- オフィスインタビュー
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対面コミュニケーションが新たなアイディアを生む。ビザスクが目指す「出社したくなる」オフィス
「業界・業務に詳しい人に相談したい」企業・個人と、知見を持つ個人を時間単位の「スポットコンサル」でマッチングするサービスを提供する株式会社ビザスク。新規事業立ち上げやマーケティングなど、さまざまなビジネス上の困りごとの解決に役立つサービスです。
そんなビザスクのオフィスは、“黒”をアクセントにしたおしゃれな空間。リモートワークが推進されるなかで、あえて「対面コミュニケーション」に重きを置いているのだとか。開放感のある会議室で、山本さん、宮崎さん、水戸守さんにお話を伺いました。
大学卒業後に大手IT企業、大手人材会社、大手PR会社など複数社で営業や企画部門のマネジメントを経験。2018年4月より人事責任者としてビザスクに入社し現在に至る。
損保ジャパン日本興亜にて営業に従事したのち、2017年7月にビザスクに入社。フルサポートサービス「ビザスク」のプロジェクトマネージャーを経験し2019年3月にHRチームに異動、現在は新卒採用を担当。
複数の企業でソフトウェアエンジニアやインフラエンジニア、コーポレートエンジニアとして従事。2018年6月、ビザスク入社後は情報システム部門立ち上げを推進。社内ITに関することを幅広く担当している。
目次
学びの姿勢を大切に。「知見」を扱うサービスを提供
卯岡
カフェのようなおしゃれな雰囲気のエントランスですね。脇の壁に飾られていた「初めから世界をみよう」「一流であることにこだわる」といった尖った文言が気になりました。
水戸守さん
弊社のバリューですね。その2つのほか、「圧倒的に成長するサービス」「プライドはクソだ」「広める努力は全員で」「自由を自覚しているか」の6つのバリューがあります。
卯岡
どれもこれも尖っているなと感じますが、特に「プライドはクソだ」は切れ味抜群ですね。
山本さん
はい。言葉は尖っていますが、簡単に言うと「常に万物から学べ」ということですね。学びに必要のないプライドは、成長の枷にしかなりません。そうしたプライドは捨ててしまえ、という意味を込めたバリューです。
卯岡
いいプライドと悪いプライドがあり、悪いプライドは不要だということですね。
山本さん
はい。「万物から学べ」は、代表自身のスタンスでもあります。いいところは誰からでも学ぶ姿勢を持っている人なので。
卯岡
素敵ですね。この6つのバリューからベンチャーらしい雰囲気を感じたのですが、ビザスクさんではどういった事業を行っているのでしょうか。
山本さん
ビジネス知見を欲している企業や個人に、その分野に知見を持つ個人アドバイザーを時間単位のスポットコンサルでマッチングする事業を展開しています。
サービスは大きく2種に分かれておりまして、ひとつ目は主に事業会社や金融機関といった大手企業向けのフルサポートサービス「ビザスク」、もうひとつは主に中小ベンチャー企業や個人にお使いいただくことの多い、セルフマッチングサービス「ビザスクlite」です。
「ビザスク」はアドバイザー探しや日程調整を含め弊社が介在してマッチングをサポートするもの、「ビザスクlite」はユーザー自身にプラットフォーム上で自由に検索し利用していただくものとなります。
宮崎さん
さらにフルサポートの「ビザスク」は、いくつかのサービスに細分化されていまして、スポットコンサルのマッチング「ビザスクinterview」、BtoBのwebアンケート調査「ビザスク expert survey」、保有製品/技術のニーズ探索ができる「ビザスクweb展示会」など、現在5つのサービスを提供しています。
山本さん
「ビザスクinterview」も「ビザスクlite」は同じスポットコンサルのマッチングサービスですが、違いは当社が介在するか否かと、アクセスできるアドバイザーの幅に差があります。アドバイザー探しからマッチング成立までスピーディーに実施したい、とか「ビザスクlite」で検索してみたがアドバイザーが見つからなかった、という場合は「ビザスクinterview」を、手軽に自分で検索してアドバイザーを探すのであれば「ビザスクlite」を使っていただくことをおすすめしています。
