- オフィスインタビュー
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企業・働き手双方の時間の最大化を実現。採用ブランディングを目指したタイミーのオフィス
「スキマバイトはタイミー」。テレビCMで見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。
今回取材に訪れた株式会社タイミーは、現在ユーザー数80万人(2020/1/10現在)を突破したアルバイトマッチングアプリを提供しています。
タイミーが目指す世界観や、それに伴うオフィスへのこだわりについて、石橋さん、加藤さんにお話を伺いました。
株式会社タイミー 執行役員コーポレート本部長
人事・経理・労務・法務などバックオフィス全般/プロダクト設計サポート/セールスサポートを担当する。学生時代ディズニーでのアルバイト経験がきっかけでサービス業に魅了される。その後コンサル、ウェディング、飲食会社を経てサービス現場の働き方をアップデートすべくタイミーにジョイン。バックオフィス全般とBizDevを担う傍、パラレルワークで人事コミュニティ運営に携わりながら、複合的にサービス現場の最大化サポートを行っている。
タイミーワーカーとして勤務した後、2019年6月から広報インターンとしてタイミーにジョイン。2020年4月に新卒入社予定。
目次
働き手・企業双方が嬉しいアルバイトマッチングアプリ「タイミー」
卯岡
タイミーさんの事業内容についてお聞かせください。
石橋さん
弊社では、空いた時間に働けるスキマバイトアプリ「タイミー」を提供しています。
加藤さん
スマートフォンのアプリでして、事前にアプリに個人情報を登録しておくことで、書類選考や面接といったステップを踏むことなく働けるんです。
石橋さん
おかげさまで、登録者数50万人(取材時)を突破しました。
卯岡
どの年代層が多く利用されているのでしょうか。やはり学生ですか?
石橋さん
20代が6~7割ですね。ただ、このところ30~40代の方も増えてきています。子育て中のお母さんなどです。定められた勤務体系で働くことはまだ困難だけれど、限られた時間であれば働ける、働きたいといった方に使っていただいています。
卯岡
働き手としては手軽に働けるメリットが大きいと思うのですが、一方で雇う側にとってはどうなのでしょうか。面接がない分、どうしても不安が大きいように思えるのですが……。
石橋さん
確かにその懸念をお聞きすることが多いです。一般的には面接で人となりを見て判断できますが、タイミーの場合は当日になるまでどのような人が来るのかわかりませんからね。その不安を払拭するために、タイミーには相互評価機能を設けました。
加藤さん
企業側、アルバイト側がそれぞれについて評価をするんです。ワーカーが応募する際やマッチングする際には、この評価を参考にしていただけます。
卯岡
相互で評価を行う場合、自分が低く付けられたくないがゆえに、お互いが空気を読んで良い評価や無難な評価を付けてしまう……といったことは起きないのでしょうか。
石橋さん
忖度による評価付けは、正直ゼロではないと思います。ただ、たとえば広がりを見せているクラウドソーシングサービスとは異なり、タイミーでは相手と対面するため、相手の印象がはっきりしやすい特徴がありますね。あからさまに良くない印象の相手に対し、良い評価を付けるといった極端な評価付けは起こりづらいと思っています。
卯岡
なるほど。
石橋さん
タイミーの目標のひとつが、「ブラックバイトをなくしたい」なんです。一度雇ったり雇われたりしてしまうと、簡単にはやめづらくなりますし、やめさせることはもっと難しい。そこで、まずタイミーでお試し的にバイトをしてもらえれば、双方確認の機会を作れます。
卯岡
お試しですか。でも、その後も働いてほしい、働きたいと思った場合、どうなるのでしょうか。
石橋さん
そこから、通常の雇用契約に移行してもらえればOKです。
卯岡
えっ。タイミーさんを継続利用しなくていいんですか?
石橋さん
構いません。仲介料も発生しませんよ。
加藤さん
私自身、タイミーにはまずタイミーを利用してバイトとしてやってきたんです。そのままインターンとして雇用していただき、春からは社員として働くことが決まっています。
卯岡
では、アルバイト側には「空いた時間に働けたり、働いてみたいお店で試しに働けたりする手軽さ」が、企業側には「採用コストを削減して雇用できるメリット」があるんですね?
