- オフィスインタビュー
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メーカー・消費者がともに嬉しい商品体験の場を提供。quatreの新オフィス
情報が濁流のように溢れる現代社会。広告を条件反射的にスルーしてしまったり、配られているサンプル品を何となく受け取り、結局使わずじまいになってしまったりしたことはありませんか? メーカー側は、商品を消費者に知ってもらうためにプロモーションしているのに、スルーされては意味がありません。広告費、販促費には限りがあるため、打てるプロモーションにも限度があります。 今回取材に伺ったquatreは、こうした課題を解決するために商品体験を作り出す事業「aircatalog」「aircatalog hi!」を展開しています。大阪本社とは別に、東京・目黒に東京オフィスを構えたquatre。代表の横町さんにお話を伺ってきました。
quatre株式会社 代表取締役。1985年生まれ、大阪府堺市出身。
美容師を経て、株式会社ぐるなびで飲食店やホテルレストラン向けに販促営業、
のち株式会社アイスタイルにてマーケティングとセールスに従事。
そこで得たセールスプロモーションとマーケティングの知見を活かし、かねてより構想のあった【商品体験を中心とした市場】の構築を目指して、2014年にquatre株式会社を設立。
目次
ミッションは「体験中心の購買市場を創る」
卯岡
quatreさんの事業内容についてお聞かせください。
横町さん
主にふたつのサービスを展開しております。ひとつ目は「aircatalog」、もうひとつは「aircatalog hi!」です。どちらにも共通しているのは、認知・購買につながるCXを高める為の「商品体験」を簡単に創出できるリアルプロモーションサービスです。
卯岡
どちらの事業の名前にも「カタログ」が付いていて、共通しているのが「体験」なんですね。もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
横町さん
「aircatalog」からご説明しますね。まずお聞きしたいんですが、街中などでサンプル品をもらったことはありますか?
卯岡
あります。つい先日も、駅前でドリンクの試飲品を受け取りました。
横町さん
そのドリンクの例でいうと、どのような年齢層、性別の人に配ったのか、また実際に受け取った人は飲んでくれたのか、メーカー側は知る術がないんですよ。基本的には「バラマキ」なので。
卯岡
確かに…!配っている人の多くはアルバイトだと思いますが、とにかく数をはけさせるやっつけ仕事状態になっているところも見かけたことがあります。
横町さん
そうなんですよ。メーカーがサンプルを配るには、代理店に依頼をし、代理店が下請けに出して…といくつもの段階を踏むのが一般的です。そのため、コストも時間もかかる。にもかかわらず、効果の測定はできず、どうしてもばらまきになってしまうのが課題なんです。
卯岡
サンプルを作るだけでもコストがかかるのに、配るのにも費用がかかり、さらには配ったあとの反応はわからないままになってしまっているわけですね。
横町さん
はい。そこで、その課題を解決するために「aircatalog」を開発しました。「aircatalog」を一言で説明すると、メーカーと配布先のマッチングサービスなんです。
卯岡
配布先とは、どのようなところなのでしょうか。
横町さん
さまざまです。IT企業やアパレル企業などのオフィス、ホテルやヨガ、パーソナルジム、ニッチなところでいけば接骨院なんかもありますね。
卯岡
それらと、サンプル品を配りたいメーカー側のマッチングが行われる…どのような仕組みなんですか?
横町さん
まず、プロモーションには配布プランと、デモ機を設置してもらうディスプレイプランの2プランを用意しています。メーカー側は、試してほしい商品をサイト上で登録。一方、配布先となる施設は、ほしい商品を選び、希望個数やコメントを入れてオファーをします。
卯岡
どのようなコメントを書くんですか?
