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オフィスインタビュー オフィスと経営
vol.321 株式会社テクニケーションシード

SESの常識を変える。 “エンジニアと発展する組織”を支えるオフィスとは

エンジニアの「評価」「報酬」「キャリア」の再設計を掲げ、2019年に設立した株式会社テクニケーション。2026年、思想を同じくする株式会社SeeDと合併し、「株式会社テクニケーションシード」として新たなスタートを切りました。

「多層的な下請けによる待遇の悪さ」「客先常駐に伴う不安と不安定な労働環境」「キャリア形成の難しさ」といった構造的な課題を抱えるSESを事業の軸に据えながら、どのようにエンジニアの理想のはたらき方を実現するのか。そのとき、オフィスはどんな役割を果たすのか――。

創業当初、「いつかはあそこで仕事をしよう」と見上げていたビル群の1つだという新宿三井ビルの新オフィスで、西田拳代表取締役に話を聞きました。

西田 拳
インタビュー
西田 拳
代表取締役

大学卒業後、リユース業で起業。SES企業での営業職を経て、2019年11月に株式会社テクニケーションを設立。(現・株式会社テクニケーションシード)。「自分がエンジニアなら働きたい会社」というコンセプトが多くのエンジニアに支持され、2023年12月現在、社員数240名を擁する企業へと急成長を遂げている。「令和の虎」の新虎オーディションを経て本家虎に選出。同じく新虎の関口ケント、土橋和貴と共に超カワイイ三銃士を結成、無類の謙虚タイガー株式会社を創業。その他、同業他社の社外取締役も兼任。

実体験が事業創造の原動力に

IBASHO.ライター :

まずは、御社の事業についてお聞かせください。

西田さん :

コンサルティング領域からシステム設計・製造、品質保証まで、幅広い領域を支援しています。

祖業はエンジニアの労働時間やスキルに対して報酬が支払われるSESですが、現在は請負契約や派遣契約も含めて、クライアントのニーズに応じた柔軟な契約形態での支援が可能になりました。

背景には、2026年4月に行った株式会社SeeDとの合併があります。合併によって社員数が700名規模になり、経験豊富で人心掌握力にも長けたベテラン社員から、高い技術力を持つ中堅社員、モチベーションの高い若手社員まで、さまざまな強みを持つ人材が増えました。これにより、クライアントが必要とするところに、必要とする形で課題解決を支援することができています。

ライター :

西田社長がSESで起業されたのには、どんな理由があるのでしょう。

西田さん :

大学卒業後、紆余曲折を経てSES企業に就職しました。そのときの実体験が、 起業の原動力になっています。

そもそもSESは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略で、ITエンジニアが客先に常駐して技術提供を行うサービス形態です。報酬はエンジニアの労働時間やスキルに対して支払われ、成果物の完成は問われません。直接雇用に比べて人件費を低減でき、必要な期間だけ優秀なエンジニアを確保できることから、多くの企業に活用されていることはご存知の通りです。日本のIT業界の基盤を築いたといっても過言ではないでしょう。

一方で、SESには、構造的な問題があることもまた事実です。多重下請け構造の中でエンジニアの労働力が「単価×時間」で取引されるため、個人のスキルや成果が評価につながりにくかったり、給与水準が上がらなかったりします。プロジェクトの決定権はクライアントや元受け企業にあり、本人の希望や適性が考慮されるとは限りません。よって、長期的なキャリア形成も困難です。

私自身、仕事をするなかで「貢献度と評価・待遇が必ずしも一致しない」という違和感に直面しました。エンジニアが実力に応じた報酬を得て、誰もが稼げる世界をつくりたい。そう考えて、「自分がエンジニアなら働きたい会社」をつくるために起業を決意しました。

ライター :

理想の環境を自分でつくってしまったわけですね!具体的には、どんな仕組みで「エンジニアが働きたい会社」を実現しているのでしょうか。

西田さん :

具体的な工夫は大きく3つあります。

1つ目は「実力に見合った評価制度」。評価基準や期待数値をエンジニアに開示したうえで、一人ひとりの能力と成果を踏まえて給与設定で、納得して活躍出来るようにしています。

2つ目は「チーム参画制」。プロジェクトに必要な人材を当社が一括でアサインすることで、経験豊富なリーダー層と若手層が混在するチームを作り、現場経験を通じてエンジニアを育てます。

3つ目は「キャリア選択制」。一方的な案件の押し付けではなく、その人が描くキャリアや適性に会社として向き合って最適な選択を一緒に考えます。

これらの取り組みにより、個人のスキルアップと会社の成長が完全にリンクし、互いに支え合う好循環が生まれます。会社と社員は、運命共同体のようなものですね。

リアルなオフィスで、内勤スタッフの勤務環境と対外的な信頼性が向上

ライター :

ここまで伺った独自の理念と、M&Aによる事業拡大や積極的なプロモーションが奏功して、順調に規模を拡大されていますね。

西田さん :

