- オフィスインタビュー
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オフィス移転で働き方の問題を解消。オークファンの新オフィスは機能性と温かみを兼ね備えたフラットな空間だった
国内最大級のショッピング・オークション一括検索・比較サイト「aucfan.com」を運営するオークファン。同社は10月2日に本社機能を目黒へ移転しました。その背景にはいくつかの明確な「狙い」があったとか。今回はオークファンのオフィス移転の狙い、そしてオフィスに染み込む不思議な「テーマ」を探って来ました。
「aucfan.com」を中心に、小売・卸売業界に向けて様々な形態のサービスを提供しているIT企業のオークファン。同社は2013年に上場後、主力事業の周辺領域にも事業を展開し、現在はBtoC領域のみでなく、CtoC領域、BtoB領域へのサービス展開も推進しています。
そんな同社が抱える課題は「グループ会社のオフィスが分散していたこと」だったとか。
今回は課題を解決し、快適なオフィス空間作りのための移転に取り組んだ、経営戦略室役員秘書の田中 郁美さん、そして同室広報担当の大谷 愛美さんにオフィス移転の背景、そしてオフィスに隠された魅力についてお伺いしてきました。
目次
オークファン新オフィスへ訪問。各所に潜む「こだわり」を探ります
新しいオークファンのオフィスは東京メトロ目黒線の目黒駅、JR目黒駅より徒歩3分のところにあります。移転先は多くのIT企業からも人気のビルoak meguro(オーク目黒)の3階。エレベーターで3階まで上がり、オフィスを訪れるとそこには大量の胡蝶蘭とともに本日オフィスを案内してくれる広報の大谷さんが出迎えてくれました。
大沢
本日はよろしくお願いいたします。
大谷 愛美さん(以下、大谷さん)
よろしくお願いします。
大沢
見事な胡蝶蘭ですね。移転おめでとうございます。
(移転から少し時期が経っているのに、すごい量の胡蝶蘭。)
さっそく話を伺いたいところですが、せっかくなのでまずは受付付近の内装についても見ていきましょうしょう。
大沢
このロゴ、浮いてるんですか?
大谷さん
そうなんです。ロゴを浮かせたくて軽くて丈夫な素材を探して作りました。
大沢
たしかにこのサイズのロゴを釣るのは大変ですね。ちなみに、このロゴエリアの雰囲気は和風ですか。
大谷さん
そうなんです。このオフィス全体が「和」を意識したテイストになっていて、その雰囲気を演出するために壁は左官職人の方に仕上げていただきました。
実はここの壁、受付の方まで伸びているんですよ。
ロゴの後ろ側は、左官職人に依頼して、柄を施してあります。
その柄は、入り口へと続く壁の一部にも「はみ出す」デザインになっているのです。
大沢
本当だ。少し壁のテイストが変化していますね。ちなみにこの壁は、どうしてはみ出させようと?
大谷さん
「型にはまらないで勝負する」という弊社の意気込みを表現しています。塗り方も左官職人の方ならではの独特な塗り方にしてもらいました。
和と理念を意識した、ユニークなオフィス設計を実施
ロゴマークの周辺には、会議室が。今回は「14」という会議室でお話をお伺いしました。会議室の名前を特徴的にする会社って多いですよね。オークファンの会議室を見てみると名前が「12」「14」「Ume」「Fuji」「Aoi」「Nami」「Asahi」「Chidori」と、バラバラ。どうしてそのような名前をつけたのでしょうか。
(会議室のドアの前に書かれている会議室名。下の2つ「Semi」「Saba」は別部分で紹介します)
大沢
本題に入る前に、会議室の名前の由来も教えてもらえますか。
大谷さん
会議室の名前は、それぞれ「aucfan」の頭文字になっているのです。そこにオフィスのテーマである「和」のテイストに合った言葉を選んでいきました。
大沢
社名の頭文字になっているんですね。斬新なアイデア。とはいえ、「12」「14」という番号の会議室があるのは、どうしてでしょうか?
