取材先
PIVOT株式会社
https://pivot.inc/ 公式サイト
はたらくひとにとってのIBASHO=オフィスに
込められた想いを載せる情報メディア
決め手は「場所」と「階層」。上昇気流をつかむPIVOTのオフィス選び
伸びている会社や事業に接すると、「追い風」としか表現しようのない勢いを感じることがあります。科学的にその存在を証明できなくても、わかる人にはわかる何か──。オフィスにもそんな「気」があると、PIVOT株式会社 代表取締役の佐々木紀彦さんはいいます。
時代を変える新たなメディアづくりに挑む佐々木さんが、新オフィスでつかんだ「気」とは?窓から見える新緑が美しい新オフィスで、佐々木さんに話を聞きました。
目次
――新時代のマインドやスキルを学びたいビジネスパーソンには周知の存在になりつつありますが、改めて御社のご紹介からお願いいたします。
佐々木さん
当社は2021年6月の創業で、ビジネス映像メディア「PIVOT」を運営している会社です。PIVOTでは、経営者や専門家をゲストに招き、対談形式で経営やビジネススキル、テクノロジー、マネー、キャリアといったテーマのコンテンツを提供しています。コンテンツはすべて無料で、ユーザーは一切課金せずに情報をインプットしていただけます。
また、2023年4月から、CXOを目指すビジネスパーソンのためのプログラム「PIVOT CXO School」 もスタートしました。現役CXOや部門責任者を講師に迎え、経営の視座を学べる講義やプロジェクト学習を展開するほか、パーソルキャリア株式会社と連携してその後のキャリア形成をサポートします。
▲チャンネル登録者10 万人のシルバークリエイターアワード
――ミッションの「日本をPIVOTする」を体現するサービスを2軸で展開されているのですね。「PIVOT公式チャンネル」のほうは、登録者数が2023年4月時点で35万人に到達したと伺いました。圧倒的な成長スピードだと感じますが、要因をどのように分析されていますか。
佐々木さん
私は活字も大好きですし、深く考えたり、論理を組み立てたりするには良い手法だと思っています。
ただ、活字の良さは良さとして、世の中が活字から映像へと急速にシフトしているのは感じていました。当初は活字と映像をミックスするコンセプトだったPIVOTを、映像のみに絞ったのもそのためです。
結果的には、この意思決定が世の中のビジネスパーソンのニーズに合致していたのでしょう。活字のメディアから情報を得るには、他の作業をせずにコンテンツに集中し、じっくり文字と向き合わなくてはなりません。映像なら、忙しいビジネスパーソンでも「ながら」で観たり、聞いたりできますから。
――学びたい、学び直したい、でも時間が足りないという人は多そうですよね。
佐々木さん
そうですね。
もっといえば、情報を受け取る人にとって、単純に動画のほうが面白いのかもしれません。一人一台デバイスが浸透して、動画にアクセスしやすくなりましたしね。
技術革新によって動画を作るコストが下がり、人に何かを伝える手段として使いやすくなったことも大きいです。それに、動画は作り手にとっても面白いんですよ。
――というと?
佐々木さん
書く仕事は、基本的に一人でやる仕事。その人の才能に依存する個人スポーツなんですよね。対して、動画はもっとチームスポーツに近い。だから面白いんだと思います。
行動指針にも「我々はプロスポーツチームだ」と掲げていますが、それぞれに優れた能力を持ちつつ、チームとして機能する会社でありたいと思っています。
▲エントランスに掲げられている社員へのメッセージ
――今回の移転は、チームが大きくなってきたことによるものですか?
