね。天井と床を黒基調にしたのは、オフィス感が出すぎないようにするためなんですよ。執務スペースでもリラックスして仕事ができるような、「来たい」と思える場所にしたかったんです。
ちょっと面白いのは、商談用の会議室に卓球台を置いたら、思いのほかガチで卓球をしている社員がいること(笑)。海外では卓球しながら商談することがあると松浦に聞いて取り入れたんですが、従業員の良いコミュニケーションの場になっているようです。
▲練習のかいあって、社員の卓球の腕も上がっているそう
――チャイナタウンのほうは、アイテム一つひとつに雰囲気があって、とてもすてきです。
大久保さん
とことん再現性を追求したいと思って、ほとんど自分たちで手配しました。中国のECサイトで購入して、海を渡ってきたアイテムも多いんですよ。
▲海外からPIGNUSにジョインしたアイテムの1つ
▲ターンテーブルはなんと特注品
――移転後、社員の皆さんの反応はいかがでしょう。
松浦さん
出社する人が増えましたね。内装はもちろん、このビル自体の空気感がシンプルに「来たくなる場所」なんですよ。移転して初めてわかることですが、オフィスを構える場所はとても重要ですね。
大久保さん
最近、新しく入った社員が「社内に音楽を流しませんか?」と提案してくれたんですよ。オフィスをもっと居心地良い場所にしたいと思ってくれているんだなと、すごくうれしかったですね。
私自身も、移転してから各段に出社率が上がりました。以前は、集中したいときはオフィスを出て近くのカフェに行ったり、コワーキングスペースに行ったりしていましたけど、今は確実にオフィスのほうが集中できます。
▲お酒を飲みながらゆるやかに広がるコミュニケーションを
――最後に、今後のオフィスの活用法について、展望を聞かせてください。
大久保さん
移転前も、オフィスの一角にお酒が飲めるスペースがあって、金曜日の17時以降は自由に飲みながらコミュニケーションを取ることができました。
移転後は、お酒の種類も、その周りのスペースも充実しています。偶然近くにいた人同士が声をかけあって飲みながら話せるような、事業部を超えたゆるいつながりがこの場所から広がっていくといいですね。
松浦さん
世の中に価値あるものを本気で提供していく、私たちの信念はこれからも変わりません。
成長速度が速い業界で、ChatGPTをはじめとした新しい技術も次々に登場する中、「価値」という抽象的な言葉をどれだけ具体化して事業に落とし込んでいけるかが勝負。新オフィスを足掛かりに、新たな10年に向けて準備を進めていきたいと思っています。