- オフィスインタビュー
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多様な人が行き交う「街」のようなオフィスに!ユーザベースの新オフィス
オフィスの拡張を検討し始めた矢先、コロナ禍によりゼロベースから「自社にとってのオフィス」を見つめ直したという株式会社ユーザベース。1人で集中して行う作業は家でいい。オフィスは人が集まり、クリエイティブな活動をするための場だと振り切り、三菱ビルへの拡張移転に踏み切りました。
コンセプトは「共創」「熱」「象徴」がキーワード。目指したのは「街」だという新オフィスについて、Waku Work(わくわく)チームでオフィス移転の担当者を務めた林さん、チームリーダーの星野さんにお話を伺いました。
株式会社ユーザベース HR Domain WakuWork Team
2014年にユーザベースに入社し、総務チームの立ち上げから今に至る。
社員にもっとわくわく働いてもらいたい、自分達もわくわく働きたいという想いで、WakuWorkTeamに名称変更。
一般的な総務業務やオフィスファシリティはもちろん、社内コミュニケーション施策もチームの重要ミッションとし、多方面から「働く」を支えるチームとして奮闘中。
株式会社ユーザベース HR Domain WakuWork Team
2019年、SNSに投稿されたWakuWork Teamというチーム名を目にして、なんておもしろい会社なんだろう、と同級生だった星野にコンタクト後、縁あってユーザベースへ入社。前職での経験から、ファシリティとガジェット関係の管理を担当。
副隊長として参加した移転が竣工をむかえたが、より働きやすいオフィスに改善するためなお奮闘中。
目次
コロナ禍によりあらためてオフィスの意義を考えた
卯岡
NewsPicks(ニューズピックス)と聞けば知らない人はいないのではとも思うのですが、あらためてユーザベースさんの事業内容をご紹介いただけますか?
星野さん
ユーザベースは、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」をパーパスに掲げています。経済情報プラットフォーム「SPEEDA」やソーシャル経済メディア「NewsPicks」を提供しているほか、スタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL」やB2B事業向け顧客戦略プラットフォーム「FORCAS」、企業変革ソリューション・プラットフォーム「AlphaDrive/NewsPicks」など全9事業を展開しています。
卯岡
今回、2022年7月に、ここ三菱ビルに移転されましたが、これまでにどのような移転をされてきたのでしょうか。
星野さん
2008年に3人の創業者により立ち上げられたときは、品川のマンションの一室でした。8.95坪のワンルームとベンチャー企業らしいスタートで、当時はSPEEDAを開発・販売していました。オフィスを構えようとなったのは1年後の2009年で、10〜20名ぐらいの規模で、赤坂の33坪のオフィスだったと聞いています。そこからまた人が増え、1年後の2010年に外苑前の63坪の物件に移転しています。
卯岡
コンスタントに広げてこられたのですね。
星野さん
そうですね。そこからまた人が増え、今度は2年後に別の外苑前のオフィスに移転し、124坪になりました。創業時と比べると爆発的に人が増え、50〜60人に達していたと聞いています。人数の急増で組織としての壁にぶつかり、ユーザベースのバリューを言語化した The 7 Valuesを作ろうという話が浮上しました。私が入社したのが、このオフィス時代の終わりごろです。その後、2014年12月には恵比寿に移転し、300坪ほどにまで拡張しました。
卯岡
なるほど。
星野さん
恵比寿時代は2回目のメンバー急増期で、2018年、500名を超えたタイミングで六本木に移転しました。3階に130坪のイベントスペースがあり、13階に500坪弱の執務スペースを設けました。その後が、今回の三菱ビルの1400坪のオフィスです。現在、人数は800名弱ですね。
卯岡
ありがとうございます。会社の成長とオフィスの拡張移転の歴史がよくわかりました。移転する際、規模に合った大きさのほか、何かこだわりはあるのでしょうか。
星野さん
創業間もない頃はわからないのですが、私が入社し、外苑前から恵比寿に移るときには、「本当にこのまま都心にい続けるのか」という議論が起きたこともありました。通勤ラッシュの流れと逆方向で行ける場所、たとえば横浜あたりにオフィスを構えたほうが、みんなが働きやすい環境になるんじゃないかとか。自然も多かったり、おそらく都心よりも坪単価が安くなるでしょうから、一人ひとりの面積を広く取れるのではないかと考えたんですね。
卯岡
一理ありますね。でも、結論としては恵比寿への移転となりました。決め手はなんだったんですか?
