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パーテーションのオフィスでの活用方法は?種類や事例を徹底解説
オフィスづくりにおいて、パーテーションは最重要アイテムの一つといえます。パーテーションは比較的コストを抑え、工期を短縮しながらオフィスに様々な機能をもたらしてくれるだけでなく、時にはデザイン性の向上にも貢献します。
ひとえにパーテーションといっても、単に置くだけのシンプルなものから、簡単な工事を伴い部屋を増設できるようなものまで様々な種類があります。また、中には家具やガラス、さらには植物などのインテリアが場合によってはパーテーションの役割を果たしてくれることもあります。
今回は「パーテーション」について、そもそもどういった種類があるか、どういった用途で用いられるかを解説します。その上で、パーテーションがどのような効果をもたらすかを解説し、さらに実際にどのように用いられているのかを実例を用いながら解説していきます。
目次
パーテーションとは?種類や用途を解説
パーテーションは空間を分ける際に使う「間仕切り」のことを指します。オフィスだけでなく店舗や住宅にもパーテーションは使われますが、今回は特に「オフィス」に関して一般的に利用されるパーテーションの種類を中心に解説していきます。
簡易に仕切りがつくれるローパーテーション
ローパーテーションとは最大でも200cm程度の「低い」パーテーションのことを指します。軽くて持ち運びが容易なことが特徴として挙げられます。
並べておくだけで簡易な壁代わりの仕切りとして機能してくれるため、急遽簡単なレイアウト変更などを行う場合にも最適です。
比較的安価に入手可能であり、また使わないときはまとめて収納することもできるため、オフィスにある程度ストックしておいて困らないアイテムです。
空間を視覚的に遮断するのには十分な機能ですが、防音性は低いためあくまで便宜的な利用として活躍することが特徴です。
設置型のハイパーテーション①アルミパーテーション
ハイパーテーションとは、床から天井にかけて空間を分ける高いパーテーションのことを指します。
天井にはめ込むような設置が必要なため、「設置型」というような言い方もします。
アルミパーテーションはアルミと準不燃材のハニカムペーパーでつくられたシンプルで簡易なハイパーテーションです。シンプルなデザインであることや、安価で軽量であることがメリットとして挙げられますが、遮音性や密閉度はそれほど高くはありません。
設置型ハイパーテーション②スチールパーテーション
スチールパーテーションは、スチールと石膏ボードでできたハイパーテーションです。防音性、密閉性など機能に優れている上、見た目にも高級感があり、デザイン性にも優れます。
壁のような使い方をできるため、リノベーションのような大規模な改装を行わなくても、比較的簡易な工事で部屋を造ったり減らしたりといったオフィスレイアウトの変更にも適しています。
総合的に利便性の高いアイテムですが、パーテーションの中では比較的高価です。
パーテーション代わりにつかえる家具などのオフィスアイテム
主にオフィスで用いる「パーテーション」というと、ローパーテーション、アルミパーテーション、スチールパーテーションのいずれかを指しますが、家具などを設置することで利便性やデザイン性を確保しつつもパーテーションのような役割を果たすアイテムも複数あります。
ただし、どういった用途で何を用いるかによって、十分な機能を発揮できるかは変わってくるため事前に検討、検証が必要かもしれません。
中に雑誌などを置くことができる実用性とデザイン性をかねたパーテーション用のラックですす。値段も比較的安価で、設置の手間もそれほどかからないため簡易なパーテーションとして活躍します。
ガラスを設置することでパーテーションのように用いることもできます。仕切りの一部にガラスを用いることで開放感やデザイン性を出すことができ、通常のパーテーションで遮断するよりも採光の調節も行いやすくなります。
植物を置くことにより、外部からブースを見えにくくする簡易なパーテーションのような効果を持たせている事例です。
植物を置くことで空間に癒しをもたらすと同時に、視界をある程度遮断しています。
パーテーションがオフィスにもたらす効果
パーテーションの種類や簡単な特徴を説明しましたが、これらのパーテーションがオフィスにもたらす効果について、特に大きな効果を期待できるものを5つ紹介します。
視覚の遮断
まず、パーテーションで仕切ることにより大きな効果を発揮するのが視覚の遮断です。たとえば、大きなデスクにおいて、机上に数十cmの低いパーテーションを置くだけでも隣の席で仕事をしている同僚の様子は見えにくくなります。
簡易なパーテーションだけでも、他者に見られる心配が薄くなり、かつ余計な情報として目に入ってくる可能性がある他者を遮断できるという二つの意味において、集中力が増すといった効果が期待できます。