佐々木さん
手狭になったのが最大の理由ですね。
原宿駅に近いビルだったのですが、Wi-Fiがいまいちだったり、光ファイバーが引けなかったりして、通信環境にも課題がありました。
それから、スタジオを併設したいとずっと思っていて。収録のたびに恵比寿に借りていたスタジオへ移動していたので、たいした距離ではないとはいっても時間的なロスがあったんです。
――PIVOTの配信を見ている人にはおなじみの、ピンク色のスタジオですね。収録は週に何回くらいあるのですか。
佐々木さん
その時々で異なりますが、だいたい週に3回くらいです。出演者以外に関係者もたくさん来社されますが、広くなって余裕ができました。打ち合わせなどもしやすくなりましたね。社内コミュニケーションも活発化していると感じます。
▲PIVOTおなじみのピンク色のスタジオ
――出社とテレワークの割合はどれくらいなのでしょう。
佐々木さん
今は、週に2日くらいは出社して、あとはテレワークの人が多いですね。毎週金曜日だけは定例ミーティングの日なので、全員出社します。ミーティングは収録用のスタジオを使ったり、イベントスペースを使ったりしています。
▲イベントスペース。ふだんは社員が自由に活用している
――居抜きの話があって、初めてオフィスをご覧になったんですね。
佐々木さん
そうです。
1年くらい前から何となく探し始めていて、立地等の条件に合ったので見に来て。予算的に一度諦めかけたのですが、長い付き合いの制作会社とシェアすることになり、予算面の課題は解決しました。
――オフィス探しでは、どんな点にこだわっていたのでしょう。
佐々木さん
まずは、「トレンドを知っている若い人が集まる場所」であることです。
ビジネスというと丸の内や日本橋のイメージがありますが、新しいものを生み出すメディアカンパニー、クリエイティブカンパニーという私たちの立ち位置を考えると少し硬い。世の中の流れが見えて、新しいアイデアが生まれてくるような場所が良いと思って、原宿近辺で探しました。
次に、「低層階」であることです。
一般的にビジネスが成長して移転するというと高層階を選ぶ方が多いと思うんですが、ことクリエイティブな会社に関しては地面に近いほうがいいと思っていて。土から離れて暮らすのは人間として自然なことではないですから、現実に即したアイデアが生まれにくいと思うんです。
最後に、「気」が良いことです。
場所の気、建物の気。漠然と嫌な感じがする場所もあれば、なぜか明るい気持ちになれる場所もありますよね。立地は良い場所なんだけど、なんかちょっと暗いとか。これは感覚的なものですが、伸びている会社に行くと「なんとなく良い気」を感じますから、意外と大切です。
――オフィスの内装では、どんな点にこだわりましたか。
佐々木さん
収録用機材への設備投資は必須ですが、限られた予算の中で取捨選択をするのに苦労しました。入り口を入って左手は、もともと虎の門のスタジオで収録していたスキルセット系の番組を撮るためのスタジオにしたので、虎の門のクオリティを再現する必要があったんです。
▲リラックスできる撮影スタジオ
──入ってすぐ右手には、素敵なカフェスペースがありました。
佐々木さん
あれは、私たちの前の入居者が残していってくれたものです。カフェスペースを含め、オフィスの佇まいや設えに惹かれたこともここを選んだ理由の一つでしたから、手を加えることなくそのまま使わせてもらっています。
夜はバーカウンターにして、社員や出演者の方たちとのコミュニケーションの場に使えたら良いなと思っているんですよ。
――居抜きを上手に活用されている印象ですね。
佐々木さん
居抜きは、デザインが好みならそのまま使え、コストを抑えてスピード感をもって移転できるのが利点です。前の入居者にとっても、原状回復の負担がないのはメリットですよね。
私たちはこのオフィス自体を気に入っていたので、壁紙を変えたり、扉をつけたりした程度でフル活用させてもらっています。
――ありがとうございました。これから、どのようにオフィスを活用していきたいですか。
佐々木さん
カフェスペースにお酒をおいて、社交の場として活用することなどを考えています。出演者が帰り際にふらっと立ち寄ってくれたり、定期的にパーティを開いて関係者に来ていただいたり、「つながり」を作る場として活用していきたいですね。