- オフィスインタビュー
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「リモート推奨」でも、社員がオフィスに来たくなるのは「楽しいから」。スポーツバーを目指したユーフォリアのオフィス
目に飛び込んできたキャップの数々。壁面に飾られたユニフォーム。株式会社ユーフォリアは、部活動からプロアスリートまで、アスリートたちがコンディション管理をスマートフォンから手軽に入力できるWebソフトウエアを提供しています。
オフィスのコンセプトは「スポーツバー」。こだわりのポイントについて、森さんと窪田さんにお話をうかがいました。
(3/18に取材を行いました。)
大学在学時に長期インターンとしてユーフォリアに参加し、卒業後の2019年4月に入社。
現在は、新規ユーザーセールスやユーザーチームサポートを担当。
外資系コンピューターメーカーで技術職を経て、大手メガベンチャーに転職。新卒エンジニアの育成プロジェクトマネジャーを担当。
ここ数年は複数のスタートアップの人事部門の立ち上げと人事責任者を兼任。株式会社ユーフォリアには2018年12月1日からHRマネジャーとして参画し、2020年1月に正式に入社。
目次
プロアマ問わず、利用可能。現在の導入競技数は40
▲オフィスに入ってすぐのスペース。キャップや写真、サービス紹介記事の切り抜きがずらりと並ぶ
卯岡
ユニフォームがいっぱい飾られていますね。ユーフォリアさんは、スポーツに関連する事業を展開されていらっしゃるんでしょうか。
窪田さん
はい。ざっくり説明すると、アスリートの体調・コンディションを管理するWebソフトウエアが当社の事業です。
卯岡
アスリート……プロ向けのサービスですか?
森さん
いえ、日本代表から学生スポーツ、小学生まで、幅広い層が使えるものです。現在、日本代表には16チームにご導入いただいています。
卯岡
ということは、対応できるスポーツの種目も幅広いんですね。
森さん
はい。現状ご利用いただいているのは40競技くらいでしょうか。チームにすると350ほどになります。
卯岡
40競技……多いですね。競技によって向き不向きはないのですか?
窪田さん
競技・チームによって入力項目をカスタマイズできるため、どのような競技にも対応できます。また、これまで選手のコンディション管理はコーチやトレーナーがExcelなどで行うのが一般的だったのですが、このソフトを使うと選手が自分のスマートフォンから入力でき、データ集計・確認が一目でできるんです。
森さん
ソフトを通じて迅速にコンディションをチェックできるので、その日の練習メニューの変更、負荷の増減をスムーズに決められます。選手による主観データとトレーナーによる客観データを組み合わせて判断できるため、ケガの防止に繋げられるんです。
窪田さん
あとは、試合当日にピークを持っていくためのピーキングにも役立てられています。
卯岡
ただコンディションを入力し管理するのではなく、そのデータをどう活用するかによって、使用用途の幅を広げられるんですね。
森さん
おっしゃる通りです。弊社のカスタマーサクセスチームが、ソフトを利用しているチームに出向いてヒアリングを行い、チームと一緒になってどうデータを活用するのか、日々考えています。
「理想のオフィス」を寄せ集め、練り上げた新オフィス
卯岡
ユーフォリアさんが、このオフィスに移転してきた理由は何だったのでしょうか。
森さん
キャパシティですね。以前は、新丸の内ビルのシェアオフィスだったんです。
卯岡
では、内装にこだわったのは初めてだったんですね。何を重視されましたか?
森さん
見た目がオフィスビルっぽくない点に惹かれたんですよね。地下に美術館があったり、レストランが入っていたりしますし。また、渡り廊下の先に会議室があるという変わった作りなんです。これらが気に入って、即決しました。
窪田さん
オフィス移転のためではないのですが、2019年5月くらいに社員・業務委託社員みんなで合宿を行ったんです。そのなかで、どのようなオフィスにしたいのか、ワールドカフェを行いました。
卯岡
ワールドカフェですか?
窪田さん
チームごとに、オフィスに求める希望を付箋に書いて、模造紙へ貼っていったんです。10人くらいずつ、2チームに分かれて。
森さん
途中でひとりずつ入れ替わっていって、相手チームの意見も見ながら、どんどん書き加えて。
卯岡
どういった要望がありましたか?
