- オフィスインタビュー
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最先端の技術を扱うからこそ、テーマはあえて非ITで「人と人のつながり」に。テックファームホールディングスのオフィス
ICTソリューション・自動車アフターマーケット向けソリューション・農水産物輸出ソリューションなど、最先端の「技術力」を基にさまざまな産業の未来を拓くITサービスを提供しているテックファームホールディングス株式会社。
そんなテックファームホールディングスのオフィスは、ITを取り扱う企業ながらIT化よりも人と人がつながることにこだわったのだそう。また、アイデアが生まれやすい工夫も同時に散りばめたんだとか。
こだわりが詰まったオペラシティのオフィスに伺ってきました!
外資系証券会社等を経て、2015年テックファームホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEOに就任。
2003年に新卒でテックファーム株式会社に入社。総務・人事を担当の後、2007年に開発本部へ異動。運用保守チームのPM(プロジェクトマネージャー)を務める。
2017年に新卒でテックファーム株式会社に入社、開発本部に配属。エンジニアとして進学サイトの開発プロジェクトを担当。
目次
ITを使って喜びや幸せを届ける事業を展開
ameri
テックファームさんはどのような事業を展開されているのでしょうか?
永守さん
我々はITを使って課題を解決する事業を展開しています。
具体的には、ICTソリューション・自動車アフターマーケット向けソリューション・農水産物輸出ソリューションなど、最先端の「技術力」を基にした未来を拓くITサービスを提供しています。
社名の「テックファーム」はLaw Firm(弁護士事務所)から着想を得たテクノロジーファームが語源でして、さまざまな課題をITの専門家としてテクノロジーで解決し、喜びや幸せを届けていきたいという想いを込めているんです。
ameri
サービスを通してどのような社会にしたいですか?
永守さん
理念として掲げている「私たちは、最先端の「技術」と蓄積した「ノウハウ」を基に、新しい「サービス」としてお客様に提供、「顧客の価値創造」を実現することによりITを通した社会貢献に努めていきます。」という言葉が表しています。
求められた・決められたモノを作るだけではなく、その先にある未来を想像し、最先端の技術で未来の姿を作ることが我々のミッションだと考えています。
ameri
最先端の技術を使って、将来一般的になっているであろうサービスを今生み出しているんですね。
永守さん
そういうことですね。
ameri
働くうえで大切にされている想いはありますか?
永守さん
恐れずひるまず新しいことに挑戦することです。受け身に回ったり正解のマトを当てにいったりするのではなく、数多くチャレンジすることを大切にしています。
そのためには、安心して挑戦できる環境が重要ですよね。何かを言ってバカにされたり、失敗したら評価が下がったりするような「心理的安全性」が確保されていない環境では、誰もチャレンジしようとは思いません。なので、チャレンジしやすい環境作りは意識しています。
あとは、弊社は自分自身が成長していくことに対してやりがいを感じる社員が特に多いと感じます。日々進化を試みて、自分の知恵を絞って業務と向き合っている姿が多く見られますね。
社員がコミュニケーションを取りやすく、共にサービスを創る企業に「安心感」「信頼感」を与えられるオフィス
ameri
永守さんご自身がオフィスのデザインにも関わられたと伺いました。どんな点にこだわったのでしょうか?
永守さん
「非IT」にこだわりました。
ameri
非IT……ですか?
永守さん
弊社は自社単独でプロダクトやサービスを提供しているのではなく、多くのクライアント、また産業パートナー、そして開発パートナーと協働して仕事をしています。
一緒に仕事をする大前提として、単にITに詳しい専門家としてだけではなく、一緒に協働できる「信頼感」「安心感」や、そこから一緒に何かを生み出す「創造性」を感じてもらうことが必要だと考え、オフィスは血の通った感じを大切にしています。
ameri
どういったところで「血の通った感じ」を表現しているのでしょうか?
永守さん
木材などの素材を使うことで、あたたかさを表現しました。
ameri
確かにIT企業というと「デジタル」や「スタイリッシュ」といったイメージが先行しますもんね。
永守さん
そうなんです。
弊社は「かっこいい」「クール」といったイメージよりも「お客さまに寄り添って共感・共鳴がスタート地点」「困った人の課題を想像して創造できる」という人間ならではの強みも大切にしていることを、オフィスを通して伝えたいと考えました。
ameri
人間味溢れるあたたかさや創造性を重視したんですね。
永守さん
はい。また、社内の執務室内には可動式の家具を多く使い、コミュニケーションが取りやすくアイデアが生まれやすいようにしました。
ameri
詳しくご紹介お願いします!
