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- オフィスインタビュー
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130年の歴史を背負い、難波からうめきたへ 「協創」と「イノベーション」を加速させる新拠点
1890年の創業以来、130年以上にわたり大阪・難波エリアを拠点としてきた株式会社クボタ。同社は大きな決断を下し、2026年に本社機能をうめきたエリアの「グラングリーン大阪」へと移転させました。新本社のコンセプトは「Konnect field for Innovation ~イノベーションはここから~」。長年培ってきた「社会課題を解決する」というDNAを継承しつつ、社内外との「協創」を加速させるための仕掛けが随所に施されています。この大規模プロジェクトを牽引した実行責任者の佐野さんとプロジェクトメンバーの皆さんに、移転の背景や新オフィスに込めた想いを伺いました。
2007年にクボタに中途入社。ラグビーチーム「クボタスピアーズ」(現・「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ」 )のコーチ・監督を5年間務める。2012年に精密機器・空調・1 自動販売機事業の予実管理および中期経営計画等を統括する部署を経て、2019年から東京総務部でコロナ対応や東京本社オフィス改革を推進。2024年からは大阪本社の総務部長として、うめきた移転プロジェクト実行責任者および旧本社跡地活用プロジェクトリーダーを務める。
2014年にクボタに新卒入社。総務部にて国内外の損害保険・建設業法のコンプライアンス業務を経て、2020年より社内コミュニケーション施策や安全運転管理を担当。2025年に本社移転プロジェクトに参画。社員同士の交流を促進するマグネットスペースや協創エリア、食堂などの企画・運営に携わる。現在は、社内外協創の企画・促進およびマグネットスペースの運営を担当。
2019年にクボタに技術系として新卒入社。農業機械向けの油圧式変速機の試験評価業務を担当。2024年に社内公募で総務部に異動し本社移転プロジェクトに参画。移転プロジェクトメンバーとして協創エリアの企画、ペーパレスの推進、引越作業のとりまとめを担当。現在、協創エリアを活用した社内外協創の企画・促進を担う。
2024年に入社し、人事部にて福利厚生業務に従事。社員食堂や社宅・寮の運営管理、社内イベントの企画・運営などを担当する。本社移転プロジェクトでは食堂の立ち上げを担い、食堂運営会社との調整や開設準備を推進。現在は食堂の運営管理に携わり、より利用しやすい環境づくりに取り組んでいる。
目次
伝統ある難波からうめきたへ。変革のために選んだ「協創」の地
まずは、御社の事業概要と、今回の本社移転という大きなプロジェクトの背景について教えてください。

当社は、「食料・水・環境」という、人間が生きていく上で欠かせない領域で、地球規模の社会課題解決に取り組んでいる機械メーカーです。創業から130年以上、難波エリアで事業を続けてきました。
移転の直接的なきっかけは、1970年前後に竣工した旧本社の老朽化でした。加えて、5つの建屋に分散していたため、部門間やグループ会社間のコミュニケーション、パートナー企業との交流の場を確保しにくい状況にありました。こうした課題を解決し、社内シナジーや社外との協創をさらに加速させるため、会社として本社移転を決断しました。
難波からうめきたへの移転は、社内でもかなり大きな決断だったのではないでしょうか。
はい、当社としては非常に大きな決断でした。移転先としてグラングリーン大阪を選んだのは、広大なスペースが必要だったという物理的な理由もありますが、それ以上に「クボタが変わるためのチャンス」だと捉えたからです。これまでのクボタは自前主義で事業展開や製品開発を行ってきたと言われてきましたが、現在は変化の激しい時代の中で、社外との協創も取り入れながら、新たな価値や技術を生み出していく企業へと変わろうとしています。スタートアップやIT企業が集まるうめきたという環境こそ、私たちが新しい働き方にシフトし、新規事業の探求など、挑戦し続ける社風を育むためにふさわしい場所だと考えたのです。