石橋さん
おっしゃる通りです。あと、即日賃金を受け取れるのも働き手のメリットですね。出勤退勤はQRコードで管理するのですが、確認ができ次第、即時登録された口座にお金が振り込まれるんです。
卯岡
現金手渡しでの即日は聞きますが、振込で即日支払いされるんですね。手軽……!
石橋さん
学生さんの場合、その日の飲み会代を休講時間に稼ぐといったことも可能になりますね。
卯岡
ちなみに、タイミーを利用して働く場合の雇用体系はどうなっているのでしょうか。
石橋さん
1日限定での企業と働き手との直接契約です。そのため、労災も適用されます。
卯岡
業務委託ではないんですね。アプリを見てみたところ、配達関係の仕事もあったので気になったんです。万一の事故の際も安心ですね。
石橋さん
自分で保険に入る必要がある業務委託契約と異なり、労災が適用される点もメリットだと思います。
卯岡
気に入った店や企業の場合、正式雇用に移行することもある、ということですが、事例としてはいかがですか?
加藤さん
店舗側から「継続して働いてもらえませんか」と打診した事例もありますし、その逆もありますよ。
石橋さん
また、アルバイトはもちろん、転職活動中の方のご利用も増えています。入社後のギャップを防止するため、入社プロセスのひとつにタイミーでお試し的に働いてみる。いわば、最短1日のインターンですね。
卯岡
どのような求人が多いのでしょうか。
加藤さん
居酒屋など、飲食店が多いです。ただ、その他にもコンビニや物流、アパレルや倉庫での軽作業、単発イベントなど、多様な仕事があります。
石橋さん
正直、今は登録ユーザー数に対して仕事が足りていない状況なんです。何せ、1日のアクティブユーザー数が7万人ほどもいるので。場合によっては、募集が出て8秒で埋まることも……。
卯岡
すごい。
石橋さん
もっと多くの企業さんに利用していただきたいですね。
街全体を巻き込んで、新しいカルチャーを作りたい
卯岡
飛躍的にユーザー数を伸ばしていらっしゃるとのことで、会社の規模拡大ペースに関してはいかがでしょうか。
石橋さん
こちらもハイペースですね。1年半前の創業時には5人だったメンバーが、今では社員が80名程度、業務委託スタッフも含めると100人超です。加藤のように、タイミーでお試し的に来て、そのままインターンや採用に繋がるケースも多いんですよ。
卯岡
今の渋谷オフィスはいつからですか?
石橋さん
2019年6月ですね。水道橋から移転してきました。
卯岡
今は渋谷ですが、こちらはエリアから選ばれたのでしょうか。
石橋さん
はい。採用を意識しての判断でしたね。あとは、ブランディングや知名度向上。おかげさまで、広く知られるようになったと思っています。認知度向上を狙ったのも、採用を意識してのことです。
卯岡
加藤さんのようにタイミーを利用して入ってくる方も多いとのことでしたが、採用に関して重視している点はどのようなところでしょうか。
石橋さん
大前提として、タイミーのサービスを好いていてほしいこと、あとはビジョンへの共感ですね。
加藤さん
「一人ひとりの時間を豊かに」が弊社のビジョンです。ビジョンは福利厚生にも表れていまして、たとえば誕生日休暇は自分のものだけではなく、配偶者と子どもの誕生日にも取得できます。社員個人の時間も大切に、との想いからできた福利厚生です。
卯岡
現状、どのような方が多い会社ですか?
