- オフィスインタビュー
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社員の不満や要望を吸い上げ、おしゃれオフィスに!メディックスの新オフィス
デジタルマーケティング、インターネット広告に携わる株式会社メディックス。神保町にある新オフィスは、エントランスから明るくおしゃれな雰囲気が伝わってくる空間です。
しかし、これまでのオフィスは「社風や仕事内容とのギャップが感じられる、お世辞にもおしゃれなオフィスではなかった」のだそう。こだわったポイントや背景について、移転プロジェクトの責任者を務めた和田垣さん、プロジェクトメンバーの岡さん、古板さんにお話を伺いました。
執行役員 コンシューマーマーケティング本部 本部長。大学卒業後、2001年新卒としてメディックス入社。今回の移転プロジェクトの責任者。
大学卒業後、2015年新卒としてメディックス入社。アカウントプランナーとして、大手クライアントを担当しながら、現在、海外事業推進室のマネジャーとして、海外展開するクライアントへのマーケティングコンサルティングにも携わる。
大学卒業後、販促系の会社を経て、2017年にメディックス入社。現在、データテクノロジー部に所属し、解析ツール等を利用し、アクセス解析を中心に、様々な業界へのコンサルティング業務に従事。
目次
会社規模が拡大しても浸透し続ける「ボトムアップ」の社風
卯岡
まずはメディックスさんの事業内容についてお聞かせください。
和田垣さん
一言でいえば、インターネット広告代理店ですね。インターネット広告の出稿や運用を中心に、企業の売り上げ拡大に向けたマーケティング支援をデジタルを活用して行っています。デジタルマーケティングですね。今はデジタルマーケティングが企業のマーケティング活動の真ん中に位置していますので。
私はメディックスに19年ほどいるのですが、業績は年々伸びを見せています。業績の伸びとともに、会社の規模も大きく変わりました。私が入社したときには社員数が30人程度だったのですが、今では300人ちょっといますからね。
卯岡
会社規模が大きくなるにつれ、いろいろなことに変化もあったかと思います。
和田垣さん
世の中の変化とともに、企業のマーケティング活動がテレビなどマス広告が中心だった時代から、ネット広告やデジタル活用へと変化を見せていますからね。仕事の幅や重要性も拡大し、必要なスキルや機能、組織の形も変化しつづけています。ただ、いわゆる理念と呼ばれるものについては変わっていません。「自由と責任」とずっと言っていますね。あとは「信頼」であるとか。そういう仕事をする会社でいる、そこに共感する社員で構成されていますね。
ただ、いわゆる理念と表現したように、社内で言葉としてわざわざ口にすることは実はあまりありません。あらたまって口にするのは、採用や今回のような機会にメディックスを説明する時くらいでしょうか。壁に貼ってもないですし、朝礼で口に出して言うなんてこともありません。そもそも朝礼もないですし(笑)。
卯岡
なるほど。だから「いわゆる」とおっしゃられたのですね。
和田垣さん
ええ。言葉ではなくあり方として社にずっとあるものですね。「自由と責任」と口にせずとも、日常業務や日頃のやり取りのなかで、新しい社員にも伝わっているのではないかと思っています。トップダウンではなくボトムアップな社風が、自由と責任が表れているものとして挙げられますね。これも19年前から今も変わらない社のあり方です。
卯岡
若手である岡さんと古板さんは、ボトムアップの雰囲気を感じていらっしゃいますか?
古坂さん
感じますね。前に勤めていた会社がトップダウン型だったので、なおさら実感するのかもしれません。上司や先輩がまず「どうしたい?」と聞いてきてくれるのが社風ですね。言いやすさを感じます。
岡さん
現場にもそうした雰囲気が浸透していますね。この規模になってボトムアップが浸透しているのは珍しいのではないでしょうか。僕はマネジャーになったため、下には問いかけ上からは問いかけられるという状況に立たされていますが(笑)。
和田垣さん
役員部長のメンバーが「こうしたい」と言っても、下から「それはおかしくないですか?それならこうしたほうがよくないですか?」って言われて最終判断が変わることが結構あるんですよ。代表が「面倒くさい会社を作ってしまった」と冗談交じりに嘆いています(笑)。
卯岡
会社規模が大きく変わっても、ボトムアップの雰囲気が守られているのは、なぜだと思われますか?
和田垣さん
弊社は、採用ページや会社説明会で、やりすぎと思われるほど「自由と責任」という社の文化を出しているんです。そのため、まず興味がない人は受けに来ない。さらに、面接の過程でもフィルターがかかっているので、応募者が「違うな」と感じたらおのずと抜けていくんですよ。
卯岡
結果、会社にフィットする人が残るんですね。
和田垣さん
人事や面接担当に、なかなか色が濃いメンバーが揃っているのも一因でしょうね。社のカラーを体現しているメンバーによる採用面接が、会社文化を継承していける要素のひとつなのだと思いますよ。
卯岡
ちなみに、和田垣さんは、物申す若手社員だったのでしょうか。
和田垣さん
物申してたタイプではないと思いますが、当時は人数も少なく上司や先輩とも今以上に距離が近かったので、いろいろ意見は言っていたかもしれませんね(笑)。
岡さん
ボトムアップの社風を表す制度のひとつが、「メディコン」ですね。
卯岡
メディコンですか。どのようなものなのですか?