仮に絶対に視覚を遮断しなければならない、というほどの要件ではなく単に視界を遮っておいたほうが好ましい、程度の需要であれば、間に植物を置くような形を取ることによって開放感を担保したままある程度のプライバシーを確保した上で、デザイン性も保てるといった空間をつくることも可能です。
一方、ローパーテーションのなかでも2m程度あるようなものや設置型のパーテーションで区切ることによりさらに視覚の遮断を行うことができ、他者の目に触れることが好ましくない、セキュリティ性の高い業務を行うにあたっても、重要な役割を果たしてくれます。
防音
パーテーションを間に立てることにより視覚の遮断効果が見られるのはイメージしやすいかとも思いますが、遮音効果も無視することはできません。
遮音効果を得るためにはローパーテーションの中でも高さがあり壁に近いようなものを採用する必要があります。
防音効果についても、どのアイテムを用いればよいかは「どの程度防音すればよいのか」によっても変わってきます。
たとえば、それほどに秘匿性の高い会話をするわけではなく、付近で会話している他者の声を気にせずに話したい、といった程度のレベルのものであればローパーテーションで区切るだけでも、ある程度の遮音効果は得られるため、十分な可能性もあります。
一方で、内容を無関係な相手に聞かれることがリスクとなりうるような内容であればローパーテーションで区切っているだけでは不十分な可能性があり、施工型のパーテーションでしっかりと周りの空間と遮断されている環境を活用したほうが良いでしょう。
この場合、特に秘匿性の高い情報を扱う場合にはハイパーテーションの中でも防音効果の高い、スチールパーテーションを用いるのがより望ましいと言えます。
セキュリティ強化
視界や音の遮断と重複する部分もありますが、パーテーションで仕切りをつくることにより、セキュリティを強化することができます。
同僚であっても、業務と関連していない相手に対して情報を開示すべきではないような案件についてはパーテーションで仕切られた空間での作業を行うといった対応を取ることにより、セキュリティ上のリスクを減らすことができます。
求められるセキュリティのレベルによって必要なパーテーションの種類が異なるのも先述の通りです。
たとえば、「できれば他者に触れることが好ましくない情報」程度のものであれば、ハイパーテーションでつくられているような簡易なブースであっても一定の視界と音の遮断効果に加え、周囲から見て「セキュリティの高い業務をしている」という認識も持たれやすいため、一定レベルでのセキュリティの確保が可能になります。
一方で、絶対に他者の目や耳に入れるべきではないような情報を扱う場合、当然ローパーテーションで区切ったようなセキュリティでは足りず、スチールパーテーションなどを用いて空間を完全に遮断することが望ましいと言えるでしょう。(アルミパーテーションでもある程度は代替可能ですが、遮音効果が相対的に弱いため、万全を期すならばアルミパーテーションがおすすめです。)
設置型のパーテーションで空間を区切った上で入退室にセキュリティ制限を設け、重要な書類などは持ち出せないようにすることで、非常に高いセキュリティを確保することも可能です。
一定以上の面積を確保している企業であればセキュリティルームを別に設けることも可能ですが、契約している面積やレイアウトの兼ね合いから新たに部屋を確保することが難しい場合はスペースの中に空間を設ける形でも十分なセキュリティ対策が可能です。
空間のデザイン性確保
パーテーションの一番の目的は何らかの機能性を確保することですが、求められる要件がスチールパーテーションで囲い込まなければならないほどに高いものではない場合、オフィス家具やインテリアを用いることでも、簡易なパーテーションの代用になることが可能です。
たとえば、視界を「ある程度遮断できればよい」程度で済む場合、間に何か物を置く程度でも奥が見えにくくなると同時に対象物に意識が向かうため、要件は十分に満たされる可能性があります。
そしてその「物」を置くことにより、単に簡易なパーテーションの役割をするのにとどまらず、その空間をデザイン性の高いものにしたり、設計によっては企業の理念やビジョンを空間の設計により体現することも可能です。
また、簡単な打合せや商談をするくらいの秘匿性のあまり高くない場であれば、空間を完全に遮断するような設置型のパーテーションで区切らなくとも、ローパーテーションをおいて区切るだけでも、周囲からの目線を遮断した上で、防音も周辺の声を聞こえにくくする程度には発揮されるので、十分に必要な機能を満たした空間を区切ることが可能です。
ローパーテーションは設置工事が不要な点も含めてコストが低く、移動もしやすいためレイアウト変更が柔軟、というだけでなくハイパーテーションと比較してカラーなどのラインナップも豊富なため、デザイン性の高い空間をつくりだすことに貢献してくれます。