加藤さん
社長が若いこともあり、社員も若年層が多いです。今の平均年齢はおよそ24歳ですね。
石橋さん
バリューとして「ハイスタンダード」「スーパーフラット」「やっていき!」を掲げています。壁や役割を作らず、ある種ベンチャーらしく「何でもやっていこうよ」という前のめりな雰囲気がありますね。
社風は比較的尖っているのではないでしょうか。こうしたカルチャーにフィットするかどうかを特に重視しています。とはいえ、採用担当を専任で置けたのは2019年7月なんですが。
卯岡
それまでの採用はどのように行っていたのでしょうか。
石橋さん
タイミー経由もありますが、メインはTwitterでしたね。
卯岡
今どき感がありますね……! 社員数が増えるなか、目指す方向性の共有はどのように行われているのでしょうか。
加藤さん
月に1回全社総会をこのフロアで行っています。そこで改めて目指す世界観やバリューを確認していますね。あとは、四半期に1度全員でどこかに行くイベントを開催しています。
▲全社総会の様子
石橋さん
社長の口癖が「よく働き、よく遊べ」なんです。
加藤さん
最近では、伊豆にバーベキューに行きました。今後も社内イベントは開催予定です。
卯岡
楽しそうですね! ちなみに、全社総会はこのフロアで行われているとのことで、オフィスのキャパシティはいかがでしょうか。
加藤さん
正直、かなりぎゅうぎゅうです(笑)。
石橋さん
限界が近いので、移転を検討中です。
卯岡
まだ移転して半年も経たないのに、やはりハイペースですね。なお、今のオフィスは、どういった点にこだわって作られたのでしょうか。
石橋さん
コンセプトをしっかりと持って進めたわけではないんですよ。強いて言うならば「スーパーフラット」ですね。「壁を作らず、和気あいあいと働ける空間を」とデザイナーにリクエストしました。
加藤さん
今はスペースの都合上、少し位置がずれてしまっているのですが、このフロアは卓球台を中心に、と作られました。経営会議は卓球台をテーブルにして行っているんです。
卯岡
わ、本当だ。あのテーブル、卓球台だったんですね……!
石橋さん
ゆくゆくは卓球専用ルームを作りたいと話しています(笑)。
卯岡
今後も、やはり渋谷エリアにこだわるのでしょうか。
石橋さん
いえ、特にないですね。むしろ、渋谷=IT系企業が多いなど、街のイメージを作り上げた企業を目指せたらいいなと思っています。たとえば、タイミーを利用している人に向けた割引やサービスを街全体で行うのもおもしろいな、と。渋谷や六本木など、すでにあるカルチャーに乗っかるのではなく、新しいカルチャーを街ごと作りたいです。
加藤さん
街のカルチャーのコアになれたら、かっこいいですよね。
重視したのは「スーパーフラット」。タイミーのオフィス見学ツアー
採用を意識したブランディングにより、渋谷にオフィスを構えたタイミー。9階のオープンスペースを中心に見学させていただきました。
グリーンが目に鮮やかな「土足禁止スペース」
窓際に設けられた、グリーンが色鮮やかなスペース。ここは靴を脱いで上がるスペースです。気分を変えたいときやリラックスしたいときなど、各々が自由に使っているのだとか。
石橋さん
今後は、もっとグリーンの面積を増やしたいとも考えています。
移転祝いにもらった「卓球台」
テーブルとしても利用されている卓球台は、移転祝いに株主さんからいただいたものなのだとか。
加藤さん
卓球台として、本来の役目も果たしています。
石橋さん
会社規模がどれだけ大きくなっても、経営会議はここで行いたいと話しているんです。
ミーティングや作業ができる「スーパーフラットな空間」
その他、9階フロアにはテーブル席やソファ席が設けられ、ミーティングや会議、作業を自由に行えます。
加藤さん
イベントも開催しています。あとは、ここで飲んでいる人もいますね。
石橋さん
バーカウンターを作りたいという要望もあったんです。スペースの都合上、作れなかったので、今後の夢ですね。
加藤さん
部署をまたいでご飯を食べに行くことが多いので、キッチンをいつか作れたらいいなという意見も上がっています。
▲部署をまたいだ「ランダムランチ」
スーパーフラットに作られた「執務スペース」
10階にある執務スペースも、壁のない「スーパーフラット」な作り。社長室もありません。
加藤さん
現状、かなりぎちぎちなんですが……。
卯岡
確かに、これまでのペースで増員していくと、限界ギリギリですね。
石橋さん
今後も壁のないスーパーフラットをできるだけ続けていきたいと考えています。社長室も作りたい想いがないんです。ひょっとしたらネタで作るかもしれませんが……(笑)。
卯岡
個室を設けないのがこだわりなんですね。
急速に変化・成長中。次の移転はもう間もなく
創業から、ハイスピードで成長を続ける株式会社タイミー。自社ブランディングのために移転してきた渋谷オフィスも、もう間もなく役目を終え、次の段階へと進んでいくことになるのでしょう。
「ブラックバイトをゼロに」「一人ひとりの時間を最大化させたい」「街のカルチャーを作りたい」。ひとつのサービスから生まれた数々のビジョン。一つひとつ段階を踏みながら、オフィスもまた変化を見せていくのでしょう。これからの展開に注目したい企業です。