- オフィスインタビュー
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変わりゆく価値観に合った働き方ができるオフィスを。シー・エス・エスのオフィス
抜かれた天井に、並べられたおしゃれなチェア。真正面にはカウンターと、見るからにおしゃれな株式会社シー・エス・エスのオフィス。以前からのオフィスに加え、別フロアを増床したのをきっかけに、両フロアを全面改装しました。
「採用に繋げるため」「社員のエンゲージメント向上のため」など、オフィスの内装に力を入れる理由は、会社によってさまざま。シー・エス・エスの目的は、「働き方改革」でした。佐川さん、内布さん、河西さんに、改装理由や働き方改革の内容について、お話をうかがいました。
創業者の父の後を継ぎ2015年に現職の代表取締役社長に就任。現在、グループ会社4社の代表取締役社長を兼任し、二つの業界団体の理事を務める。性格は、割とこだわりが強く、人と同じことは好きではない。
シー・エス・エスには25年以上在籍している元SEの総務担当。DIYが好きで小さな事なら自分で何とかします。
新卒で人材派遣会社へ入社。営業、顧客人事部での派遣管理デスクを経験して、シー・エス・エスホールディングスに入社。グループ統括管理本部にて人事・ダイバーシティ推進を担当。いろんな面でミーハー。
目次
創業は1976年。昔ながらのオフィスから改装した理由は「働き方改革」
▲バーカウンターが印象的なエントランス
卯岡
エントランスから非常におしゃれな雰囲気ですね!
佐川さん
ありがとうございます。会議室はこちらです。
卯岡
棚に置いてあるこちらは……パソコンでしょうか。
佐川さん
アップル社が開発した、昔のマッキントッシュ(パソコン)ですね。
卯岡
シー・エス・エスさんの事業内容に関係しているのですか?
佐川さん
ええ。1976年に創業し、40年以上システム開発に携わってきましたから。最近ではクラウドが増えるなど、技術の移り変わりはありますが、IT業界で仕事をし続けています。
卯岡
家庭にパソコンが普及するよりもずっと前からIT業界で事業をされている会社なのですね。オフィスの内装にこだわっているのは、以前からなのでしょうか。
佐川さん
いえ、まったくです。以前までは、無機質でベーシックなオフィスでした。
内布さん
前から6階をオフィスとして使っていまして、今いる2階が空いたタイミングで1フロア増床したんです。そのタイミングで改装しました。
佐川さん
キャパシティが厳しくなってきたため、増床する前は、別の場所を借りていたんですよ。2018年12月から両フロアで過ごせるようになりました。
河西さん
私は最近転職してきたので、前のオフィスを知らないんですよ。
卯岡
転職先を考える際、オフィスの内装で判断が変わるといったことはありますか?
河西さん
あると思います。少なくとも、私はおしゃれなオフィスで働きたいと思いながら転職活動をしていました。
佐川さん
あるんだね、やっぱり。
卯岡
増床がきっかけだったとのことですが、そのタイミングで改装しようと思ったのはなぜだったのでしょうか。採用目的ですか?
佐川さん
採用ではなく、働き方改革ですね。採用目的だと、エントランスや会議室など、最低限、求職者の方が入るスペースだけ整えておけばよしとも言えます。しかし、当社では仕事の生産性向上を目的としていたため、全スペースに手を入れたんです。
卯岡
働き方改革のためにオフィスを改装しようと思い至ったのには、何かきっかけがあったのでしょうか。
佐川さん
外の世界に触れる機会に恵まれているからですね。私は年上・年下、両方の年齢層の社長と付き合いがあるんです。若手社長のオフィスの作り方や仕事の進め方に学ぶことが多いんですよ。
うちは古い会社なので、社内だけにいるとなかなか世の中の変化がわかりません。もっと合理的な方法があっても、知る機会がなければ、固定観念に縛られて従来の方法を続けるしかないんですよね。
内布さん
現場発信よりも、社長発信で変わったり導入されたりすることのほうが多い会社です。
佐川さん
オフィス改装にあたり、働き方改革を同時に進めていったのも、世の中の変化が理由です。これまではITの普及に伴い、必要なシステムそのものが足りていなかったため、指示されたものをとにかく作る、量をこなす仕事が求められていたんです。しかし、今はモノもサービスも溢れています。これからは、新しい価値を作っていくこと、言われたことをこなすよりも発想力が求められていくんです。
卯岡
なるほど。
佐川さん
「おしゃれなオフィスにしたい」のももちろんですが、根底にあるのは「求められる仕事ができるオフィスにしたかった」なんです。
昔は仕事に使わない無駄なものは一切なくした、朝から夜まで仕事をする場でしたが、クリエイティブな仕事をするのにふさわしいオフィスに変えたかったので。
内布さん
改装後、ペーパーレスも進められています。会議の資料も紙ではなくデータにし、ディスプレイに映して行うようになりましたね。
佐川さん
紙で保存すると場所を取りますからね。また、ペーパーレスにすると、場所に縛られずに仕事ができるようになります。改装を機に執務スペースはフリーアドレス制にし、テレワークの制度も作ったんです。育児や介護など、家庭の事情で毎日出社できない人でも成果が出せる環境になったと思っています。
台風や大雪など、事前にわかっているときには、出社せずに働くことを当たり前にしていきたいですね。東京オリンピックの期間中も在宅で仕事ができるように整えていきたいと思っています。
卯岡
オフィスが変わっただけではなく、会社としても大きな転換点だったのですね。社員の方たちの反応はいかがですか?