星野さん
色々な物件に足を運んでみて、たまたまこれだ、と思える物件があったというのが理由です。雰囲気も良い街ですし、駅から少し離れたところに新しくできた中層のビルで、サイズ感もちょうどよかったんです。社員が働く環境をまず1番に考えつつ、オフィスというのは立地を含めてその会社のブランドを表すものだと再認識したプロジェクトでした。ちょうど、ベンチャー企業が都内の西側に集まっていた時期でもありましたね。
卯岡
そして、今回三菱ビルへの移転となりました。丸の内へと、再びエリアも移った形になりますね。
林さん
移転を検討しているとき、資本業務提携をさせていただいた三菱地所さまにご提案いただいたのがきっかけで、三菱ビルへの移転を決めました。
前のオフィスがパンパンになり、サテライトオフィスか本社移転かをする必要に迫られていた矢先、コロナ禍がやってきて、一時的にリモートワークを余儀なくされたんです。
星野さん
そこで、あらためて今拡張移転をするのかといった議論を行いました。もともと出社義務がない会社なので、やろうと思えば全社完全リモートにもできるんです。でも、そうするとユーザベースのカルチャーの伝播がどうしても弱まってしまうんじゃないかと。
創業者メンバーが創業時から「できるだけワンフロアで、顔を合わせて仕事をしたい」という想いを抱いてきたこと、コロナ禍はすぐには収まらず、うまく付き合っていくしかないものになるだろうという考えから、オフィスの意味を「人と顔を合わせ、共創していく場所」だと振り切ることにしました。
卯岡
今回のオフィスのコンセプトは、「『共創』が起こる場所」「『熱』を生む場所」「『象徴』となる場所」だと伺っています。これらが振り切ったことで生まれたコンセプトだということですね。
林さん
そうですね。オフィスに強いこだわりを持つ梅田(梅田 優祐:ユーザベース共同創業者、現 非常勤取締役)が作ったコンセプトです。3つ目の「象徴」に関しては、物件をご提案いただいた三菱地所さまが「丸の内を変えたい」という想いをお持ちだったことも影響しました。コンセプトを考えていくなかで、多様性を表したいという想いになり、いろいろな人がいる街をオフィスで表現できないかという話になりました。
卯岡
林さんや星野さんはどのような立ち位置で移転に携われたんですか?
林さん
私は移転に関する実働部分を全体的に担いました。星野は経験が長いため、いろいろなサポート役を担当しました。
卯岡
では、さっそくオフィスを拝見させてください!
街らしさで多様性を表現!ユーザベースのオフィス見学ツアー
「共創」「熱」「象徴」をコンセプトに、街を表したユーザベースの新オフィス。パブリックゾーンと執務エリアとに大別されますが、いずれもオープンでフラットな雰囲気が特徴なのだとか。さっそく、見学ツアースタートです!
壁やブラインドなし!明るくオープンな空間を重視
卯岡
非常に明るい雰囲気が印象的ですね。
林さん
ありがとうございます。私は六本木オフィス時代に入社していまして、壁のない明るく顔が見渡せるオフィスが特徴的だなと思ったんです。その文化は新オフィスでも崩したくないと思い、今回もオープンな空間を意識しました。
そのため、執務エリアもコワーキングスペースのような作りにしています。ブース型のオープンスペースなど、ミーティングや打ち合わせがしやすい場所もたくさん作り、多様な働き方ができるようにしました。
星野さん
実は、六本木オフィスには当初壁があったのですが、梅田が「なくそう」といって取り払ったという経緯があるんです。仕切りの曇りガラスも、「なんで曇りガラスにしたの?」と疑問に思うほどで、とにかくオフィスはカルチャーを体現する場所であり、働いている姿をお客様にも見てもらおうという考えの元、オフィスづくりをしてきました。
卯岡
楽しく働けそうな空間だなと感じます。
林さん
私たち総務は「Waku Work(わくわく)チーム」が社の正式名称なんです。わくわく感がお客様にも伝わったら嬉しいですね。ちなみに、オフィスに来たがる社員が多いのもうちの特徴なんですよ。コロナ禍の際は出社ストップをかけないと社員が出てきすぎてしまうという事態が起こったほどでした。
卯岡
それはすごいですね!
▲空間を仕切る面もクリア。
「熱」を生むイベントスペース
卯岡
広々としたスペースですね!
星野さん
イベントが開けるよう、広いスペースを3つほど用意しました。
林さん
前のオフィスでは、コロナ前まで1日に3つイベントが同時開催されることもあったんです。時には社外のイベントスペースを借りる必要があるほどで、社内ですべて開催できるよう、多めにスペースを作りました。
星野さん
すでに新オフィスでもイベントを開いていまして、お客様からもお褒めの言葉をいただいています。
オフィス内に道!?街らしさを感じられるスポット
卯岡
ここはオフィスらしからぬ場所ですね。公園のようです。目指されていた「街」というイメージが伝わってきます。
林さん
ありがとうございます!100メートルほどの細長いエリアに縁石を敷き詰めて道を作りました。ベンチやバス停、電話ボックスも用意して、より街感を演出しています。
▲来客の目を引くダクト型のデジタルサイネージ
卯岡
うわ、これは目を引きますね!デジタルサイネージですか?
星野さん
はい。ダクト型のデジタルサイネージです。経済情報がダクトの中に流れているのをイメージして作られていて、オフィスにはなかなかない仕掛けなんじゃないかなと思います。
林さん
来社されたお客様から「ここ最近のオフィスで1番驚いた」と言っていただいていまして、デジタルサイネージはその驚きの1つなんじゃないかなと思います。作って良かったです。
卯岡
インパクト大です!
オフィスを起点に「わくわく」を発信していきたい
すでにイベントも開催しているという新オフィス。今後について、林さんは「Waku Work(わくわく)チームという名の通り、みんながわくわくできるイベントや仕掛けを社内外に仕掛けていきたいです」と語ってくれました。
「経済情報を身近に感じてもらいたいのがユーザベースの想いです。オフィスには制約があるのが現実ですが、できたら一般の方も入れるような場所にできれば嬉しいです。コミュニティがそこから生まれるような、地域の象徴にできたら」と続けた星野さん。「社外の人との交流が少ない総務同士が関われる場も作っていけたら」と想いを語りました。
丸の内、そしてユーザベースとしての新しい象徴たる新オフィス。今後の場づくりへの取り組みも楽しみなオフィスです。