コミュニケーションや日々の変化からアイデアを生みやすくする執務スペース
永守さん
こちらの執務エリアには、コミュニケーションが取りやすくなるいくつかの工夫をしています。朝来て、気づいたら半径数メートルの限られた人としか話さず家路につくってことありませんか?そうした“無縁社員”を極力減らしたいと思って、工夫を取り入れました。
1人ですごいアイデアが出てくることは中々なく、さまざまな人との関わりや何気ない会話から気づきやアイデアが生まれると思っています。それがゆくゆくは世の中の課題解決につながっていく可能性があります。
なので、バックグラウンドが異なる社員が関わりやすいように工夫を凝らしました。
ameri
どのような工夫でしょうか?
永守さん
ひとつ目はデスクの引き出しをやめて、個人用ロッカーをまとめました。ここをタッチポイントとすることで、朝や帰りに必ず寄ってこの場所で人と出会えるようにしています。
また、「床の色を変えたこと」です。床の色に変化をもたせて、無意識に視覚的に人の動きを誘導するようにしました。気づいていない社員が多いので、効果はわかりません(笑)。
ameri
本当だ。自然な感じで床の色が変わっていますね。
永守さん
「コミュニケーション取りなよ」と押し付けがましいことはしたくなかったので、自然と交わることを意識しました。
ふたつ目は「部長席などを取っ払ったこと」です。あと、フリーアドレスエリアも導入しています。この席に行くといつも誰がいる、という決まったルーティンを取っ払い、思考もアイデアも変化を加えるのが狙いです。話したい人を探し回って苦労することもありますが(苦笑)、それでオフィス内を回れて目線も変わるので良いかなと思っています。
ameri
部長席とは、よくあるお誕生日席のようなことですか?
永守さん
そうです。上座下座などをすべて取っ払うことで、目に入ってくる景色が変わりますよね。脳に新しい刺激をもたらせると考えています。
永守さん
あとは「家具を動く仕様にしたこと」です。
IT業界は取り巻く環境の変化が早いことが特徴です。そのため、変化することへの免疫を持ってほしいと考えました。変化は日常で怖いモノではない、変化は未来をつくれるワクワクすることだと。
動く家具はIT業界の変化を表し、日々変わることを前提に業務と向き合ってもらえたらという想いを込めています。
ameri
確かに、机も壁も可動式になっていますね!
永守さん
そうなんです。机の向きが変わることで、目線や発想が変わりますよね。固定概念を取っ払い、変化の中から違うアイデアが生まれるんだという考え方が浸透するといいなと思っています。
また、浮かんだアイデアをすぐに書けるように、可動式の大きなボードを設置しています。
▲いつでも思い付いたアイデアを書き込めるボード
ameri
エンジニアとして働くハヴィーさんは、実際にオフィスをどのように使っていらっしゃるのでしょうか?
ハヴィーさん
ミーティングデスクやフリースペースをよく利用しています。気軽に使えるところがいいですね。「相談したいのだけど今大丈夫?」と、軽いミーティングなどの場面で活用していることが多いです。簡単に話し合いができるので、コミュニケーションが取りやすくなりました。
ちなみに書き込めるテーブルも便利ですよ!
ameri
書き込めるテーブル……ですか?
永守さん
フリースペースの机のひとつが、デスク自体に書き込める仕様になっているんです。
▲囲んで議論しているスタンディングデスクが書き込める式のもの
ameri
なんて便利……!書くのが楽しくなってミーティングが白熱しそうですね。
部屋名になった木を机や扉に使用している会議室
ameri
こちらが会議室エリアですか?
永守さん
はい、そうです。
ameri
木目調であたたかさを感じます。訪れたお客さまが安心できる雰囲気ですね。
永守さん
実は会議室の名称になっている木を、扉にも中のデスクにも使っているんですよ。
ameri
そうだったんですか!それぞれの部屋で使った木には何か想いを込められているのでしょうか?
