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- オフィスインタビュー
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“AI-Ready”を牽引するフライウィール3つの要件を満たすオフィスで、働き手もReadyに
2022年末の生成AI普及を機に、AIは瞬く間に社会の在り方を変えました。中でもビジネスにおける生成AIは、「実験的なツール」から「市場優位性を確立するための必須インフラ」になりつつあります。しかし、AI導入が実際の成果に結びついている企業は、ほんの一握りにすぎません。
株式会社フライウィールは、「導入して終わり」になりがちな現状に着目し、データ基盤をAI-Readyに整えることで「成長につながるAI活用」を着実に実現してきた企業です。 さらなる成長に向けて移転した新オフィスについて、代表取締役CEOの横山直人さんに聞きました。
2000年に立教大学経済学部経済学科を卒業、2002年にニューヨーク大学大学院修了。2002年にNTTドコモ、2009年にGoogle Japanに入社、2014年にFacebook Japanに入社、執行役員を務める。2018年2月より、株式会社フライウィール代表取締役社長に就任。
時代が変わる予感と、悩める人の存在が起業の原点
横山社長はグローバルIT企業2社を経て、フライウィール社を起業されていますね。まずは、起業の経緯からお聞かせください。

2000年に新卒でNTTドコモに入社し、iモードの海外展開を担当しました。iモードは、携帯でメールやWebを閲覧できるサービスです。スマートフォンのアプリ文化の原型と言ってもいいでしょう。一般家庭に普及し始めたWebを携帯電話で閲覧できるとあって、爆発的に普及しました。私自身、「これからもっとすごい世界が広がっていくんだろうな」とワクワクしながら仕事をしていたのを覚えています。
その後、Google Japanを経てFacebook Japanに入社し、データ分析をもとにプロダクトの成長を最大化するグロースハックを担当しました。ちょうど、AIを活用してプロダクトを伸ばす企業が散見され始めた時期です。iモードが世の中を席巻したときのように、世界が変わりそうな予感がしました。そんなとき、起業のきっかけになる出来事があったんです。
どんな気づきだったのですか。
お世話になっていた製造業の社長から、「データはあるけど、使い方がわからない。AIを活用する方法があると聞くけど、やれる人がいない」と悩みを打ち明けられたんです。このままでは、海外企業に負けてしまうーー。その切実な声を聞いて、ここに解決すべきペインがあると思いました。
といっても、AIモデルの開発は大手企業にアドバンテージがあります。そこで、AIに読ませるためのデータをつなぎあわせて、業務変革を支援する企業を作ろうと考えました。共同創業者で取締役CTOの波村大悟が、Google JapanやMicrosoft Corporationで検索エンジンのデータ処理に詳しく、同じ課題感を持っていたため、「データを人々のエネルギーにする会社」を作ろうとなりました。
AI-Readyとは?
企業内に散在するデータを、AIが安全かつ継続的に業務利用できる状態へ変換することです。単なるデジタル化ではなく、“AIが文脈を理解し、継続的に活用できる状態” に整備することがAI-Ready化です。
企業内には、PDFや図面、業務文書など多様なデータが存在しますが、多くはそのままではAIが十分に扱えません。私たちは、「データの構造化」「ベクトル化などによる意味づけ」「データの品質管理」「ガバナンスとセキュリティ対応」「ユーザーのアクションを AI の学習に活かすフィードバックループ」の5つAI-Readyの要件として、企業のデータ基盤整備を支援しています。
フライウィールでは、事業のコンサルティングから、自社開発のデータ活用プラットフォーム「Conata」を活用したAI-Ready化、さらにはAIソリューションの開発・運用支援まで、一気通貫で伴走しています。
Conataは、企業内に散在するデータを、AIが安全かつ継続的に活用できる状態へ変換・接続するための基盤です。単なるAIチャットツールではなく、企業がAIを業務に定着させるための土台として位置づけています。
フライウィール(はずみ車)の名前の通り、AI-Readyなデータで企業の成長を加速させ、「データを人々のエネルギーに」のミッションを実現したいと思っています。
事業のフェーズに必要な要素を整理し、新オフィスを構築
事業の成長に伴うオフィスの変遷についても、詳しくお聞かせいただけますか。
創業時のオフィスは、青山のマンションの一室でした。すぐに社員が7人ほどに増えて手狭になり、神谷町、渋谷の宮益坂と移転しています。宮益坂のオフィスはかなり広かったのですが、移転してすぐにコロナ禍になり、再び移転せざるを得ませんでした。
そこから、WeWorkの麹町と、出資を受けたKDDIのオフィスを間借りする形での虎ノ門ヒルズを挟んで、2025年 10月1日にガーデンエアタワー31階に移転しています。