横町さん
なぜこの商品を試したいのかなどですね。「ニーズがあると思われる層が多くいますよ」など、メーカー側にアピールする場でもあります。無事承認されると、当社にマッチングした分の成果報酬が入る…といったビジネスモデルです。
卯岡
たとえば、どのようなマッチング例があるのでしょうか。
横町さん
配布例だと、宿泊施設がアメニティとしてヘアケア商品や化粧品を希望されたり、ジムが制汗剤やドリンク類を希望されたりしていますね。ディスプレイプランでは、オフィスに置く空気清浄機とか。男性エンジニア中心の職場で、においが一掃された報告を受けています(笑)購入コンバージョンも15%以上を事例もあり、「体験から購入する」というエアカタログが実現したい成果を出すことができています。
▲オフィスの廊下に設置された棚には、サンプル品が並べられていた
卯岡
おもしろい…!サンプルということは、希望する施設側には費用がかからないんですよね。メリットしかないサービスじゃないですか。
横町さん
はい。施設側には一切デメリットがないですね。さらに、メーカー側もサンプリング予算を押さえられるメリットがあります。しかも、メーカー側も納得した施設に送れるため、ターゲティングも可能なんですよ。
卯岡
確かに。想定している層に確実に配ってもらえるんですもんね。
横町さん
エアカタログがメーカーから評価いただいている点やサービスの強みは、メーカーと施設がwin winな関係性を構築しているところです。宿泊施設やジムなど、施設のお客さんに配布する場合、「商品=顧客サービス」に転換されるので、「とにかく渡す」のとは、受ける印象も異なりますよね。
卯岡
なるほど…。
横町さん
「無料で使えるよ」とすることで、施設側が「配布したい」と手を挙げてくれる。意味のある場所で配ってもらえることで、メーカー側にもメリットがある。ちなみに、施設側からはレポートが提供されます。
卯岡
ただ配るのとは異なり、きちんと配布結果がわかるわけですね。たとえば、ホテルがシャンプーやリンスを配布し、宿泊客から好評だったため、正式に取り入れようといった流れになることもあるんですか?
横町さん
あります。サンプリングをきっかけに取引が生まれるのは嬉しいですね。
卯岡
もうひとつの事業、「aircatalog hi!」はどういったものなんでしょうか。
横町さん
オフィス向けのサンプルボックスです。
▲設置するボックス。来春にはデザインのリニューアルを予定している
卯岡
こちらもサンプルなんですね。
横町さん
はい。専用ケースをオフィスに設置していただくと、毎週水曜日にサンプル品が補充されます。使ってみたいと思った社員は、専用アプリでほしい商品の「おためし」ボタンを押して鍵を開けることで、商品を持ち帰っていただけます。
卯岡
開錠の仕組みがほしい商品の「おためし」ボタンなので、何を持ち帰ったのかもデータとして残るわけですね?
横町さん
ええ。また、アプリを登録する際に職種やおおよその年収、既婚未婚、年代、性別を入力していただくため、どの層の社員に手に取ってもらえたのかもデータ化できます。
卯岡
すごい…。結果によっては、その後のプロモーションの方向性を探る材料にもなりますね。
横町さん
作成したアンケートを付けることもできるため、詳しい感想も集められますよ。
卯岡
聞けば聞くほど、「双方にメリットがある便利なサービスだなあ」と思うのですが、なぜこのようなサービスを思いついたのでしょうか。
横町さん
前職で化粧品会社と多く付き合いがあり、モノを売るにはどうしたらいいのかを考えていたのが背景にあります。サンプリングの課題と合わせて、メーカーからWeb広告もばらまき状態になっているという声をよく耳にしていたんですよね。
卯岡
パーソナライズされているとは言われますが、正直「広告、邪魔だな」という意識のほうが強いです…。
横町さん
そもそも、今は情報のスピードが速く、量も多すぎますからね。そのため、SNSなどデジタルマーケティングが主流となるなかで、逆に今リアルでのブランドとの接点が求められているのではないかと考えました。
卯岡
それが「体験中心の購買市場」なんですね。
横町さん
はい。原点はスーパーの試食です。めちゃくちゃおいしいものに出合うと、つい買ってしまうことってありますよね。車の試乗や服の試着もそうです。体感しなければ、違いや良さがわからないもの、体験することで購買意欲が喚起されるものはたくさんあります。
卯岡
ネット上だと見た目しかわからないですもんね。
横町さん
たとえばシャンプーやトリートメントの場合、香りや使用感は試してもらわなければわからない。とはいえ、高級シャンプーはポンと買うにはハードルが高い。
卯岡
わかります…。使いかけだと誰かに譲るわけにもいきませんし、値段が張れば張るほど失敗したときの精神的なダメージも強いです…。
横町さん
だからこそ、サンプリングは有効なんですよね。買いもので失敗してほしくないと思っているんです。ライフサイクルのなかで商品と出合える楽しさを感じていただき、失敗なく買いものを楽しめる機会を、「air catalog」「air catalog hi!」で作りたいですね。
▲オフィスで使われている様子。サンプル品によって雰囲気も変わる
事業拡大のため、東京オフィスを設置
卯岡
ホームページには大阪と東京、2カ所の住所が書かれていました。本拠地はどちらなのでしょうか。
横町さん
創業は大阪で、今も本社は大阪にあります。ただ、今は東京で仕事をしていますね。
卯岡
こちらのオフィスを構えたのは、東京での拠点づくりのためですか?