創業時は、オフィスを構えるどころか、カフェに入って仕事をする余裕もなかったんですよ。この近くの公園で、スマホでテザリングしたパソコンを開き、高層ビル群を見上げながら取締役と「どんな会社にしようか」と話し合っていました。

幸い、そこから極めて順調に推移し、現在は700名規模で売上55億円の会社へと成長しています。規模の拡大とともに、オフィスも少しずつ拡大しています。

ライター :

SESは客先常駐が多い業態ですが、リアルなオフィスを構える理由をお聞かせいただけますか。

西田さん :

エンジニアは社外にいることが多いですが、内勤だけでも毎日40人前後の社員が出社しています。エンジニアが良いプロジェクトに参画できているのは、彼らの活躍あってこそ。会社がよりよく成長していくために、内勤スタッフが働きやすい環境をつくりたいと考えていました。

それに、この規模になると、オフィスの賃料や光熱費、通信費といった販管費が売上に占める割合はわずかです。無理にコストを抑えるより、対外的な信頼性を担保できるオフィスを構えるべきだと判断し、積極的に投資しています。

ライター :

数あるオフィスビルのなかでも、新宿三井ビルを選んだ理由を教えてください。

西田さん :

新宿三井ビルは、創業時に公園から見上げていた高層ビル群のひとつでした。外観が好きでしたし、財閥系のビルであるという高い信頼要素もあって、「いつかはああいうビルにオフィスを構えたいな」と思っていたんです。それで、近い将来のIPOを見据え、目標に見合ったオフィスとして新宿三井ビルを希望しました。最初は36階に入居し、M&Aを機に45階に移転しています。

あとは、新宿三井ビルならではのイベントも決め手のひとつでした。

ライター :

ビルに入居するテナントが競い合う「会社対抗 のど自慢大会」は、よくメディアでも取り上げられていますよね!

西田さん :

はい。うちの社員も出場して、入賞しました。
昨年から、西新宿エリアの主要5ビルによる企業対抗の綱引き大会も始まったんですよ。IT企業のイメージにそぐわないフィジカルを発揮して、当社が2年連続優勝しました(笑)。

ライター :

チームワークの良さを感じるエピソードですね…!

西田さん :

学校の文化祭みたいなものなので、やっぱり参加すると一体感が高まります。客先常駐の社員が多いこともあって、こうした社外のイベントにも積極的に参加することで交流を深めたいですね。

月に1回は、社内外のエンジニアを対象とした交流会も開催しています。

新宿三井ビルからの眺望

PMIを経て、「テクニケーションシード」ならではのオフィスに

ライター :

45階は居抜きでの入居だそうですね。

西田さん :

急激な規模の拡大が先行したため、スピードを優先して居抜きで入居しました。今は、前に入居していた企業さんの設計を流用しつつ、2社がそれぞれの色を持ち寄った状態ですね。

執務スペースはワンフロアで、私や取締役も社員と同じ空間で仕事をしています。機密性の高い情報を扱う部門とは、もともとあったガラスの仕切りで空間を分けました。

(提供写真)
(提供写真)
西田さん :

「テクニケーションシード」としてのオフィス設計やデザインは、M&A後のPMI(Post Merger Integration)におけるブランド戦略が固まりしだい検討し、順次反映を進めていきます。

休憩スペース
休憩スペース
会議室
(提供写真)会議室
ライター :

思い入れのある什器などはありますか。

西田さん :

YouTubeの撮影に使っている赤いソファでしょうか。

(提供写真)
西田さん :

SES業界のリアルな情報発信や、エンジニアのキャリア形成に特化した公式チャンネル「SESチャンネル」は、いつもこの場所で撮影しています。積極的に情報を発信するようになってから、自社の採用にもプラスの効果が出てきました。

ITエンジニアだけでなく営業職、人事、総務、経理、障がい者雇用まで幅広い人材を求めているので、年間数千名と面談しているんですよ。

面談では、話をしているうちに顕在化されていないポテンシャルに気づき、他職種、場合によっては他社を紹介することも。優秀な人材が適材適所で活躍して業界全体が向上すれば、まわりまわって当社にもメリットがあると考えて、キャリアアドバイザーのようなつもりでフランクに話をしています。

ライター :

ありがとうございました。最後に、今後の展望を聞かせてください!

西田さん :

まずは、足元の課題であるPMIの成功に向け、目標の明確化や全従業員の意識統合、業務プロセスの一本化などに取り組みます。その後は、2029年のIPOに向けた積極的なM&Aで多角化とリソースの統合を進め、持続可能な企業として競争力を高めていきたいですね。

テクニケーションシードの成長とともに変化していくであろうオフィスの今後にも、ぜひご期待ください!

取材先

株式会社テクニケーションシード

https://www.technication.co.jp/ 公式サイト

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