今回の移転で重視された点を教えてください。
大きく3つに集約できます。
1つ目は、セキュリティ要件を満たすこと。取引先にエンタープライズ企業が多く、機密性の高い情報を扱うため、物理的・技術的に多層防御できる環境が必要でした。
2つ目は、職種を超えたチームが柔軟にコミュニケーションを取れる環境があること。プロジェクトが始まると、エンジニア、プロジェクトマネージャー、営業がひとつのチームを組んで仕事をします。「ちょっと相談したい」「すり合わせがしたい」というとき、わざわざ会議室を取らなくても気軽に集まれる場所がほしいと思っていました。
3つ目は、事業の肝であるエンジニアにとって、働きやすい環境であることです。

具体的には、どんな工夫をされたのでしょう。
セキュリティ面では、オフィス内のスペースを適切に区切り、ISMSなどのセキュリティ基準に準拠し、物理的なアクセス制限を設けた専用ルームを作ってゾーニングを徹底しました。
また、偶発的なコミュニケーションを誘発するため、エントランスからワーキングスペースへの動線上にカフェスペースを配置しています。移転後は、カフェスペースの周辺で会話をしている様子を目にするようになりました。「楽しそうだな、入りたいな」と思いながら、次の予定に向かうこともしばしばあります(笑)。

カフェスペースの前は、かなり広々としていますね。
四半期ごとに行われる「QBR(Quarterly Business Review)」や、年に1回の全員参加型ミーティング「All Hands」などに活用しています。「All Hands」は、会社のOKRに基づく四半期の振り返りやエンジニアによるプロダクトデモ、活躍した社員を表彰する「FLYWHEEL AWARD」などを通じて、会社の戦略に対する理解を深める取り組みなんですよ。ゲーム要素のあるコンテンツで、部門を超えた対話を促進することもあります。

壁に張られているサンクスカードは、「All Hands」内のイベントで、仲間への感謝を綴ったものですね。

エンジニアの働きやすさについてはいかがですか。
エンジニアは座りっぱなしの時間が長いせいか、腰痛持ちが多いんです。少しでも腰への負担を軽減できるよう、スタンディングでも使える可動式のデスクを導入しました。

「自分のキーボードを使いたい」といったこだわりのあるエンジニアも多いですね。オフィスはフリーアドレス制で、各自がロッカーに荷物を収納し、好きな席で自分のツールを使って業務できるようにしています。

オンラインでのミーティングや、集中して仕事をしたい場合などに使える個室ブースもいくつか設置しました。
窓際に、ボックスシートもありますね。
自然光が入る場所で話がしたくて、窓際にボックスシートをつくりました。
これは、前職のアメリカの本社で、上司と連れ立って外に出て、太陽を浴びて水辺を歩きながら1on1をした経験からインスピレーションを得ています。
日本で1on1というと、会議室で上司と向き合うのが一般的で、どうしても重苦しい雰囲気になりがちですよね。ところが、歩きながら対話をすると雰囲気が一気にカジュアルになり、「今、ちょっと大変なんです」「どうやって解決しようか」と会話が弾むんです。

もちろん、会議室でしかできない話もありますが、うまく使い分けたいと思っています。

ミッション達成に向け、「出社したくなるオフィス」を活用してチーム力強化を図る
今後のオフィス活用について、お考えをお聞かせください。
パートナー企業を招いてのセッションや合宿、勉強会などを開催できるスペースとして、大きめのセミナールームを設置しています。移転前は外部施設を借りていましたが、自社内に設備があることで気軽に、フレキシブルに利用できるようになりました。
チーム合宿でも使われているようなので、さまざまなイベントにより積極的に活用し、社内外のつながりの強化につなげていきたいですね。

ありがとうございました。最後に、会社の展望もお聞かせください!
私たちは、「データを人々のエネルギーに」をミッションに掲げています。データが企業の事業成長、ひいては企業の先にいる数多の人々のエネルギーになるように、AI-Ready化をより早く実現するプロダクト開発に注力していきたいですね。
その原動力として、ただ技術を実装するだけでなく、顧客の経営課題や事業戦略を理解し、データ構造の設計から生成AIの価値定義までを一気通貫で主導できるプロジェクトマネージャーやテックリードクラスのエンジニアを積極的に採用し、ビジネス理解に基づく技術実装を進めていきます。
新しいオフィスを活かして「出社したくなる」「チームで仕事がしたくなる」会社づくりを進め、ミッション達成に向けて前進し続ける組織を作っていきたいと思います。

フライウィール社のオフィス移転は、単なる規模の拡大ではなく、AI活用を加速するデータ基盤と、それを推進するチームの力を同時に育むための、戦略的なインフラ投資だと感じました。偶発的な対話を生む設計や、働く人の行動に働きかける緻密な工夫は、チーム力と事業成長を同時に加速させるための確かな布石といえるでしょう。