卯岡
「ビザスク web展示会」はどういったものなのでしょうか。
宮崎さん
例えば技術や素材を持っているメーカーが、新たな活用アイデア、ビジネス展開を公募型でアドバイザーに募る仕組みです。スポットコンサル3件までが利用料金に含まれていまして、アドバイザーから寄せられたアイデアのうち、気になる相手により詳しく相談できるようになっています。公開ニーズ調査といったイメージですね。
卯岡
さまざまなサービスの根幹である「ビジネス知見」とは、どういったものを指すのでしょうか。
山本さん
個人が仕事の経験で蓄えてきた知識やスキルなどを指しています。世の中には多種多様な仕事がありますので、ビザスクで扱うビジネス知見もかなり幅広く、業務でいえばマーケティングや経営管理、海外ビジネスや新規事業に関する知見、業界でいえば製造業、小売り、IT、不動産など多岐にわたります。サービス開始から6年がたち、現在10万人にご登録いただいており、500以上の業界業種の知見を網羅しています。
卯岡
「ビザスクlite」のお話を聞いて思い浮かんだのがクラウドソーシングなのですが、同じようなものになるのでしょうか。
山本さん
確かに仕組みとしては似ていますが、依頼者が求めているものが異なります。クラウドソーシングを利用する企業が求めているものは納品物を伴う作業であることが多く、主に作業をしてもらう時間とスキルの確保です。一方、ビザスクを利用される企業が欲しているのは、ビジネス経験に基づく専門的な知識や信頼できるアドバイスです。従って有形の納品物はないことがほとんどです。そこが大きな違いですね。
卯岡
なるほど。フルサポート型とセルフマッチング型とでは、どちらの方が利用されているのでしょうか。
山本さん
件数として大きな差はありませんが、フルサポートは当社が介在する分単価が高くはなっています。最初は「ビザスクlite」を使ってみたけれど、上手くニーズに合う人を見つけられなかった案件はフルサポートの「ビザスク interview」で、と両方利用しているケースもありますよ。
前職の業界は多種多様。社内勉強会で知見をシェア
卯岡
新しいビジネスを行っていて、6つの尖ったバリューを掲げていらっしゃるビザスクさん、社員のカラーもいわゆるベンチャーらしい傾向があるのでしょうか。
水戸守さん
いや、見るからに尖っていることはなく、割と落ち着いている大人の雰囲気の人が多いですよ。
山本さん
弊社に中途入社してくるメンバーの多くが、前職で大手企業に勤めていた人なんです。夢や野望を抱いて大手に入ったものの、大手ならではの「やりたいことをやるには時間がかかる」壁を前に、「もっとスピード感とやりがいが欲しい!」と飛び出したような人が多いですね。
水戸守さん
一度大手に入ったことのある人にとっては、ビザスクは落ち着くベンチャーかもしれません。「大手に入ろう」と考えた人の傾向が落ち着きのある人なのかもしれませんが。
とはいえ、完全に守りに入っているのではなく、「もっとやりたい」意識はある。結果、ちょうどいい塩梅の人が多い気がしますね。
卯岡
前職の業界に傾向はあるのでしょうか。
宮崎さん
いえ、多種多様な業界から集まっています。事業内容はもちろん代表、社員の雰囲気など、人に魅力を感じて入社してきたメンバーが多いですね。また、当社が相対する業界が幅広いこともあり、自動車メーカーでエンジンを作っていた人や、おむつ工場で管理をしていた人、なかには防衛省勤務だったなんていうメンバーもいます。様々な経歴のメンバーと一緒に働けるのは勉強になるし刺激的です。
卯岡
話を聞いてみたくなりますね。
山本さん
仕事柄、さまざまな業界の構造を知る必要があるため、社内向け勉強会を行っています。社外の著名な人に来ていただいて専門分野について教えていただいたり、社員同士で前職の専門知識を共有したり。先々で勉強会で得た知見が仕事に活きてきて、まさに「万物から学ぶ」場ですね。
卯岡
働きやすさの面で感じることはありますか?