森さん
「砂浜がほしい」とか「サーフボードを置きたい」とか……「DJブースがほしい」もありましたね。
卯岡
砂浜! 実現できないだろう要望も出ていたんですね(笑)。
窪田さん
理想のオフィスなので、そこはもう、ざっくばらんに(笑)。「竹藪がほしい」とか、「昼寝スペースがほしい」とか……いろいろありました。
卯岡
結局、最後はどのように決めていかれたのでしょうか。
森さん
意見を取りまとめたうえで、取捨選択していきました。社長と僕の理想のオフィスの雰囲気が似通っていたので、そこをベースにしましたね。
目指したのはスポーツバーです。集めた意見から、何をどう具現化していくのか決めていくのが1番大変でした。ただ、多様に集まった意見から練り上げていく工程をがんばった甲斐あって、個人的に大満足な仕上がりになりましたね。社長も満足してくれています。
卯岡
では、そんな理想を具現化したオフィス、さっそく拝見させてください!
目指したのはスポーツバー。ユーフォリアのオフィス見学ツアー
「スポーツバー」をコンセプトにした、ユーフォリアのオフィス。2019年ラグビーワールドカップの開幕前に行われた強化試合(南アフリカ戦)のタイミングに合わせ、移転パーティーが行われました。参加者はおよそ100人。60人程度が一堂に会したタイミングもあったのだそう。
移転パーティーを兼ねていたにも関わらず、当日訪れたゲストのなかには「オフィスだとは気づかなかった」方もいたのだとか。「それくらいスポーツバーのような雰囲気だったのだと思います」と森さんが笑顔で語ってくれました。
こだわりのレンガ壁は代表の理想。「オープンスペース」
バーカウンターに、レンガの壁。オープンスペースは、コンセプトの「スポーツバー」を意識した内装です。
森さん
レンガの壁面には、代表のこだわりが詰まっています。レンガを入れたかったのは、クラシックなアメリカの球場の雰囲気が好きだからなんです。
卯岡
レンガには多くのコメントが書かれていますね。
▲こちらは2020年のユーフォリアの目標。壁に書かれた「壁を突き抜けろ!」の文字が力強い
窪田さん
移転パーティーのときに書いていただいたものが多いですね。その後も来社された方に書き入れてもらっているんです。
森さん
あとは、バーカウンターの高さにもこだわりがあり、少し高めになっているんです。スタンディングデスクとしても使えるようにしたくて。あとは、高めのほうが人がカウンターに集いやすいんですよね。
窪田さん
内側に入ると、ちょうどカウンター下に業務用冷蔵庫が収まっています。18、19時を過ぎると、お客さんにお酒をお出ししたり、社員同士で飲んだりしている姿が見られますよ。
卯岡
いいですね……!
窪田さん
バーカウンターを囲んでお酒を飲むことは、採用面接にも活用しています。きちんとした面接とは別に、カルチャーフィットの確認を兼ねたカジュアルな飲みの場を作っているんです。
お店で食事会や飲み会を開催すると、あらかじめ参加してもらう社員にお願いして、予定をあけておいてもらわなければなりません。しかし、オフィスだと仕事後にいろんな社員がふらっと参加しやすいんですよ。
卯岡
なるほど、雑談が生まれやすいんですね。
窪田さん
はい。弊社は、雑談を非常に大切にしているんです。あらたまった話だけをする関係性よりも、雑談もできる関係性のほうがコミュニケーションの円滑度が上がりますし。人事面に関しても同様ですね。採用候補者の方に人事がオフィシャルな雰囲気で「ユーフォリアについて」と伝えるよりも、社風を肌で感じていただきやすくなったと思います。
卯岡
さまざまな社員の方とコミュニケーションを取れるのも、入社後がイメージできそうです。
森さん
そうなんですよ。ちなみに、カウンターは特注で、当社の株主の方が作ってくれたものなんです。
卯岡
え! 業者にオーダーしたわけではなかったんですね。
森さん
はい。快く作っていただいて。おかげで理想にばっちりハマるカウンターを設置することができました。
▲オープンスペースの端にはソファ席も
