vol. 229   ヘイ株式会社
「STORES」ブランドを強固にするためにオフィスをひとつに。3社が共に働くヘイのオフィス

まるでブランドショップのようなアーチ状の壁。並べられた印象的なアートの数々。今回訪れたのは、ネットショップ作成サービス「STORES」、決済サービス「Coiney」を「STORES」ブランドとして押し上げる縁の下の力持ち、ヘイ株式会社です。

 

「こだわりを突き詰める人を応援したい」想いが両サービスの共通点。ただ、2サービスを運営しているのは別の会社です。2サービスを1ブランドとしてヘイが打ち出していくことにした理由、3社のメンバーが共に働くオフィスを作った背景やこだわりについて、久下さんにお話をうかがいました。

 

(3/17に取材を行いました。)

2020年07月07日
text by 卯岡 若菜
photo by 竹井 美砂子

この記事を読むのに必要な時間は約 16 分です。

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久下 玄さん (くげ・はじめ)
美術大学卒業後、電機メーカーの工業デザイナー、デザイン会社創業などを経て、2013年にコイニーの創業メンバーとして参画。アプリやハードウェア、オフィスのデザインなどを担当。

 

ブランド「STORES」としての成長を見据え、立ち上げられたヘイ株式会社

 

ヘイ株式会社のオフィスエントランス

 

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卯岡

アーチ形にくり抜かれたエントランスの壁、とてもおしゃれですね。オブジェや絵画も飾られていて、アーティスティックな空間だなと感じました。

 

久下さん

社長を始め、社内にアート好きが多いんですよ。

 

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卯岡

アートに関係する事業なのでしょうか。

 

久下さん

直接関係しているわけではありません。当社は、ネットショップ作成サービス「STORES」を提供しているストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社、決済サービス「Coiney」を提供しているコイニー株式会社の持ち株会社として誕生しました。
 
ヘイ株式会社は、『「楽しみ」からはじまるお商売』をサポートすることを目指して作った会社なんです。

 

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卯岡

合併ということでしょうか。

 

久下さん

いえ、合併ではありません。現在はストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社とコイニー株式会社、ヘイ株式会社と3つの会社が存在している形ですね。2020年4月には、「STORES」と「Coiney」のサービスブランドを「STORES」に統合しました。

 

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卯岡

ふたつのサービスを「STORES」ブランドとして高めていこうと考えた背景についてお聞かせください。

 

久下さん

オンライン販売と実売店舗、両者の垣根が低くなってきたという時代の流れが背景にあります。
「Coiney」を利用してくださっていたリアル店舗が、オンラインショップを立ち上げる動きを始めたり、ECから始めたブランドがリアル店舗を持つことになったり。今後、ますますオンラインとオフラインの区分けはなくなっていくものと考えています。

 

 

久下さん

両サービスをもっと拡大していくためには、ひとつのビジョン「Just for Fun」の元で一緒にやっていったほうがいい。2社のプロダクトの良さを合体したほうがいい。そう考えたんです。ヘイ株式会社は「STORES」を世に出すための影武者的な存在と言えますね。

 

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卯岡

では、今回訪れたオフィスもヘイさんだけではなく、ストアーズ・ドット・ジェーピーとコイニー、3社合同のものなのでしょうか。

 

久下さん

その通りです。ヘイに属していて、ストアーズ・ドット・ジェーピーやコイニーに行っている人もいます。

 

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卯岡

先ほど、「STORES」はオンラインショップを立ち上げたいリアル店舗の方が使われることがあるとおっしゃられていました。サービス自体、初心者向けのものなのでしょうか。

 

久下さん

スタート地点は「誰でも簡単にネットショップが作れるサービス」でした。しかし、今はユーザー層の多くがECに慣れてきたため、「HTMLなどの専門技術がなくても、自分のこだわりを表現できる、本格的なネットショップが作れるサービス」と方向性を変えています。

 

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卯岡

「STORES」のユーザーインタビューをストアーズ・ドット・ジェーピーのコーポレートサイトで拝読しました。ファッションからアクセサリーや雑貨、グリーンやフードと、さまざまなジャンルの方が出店されているんですね。
 
あと、ヘイさんのコーポレートサイトにあった「hey MAGAZINE」もおもしろかったです。いろんな人の「売る」についてのインタビューが興味深くて。どちらを見ていても、「自分のショップにこだわりたい層」が増えているという久下さんの言葉がわかる気がします。

 