水戸守さん
個人的に気に入っているのは、家事代行サービスを無料で月2回使える福利厚生ですね。料理の場合は月に1回の利用になるんですが、独身者が利用して食生活が改善したと聞いたことがあります。
宮崎さん
私は掃除をお願いしています。手を付けにくい場所も定期的にきれいになるのが嬉しいですね。
卯岡
既婚、独身関係なく全員が嬉しいのがいいですね。
山本さん
健康診断のオプションを、3万円まで会社負担してもらえるのもいいなと思っています。社員の健康を第一に考えて、若いうちから定期的に自分のコンディションをチェック出来るようにしています。
水戸守さん
しかも、このオプションは社員本人だけではなく、扶養家族も利用できるんですよ。働くメンバーの健康、そしてそのメンバーを支える家族の健康まで考えてくれているなと思います。健診は費用がハードルになってしまう人もいるので、会社が後押ししてくれるのは嬉しいですね。
同ビル内での移転を実施。ワンフロアにこだわりたい
卯岡
今のオフィスビルには2017年2月に移転したと伺いました。
水戸守さん
はい。ただ、そのときは今のフロアではなく、10階ですね。その後、2018年9月により広いスペースを確保できる9階に移っています。毎年1.5倍で社員が増えているため、手狭になってしまって。
卯岡
今のオフィスを作るにあたり、こだわった点は何でしょうか。
山本さん
インテリアや内装は、落ち着いた感じのオフィスにしたかったので、黒と木目をメインに取り入れました。
こだわったのはワンフロアですね。顔を合わせ会話が生まれる環境をつくりたいので、できるだけワンフロアのオフィスがいいと考えています。
卯岡
では、さっそくオフィスを見学させてください!
“黒”使いは代表のこだわり。ビザスクのオフィス見学ツアー
代表の端羽さんがデザイン会社とやり取りをして作った、ビザスクのオフィス。黒を随所に取り入れた、ユニセックスな空間です。
黒が空間をきりりと引き締める「エントランス」
エントランスは、黒い格子窓がカフェのような雰囲気。すぐ脇の壁には書棚が置かれ、上には賞状やトロフィーが飾られていました。
卯岡
最初に目についたのが、この壁の上に掲げられている6つのバリューでした。
山本さん
バリューは私たちの大事な指針ですし、私たちを理解していただけるものなので、目につくところに掲げています。
▲脇にはソファも。カフェのような雰囲気が漂う
入社式や全社イベントなどで活躍中の「オープンスペース」
▲家具類は代表のセレクト。木製家具を選んだ
書棚のあるスペースを抜けると、広々としたオープンスペースが現れます。リフレッシュに使われるほか、全社の月次ミーティングやイベントにも活用されています。
宮崎さん
オープンスペースはこのオフィスになって初めてできたので、個人的にもとても気に入っています。セミナーや新卒採用イベント、内定式・入社式など、やれることが広がったのが嬉しいですね。オープンスペースのどの場所でも仕事が出来るように電源も多くの場所に設置してあります。
▲ハッピーアワーの様子
▲ハッピーアワーの様子
▲新卒入社式の様子
水戸守さん
「ハッピーアワー」と呼んでいる全社ミーティング後の社内飲み会もここで開催しています。チームごとに持ち回りで企画を担当しているのですが毎回コンセプト作りから入念に力を入れていますよ。
山本さん
8月のハッピーアワーは夏祭りだったり、直近だとシンガポールをコンセプトにしたパーティーを企画したりしていましたよね。
水戸守さん
今年、当社初の海外拠点がシンガポールに開設されたので、シンガポール料理を用意したり、国旗を飾ったりしましたね。シンガポールオフィスと中継も繋ぎました。
「世界中の知見をつなぐ」というビジョンのもと名付けられた「会議室」
会議室は、オープンスペースに3室、執務スペース内に2室の計5室。名前は「London」「Paris」「New York」「Hong Kong」「Lisbon」と都市の名前が付けられています。