佐川さん
フリーアドレスは、まだまだ浸透しきっていない感じがあるよね。
内布さん
固定席に慣れている管理クラスの社員たちが、どうしても毎日同じ席についてしまうんですよね。そのため、若手社員も同じ席についてしまう傾向があります。
佐川さん
別に無理やり毎日別の席についてほしいわけではないんです。ただ、生産性を上げてもらいたいので、そこを考えながら席を選んでもらえたらと思います。
卯岡
では、さっそくオフィスを見学させてください!
2フロアを全面改装。シー・エス・エスのオフィス見学ツアー
働き方改革のために、2階、6階オフィスを全面改装したシー・エス・エスのオフィス。内装会社に必要最低限のこだわりを伝えたあとは、提案をもらいながら決めていったのだそう。2階エントランスから見学ツアー、スタートです。
バーカウンターが印象的な「エントランス」
▲仕事ができるよう、カウンターにはコンセントも常備
床に照明で映し出されたロゴ、インテリアアイテムが並べられたカウンター。エントランスは、雰囲気満点です。
卯岡
ボードには3つのロゴマークが並んでいるんですね。
佐川さん
いずれも私が関わっているものですね。1番下の「Q」は、さまざまな新サービスを作っていこうと立ち上げた別会社です。当社は受託開発スタイルをメインにしてきたのですが、人口が減っていくこの状況では、いつか立ち行かなくなってしまいます。
オーダーを受けずに新しいサービスを作るのは先行投資となるので、既存事業の受託開発よりリスクは高いのですが、並行してやっていこうと。たとえば、今当社では6階オフィスの一部を他社さんに貸し出しているんです。
卯岡
そうなんですね。
▲エントランス左脇に並ぶ椅子たち。1番左は佐川さんの私物だ
佐川さん
これまでは「作って消費」が当たり前でしたが、これからは余分に作らず共有することが大切ではないかと思っていまして。コワーキングスペースやシェアオフィスが流行りですが、これらは「そのための場」をわざわざ作らなくてはいけませんし、不要になったら壊さなくてはいけません。
自社で余っているスペースやリソースをシェアできれば、もっと環境面コスト面ともにプラスになるのではないかと思いますね。「Q」を、そうしたプラットフォームにできればいいなと考えています。
卯岡
出会いの面でもプラスになりそうです。
佐川さん
なりますね。いっぱい人がきてくれるのは嬉しいものですよ。
▲エントランス右脇にはひよこを模したインテリアが。佐川さんが見繕ってきたもの。来社された方が腰かけて記念写真を撮ることもあるのだとか
▲エントランス奥の一角にはファミレススペースも
あしらわれたグリーンに癒される「執務スペース」
改装後、フリーアドレス制になった執務スペースは、広々として明るい空間。点在しているグリーンが鮮やかです。なお、執務スペースに入るセキュリティは顔認証を採用。「カードは落とすリスクがある」として、導入したのだそう。
卯岡
グリーンがたくさんあるのは、要望を出されたからなのでしょうか。
内布さん
いえ、提案されてのことですね。
佐川さん
当初の予定より増えました。
卯岡
こちらから要望を出すよりも、提案をメインにオフィスづくりをされていったとのお話でしたね。
佐川さん
ええ。こちらからお願いしたのは、会議室の数と集中スペースがほしいといったことくらいですね。予算面で断念したご提案もありました。
卯岡
どういった内容だったのでしょうか。
佐川さん
座敷スペースですね。当初は2階、6階に1カ所ずつ設けられていたのですが、予算的にちょっと難しいかなと。ただ、座敷にこだわらずに、単に靴を脱げる場所を作ってもよかったかもしれません。
▲右奥の黄色い壁の向こう側が集中スペース
一室ごとに雰囲気を変えた「会議室」
会議室は全部で10室。室名には、改装を機に作り直したミッション・ビジョン・バリューのうち、バリューの10項目を付けました。内装は一室ずつ異なる雰囲気に。
佐川さん
仕事で求めたいことにも変化があったため、社内評価制度も変えたんです。会社の価値観が変わってきていることを意識してもらいたいと思い、会議室名にバリューを選びました。
河西さん
私は「4番Justice」が響き的に気に入っています(笑)。
内布さん
当初はバリューだけだったんですが、それだと覚えきれないと言われて数字も組み合わせたんですよ。
佐川さん
そうしたら、みんな番号でばかり呼ぶようになってしまいました(笑)。
2階と雰囲気を異にする「6階・エントランス」
6階は、2階とあえて雰囲気を変えたクールな雰囲気に。オープンスペースのほか、自社オフィス、他社オフィスが入っています。
佐川さん
せっかくだから異なったほうがおもしろいと思い、2階と雰囲気を変えました。
▲アート、インテリアともにモノトーンを選びクールな印象
これからの仕事・社会のあり方を、オフィスに対する価値観に反映
「今後、今のオフィスが手狭になったときには、うちが他社オフィスの空いているスペースをお借りするのもありなんじゃないかと思っています」と語ってくれた佐川さん。SDGs(持続可能な開発目標)の観点から、今あるものを有効活用していくことの重要さを感じているのだそうです。
これまでの仕事も続けながら、これからの時代にそぐう新しい創造性を必要とする仕事を。シー・エス・エスのオフィスは、おしゃれさの裏にこれからの働き方への想いがたっぷり詰まっている空間でした。