久下さん

ありがとうございます。「アート好きが多い」とお話しましたが、「いいと思ったものを外に出そうとしている人」を応援したい社員が多く、「hey MAGAZINE」ではサービスの利用を問わず社員が取り上げたい人を紹介しているんです。アートに高い関心を寄せる人が多いのも、応援したい価値観の表れなのだと思います。

 

ヘイ株式会社の誕生に合わせ、3社合同のオフィスへ

 

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卯岡

オフィスを移転したのは、ヘイ株式会社の誕生が理由なのでしょうか。

 

久下さん

そうですね。ただ、移転してきたのは2018年5月で、ヘイ株式会社が設立したのは2018年2月と、設立には少し間に合いませんでした。

 

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卯岡

3社のメンバーが過ごすオフィスとなると、人数も大幅に増えたのではないかと思います。

 

久下さん

そうですね、現在は業務委託を含めて200人オーバーくらいでしょうか。ただ、リモートワークも多いので、オフィスで働いているのは200人いかないくらいですね。
 
個人の生産性をあげるために、リモートワークを導入しています。ほかにも子どもを育てている共働き家庭の社員が多いので、パートナーの出産予定日前後で取得できる10日間の休みが取れる「キッズウェルカム休暇」や子どもの看病のために使える「キッズサポート休暇」など、ニーズに合わせて制度が整えられてきました。

 

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卯岡

全員が集まるわけではないなか、オフィス作りの際に重視した点は何でしょうか。

 

 

久下さん

イベントスペースですね。人が集まれる場所をオフィス内に作りました。人が集まって考えをシェアできる機会を積極的に設けているんです。コイニーが以前から大切にしてきたことを継いでいるものですね。

 

uoka

卯岡

全社会議やミーティングではなく、ですか?

 

久下さん

そうですね。全社会議などではトピックが具体的に決まっていますが、当社のシェアイベントは、必ずしも内容が固まっているわけではなく、ふわっとした状態のものもシェアする場なんです。あるテーマについて知りたいときには、それを教えてもらえる場が作られたり。たとえば、「Notionというツールを使いたい」というお題に対して、そのツールに詳しい人が30分程度の講義を行ったことがありましたね。
 
また、現場の社員が経営層に尋ねづらいだろうことを、経営側からカジュアルに話す場を設けていることも当社の特徴ですね。ブランドとしての方向性であるとか、昨今であればコロナウイルス流行に対する社の指針であるとか。

 

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卯岡

経営側が積極的に開示してくれるのは、社員としては安心ですね。

 

久下さん

ええ。そして、それを前に経営陣が出てみんなに話す一対大勢ではなく、一対一がそこら中にある、といった雰囲気で行っています。オープントークと呼んでいるんです。ネーミングにこだわりがある人が多く、オープントークも「ハードルの高さを感じないように」と考えられて付けられました。

 

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卯岡

「全社会議」だと堅苦しいですもんね。

 

久下さん

聞きにくい雰囲気がゆえに聞き逃してしまうと、考えの方向性がずれていってしまいます。そうならないように、カジュアルな雰囲気を大切にしていますね。

 

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卯岡

3社をひとつの場所に集めることで、大変だった点はないのでしょうか。

 

久下さん

まったくないですね。各社にカルチャーがあるので、「カルチャーが対立しないだろうか」と心配がゼロだったわけではありませんが、スムーズに仲良くなれたと感じています。

バンドマンや元養成所に通っていたお笑い芸人、劇団員など、文化的素養がある人が多いのも仲良くなりやすかった理由のひとつかもしれません。キャンプ好き、アパレル好き、コーヒーのロースターなど、いわゆるITスタートアップ企業に集まる人たちとは違う空気感があるというか。

 

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卯岡

会社は別々でも、属している人たちのカラーはどこか共通するところがあったんですね。

 

久下さん

そうですね。そのため、オフィス作りの際も特に「3社を集めるから」といった苦労はなかったです。情報はオープンにしていましたしね。

 

uoka

卯岡

オープントークに続き、情報も風通しが良いんですね。

 

久下さん

各人がさまざまな情報にアクセスできるよう、大小問わずオープンにすることを推奨しているんです。主観では「こんな小さいプロジェクトの話は公開の必要はないだろう」と思うものもあるんですが、実は必要としている人がいることもありますから。オフィスに関していうと、坪単価まで書いていましたね(笑)。

 

uoka

卯岡

ぶっちゃけてますね(笑)。

 

久下さん

どれだけオープンにしていても、いざこざが起きる危険性はあります。ただ、芽は可能な限り摘み取りたい。だからこそ、何でも知らせる、オープンにする姿勢を推奨しています。

 

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卯岡

そんな坪単価まで明らかにされていたオフィス、ぜひ拝見させてください!