山本さん
当社のビジョンは「世界中の知見をつなぐ」ですので、クライアントがいる都市やこれから拠点を広げていきたいエリア、といった観点で名付けています。
宮崎さん
オープンスペースにある会議室のガラスは、ホワイトボードのように書ける壁になっているんですよ。
▲オープンスペース側から見える会議室。ガラス張り部分が書けるスペースだ
「ちょっと書く」スペースを多く用意した「執務スペース」
▲中央奥に見えるグレーのガラス板の仕切りも書くためのスペース
▲リファラル採用も積極的に行っている
「書く」スペースを用意したのは、執務スペースも同様。インパクトのある大きな黒板のほか、一見仕切りに見えるガラス板も、実は書くためのスペースです。
宮崎さん
オープンスペースの会議室の壁面と同じですね。「ここ、書けるの?」と驚かれることが多いです。
卯岡
ホワイトボードや黒板とは異なり視認性があるので、圧迫感がないのもいいですね!
集中したいときに活躍中「フリースペース」
窓際には、ファミレスのようなソファ席が多めに設けられています。
水戸守さん
ひとりで集中したいときに使える場所を多く設けました。よく利用されていますね。
卯岡
ハンモックもあるんですね。
水戸守さん
休憩用ですね。個人的には、次に移転する際は休憩スペースを部屋として確保できたらいいなと思っています。
山本さん
リモートワークもエンジニアを中心に取り入れているのですが、顔を合わせて話すことでいいアイディアが出ることが多くあります。そのため、オフィスで顔を合わせながら働くこともやっぱり大切にしたいんですよね。
水戸守さん
そのためにもオフィスは「出社して仕事をしたい」と思える場にしたいんです。
ちょっとした会話が生まれる「カウンタースペース」
執務スペースの端には、コーヒーメーカーやウォーターサーバーなど、飲みものやスナックが置かれたカウンタースペースが。広々とした空間のなか、1か所にまとめたのは「コミュニケーションを生むため」なのだといいます。
山本さん
全員が同じ場所に取りに来る仕組みにしておくことで、雑談する機会が増えました。毎月のように新しい社員が入社していますが、よくコーヒーを作りながら自己紹介していたり、エンジニアとビジネスメンバーなど、チームを超えたメンバー同士でちょっとした雑談が生まれたりしています。
▲奥に見えるのがカウンタースペース
卯岡
カウンタースペースの脇にある壁面に飾られている海外のポストカード、おしゃれですね。
宮崎さん
バリューにもある「はじめから世界を見よう」という想いの表れとして、海外に行ってきた社員が自由に貼っています。
水戸守さん
今後、海外拠点も増やしていきたいと思っています。情報システム担当としても、時差があっても各拠点でスムーズに対応できる体制を作りたいですね。
▲執務スペース内に並ぶ自転車。自転車通勤する社員たちのものだ
リモートが流行るなか、あえて目指すのは「出社したくなるオフィス」
ビザスクのミッションは、「世界中の知見をつなぐ」。今後、新たな「知見をつなぐ」サービスの提供も視野にあるのだそう。「2020年、2021年で注力したいのは、新しい事業・サービスの創出に加えて、海外事業の成長ですね。2020年1月には初めての海外拠点をシンガポールに構えグローバル展開を強化しています」と山本さんが語ってくれました。3月10日に東京証券取引所マザーズ市場へ上場。今後ますますのサービス拡充が期待されます。
新たなアイディアを生み出すために、対面での仕事も大切にしたい。しかし、「“出社してね”と会社側から指示を出したいわけではない」というビザスク。「どんなオフィスなら出向きたくなるだろう」「快適なオフィスはどのようなものだろう」と考えながら、「社員が来たくなるオフィス」を目指し続けます。