ハイパーテーションのみで区切った空間は機能的でコストも抑えられますが無機質になりがち。そこで、機能的にそれほど高い要件を必要としない部分については何か別のもので代用することで、機能と見た目を両立した空間をつくることが可能です。
導線づくり
パーテーションを使った空間の区切りは、完全に空間を分けてしまうような用途だけでなく目安として区切るためにあえて低いパーテーションをつかって区切るといったことも考えられます。
たとえば、備品を保管しておくようなスペースをつくるのであれば平時は比較的目につきにくくしておくために別の空間に分けておいたほうが良いかもしれませんが、完全に別スペースにしてしまっても、場所がどこにあるのかを認知しにくくなるとともに、備品を取りに行くことが手間になってしまう可能性もあります。
滅多に利用しないような大きな備品であれば、そういった形で補完するほうが合理的なケースもありますが、日常で頻繁に使うような備品であれば完全に分離した空間に保管することで利便性が低下する可能性もあります。
また、ローパーテーションは設置工事が不要であるため、「収納スペース」ごとオフィスの他のスペースに移動することも可能です。オフィスのレイアウトや座席などの変更に応じて臨機応変な対応ができることも一つの強みと言えます。
このように空間を完全に区切る・区切らない、どのくらいの高さで区切る、といった部分も含めてパーテーションを使うことで柔軟かつ利便性の高い導線づくりが可能になります。
パーテーションをオフィスレイアウトに使うメリット
効果や実際に活用している実例を説明しましたが、改めてオフィスのレイアウトの決定・変更にパーテーションを用いることで得られるメリットについて説明していきます。
コストが抑えられる
パーテーションを使ったレイアウト設計は比較的コストを抑えながら実現することができます。たとえば、施工不要で設置できるパーテーションであれば1枚数千円程度から購入することができ、当然必要な作業は置くだけなので別途工事費用がかかることもありません。
施工が必要なハイパーテーションであっても1枚数万円程度で購入することができる上、施工についても少なくとも1坪10万円程度は発生するリノベーションの工事と比べると設置する内容次第ですが大幅に抑えることが可能です。
工期を短縮できる
パーテーションを使ったレイアウト変更は工期も短く済ませることができます。設置工事が不要であれば置くだけなので、搬入した当日には設置が可能です。
施工が必要な場合でも1枚あたりの設置の工数はそれほどかからないため、膨大な量の設置でない限りは数日程度の作業で済むケースが大半です。リノベーションの工事を行う場合、数週間~1ヵ月程度の工期がかかるケースもありますが、パーテーションの設置だけであれば休日の期間を使った場合は通常業務に支障を出すことなく施工を行うことも可能です。
レイアウトの再変更が比較的容易
設置工事が不要なパーテーションであれば、レイアウトを再変更する場合も動かすだけなので場合によっては社員に動いてもらうだけで外部への委託費用を払う必要すらなく即日で変更が完了するケースもあります。
設置型のパーテーションのレイアウトを変更する場合は工事が必要にはなってきますが、施工と同様外す際の作業も一般的な工事と比べると比較的簡易なため、短い工期で終えることが可能です。
パーテーションを利用するデメリット・注意点
上手く活用すると、安価に、短い期間でオフィスのレイアウトを自由に変更できるパーテーションですが、メリットだけではありません。
パーテーションを利用するデメリットや、利用する際の注意点などについてまとめます。
安価なパーテーションでは機能が十分でない可能性がある
パーテーションを使ったオフィスのデザインやレイアウト変更は安価かつ手軽に行えるものではありますが、コストを抑えすぎると本来期待していた機能を十分に持たせることができない可能性があります。
たとえば、ローパーテーションを使って仕切りをつくる場合、コストは最も抑えることができます。また、視界を遮る仕切りとしてはある程度機能してくれますが、空間を完全に遮断はしないため、防音の効果はそれほど期待できません。
最低限の遮音ができればよいブース程度の用途であればローパーテーションの設置で足りますが、重要な会話を行う可能性のあるようなプライバシーの高い空間を想定するのであれば機能性としては不十分です。
また、たとえばブースの間に植物を置いてパーテーション代わりに用いるデザインはデザイン性が高く、周囲からの目線を心理的に遮断できる程度の効果であれば十分ですが、見ようと思えば見ることのできる環境はセキュリティの機能としては不十分です。
このように、パーテーションの種類によっては本来その空間に持たせたい機能を十分に備えることができないケースも考えられるため、予算やデザイン性だけでなく、機能的に必要なレベルを十分に満たせるかを考慮する必要があります。
安価なパーテーションではデザインが安っぽく見える可能性がある