「会議室だけではイノベーションは生まれない」——ABWがもたらす働き方の変化
新オフィスでは、業務内容や気分に合わせて働く場所を自由に選択する働き方「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」を導入されたと伺いました。
はい。ただ、当社では、単なるフリーアドレスではなく、部門ごとに緩やかにエリアを決める「グループアドレス」を採用しています。
当社はものづくりを担う企業として、チームで密に連携しながら業務を進める場面も多くあります。そのため、ABWの考え方を取り入れながらも、部門ごとに緩やかなエリアを設け、コミュニケーションとチームマネジメントの両立を図っています。
運用の面で特にこだわった点はありますか?
日々の退社時には書類や私物を机の上と下に置かないこと、そしてキャビネットを9割削減することにこだわりました。1人あたりの収納スペースをわずか20センチに設定し、個人ロッカーの大きさも半分にしたんです。最初は「無理だ」という声もありましたが、東京本社のオフィス改革を経験した中で、「環境が変われば人の行動も変わる」という確信がありました。また、毎日違う席に座わるというルールを設けており、異なる人と隣り合わせになるという習慣を身につけるためにも、物がないということが大切だったんです。
「リラックスできる場」の重要性も感じておられたと伺いました。
はい、2年間の移転プロジェクトを通じて気づいたのは、緊張がほぐれた会議の後の雑談から新しい発想が生まれることが少なくないということです。 脳科学的にも、人間はリラックスしているときの方が、脳への血流が増えて良いアイデアが浮かびやすいそうで、つまり「会議室だけではイノベーションは生まれない」というのが私の持論です。だからこそ、協創エリアや食堂やマグネットスペースといった、執務エリアとは異なるリラックスできる空間で、様々な人と交流できる場を作ることに力を入れました。
クボタ新本社オフィス見学ツアー
では、ここからは島田さん、野神さん、坂本さんにフロアをご案内いただきます。
世界とつながり、未来を創る協創エリア「KONNECT FIELD」
新本社のフロア設計には、ある壮大なストーリーが込められています。それは、15 階から 19 階へ上がるにつれて、海抜の上昇に合わせて「水、土、緑、花、空」へとテーマが移り変わっていくことです。


視線や動線の流れが自然とつながるように設計されており、オフィス内にいながら自然の循環の中に身を置いているような感覚を味わえます。これによって、社員は自分の業務内容やその時の気分に合わせて、最も心地よい場所を直感的に選ぶことができるんです。

そしてここが、最上階である19階にあるエントランスです。未来をイメージしたスタイリッシュな空間で、大型スクリーンにはコーポレートムービーを流しています。大阪・関西万博でも展示した汎用プラットフォームロボットが、クボタの未来を象徴する存在としてお客様をお迎えします。


その先にあるのが、協創エリア「KONNECT FIELD」です。


ここは、あえてこれまでの「クボタらしさ」を手放し、多様なトーンが混ざり合う空間にしました。社内外の人や価値観が混ざり合い、新しいものを生み出す入口という願いを込めています。
協創エリアの入り口からすぐの場所にあるのが、20〜50人規模で利用できる「COMMONS-A」です。イベントやワークショップ、海外拠点とのウェブ会議などに活用できるほか、プロジェクトのキックオフイベントや企業スポーツチームの報告会、社外パートナーとの交流イベントなど、多様なテーマや参加者が交わる協創の場として幅広く利用されています。

隣接するカフェエリアにはビールサーバーもあり、「COMMONS-A」と合わせて100 名規模の立食パーティも可能です。社長のメッセージ動画の収録や配信や動画配信などに使う「スタジオ」も完備しています。


フロア内にはワークスペースや会議室もあるんですね。

はい。こちらのワークスペースや会議室は、当社の従業員と一緒であれば、社外の人も利用できます。その他、育児休暇からの復職面談などで活用している「キッズルーム」や、障がい者雇用の従業員が栽培した野菜を販売する「サンベジ」コーナーもあります。

対面でのグループワークをメインとした「 COMMONS-B 」も協創エリアの特徴的な空間です。後部にソファ席を設けてタウンホールミーティングなどが行えるようにしています。

自然の循環を感じる社員食堂「K’omorebi」
17階はフロアの半分が社員食堂になっているんですね。グラングリーン大阪の中で社食を設けている企業というのは非常に珍しいのではないでしょうか。

はい。ただ、当社は機械メーカーであり、社内の多くの工場では社員食堂を設けているため、本社内に食堂を作ることに関しても、経営層から異議は一切なかったと聞いています。
御社にとっては職場に食堂があることが当たり前なんですね。
そうですね。でも、一般的には全然当たり前のことではないので、その点は従業員にもしっかり伝えていきたいと思っています。
では、その社員食堂のご紹介をお願いいたします。