リモートワーク推奨にも関わらず、出社したがる社員が大半。「執務スペース」
▲「今日は、人が少ないほうです」(森さん)
レンガの壁面の裏にあるのが執務スペースです。ユーフォリアでは、フリーアドレス制を採用。エンジニアを中心に、リモートワークを推奨しているそうなのですが……。
窪田さん
リモートワークを導入しつつも、なんだかんだと出社してくる社員が多いんです。
森さん
「出社しなきゃ」、じゃないんですよね。出社したいんです、みんな。僕もそのうちのひとりです。
窪田さん
私もです(笑)。コロナウイルス流行に対しても、会社側から「来るな」と強めに指示を出さなければ、気持ちとしては来たい社員が多くて。「リモート推奨」くらいではリモートワークせず出社しちゃうんですよ。
卯岡
なぜなのでしょうか。
窪田さん
「オフィスに来たほうが楽しい」と話す社員が多いですね。誰かしらと話したい社員が多いのかもしれません。そのため、リモートワークではバーチャルオフィスとして、ビデオチャットを繋げて仕事ができるようにするといった工夫を行っています。
森さん
でも、来たくなっちゃうんですよね(笑)。
窪田さん
はい(笑)。
森さん
パートナーの方が来社され、終業後に飲んでいる写真がSlackに上げられているのなんか見ちゃうと、「何で俺、先に帰ったんだろう……!」って後悔でいっぱいになってしまうんですよ。
窪田さん
みんな、自分がいないときに楽しいことが行われているのが悔しいんですよね。
卯岡
皆さん、仲が良いんですね。
窪田さん
非常に良いですね。20代が3名、30代前半がほとんどと世代が近いのもあるのかもしれません。
卯岡
スポーツ好きが多いといった共通点は?
森さん
スポーツ好きは確かに多いですね。ただ、プレイヤー経験がある人ばかりではありません。そうそう、スポーツテックの会社ならではのものといえば、誕生日に会社からスニーカーが贈られるんですよ。
▲瞑想中の森さんが履いているスニーカーが、会社からのプレゼントで贈られたもの
窪田さん
入社すると、どんどん服装がカジュアルになっていくんです(笑)。だからスニーカーはありがたいですね。わたしもいつしか、仕事着はパーカーがメインになりました。当社では、スーツを着ると「コスプレ」と言われてしまうほどカジュアルなんですよ。
森さん
僕、夏のオフィスでは半ズボンですしね(笑)。ただ、僕たちはスポーツチームの皆さんと一緒になってより良くしていく方法を考えるのが仕事なので、スーツ姿だとかえって打ち解けにくくなるのではないかとも思います。そのため、僕たちは会社のジャージを着るなど、程良いラフさで訪問に行くこともあるんです。
営業する会社とサービスを買う顧客といった関係性にしたくはないんですよね。あくまでもパートナーとして、近い距離感で仕事をしていきたいです。
渡り廊下の先にある「会議室」
この物件を即決した理由のひとつが、渡り廊下の先にある会議室です。
卯岡
渡り廊下のこの感じ、いいですね。渡り廊下の奥に見える会議室という構図がおしゃれで素敵です!
森さん
いいですよね。気に入っています。
▲向かって右側の壁は、全面ホワイトボード。書きながら会議が行える
活用しやすいサービスへと成長。学生からプロまで、もっと幅広く利用してもらいたい
スポーツバーのような人が集まれるオープンスペースを設けたことで、採用活動もやりやすくなったと語る窪田さん。今後は、エンジニア採用に繋がるミートアップや、ユーザー同士がサービスの活用事例をシェアできる会の開催など、オフィスをさらに活用していきたいとお話してくれました。
「現状はプロアマ問わずトップアスリートの方たちに多く利用していただいています。トップアスリートに対しては、データ活用の幅を広げていくことが今後の目標です。また、学生スポーツについては、活用ハードルを引き下げ、より多くの方に利用してもらいたいとも考えています」と森さん。
子どもから大人、アマチュアからプロまで、スポーツを愛する人がケガを防ぎ、より良いパフォーマンスができるように。ユーフォリアのオフィスは、アイディアや情報をシェアできる、魅力ある場所でした。