和田垣さん
15年くらいあるもので、元はナレッジコンテスト、「ナレコン」と呼んでいたものですね。形を微調整しながら、今も続いているコンテストです。
岡さん
今は新規事業コンテストとして継続しています。子会社の立ち上げに至ったのがこれまでで1番大きな成果ですね。
卯岡
メディコンにも、若手社員からも応募があるのでしょうか。
和田垣さん
一時期は限られた人からしか応募がなかったのですが、審査基準や広報のやり方を変えたため、若い人も応募しやすくなったんじゃないかと思っています。
卯岡
その他、コミュニケーションを取るために工夫していることはありますか?
和田垣さん
コミュニケーションは、日常におけるオフィスでの会話はもちろんのこと、チャットツールなども活用して取っています。人数によっても課題が異なるので、その時々で工夫していますね。あとは部活動でしょうか。
岡さん
10人集まったら申請できて、年に4回以上活動するのが条件になっています。僕はゴルフ部、フットサル部、筋肉トレーニング部の3つに入っています。
古坂さん
私は芸術鑑賞部に入っています。美術館や、賞を取った映画作品を観に行くのが活動ですね。
和田垣さん
私はゴルフ部ですね。「コミュニケーションが生まれるから」という理由でアニソン部が申請を通り今も積極的に活動していたりと、さまざまなものが誕生しています。
卯岡
楽しそうです……!
エリアと内装にこだわったオフィス移転プロジェクト
卯岡
こちらのオフィスに移転された理由は何でしょうか。
古坂さん
キャパシティの問題と、前オフィスとの賃貸契約期間満了に伴う移転ですね。
和田垣さん
19年前の入社時から数えて、私はここが6つ目です。賃貸契約期間は3年が基本なので、毎回3年間に増える人員数を見込んで、それに耐えうる広さのオフィスに移転してきました。
卯岡
新オフィスはエントランスからしておしゃれな雰囲気でしたが、内装にこだわっているのは以前からですか?
和田垣さん
いえ、ここからですね。前のオフィスまではザ・事務所でした(笑)。
古坂さん
私、ひとつ前のオフィスに面接に行ったんですよ。正直、イメージが悪くて(笑)。デジタル業界の会社は明るい雰囲気のところが多いんですが、前オフィスはタイルカーペットもグレーで、面接した部屋は古びた黒いソファがある部屋で。
卯岡
全体的に暗いですね……。
古坂さん
面接を終えて帰るとき、「人は良かった、業務内容も良かった」と思いながら執務スペースがちらりと見えたんです。職員室みたいなグレーの机で、こちらも暗い雰囲気でした。
和田垣さん
うーん、やっぱり良い印象じゃなかったんですね。
古坂さん
ものすごいギャップだなと思っていました(笑)。今はギャップが埋まりましたよ。
卯岡
今回のオフィスから内装に力を入れたのはなぜなのでしょうか。
和田垣さん
オフィス環境に投資することは重要だと思ったためです。働くみんなが少しでも気分よく過ごせ、コミュニケーションを取りやすく、仕事がしやすいことが、結果として会社としての力を高め、業績にもつながるはずですから。
また、今回は今までの予算ロジックを無視して、かっこいいオフィスにするにはいくら必要かを他社事例なども参考にし、最低予算ラインを算出するやり方に変えました。そして、現実な話としては、その予算をみんなの日ごろの頑張りによって確保できたことじゃないでしょうか。(笑)
岡さん
僕たちは内装の素人なので、実際に見てみないことにはおもしろいものが作れないんじゃないかと思いまして、それなりの予算も確保できたこともあり、まずは制限をかけずにやりたいことを全部伝え、全部提案してもらいました。
和田垣さん
会議前半は夢を膨らまし、後半で「それはいくらになりますか?」と予算調整をしていきましたね。
卯岡
今回のオフィス移転にあたり、こだわった点はどういったところでしょうか。
岡さん
まずはエリアですね。周囲に飲食店がたくさんあるかどうかが、重要な要素のひとつでした。
古坂さん
前オフィスが、駅から遠い上に飲食店が全然なくて、コンビニも1軒だけという立地だったので。
和田垣さん
「ランチや気分転換に行ける場所がない」と社員から不満が上がっていたんですよ。あとは、1年で終わるはずだったオリンピックのための道路工事がビルの目の前で3年間ずっと続いてしまったのも誤算でした。社員のモチベーション調査でも、1番の不満はオフィスの立地でしたね。
卯岡
前オフィスの場所は……?