永守さん
「木言葉」を込めています。
永守さん
例えば、こちらの「檜(ヒノキ)」の木言葉は「発展・尊厳」などと言われています。なので、この部屋は取締役会など成長をリードしていくカッチリとした会議に使用しやすいように作るなど、木言葉と雰囲気を合わせるようにしています。
コミュニケーションを大切にし、日々能力を高められる制度
ameri
オフィスは、コミュニケーションを取りやすくする工夫や、変化に対する免疫を持てる工夫が散りばめられていましたよね。制度にも何かこだわりはありますか?
長井さん
「てっく茶屋」というイベントを開催しています。
ameri
てっく茶屋……ですか?
長井さん
月に一度開催される恒例イベントです。「15時のおやつ」のような感じで80〜100くらいの野菜や果物を用意し、みんなで食べながら交流しています。
ameri
楽しそう!部署を超えて関われそうですね。
長井さん
弊社は外国人が多い企業なのですが、以前はなかなか部署を超えて話す機会も少なく……。みんなで気軽に交流できる機会がほしいと生まれた文化ですね。
ameri
コミュニケーションは活発になっていますか?
長井さん
はい。てっく茶屋には1つだけルールがあって、それが「その場で食べること」なんです。
ameri
自席に持ち帰らず、その場で皆さん楽しんでいるんですね!
長井さん
はい。片手に野菜や果物があることで「何を食べているんですか?」「おいしいですか?」という会話のきっかけになっていますね。
ユニークな表彰制度やキックオフも!
永守さん
弊社は「挑戦を恐れないこと」を大切にしています。そのため、日々学びに貪欲なメンバーがそろっていまして。年1回の表彰では、受賞者への副賞は勉強旅行とし、学びたいことに合わせて選択肢をいくつか用意しています。
ameri
行き先の選択肢はどのようなものがあるのでしょう?
永守さん
本場シリコンバレーや、「インドのシリコンバレー」という別名を持つバンガロールなどです。去年は中国の深圳でした。
ameri
すごい……!そういった副賞を設定したのには、社員の皆さんの声があったのでしょうか?
永守さん
そうですね。元々勉強熱心な社員が多く、未来都市に行って未来の技術を目で見て感じたいという声もあり、副賞に設定することになりました。私がそうした土地に行って色々伝えもしますが、百聞は一見にしかずで、実際に足を運ばないとわからないことや、普段の学びと繋がる部分があるのではないかと思っています。
世界のIT事情は変化するので、行き先はちょこちょこ変えています。来年も世界の動きの中で「最先端の場所へ行く権利」を副賞にしようと考えていますね。
ameri
和の雰囲気漂うこちらの場所で行われているのは何のイベントでしょうか?
永守さん
キックオフミーティングです。
ameri
キックオフの会場、どこだったんですか?
永守さん
能楽堂です。
ameri
能楽堂?!
永守さん
以前は、浅草にある花やしきでキックオフをおこなったこともありました。場所を固定せず、毎年さまざまなところで開催しています。
ameri
最後に今後の展望について教えてください!
永守さん
技術力や開発力を提供していくのはもちろんです。そのうえで、困っているお客さまやエンドユーザーの生活をよりよくしていけるサービス・ソリューションを生み出していきたいと思っています。
ameri
具体的にはどのようなことをお考えですか?
永守さん
産業で「当たり前」と考えられていることを根本から変えていきたいですね。例えば農業における課題も、ITで解決できると考えています。
ameri
農業ですか!
永守さん
現状、野菜や果物の消費量が減ってきていて「質のいいもの」が持て余されています。余ったものは農協が一括で買い取って流通市場に流しているんです。しかし、一括での買い取りは価格も安く、農家さんのモチベーションが低下してしまいます。
一方で視点をアジアに広げると、野菜や果物の購買力が上がっているんです。質のいいものにはしっかりとした金額を払ってもらえるので、「いいものを作っているのに評価されない」という課題を解決できると考えています。
需要と供給をつなげられる、野菜や果物のバーチャル市場をITで作れたらいいなと思っていますね。
ameri
売る側はモチベーションを保てて、買う側は質のいいものを手に入れられる。実現すれば、どちらにもメリットがありますね!
永守さん
僕は、ITにできないことはないと思っています。今後は、現在の「当たり前」を根本的に作り変える取り組みをさらに広げていきたいと考えています。
最先端の技術を取り扱っているからこそ、あえてオフィスは非ITにし、あたたかみのある空間作りをする。そんなこだわりから「お客様に信頼してもらい、一緒に未来を創り上げていくんだ」という強い思いが感じられました。