この社員食堂は「K’omorebi」という名称で、社内公募で決まりました。約500席の規模があり、混雑を避けるためで各フロアで利用推奨時間帯を分けて案内しています。フロア全体が「自然の循環」をテーマにしており、「水・土・発芽・成長・収穫」という5つのエリアに分かれています。
メニューも豊富なんですね。



毎日10種類のメニューを用意しています。目の前で調理した出来立ての料理を提供する「LIVE」、健康に配慮したヘルシーな「K’okage set」、サラダバーが充実した「DELI」などがあり、食器にもこだわって色合い豊かなものを選んでいます。テイクアウトできるお弁当もあって、私は昨日お弁当を買って、グラングリーンの芝生のところでランチを楽しんできました。
それはグラングリーンならではですね。食堂内は、水・土・発芽・成長・収穫をイメージしたエリアに分かれていますが、それぞれに特徴もあって、単に食事をするだけの場所ではない、というこだわりを感じます。





はい。私たちの目標は「日本一の社食」を作ることです。25年前から当社のラグビーチームである「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ」の栄養サポートをお願いしているエームサービスさんと連携し、2年という期間かけて準備を進めてきました。ランチタイム以外でも「オフィス内のサードプレイス」として会議やコーヒーブレイクに活用してほしいと思っています。
リラックスと集中を両立し、部門を超えた交流を生むマグネットスペース
15階、16階、18階には、リラックスしながら社員同士が交流できるマグネットスペース「KURUKURU」を設けています。ここ15階の「KURUKURU」は青を基調とした落ち着いた空間で、仮眠ができるソファ席もあります。

ちなみに、16階、18階の「KURUKURU」はどんな雰囲気なんですか?
16階はオレンジを基調としたアクティブな雰囲気、18階はピンクを基調としたインタラクティブな空間になっています。
執務スペースも大きく変わりました。部長も役員も同じ席で働くスタイルにし、役員個室を廃止したことで、誰でも気軽に声をかけられるオープンな環境にしています。
働き方に合わせて場所を選ぶ「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」を体現するため、バランスボードのような椅子がある席や、心理的な距離を縮める掘りごたつ式のスペースなど、多様な什器を導入しています。また、車椅子の方や目の不自由な方、海外の方など、あらゆる人が働きやすいよう、ユニバーサルデザインの動線や英語表記、礼拝室も完備しています。
新拠点を最大限に生かし、横の連携を密にして次なる100年に向かう
移転から約2か月が経ちましたが、手応えはいかがでしょうか。
数字の上で変化が見えてくるのはこれからですが、コミュニケーションの取りやすさは格段に向上しました。役員もフロア内の同じ空間で仕事をしているので、私自身もアポなしで相談に行ったりしています。食堂の評判も非常に高く、社員のモチベーションにプラスの影響を与えているのは間違いありません。
社外との交流に関してはいかがですか?
すでに、同じグラングリーン大阪に入る企業と交流を進めており、例えばダイバーシティ推進に関する情報交換会を行うなど、協創エリアを活用した交流が始まっています。難波にいた頃はこうした社外交流は今ほど多くはなかったので、社外からの刺激がプラスに働いてくれることを期待しています。
最後に、社員の皆さんへのメッセージをお願いします。
社長の花田も、クボタの成長を支えるのは一人ひとりの挑戦であり、多様な人との出会いや対話の中から新たな価値が生まれると言っています。 社員一人ひとりが心の余裕を持って、普段の業務とは違う領域のことにも積極的に挑戦してほしいと考えています。そのための空間と場は作りました。次は、社員が自分のエリアを飛び出し、いろいろな場所で、いろいろな人と交流していく番です。そうした交流が仕事に新しい発見や面白さをもたらし、その積み重ねの先に、クボタの未来を創るイノベーションがあるのだと信じています。

130年にわたり歩みを重ねてきた 地を離れるという決断は、クボタにとって単なるオフィスの引っ越しではなく、文字通り「会社をアップデートするためのスイッチ」であったことが取材を通じて強く伝わってきました。洗練されたデザインの裏には、イノベーションを生み出すための環境づくりを追求した緻密な設計があります。伝統への敬意と未踏の領域へ踏み出す覚悟が共存するこの新拠点から、この先どんなソリューションが生まれるのか、その新たな可能性に期待が膨らみます。