パーテーションでの空間デザインは、選択によっては安価に機能性を兼ね備えることが可能です。ただし、オフィスのデザインにもこだわる場合、予算のみを重視した設置を行うと外観を損ねてしまう可能性があります。
たとえば、アルミパーテーションで空間を区切る場合、パーテーションの単価そのものを抑えることができ、防音性なども最低限は有しているためコストパフォーマンスとしては優良な選択といえます。
ただし、アルミパーテーションはそのコストのため柱の部分がむき出しになっているなど、デザイン性は犠牲になっており、施工してみると空間が安っぽく見えてしまう可能性もあります。
見た目にはそれほどこだわらないようなレイアウトに対しての施工であれば問題ないかもしれませんが、来客用のスペースや社員に対して何らかのモチベーション向上を意図する場合は多少コストをかけてでもデザイン性の高い選択肢を取ったほうが良いかもしれません。
施工によっては新たに防災関係で準備が必要な場合がある
設置型のスチールパーテーションなどを使った施工を行った場合、莫大なコストをかけることなく「壁」のような役割でパーテーションを活用することで部屋数を増やすことが可能です。
ただし、その際に注意しなければならないのは一つの独立した部屋を増やしたとみなされるような施工を行った場合、消防法に基づいた防災対策を行う必要性がでてきます。
具体的には煙感知器やスプリンクラー、非常灯などの設置が必要になるケースがありますが、とりわけスプリンクラーに関しては要件が難しく消防署の指導を受ける必要などが出てくることもあります。
施工の内容によってはそういった追加のコスト・手間が発生する可能性もでてくることを認識した上で、あらかじめ必要な対応を確認しておくことが重要です。
建物の構造や契約の関係で設置できない場合がある
設置型のパーテーションの施工を行う場合、全面的な工事に比べると簡易には済むものの、床や天井に加工を行う必要がでてきます。
天井は配線や防災関連の設備などを隠すスペースになっている場合も多く、その構造によってはそもそも工事を行うことが難しく、理想としていたレイアウトの実現ができない可能性がでてきます。
また、工期自体は短くても元の物件に手を加えるため施工に際して管理会社やオーナーの許可を取る必要がありますが、ここで了承を得ることができなければ、そもそも施工に着手することができません。
対策としては契約時にそういった物件に手を加える施工の可否をあらかじめ確認しておくことが挙げられますが、現在入居中のオフィスについては契約内容を確認した上で別途交渉を行うほかありません。
原状回復に費用がかかる
施工時に物件に工事を加える必要があるということは、それを元に戻す際にも別途費用が必要です。テナントオフィスの場合、物件を退去する際には借主側の負担で原状回復工事を行う必要がありますが、パーテーションの設置工事を行った分、原状回復費用も増加します。
とりわけ、施工時の業者は相見積を取るなど自主的にメリットの大きい業者を選ぶことが可能ですが、原状回復工事は貸主側が業者を指定している場合も多く、想定外にコストが膨らんでしまうリスクもあるため、退去時にかかる将来的なコストも含め、計算に入れておく必要があります。
オフィスにパーテーションを設置する流れや工期は?
パーテーションの設置自体は工事を必要とする場合であっても大規模な施工でなければ1~2日程度で完了します。費用が上がる可能性もありますが、会社の休業日に作業を行った場合は業務に支障を出さずに工事を完了することも可能かもしれません。
実際に施工を完了するまでの一般的な流れは、まず施工の申し込みを行った後、現地調査が行われます。この現地調査で問題がなければ施工の見積が算出でき、契約した上で施工が行われます。
検討段階での申し込みから、実際に施工が完了するまで、全ての工程がスムーズに行った場合で2~3週間程度の期間がかかります。
実際には施工で問題が生じたり、見積の金額が折り合わなかったりといった要因で施工が終わるまでに時間がかかるケースがあるもあるため注意が必要です。
まとめ
パーテーションのオフィス活用について徹底解説しました。パーテーションを用いることによって視界や音を遮り、集中できる簡易な空間をつくることができるだけでなく、設置型のパーテーションで囲い込むことによって新たに部屋をつくりだすことも可能です。
また、家具やインテリア、ガラスなどをパーテーションがわりに用いることによって、ある程度パーテーションの機能を発揮しながらもデザイン性の高い空間づくりを実現することも可能です。
設置型のパーテーションであっても壁を増設するような工事と比較すると、安いコスト、短い工期で工事を行うことができるため、上手く活用できると非常に柔軟性高くオフィスのデザインをおこなったり変更したりといったことも自由自在です。
今回の内容も参考にしながら、自社のオフィスのデザインにおいてどういったパーテーションをどんな形で活用することができるのか、現在のオフィスの実情や、理想とするオフィス環境のイメージとも照らし合わせながら考えてみてください。