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居抜きオフィスでありがちな失敗・トラブル8選!回避方法も解説
原状回復工事を行わず、次の入居者に内装を引き継ぐ「居抜き」の形態は、近年飲食店だけでなくオフィスでも注目されています。
良い形での合意が成立すれば退去者、入居者、オーナーそれぞれにメリットがある居抜きでの入退去ですが、一方で失敗事例やトラブル事例が見られるのも事実。
本記事では居抜きでのオフィス入居について、失敗事例・トラブル事例を解説しながら、失敗をなるべく回避するための方法についても解説します。居抜きでのオフィス入居を検討している方、居抜きのトラブル事例や対策を知りたい方はぜひご一読ください。
目次
居抜きオフィスの失敗・トラブル事例8選
近年、経営者同士のつながりや、マッチングサイトの活用により、居抜き入退去の相談を退去側、入居側で直接行うことも増えてきています。
とはいえ、通常のオフィスの入退去とは勝手の異なる居抜きオフィス。トラブルに発展するケースも多いため、まずは居抜きオフィスに入居した時に起こりがちな失敗事例・トラブル事例の中で代表的なものを8つご紹介します。居抜きオフィスへの入居を検討中の方は、下記のポイントに注意して居抜き物件を選びましょう。
1.オーナーの許可がとれていなかった
居抜きでの入退去には、大前提としてオーナーの許可が必須です。原状回復を行わないまま次の入居者に引き継ぐことはオーナー視点でリスクになりえるためです。
前の入居者が「居抜き」での入居希望者を募集していたため話を進めたところ、実はオーナーの許可が取れていないことが後になって判明。結果的に話が流れてしまう、といったトラブルもあります。
2.譲渡費用が発生する
基本的に居抜き物件は残っている内装や什器をそのまま使うことについて費用はかかりませんが、契約の内容によっては譲渡費用が発生する場合も。
無償で譲り受ける前提で入居への準備を進めていたところ、契約直前になって譲渡費用を請求されるといったトラブル事例も実在します。
3.不要な残置物の廃棄コストがかかる
前の入居者が退去時に残していった残置物の中には、自社で使えずに廃棄するものが出てくる可能性があります。
廃棄するにあたって高額なコストがかかり、大きな初期費用が発生してしまう、というのも居抜き入居でありがちな失敗事例です。
4.什器がすぐに故障し買い替え費用がかかる
前の入居者が残していった什器を自社でそのまま利用する場合であっても、使い始めて間もなく故障してしまい、廃棄や買い替えで高額なコストが発生してしまう可能性があります。
残してある什器がそのまま利用可能で購入費用が抑えられることも居抜き入居のメリットですが、故障時には思わぬコストとなってしまうこともあるため注意が必要です。
5.物件の劣化、損傷が激しく修繕費用がかかる
入居した後、大きな経年劣化や損傷が判明し、その修繕費用を負担せざるをえないケースがあります。
入居する以前からの劣化・損傷については本来前の入居者が修繕コストを負担すべきですが、そのまま引き渡しが完了した時点で修繕の義務まで転嫁されてしまうような事例もありました。
6.賃料が割高であった
居抜きでの入退去を行うことと、契約段階での賃料設定は原則としては関係ありません。しかし、契約してみると賃料相場が周辺物件と比較して割高であったというケースも存在します。特に、内装が凝っている場合や立地が良い場合、建物自体にブランド力がある場合など、入居希望者が多い場合は割高な賃料が設定されることがあるのです。
初期費用がかからないからと、周辺相場と比較せずに物件を決めてしまった場合、月々のランニングコストが高くトータルでのオフィスにかかるコストが高くついてしまうといったリスクもあるため注意しましょう。
7.レイアウトや内装が後から変更できない
入居時から内装が整っていることはコスト等のメリットが大きい一方で、後からリニューアルなどで内装やレイアウトを変更しようとした際に制約になるケースがあります。
デザインが気に入って物件を契約したところ動線が悪く、改善のためのレイアウト変更も困難であるといったトラブル事例も。事前に動線のシミュレーションを行いましょう。
8.退去時に原状回復費用が請求される
入居時に内装工事を行わなかった場合、見落としがちなのが退去時の原状回復工事。以前の入居者から引き継いだ「居抜き物件」であっても、原則は退去時の原状回復工事が求められます。この原状回復費用が、思いのほか高額な場合もあるため注意が必要です。
なお、オーナーが許可を出し、かつ次の入居者が見つかった場合は「居抜き退去」も可能となります。
居抜きオフィス選びで失敗しないためのポイント
居抜きオフィスは通常のオフィス選びに比べてトラブルが発生する可能性が高いのは事実ですが、ポイントを抑えることで失敗を回避することができます。
重要なポイントについて確認していきましょう。
候補物件選びからプロの目線を交える
居抜き物件を選ぶ際、まずは情報収集し内見する候補を絞り込みますが、最初の物件選びの段階からプロの目線を交えることで、そもそもリスクの高い物件に当たる可能性は大幅に下げられます。
居抜きでの入退去に強い業者にコンサルティングを依頼する、もしくは信頼性の高い業者が運営している物件検索サイトを利用するなど、何らかの形でプロの目線からフィルタリングがかかっている物件から候補を選ぶことで、失敗の可能性を下げられます。
内見を注意深く行う
オフィスの内見は居抜き物件に限らず重要ですが、特に居抜き物件の場合は内見した内装・レイアウトのオフィスをそのまま使うことになるため、特に注意深く細かいポイントまでチェックすることが求められます。
レイアウトが使いにくく動線が悪くなることはないかといった点や、物件内部や引き継ぐ予定の什器の破損・劣化の状況もチェックし、将来的な修繕や廃棄、買い替えのリスクを洗い出しましょう。
契約の内容をよく確認する
居抜きでの入居は一般的な契約からすると特別な取り決めとなるため、契約の内容は特に注意が必要です。
内容をよく確認し、入居時・利用中・退去時に予期していないコストが発生しないか洗い出しを行いましょう。
退去時に「居抜き退去」する意向がある場合、契約段階で将来的な居抜き退去の可否や条件について可能な限り明確に合意しておくことがおすすめです。
前の入居者との取り決めを入念に行う
前の入居者の内装や置いていく什器等を引き継ぐため、前の入居者との取り決めも非常に重要です。
以下のような項目について事前に確認し合意しておくことで、後々トラブルとなる可能性を大きく下げられます。
- 譲渡費用発生の有無や金額
- 残す什器の対象
- 双方が必要としない残置物の廃棄コストの負担
- 現状判明している物件の破損や劣化の修繕義務
- 入居後に判明した物件の破損や劣化の修繕義務
信頼できる業者に仲介やコンサルティングを依頼する
上記のポイントに自社で注意するだけでも居抜き入居に伴うトラブルのリスクは下げられますが、確実かつ自社への負担も少ないのは信頼できる仲介業者、コンサルティング業者に依頼すること。
物件の選定から内見の同行、契約書の確認や以前の入居者との取り決めと、失敗するとリスクを抱える可能性がある段階それぞれにおいてプロの目線からの確認、助言を入れることでリスクをさらに下げられます。
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まとめ
居抜きオフィスは本来行われる原状回復が行われないだけに、どうしても特有のリスクがつきまといます。しかし、入居者側が賢明な判断・物件の選択ができれば多くのトラブルは回避可能であり、居抜きオフィスのメリットを受けることができます。
ぜひ、今回解説したトラブル事例や回避方法を参考にしながら、自社に合った居抜きオフィスを探してみてください。