- ファシリティナレッジ
-
居抜きオフィスとは?メリット・デメリットを徹底解説
新しいオフィスの形として「居抜きオフィス」が注目を浴びています。良い物件に出会えるとコスト面や移転の工数面などで様々なメリットが得られる居抜きオフィスですが、一方で居抜きオフィスならではのリスクも存在するため、居抜きオフィスを選択肢として検討するか迷われる方も多いのではないでしょうか。
本記事では居抜きオフィスについて、概要およびメリット・デメリットを詳しく解説します。
目次
居抜きとは?
居抜きとは、現在入居している企業の内装やレイアウト、設備などを後継テナントが引き継ぎ、入居または退去することです。
賃貸オフィスから退去する際には自社で行った内装を撤去し元の状態に戻す「原状回復工事」が必要です。その上で次の入居者が新たに内装工事を施してオフィス環境を整え、業務を開始します。しかし、居抜きの場合は次の入居者がそのまま使うため、原状回復工事、内装工事双方の工事を省略することが可能です。
続きを読む
「居抜き」の入退去は飲食店では以前より比較的多く見られる形態でした。
原状回復工事の簡略化による前入居者側のメリット、空室期間を空けずに次の入居者と契約できるオーナー側のメリットなども生まれる居抜き入退去。
近年、働き方の多様化に伴いオフィスの役割、あり方も変わる中で、あえて自社で内装を一から構築しない居抜きオフィスの需要が高まっています。
居抜きオフィスのメリット
居抜きオフィスではコスト面、工数面など様々な点でメリットが得られます。
1.初期費用が抑えられる
新しいオフィスの環境を一から整えるにあたって、内装工事やオフィス什器を揃えるためには1坪あたり10万~30万円程度の費用を必要とします。
居抜きオフィスの場合、内装や什器を引き継ぐことができるため、追加で必要な部分のみ工事や什器購入を行えばよく、オフィス構築にかかる初期費用を大幅に抑えることが可能です。
2.完成図を具体的にイメージしやすい
居抜きオフィスは既に内装や什器が揃えられているため、完成後のオフィスがイメージしやすく、よりリアルに新しいオフィスの完成予想図を作ることができます。
通常、レイアウト図を作成してデザインに落とし込むことで完成後のオフィスのイメージ図を描きますが、画面上のシミュレーションではいざ完成した時にイメージと異なる可能性も否めません。
3.業務開始までのリードタイムを短縮できる
内装工事には平均1~2ヶ月程度かかるため、居抜き入居で内装工事を省略できると新しいオフィスでの業務開始までのリードタイムを大幅に短縮できます。
オフィスの移転はプロジェクトメンバーのみならず全社員にとっての一大イベント。早期に移転を実施し、新しいオフィス環境での業務を開始できることは生産性の向上にも繋がります。
4.大がかりな内装工事の労力が省ける
一般的に、オフィス移転はプロジェクトとして大きな労力やコストがかかります。
移転の要件を定義し、物件を選定、レイアウト図を作成して内装のデザインに落とし込み、ようやく内装工事・・・と内装工事に着手するまででも非常に多くの工数がかかるのです。
居抜きオフィスの場合も移転の要件定義や物件探しは当然必要ですが、その後内装工事を完了させるまでの大幅な工数が削減できるため、プロジェクト全体としても労力の削減ができます。
居抜きオフィスのデメリット
メリットが多くある一方で、居抜きオフィスならではのデメリットやリスクがある点も否めません。この章では、居抜きオフィスのデメリットについて解説します。
1.内装デザインに自由がききにくい
内装や什器が既に揃っているのはコスト面や業務開始までのリードタイムの面でメリットである一方で、企業の特色を自由に反映しにくいという側面もあります。
後から手を加えることでより自社に合ったオフィス環境を構築しようとしても、既存の内装が制約となってしまう可能性があります。
2.物件の数が少ない
居抜きオフィスの物件数は増えてきてはいるものの、一般的なオフィス物件と比較すると選択肢が非常に限られています。
そもそも内装に手を加える余地が少ない居抜きオフィスという形態の中で、検討できる物件の数も少ないとなると、候補物件を探すのにも苦労してしまう可能性があります。
3.退去時の原状回復費を見落としやすい
一般には、退去時に内装工事前の状態に戻す大がかりな原状回復工事が必要です。
居抜きで入居できたからといって、必ずしも居抜きで退去できるとは限りません。オーナーの意向により自社の退去時は居抜き退去が認められない場合もあれば、次の入居者が見つからず原状回復工事を実施せざるをえないケースもあります。居抜き入居した場合、退去時の原状回復工事を見落とす可能性が高まるため、注意しましょう。
居抜きでの退去を考えている場合、契約の段階からオーナーと将来の居抜き退去の可否について合意しておいた方が良いでしょう。
4.設備、物件の修繕に突発的なコストがかかることがある
居抜きでオフィスに入居した場合、前の入居者から内装や什器を引き継ぐことができますが、一方でそれらの修繕義務についても同時に引き継ぐことになるのが一般的です。
入居してすぐに設備に損傷が生じてしまったり、場合によっては前の入居者が残していった損傷に後から気づき、その修繕コストを負担せざるをえないようなケースも考えられます。
内見やオーナーとの契約、前の入居者との引き継ぎにあたっては専門家のサポートを受けることで、このようなリスクは大幅に軽減することが可能です。
続きを読む
居抜きオフィスに向く企業、向かない企業
居抜きオフィスのメリット・デメリットを踏まえると、居抜きオフィスに向いている企業、向いていない企業の傾向は以下のようにまとめることができます。
居抜きオフィスに向いている企業
- オフィス入居の初期費用を抑えたい企業
- 内装ができあがっている物件で比較検討したい企業
- 新しいオフィスの契約後、すぐに新オフィスで業務を開始したい企業
- オフィスの移転プロジェクトの工数を削減したい企業
続きを読む
居抜きオフィスに向かない企業
- こだわりの内装を自社で一から構築したい企業
- できるだけ多くの物件候補の中から検討したい企業
- 引き継ぎや修繕周りでのトラブルを避けたい企業
ただし、向いていない条件に当てはまる場合でも、オフィスに求める条件を明確にした上で居抜きオフィスのデメリットについて注意を払えば居抜きオフィスを検討することは十分に可能です。
まとめ
居抜きオフィスには、初期費用やオフィス移転のプロジェクトの工数削減、業務開始までのリードタイムなどのメリットがあります。自社が求める内装の居抜き物件に出会えれば、その恩恵を最大限受け取ることができるでしょう。
一方で、契約や修繕がらみで一般的な物件に比べてリスクがあるのも事実。居抜きオフィスの検討にあたってはそういった部分も視野に入れながら注意する必要があります。今回の内容を参考に、貴社にとって最適なオフィス選びを行ってみてください。