大谷さん
実は会議室の番号以外にも、社長室が「1」と、番号の部屋はいくつかあるのですが、それは数字を残すことで、「オークファンの頭文字を際立たせたい」という思いがあります。文字だけだと、aucfanって気づきにくいですから。
大沢
敢えて数字の番号を残した理由もあるんですね。
それでは、本題の「オフィス移転の経緯」についても教えていただけますか。
大谷さん
はい。ここからはオフィス移転を取り仕切った田中も同席しますね。
(画像右は経営戦略室 役員秘書の田中 郁美さん)
田中 郁美さん(以下田中さん)
よろしくお願いいたします。
大沢
早速ですがオフィスづくりで「和のテイスト」にこだわっている理由を教えてください。
田中さん
オークファンは今後、グローバル展開にも目を向けています。その中で「日本企業らしさ」、そして「誠実さ」を出していきたい。そういった思いを込めて、和のテイストを盛り込みました。受付や会議室に加えて、執務スペースにある社内打ち合わせスペースにも童話の名前をつけるなど工夫をしています。
(この打ち合わせのスペースは「うさぎ」。「うさぎとかめ」にちなんでいるそうです。よく見ると、うさぎのクッションが置いてあります)
大沢
なるほど。思いの込もった名前の付け方ですね。他にも「らしさ」を押しているスペースってありますか?
田中さん
他の社内打ち合わせスペースは「サルカニ合戦」にちなんで柿の木があったり。
(この柿は取り外しができるため、投票を行う際の「票」がわりになることもあるそうです)
田中さん
保健室は「かぐや姫」にちなんでかぐや姫のマークが付いていたり。
(保健室にはソファが設置。マークはかぐや姫)
田中さん
あと、サーバールームは「鯖」、セミナールームには「蝉」と名前がつけてあります。
大沢
それは、洒落というものでしょうか。
田中さん
そうです(笑) 日本的な名前をつける、そしてユニークなものにしたいという思いで名前をつけています。
「組織の一体感を生み出す」狙いの明確なオフィス移転
オフィス内装に対する思いを聞いたところで、「オフィス移転の理由」についても聞いていきます。オフィス移転というと「人員増加に備えて」という理由が多いと思うのですが、どうやらオークファンの移転理由は別の理由があったそうです。
大沢
改めて「オフィス移転の理由」も教えてもらえますか?
田中さん
一番大きな理由は「オフィスの統合」です。弊社は2013年に上場後、事業展開が加速しています。
上場時は20名程度だった従業員も現在では150名まで増加しました。実はそこに課題がありまして。事業が拡大したタイミングでオフィスが2フロアに分かれてしまったんですね。
大沢
これまでは2フロアで事業を展開されていたということですね。どうして今回のタイミングで統合を考えられたのですか。
田中さん
社員数も増え続けていく中で、グループ企業のフロアが分散していることに徐々に問題を感じていました。同じ会社でシナジーのある事業をしているのに、会社間での物理的距離がある。それを解消しようと。
それで、今の時期に移転を実施したというわけです。
大沢
全社間の連携やコミュニケーション量を増やすための移転だったと。
田中さん
まさにそうです。もちろん、人数が増えて手狭になってきたという理由もありますが。移転をした後はその点を配慮し、執務室や打ち合わせスペースの設計を行いました。ぜひ執務スペースも見ていきませんか。
大沢
ぜひぜひ、よろしくお願いします!