 

透明性の高さを支えるため、人が集まれる空間を大切に。ヘイのオフィス見学ツアー

 

ストアーズ・ドット・ジェーピー、コイニー、そしてヘイ。3社の社員が共に仕事をするために作られたオフィス。さっそく、印象的なエントランスから見学開始です。

 

ロゴが増やせるようにアーチを並べた「エントランス」

 

ヘイ株式会社のオフィス

 

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卯岡

壁にアーチが並ぶエントランス、ブランドショップのようで、とてもおしゃれです。

 

久下さん

このアーチは、ブランドロゴを増やせるように並べたんですよ。今後、もっと増えてもいいように。

 

 


▲エントランス前の通路脇には、グッズを並べたショップが。社員のパーカー着用率が高いのだとか。

 


▲エントランス奥に設けられたスペース

 

ネーミングのこだわりはこんなところにも。「会議室」

 

 

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卯岡

会議室の名前、印象的ですね。会議室もネーミングにこだわりが?

 

久下さん

こだわりがあるにはあるのですが、実は考えすぎた結果、勢いで挨拶シリーズになってしまったともいえます(笑)。

 

 


▲「hi」と合わせ、「ho」もあった。「hoだけ見ると、意味がわからないですよね(笑)」(久下さん)

 

 

久下さん

部屋ごとにテーブルや椅子が違っているのもこだわりですね。使う会議室ごとに気分を変えられます。

 

執務スペース脇に設けられた「イベントスペース」

 

 

執務スペースのこだわりは、オーダーして作ってもらったのだという4人掛けのテーブル。耐久性があり、オフィス家具のような無機質なものではない、リラックスして使えるものがほしかったのだそう。

 

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卯岡

フリーアドレスなのでしょうか。

 

久下さん

フリーではないですね。その時々で変わる固定席です。チーム編成の変更が多いので、椅子を移動するだけで対応できるようにしています。

 

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卯岡

4人掛けにした理由は?

 

久下さん

小さな島がいっぱいほしかったんですよ。同じテーブルを使っていると、そこで仲間意識のようなものが生まれるんですよね。会話のハードルも下がりますし。チャット上でのやり取りだけではなく、さっと直接話すことで、余計な揉めごとを防止したい思いもありました。

 

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卯岡

なるほど。そして、このカウンターテーブルを挟んだ向こう側がイベントスペースでしょうか。

 


▲こちらのテーブルを挟んだ右側がイベントスペース。テーブルはケータリングを並べるスペースとして活用するほか、スタンディングデスクとしても利用可能。

 

久下さん

そうです。設計上、着座で60人、立ちで100人以上入りますが、一部執務スペースから流れてきた人のスペースを作ったので、現状は立ちで60人程度が限度でしょうか。

 

 

 

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卯岡

モダンな印象の黒いテーブルがある一方、その奥には茶の間のような小上がりスペースがあり、バラエティ豊かですね。

 

久下さん

靴を脱ぐスペースは、リラックスできる環境を作るためにほしかったんですよね。ちなみに、この黒いテーブルはただのテーブルではなく、実は卓球台なんです。

 

 


▲真ん中に「hey」の文字が。

 

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卯岡

めちゃくちゃかっこいい卓球台ですね……!

 


▲イベントスペースの様子

 

まずは「STORES」を知ってもらいたい。こだわりを持って商売をする人は、今後きっと増えていくから

 

 

現在、東京オフィスづくりに携わったメンバーで、仙台にサテライトオフィスを作っている真っ最中だという久下さん。東京オフィスも人数の増加に合わせ、今後増床や移転のいずれかを見据えているのだそう。

 

「オフィス増床にしろ移転にしろ、タイミングに合わせて必要なものを作っていきます。オフィス設計の際には、ヘイ全体として共有したい情報を行き渡らせること、コミュニケーションを守ることを念頭に置いて考えていきたいですね」と語ってくれました。

 

誰もがこだわりをわかちあい、 自由に挑戦できる世の中を作るために奔走する、ヘイ株式会社。「いいものを知ってもらいたいと動いている人を、テクノロジーの力でサポートしたい」。社員一人ひとりが抱く想いは、3社がひとつのオフィスに集まることで、より一層大きく強いものへ。「STORES」ブランドとしての成長も楽しみな会社です。

 

category : オフィス取材

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この記事を書いた人

IBASHO編集部

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