- オフィスインタビュー
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ザ・事務的空間だったオフィスを居心地のいいナチュラル空間にリニューアル!ジットのオフィス
コロナ禍でオフィスを利用する人数や頻度が減り、「オフィスの価値」について考えるようになった企業も多いでしょう。
そんな中、既存オフィスのリニューアルを行ったジット株式会社。今、オフィスに予算をかける理由や想いについて、お話を伺いました。
目次
メインはリサイクルインクカートリッジ事業。でも、保育事業も冠婚葬祭事業もやってます!?
卯岡
ジットさんの事業内容を教えてください!
石坂さん
時代が求める商品、サービスを提供し、社会貢献を続ける会社です。2021年7月に31年目を迎えました。私はそのタイミングで事業を引き継ぎ、代表取締役社長に就任しています。現在のメイン事業は、プリンターで使うリサイクルインクカートリッジの製造販売です。本社と工場が山梨県にあり、ここ東京は営業本部ですね。他にも、北海道、東北、山梨、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄にも営業拠点があります。
卯岡
沖縄まで!「時代が求める商品、サービス」ということは、創業から今までいろいろな事業をやられてきたということですか?
石坂さん
そうですね。最近ですと、コロナ禍で一時的に不足したマスクやアルコール消毒液の製造販売も行いました。
卯岡
作れる設備があったのでしょうか?
石坂さん
いえ、機械を買ったんです。
卯岡
わざわざ!?すごいですね。
石坂さん
必要なものを必要なだけ売っていこうというのが社の想いなんですよ。他にも、本社のある山梨では、保育園事業や冠婚葬祭事業、名産品であるぶどうを使った食べるジュースの開発製造業なんかも行っています。
卯岡
本当に多岐にわたっているんですね。あらためて、メイン事業であるリサイクルインクカートリッジ事業について教えてください。
石坂さん
大手メーカーのインクカートリッジを回収し、再利用可能なカートリッジを綺麗にし、チップをリセットしてインクを詰め、リサイクルインクカートリッジとして販売する、というのが大まかな流れです。家電量販店の一角で、回収ボックスを見かけたことはありませんか?
卯岡
あります!
石坂さん
そうしたボックスの一つが、当社のものなんですよ。ジットの回収ボックスは全国に1万7000個ほどあり、定期的にボックスに貯まった使用済みインクカートリッジを回収してきています。インクカートリッジは年間1億個が流通しているのですが、そのうちの26%である2600万個を回収し、リユースしているんですよ。現在、当社のインクカートリッジが占める国内シェアは10%です。
卯岡
リサイクルではなく、リユースなんですか?
石坂さん
はい。インクカートリッジはゴミとして捨てることができるのですが、それは環境面においてよくないねという話がありました。そこで再利用する事業を始めたのですが、再利用には「リサイクル」と「リユース」とがあるんですね。リサイクルの場合、一度プラスチック部分をばらして原料に戻し、再び作り直すという流れになります。一方、リユースの場合は元のものを綺麗にして詰め替えるため、1番ゴミが出ず、CO2の排出量も少ないんですよ。
卯岡
環境問題に貢献できる仕組みなんですね。
石坂さん
そうなんです。回収してきた使用済みインクカートリッジがすべてリユースできるわけではないため、集めてきたカートリッジを選別する必要があります。その選別作業をしているのが、障がいを持っている方たちです。NPO法人で雇用し、働いてもらっています。そのため、山梨の本社ではいわゆる健常者と障がい者とが共に働いているんです。そうしたオフィスはあまりないのではないかと思います。
卯岡
事業内容だけではなく、働き方の部分でも社会貢献されているんですね。今回、東京の営業本部をリニューアルしたのはなぜですか?
石坂さん
東京の営業本部の注目度といいますか、社内での価値の高さを認識してもらいたかったからです。7つある営業拠点の中でも、やはり東京拠点が担う役割は大きく、全社売り上げの大半を占めています。本社は山梨ですが、商談のほとんどは東京で行うため、会社の屋台骨といっても過言ではないんです。東京で働く従業員たちのモチベーションが下がると、会社が傾くと言ってもいい。それくらい重要な拠点なんだよ、ただの営業拠点ではなく営業本部なんだよということを、社内外に発信したいという思いがありました。
卯岡
夏に社長になられたとのことですが、リニューアルの検討を始めたのも同時期だったのでしょうか。
石坂さん
いえ、検討自体は2021年に入ってからです。そこから取り組み始め、完成は8月くらいですね。移転ではなくリニューアルなので、社員が働いている片隅でリニューアル作業を進めなければならないという苦労がありました。
卯岡
では、さっそくオフィスを見学しながら、より詳しいお話を伺っていきたいと思います!
【オフィス移転事例】オフィス構築、オフィス移転プロジェクトの事例を読む
「ここが営業本部だ」と伝えたい!ナチュラルな雰囲気に一新されたジットのオフィスツアー
既存のオフィスをリニューアルし、営業本部として社内外に恥ずかしくない内装に。さっそく、ジットのオフィスを見ていきましょう。
「ナチュラルな見た目にしたい」こだわりはロゴにも
卯岡
ホームページを拝見していて、コーポレートカラーはブルーなんだなと思っていたので、入ってすぐのロゴが白くて驚きました。
石坂さん
従業員たちと話して、ナチュラルな見た目のオフィスにしたいと決まったんです。そのため、あえてロゴも雰囲気に馴染むよう、白を選びました。
卯岡
従業員の方たちもオフィス作りに参加されたんですね。
石坂さん
インテリアの選定は、主に従業員たちが行いました。メインで携わってくれたのは3名の女性たち。オフィスで仕事をする時間が長いこともあり、彼女たちが心地よく働ける環境にしたいなと思ったんです。
「昭和のオフィス」からナチュラルテイストへ。明るく様変わりした執務スペース
卯岡
壁一面が窓で、とても明るい印象ですね!