和田垣さん
築地の浜離宮です。陸の孤島状態で、本当にお店がないんですよ。
卯岡
今回のオフィスは、周囲に本当にたくさんお店がありますね。
岡さん
「食べSOKU」と呼んでいるお店マップも作っています。ランチの選択肢が豊富になりましたよ。
卯岡
内装についてはいかがですか?
古坂さん
社員にアンケートを取り、回答からキーワードを吸い上げて、テーマを決めていきました。
岡さん
でも、割とみんな回答が抽象的でして。「おしゃれなオフィスがいい」と言われても、何をもっておしゃれとするのかは人それぞれ違いますから。そこで、他社のかっこいいオフィス事例を集めて方向性を決めていきました。
和田垣さん
その方向性と我々の思いだけをお伝えして、デザイン会社にコンペをさせてもらいました。満場一致で決まったよね。
卯岡
おお……! オフィス作りで大変だったところはどこですか?
和田垣さん
こだわりと予算のバランスとの兼ね合いですね。どうしても予算に制限はあるので、「予算が許すなら選びたいけど……」と泣く泣く諦めた提案もありました。
岡さん
オフィスのレイアウトは議論になりましたね。リフレッシュスペースをどこに配置するか、とか。
古坂さん
リフレッシュスペースでは、今回初めて「ファミリーデイ」を開催しました。社員のご家族を招待して、食事をふるまったり仕事の内容について説明したりする会で、お子さんが遊べるスペースも作ったんです。
岡さん
リフレッシュスペースを大きく作りすぎたかなと思ったんですが、活用されてよかったです。
卯岡
では、さっそくオフィスを見学させてください!
テーマは「コミュニケーション」と「ウッド調」。メディックスの新オフィス見学ツアー
「ウッド調のおしゃれなオフィス」をオーダーし、コミュニケーションをテーマに作られたメディックスの新オフィス。
さっそくエントランスから見学していきましょう!
第一印象を重視!おしゃれな「エントランス」
卯岡
パッと見た瞬間から、明るくておしゃれな雰囲気だなと感じました。
和田垣さん
エントランスの雰囲気は採用にも直結すると考え、1番こだわりましたね。
岡さん
エントランスに限らず、家具類はプロジェクトメンバーで「せーの!」とかっこいいと思う家具を指差しで決めていきました。
卯岡
壁には映像が映し出されているんですね。
岡さん
何種類かの映像を投影しています。今後、さらに活用できないか検討中です。
▲脇にはバーカウンターも
ネーミングは湖。色使いが楽しい「会議室」
卯岡
会議室のネーミングが独特なのですが、由来は何なのでしょうか。
和田垣さん
湖です。創業者が釣りが好きでして、「ここだけは譲れない」と、以前から湖の名前を使っているんです。反対に言えば、会議室名以外は本当に相談もせず、自由に決めさせてもらえたんですが。
岡さん
ここのオフィスで、初めて「BIWA」が登場しました。
卯岡
琵琶湖ですね!
和田垣さん
琵琶湖を名付けられるくらい広い会議室が作れた表れですね。
ランチやイベントに活用中の「リフレッシュスペース」
執務スペースの真ん中には、広々としたリフレッシュスペースが設けられています。
卯岡
おしゃれですね……!
岡さん
ランチタイムには多くの社員で賑わっています。
▲リフレッシュスペースにはバーカウンターも
執務スペースの奥にある「集中スペース」
執務スペースの両奥には、集中スペースが設けられています。執務スペースのデスクにも工夫が。
岡さん
執務スペースのデスクは、横一直線だと目線が同じ人にしか向かないので、配置を少し斜めにしています。
古坂さん
賛否はあったのですが、パーテーションもなくしてみました。あとはマネジャー席もなくなりました。前はお誕生日席風だったんですが、アンケートを取ったら「なくてもいい」という声が多かったので。
岡さん
働きやすい環境を提供できたので、誇りとプロ意識をもってみんなに楽しく働いてもらいたいですね。
▲ミーティングができるソファスペースも
ボトムアップで作り上げた「自慢したくなる」オフィス
「働くのが楽しい会社にもっとなってほしい。そのためにはオフィスも大切です。今のオフィスが満点だとは思わないので、使っているうちに出てきた“こうしたい、ああしたい”を今後反映していけたら」と語ってくれた和田垣さん。終始楽しげな雰囲気の取材でした。
気持ちよく働けると、クライアントにも求職者にもいい印象を持ってもらえる。自慢したくなるオフィスは、仕事のモチベーションアップにも繋がるでしょう。
「会社のあり方とオフィスの雰囲気とのギャップがようやくなくなりました」と古板さんが語るメディックスの新オフィス。ボトムアップの社風通り、プロジェクトメンバーが中心となって「こうしたい」を叶えたオフィスでした。