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オフィスデザイン

共創・組織間連携を生むオフィス5選|つながりを設計した企業事例

「共創・組織間連携」を加速したい——そんな課題を持つ総務担当者や経営者は多いのではないでしょうか。チームの壁を越え、自由に話し合える場所をつくることが、いま組織力の鍵になっています。
グループ企業の統合、部門間の縦割り解消、社外パートナーとの共創。ビジネスのスピードが上がるなか、組織の内側と外側をつなぐ「場」の設計が、競争力の源泉になりつつあるからです。
本記事では、IBASHOが取材した5社の事例を「共創・組織間連携」というテーマで読み解きます。それぞれのオフィスが何を目指し、どんな工夫で人と人をつないでいるのか——ぜひ自社のヒントにしてください。

1. KDDI株式会社|「Connectable City」で社内外の共創を加速

KDDIの新本社コンセプトは「つなぐチカラを進化させ、ワクワクする未来を発信し続けるConnectable City」。“Connectable”という言葉が示すように、自社内で完結する閉鎖的なオフィスではなく、多様なステークホルダーと交流する場として機能することを目指しています。

社内の部門を超えたコラボレーションを促す「Discovery Village」、KDDIグループ会社も自由に使えるキャンプ場のような「Knowledge Camp」、そして顧客・パートナーとの社外コラボレーションを加速させる「TSUNAGU BASE」と、エリアをシーン別に分けることで「誰と、どんな連携をするか」が空間レベルで設計されています。

KDDI株式会社
提供写真:社外コラボ・インキュベーション、来客カフェ、ショールームとして機能

「共創・コラボレーションを促進するオフィス」という思想は、テクノロジーの実験場としてのオフィスという新しい可能性も示しています。約40名の全本部代表者が参加したコンセプトワークから生まれたこの空間は、「働き方をアップデートする実験場」として今も進化を続けています。

KDDI株式会社
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2. セガサミーホールディングス株式会社|グループ約20社を束ね、交流と創造を生む設計思想

「壮大な旅を予感させる港(Beginning of Journey)」というコンセプトのもと、セガサミーグループは住友不動産大崎ガーデンタワーにグループ約20社・6,000名を集約しました。

コンセプトに合わせ、オフィス空間を「GRAND HARBOR」とネーミング。多様なバックグラウンドを持つ社員同士が自然に交流し、そこから新しいアイデアやシナジーが生まれる。そんな「人が集まる港」のような拠点でありたいという思いが込められています。

オフィス内には「交流を生む仕掛け」が随所に。世界の港町をモチーフにした25の会議室、専属スタッフ「クルー」が常駐する「FREEPORT」、グループ製品を体験できる本格ダーツバー「&BAR」など、多彩な空間が用意されています。

特筆すべきは社員食堂「JOURNEY’S CANTEEN」の活用法。グループ各社の製品・サービスの記念日やイベントをメニューで表現することで、食事という日常的な行為がグループ間の情報共有・相互理解の機会に変わっています。

社員食堂「JOURNEYʼS CANTEEN」

総務本部 コミュニケーションサービス部のみなさま「私たちは日々、グループ会社間の交流を促進する施策を行っているのですが、正直、顔を見たことがない方もたくさんいらっしゃるんです。でもそういった方々にも、出社した際に食堂やフリーポートなどこの施設を活用して、コミュニケーションを取っていただけるよう工夫しています。この場所を通じて、グループの一体感を育んでいけたらと思っています。」

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3. 株式会社 船井総研ホールディングス|「対面に勝るものはない」を体現する共創の舞台

2026年1月、船井総研グループは大阪オフィスを「イノゲート大阪」へ移転。その結果、大阪本社の来客数は月400名から月1,000名近くへと約2.5倍に増加しました。また社員の出社率も約1.5倍に向上しています。

同社にとってオフィスとは、社員にとって「出社したくなる場」であることはもちろん、偶発的なコミュニケーションから新しい発見や成長が生まれる場所。そして社外の方々との共創を促す営業拠点としての側面も非常に強いと考えていらっしゃいます。

新オフィスは、ピアノや突き抜けた柄杓といった「遊び心・情緒」が広いフロアの中で見事に融合し、社員の出社意欲と顧客の来社意欲を高めています。最大300名を収容できるアリーナ形式のスペース「Enz’Arena(エンザリーナ)」は、縁がめぐり、座が拡がり、未来とともに創る舞台(アイデアが共鳴する場)という意味が込められています。経営セミナーのほか、経営陣と社員による双方向型のタウンホールミーティングや懇親会などのイベントにも活用されています。