石坂さん
いや、でも窓があるだけでは明るい雰囲気にはならないんですよ。
卯岡
どういうことでしょうか。
石坂さん
リニューアル前のこの場所は、床が灰色のカーペット敷きでして。ザ・昭和時代のオフィスみたいな雰囲気だったんですよね。
▲以前のオフィスの様子。確かに今と比べると少々暗い印象を受けます
卯岡
確かに……。今の床は木の風合いがいい雰囲気を醸し出しています。床の印象って大きいんですね。
▲リニューアルした床
▲販売店の売り場に設置するPOPも自社で作成する。大きなサイズのものも扱えるよう、作業台は広々
石坂さん
デスクも明るい色合いの木製のものに統一しました。これらも従業員が選んでくれたものです。
卯岡
以前のオフィスと比べると、何となく広くなったようにも思うのですが……。
石坂さん
デスクを減らしたからでしょうね。現在、東京には20名ほどの従業員がいるのですが、コロナ禍以降、仕事内容によっては直行直帰するようになったんです。じゃあ、全員分の専用デスクはいらないよね、と。
常にオフィスで働く必要があるメンバー以外のデスクは減らし、誰でも使えるデスクを用意することにしました。これまでは「対面こそベスト」といった社風で、朝礼や営業会議もすべて出社した上で行ってきたのですが、そういうのもやめようと。
業績が落ちるのではと心配だったんですが、やってみると変わらなかった。今後、もしコロナが落ち着いたとしても、直行直帰スタイルやオンライン会議をやめることはないと考えています。また、すっきりしたのは配線関係を整えたことも関係しているかもしれません。
卯岡
だから、洗練された雰囲気になったんですね。
石坂さん
ザ・オフィス家具といったものをやめましたので。ラックも無機質な銀色の金属ラックを使いがちですが、従業員からの評価がいまいちだったので、雰囲気のいいものに買い替えました。
▲下段には扉もついていて、見るからにすっきり!
卯岡
この画面は何ですか?
石坂さん
山梨の本社、工場とつないでいるものですね。通話もできるようになっています。その横にあるのは、営業所の数字ですね。目に見えるようにしています。
卯岡
リニューアル後に従業員の方に喜ばれたのはどういうところでしょうか。
石坂さん
デスクは人気ですね。木製のものに変えただけではなく、昇降機があるタイプのものにしたんですよ。気分や仕事内容に応じて、みんな自由に高さを変えながら仕事をしています。
▲各々が集中しやすい姿勢で仕事に取り組みます
間仕切りを作ってできた会議スペース
今回、最初に話を伺った会議スペース。実はこの場所も、今回のリニューアルで誕生したスペースだったのだそう。
▲モニターの背後に見える壁が、今回新しく作った間仕切り壁
石坂さん
実は、執務スペースの奥にある壁や会議スペースの壁は、今回のリニューアルで新しく作ったものなんですよ。
卯岡
え!では、元はワンフロアだったんですか。
石坂さん
そうなんです。当社のメイン事業はリサイクルインクカートリッジ事業ですが、同時にオリジナル製品の開発、販売も行っています。ペーパーレス化が進み、インクカートリッジの使用量も減っていますからね。
家電量販店、ホームセンター、スーパーマーケット、ECサイト、ディスカウントストアなど販売網は多岐にわたり、こうした商社的な動きを今後強めていきたいと思っているんです。そのためにも、お客様とお話しできる場所がいります。最近ではこちらが営業に行くのではなく、お客様が来てくださる機会も出てきたため、恥ずかしくないような場所を作りたかったんです。
卯岡
落ち着いて話せる空間だったなと思います。皆さんの感想はいかがですか?
石坂さん
東京の従業員は徐々に変わっていくのを働きながら見ていましたし、什器やデスクの移動を手伝ってもらってもいたので、完成して大きく驚くということはなかったです(笑)。でも、久々にやってくる本社の人は驚いてくれますね。
卯岡
コロナ禍で出社する社員が減ったという話がありました。そうしたタイミングで、オフィスに手や費用をかけることに迷いがある企業もあるのではと思うのですが。
石坂さん
当社にも迷いはありました。しかし、フルリモートにはできない以上、オフィスで働いてくれている方のためにも環境を良くしたかったですし、数字を握っている東京拠点だからこそ、お客様を迎えられる場所にする必要があると思いました。
これからも、「あったらいいな」を製品・サービスで提供する
▲オフィス作りに携わった従業員の方曰く、一番大変だったのは「予算内でいかに納めるか」だったのだとか
「1年で1番インクが使われるのは、年賀状シーズンです。その時期に毎年キャンペーンを行っていまして、今年は120万QUOカードキャッシュバックキャンペーンを実施します。今年もメイプル超合金さんと共に盛り上げていきたいと思っています」ともお話してくれた石坂さん。
今後も、「あったらいいな」という商品やサービスを作り、お客さんに価値を与えられる事業を手掛けていきたいと語ってくれました。「自社工場がある分、作りたいものを作れてしまう。だからこそ、ニーズを聞いて仕入れや開発を行うことが大切だと思っています」という言葉が印象的でした。
その、「売る」部分を担う東京営業本部。従業員が心地よく働ける空間に生まれ変わったオフィスが、これからも会社を支え続けることでしょう。