オークファンの課題は「グループ会社間の連携強化」そして「交流の活性化」。そのためにどのような仕組みや仕掛けを作っているのだろうか。執務スペースで聞いてみたい。
縦横の交流を促進し、交流を深めるオフィス作りの工夫
大沢
ここが執務スペースですか。広いですね。
田中さん
オフィスは全体で521坪。大半が執務スペースに使われています。
このスペースにほとんどの社員が集まっていて、座席もグループ会社ごとではなく職種や役割ごとで分けるようにしています。
縦のつながりだけではなく横のつながりを強化しよう。交流を活性化しようという目的で席を配置しているのです。
大沢
空間もゆったりしていて、社員同士の距離も近い印象です。交流は実際に生まれているのでしょうか?
田中さん
そうですね。実は席と席の間は一定の距離を取っていて、背中越しの交流がしやすいように設計されています。
田中さん
いつでもすぐに打ち合わせができるように執務スペースの中にも打ち合わせエリアをたくさん設置しています。ホワイトボードやモニターを多めに設置しているのもそのためです。
大沢
たしかに、話しやすい空間があふれていますね。こちらのデスクはスタンディングデスクですね。
田中さん
会議もスタンディングで行った方が効率よく進められるという研究データがあるので実際に採用しました。効果もかなり見られましたよ。
この後ろにある壁は、ホワイトボードになっているので会議でいつでも使えます。
大沢
本当だ。全然気づかなかったです。ホワイトというより、グリーンボードでしょうか。
田中さん
ボードの色は特殊加工です。自由に選べるので、コーポレートカラーの緑にしました。ちなみに、スタンディングデスクにはひとつだけ椅子があるのですが、こちらは「グラグラする椅子」です。インナーマッスルが鍛えられるらしく、社員が「どうしても!」というので、購入しました(笑)
大谷さん
私が座ると足がつかないので、けっこう怖いですね…。これ写真にして伝わらなそうですね(笑)
大沢さん
気をつけてください…。でも、この椅子で盛り上がったりしそうですね。
田中さん
そうなんです。スタンディングデスク自体が効率的ですし、なにより執務スペースの真横なのですぐに打ち合わせもできます。椅子も話題のネタになって、社員からの評判もいいですね。
大沢
奥側にも、もっと広い打ち合わせスペースがありますね。
田中さん
ここは、先ほど紹介した柿の木、保健室、サーバールームの「鯖」などがあるエリアです。
社内のイベントや打ち合わせでも使用できますし、たまにプロジェクタにゲームを投影して、みんなでワイワイやっていることもあります。
このスペースも、あえて会議室のように閉鎖的にはせず、社員の顔が見える場所で行なっています。オープンな雰囲気、コミュニケーションができるスペース。それを意識して作っています。
大沢
執務スペースのすぐ横なので、たしかに集まりやすいですね。
社員の交流を「ユニークさ」と「場づくり」で促進し、働き方をよくする
一通りオフィスを案内してもらい、オフィスづくりのこだわりや設計も理解ができました。その中でも、僕がもっとも印象的だったスペースを最後に紹介したいと思います。
執務スペース最大の見所は、大きな「aucfanロゴ」でしょう。
このロゴも受付奥にあったロゴと同様のもので、座れる素材だそうです。「a」は横にしないと座れないのと、「f」は自立できないらしく、支えがあるのも少し面白いですね。
大沢
「座れるロゴ」ってユニークだと思うのですが、ロゴに座る方っているんですか?
大谷さん
まだ座ってる人を見たことはないですね。多分認知されていないのかと…。
大沢
そうなんですね…。たしかに見た目ではわからないかも……ただ、これも椅子っていうことを認知するだけで会話が成立しそうなので、みなさんの集まる場所になるといいですよね。
みなさんこの記事で認知してください…!
(このままでも座れますが、「a」は横向きにしないと座れません)
全社の交流活性化、業務効率化を目指してワンフロアのオフィスに移転したオークファン。BtoC領域以外の、多角的な事業展開の準備ができつつあるという同社は、オフィス移転でどのように成果を上げていくのか。
ユニークなオフィス設備やオフィス設計を元に、課題を解決して、事業の飛躍をする未来が見えてくるような取材でした。