船井総研ホールディングス
「Enz’Arena(エンザリーナ)」内観

また、このオフィスが特徴的なのは、「外部との共創」を最初から空間設計の核に据えていること。大阪駅直結という立地の利便性は、全国から訪れる中堅・中小企業の経営者を迎えるための戦略的な選択です。「対面に勝るものはない」という信念のもと、週4日以上の出社を原則とし、オフィスを単なるコストではなく「成長のエンジン」として位置づけています。

船井総研ホールディングス
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4. 株式会社村田製作所 野洲事業所|ボトムアップで生まれた共創の場「ひらめき空間 EUREKA」

「ふらっと立ち寄ってたまたま顔を合わせた人と何気ない会話をする…といったゆるやかなつながりの中で、新しいひらめきやアイデア、イノベーションを生み出せるような空間になれば」

村田製作所 野洲事業所の「ひらめき空間 EUREKA」は、生産技術部門が主導してボトムアップで生み出した共創スペースです。トップダウンではなく、現場からの課題意識がこの共創スペースの出発点、という点が大きな特徴です。

村田製作所
人、技術、先端のモノ・コトの出会いを誘発してイノベーションの機会を増やす「出会い」のエリア

EUREKAは、「出会い」「対話」「学び」という3つのエリアで構成されています。「出会い」のエリアは、廊下に面した壁一面がガラス張りで、通りかかった社員が自然と立ち寄れる設計になっています。パートナー企業や社内の技術展示会など、月に一回程度は大規模なコラボレーションイベントが実施され、半年以上先まで開催の予約が埋まるほど活況です。利用者が新たな利用者を紹介するという好循環も生まれ、社内外を越えた“つながりの連鎖”が起きています。

EUREKAは完成形を持たず、利用者と共に「シンカ(進化・深化・新化)」し続ける場として設計されています。

村田製作所
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5. サワイグループホールディングス株式会社|アナログの工夫が生む、部署を超えた対話

ジェネリック医薬品のリーディングカンパニー・サワイグループホールディングスが行ったオフィス改装は、フリーアドレスの導入と多彩なワークスペースの設置が中心。オフィス内は、組織間で連携を取って生産性を上げていけるようコミュニケーションが取りやすい回遊式になっており、実際、動線が改善して歩きやすくなったという声も上がっています。

しかし最も注目すべきは、デジタルではなくアナログによる工夫です。出社したら入り口のマグネットウォールに部署カラーのマグネットを貼り、座った席には名前の旗を立てる。このシンプルな仕組みが、「世代や部署を超えたコミュニケーションの活性化」という結果を生み出しました。部署と名前が見えることで声をかけやすくなり、固定席時代には話す機会のなかった人同士が自然と会話するようになったといいます。

サワイグループホールディングス
出社したらマップに自部署カラーのマグネットを貼り付ける。在宅や出張、休暇なども一目でわかる。

また、コラボレーションエリアには研究部門や営業部門など別フロアのメンバーも利用でき、組織の縦軸・横軸を越えた連携が日常的に起きる場となっています。「意外と大丈夫だった」「これまでとは違うコミュニケーションが生まれた」という改装後の社員の声が、空間設計の効果を物語っています。

サワイグループホールディングス
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5社に共通する「共創を生む空間」の3つの法則

5社の事例を横断して見えてくるのは、共創・組織間連携を生む空間設計に共通する3つの要素です。

1. 「偶発的な出会い」を意図的に設計する

セガサミーホールディングスの「クルー」による声がけ、村田製作所のガラス張り空間など、「たまたま顔を合わせる」機会を人工的に増やす仕掛けが共通しています。共創は計画されたミーティングからだけでなく、廊下での立ち話や食堂での偶然の出会いからも生まれるのです。

2. 「誰のための場か」を明確にする

KDDI「TSUNAGU BASE」(社外向け)、船井総研ホールディングス「Enz’Arena」(顧客・社員双方向)、村田製作所「EUREKA」(出会い・対話・学び)というように、エリアごとに利用シーンと対象を明確にすることで、空間の役割が曖昧にならず、積極的に使われる場になっています。

3. 完成を目指さず、使いながら育てる

「これで完成ではなく、社員の声を聞きながら改善していく」5社すべてが口を揃えていたポイントです。固定されたオフィスではなく、利用者と共に変化し続ける場として設計することが、長く愛され使われる空間につながっています。

共創を生むオフィス設計のカギ

組織間の壁を壊し、社内外の知恵を掛け算する。それが、これからのオフィスに求められる役割です。5社の事例は、壮大な投資が必要だということを示してはいません。アナログのマグネット一つで生まれた会話も、生産技術部門の有志が動かしたガラス張りの部屋も、「人がつながる場をつくりたい」という意志から生まれたものです。

あなたの会社のオフィスは、誰と誰をつなぐための場ですか? その問いを起点に、共創の空間設計を考えてみてはいかがでしょうか。

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