横町さん
はい。東京にオフィスを構えたのは3年前でして、人数が増えたことをきっかけに、今の場所に移りました。愛犬を連れてくることがあるので、ペット可の物件が良くて。本当は居抜きのカフェやバーに入ってみたかったんですが、ペット可と予算との兼ね合いで、今の場所を選びました。
▲モニターに映し出されているのが、横町さんの愛犬・タイニープードルのアルくん
卯岡
エリアはいかがですか?
横町さん
以前は恵比寿だったのですが、今回は目黒にこだわりました。好きなんです、目黒。
卯岡
今後、まだまだ人員も増やしていくのでしょうか。
横町さん
採用に力を入れるため、今夏に資金調達も終えています。当面の目標は、来年春までに「aircatalog hi!」を100社以上導入すること。目標達成のためにも、採用を強化していきたいですね。
今いるメンバーは、サービスに共感して入ってきてくれた人が多く、なかには新卒の子もいます。人柄を重視して、今後も採用を進めていきたいですね。ワンチームで働ける良い雰囲気さえあれば、おのずと仕事のモチベーションも上がっていくと思っているので。
卯岡
人員増を目指すなか、次なるオフィスの移転に関してはいかがですか?
横町さん
とりあえず、ギリギリまでは今のオフィスで粘るつもりです。リモートワークもできるので、働き方で工夫もしつつ。ただ、いずれはもっと大きなオフィスへ移転したいですね。
こだわりは「目黒」「ペット可物件」。quatreの新オフィス見学ツアー
目黒エリア、ペット可の物件を重視して構えたquatreの東京オフィス。こぢんまりとしながらも、居心地の良さが感じられるオフィスです。
仕事後にはアルコールを楽しむことも!「執務スペース」
執務スペースの中央には、大きなテーブルが。作業の他、終業後にお酒を嗜むこともあるのだとか。
横町さん
18時以降はフリーアルコールなんです。僕はほぼ毎日飲んでいますね(笑)
気分転換も!「ベランダスペース」
ベランダには、机と椅子を配置。気分転換や休憩にぴったりのスペースです。見晴らしがよく、高層ビルもよく見えます。
横町さん
いつかは、ああいう高層ビルの見晴らしのいい階にオフィスを構えたいですね。
DIYで使いやすく!「会議室」
執務スペース横に設けられた会議室には、ホワイトボードやモニターをDIYで設置。使いやすく工夫されています。
サンプリングの裏側に、「air catalog」がある未来を目指して
「aircatalog hi!」は、開始2カ月で導入数50台を突破。「特に営業をしたわけでもないので、どこで知ったんだろう?というケースが多くて。大半は紹介です。ありがたいですね」と横町さんが語ってくれました。
メーカー・施設・利用客の三方よしで、買いものをもっと楽しめる社会を目指すquatre。今後の躍進が楽しみです。
quatreさんが提供する「air catalog」はこちら
air catalog(エアカタログ)