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- オフィスインタビュー
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グループの成長を加速させる、イノベーションの源泉に。明治ホールディングスが挑んだ、オフィスと食堂の再定義
食品事業の「株式会社 明治」と医薬品事業の「Meiji Seika ファルマ株式会社」を主な中核子会社とする明治ホールディングス。2025年、中央区京橋にある本社ビルで、竣工以来初となる本格リニューアルが行われました。目的は、無機質な「働くための箱」を「行きたくなる場所」に変えること。
「まずは明治ホールディングス執務フロアと食堂から手を付けてはどうか」。リニューアルの旗振り役である副社長が白羽の矢を立てたのが、同社リスクマネジメント部総務グループで不動産管理を担う加藤健二さんです。
今回は、有志としてプロジェクトに参加した経営管理部連結グループの山野邉一貴さんとともに、オフィス再定義の背景、新オフィスの果たす役割、新たなオフィスで実現した働き方などについて話していただきました。
2007年に明治製菓株式会社(現 株式会社明治)へ入社し、菓子営業に従事。2010年より本社へ異動し、生産部門にて生産管理・費用管理などを中心に約11年間担当。2022年からは工場にて総務業務を経験。2024年より明治ホールディングス株式会社に出向し、リスクマネジメント部にて株主総会運営および不動産管理業務を担当。明治京橋ビルフロア改修プロジェクトを立ち上げ、推進を担う。
2015年にMeiji Seika ファルマ株式会社へ入社し、約6年間MRとして医薬品/ワクチンの情報提供活動に従事。2021年より明治ホールディングス株式会社に出向し、 経営管理部にて連結財務情報の作成・開示業務等を担当。明治京橋ビルフロア改修プロジェクトに参画し、財務的視点からの意見提言を通じてプロジェクトの円滑な推進に貢献する。
目次
部門をまたいだPJで、多角的にオフィスの在り方を検討
はじめに、オフィスリニューアルの背景から聞かせてください。

京橋の本社ビルは、2004年の竣工以来、大規模なリニューアルをしていませんでした。転機となったのは、コロナ禍を経て再び出社を推奨するにあたり、オフィスに対する潜在的な不満を吸い上げ、業務効率やコミュニケーション環境などを改善しようとする機運が高まったことです。副社長が旗振り役として強力な推進力を発揮し、まずは10階の執務フロアと11階の食堂をリニューアルすることになりました。そこで声がかかったのが、株主総会の運営のほか不動産管理業務を担当していた私です。
といっても、私にファシリティマネジメントの経験はありません。リニューアルの目的を考えると、一人でも多くの仲間を巻き込み、多角的な視点でオフィスの在り方を再定義する必要があると考えました。
食堂のほうは、もともとグループ横断的な「食堂委員会」が存在していましたが、利用者数や売上の報告・共有といった受動的な役割に終始していたため、積極的な企画・協議をするチームへと役割を変更。
フロアのほうは、プロジェクト化に向けて明治ホールディングス内の各部署に声をかけてメンバーを募りました。そのとき、呼びかけに応じて経理管理部から参加してくれたのが山野邉さんです。

改装前の執務フロアは、機能性は備えていたものの、無機質な印象が拭えませんでした。島型にデスクが並ぶ、旧来型のオフィスレイアウトです。普通に仕事をする分には問題ないけれど、遊びごころがなくてつまらない。業務中は特に意識しませんが、潜在的な不満はあったと思います。リニューアルプロジェクトが発足すると聞いて、「自分たちのはたらく場所が魅力的になる過程に立ち会いたい」とすぐに手を挙げました。
ありがたいことに、ほとんどの部門から、山野邉さんのようにモチベーションの高い仲間が参加してくれました。壁の色や質感、什器などについて意見交換を重ねる中でも、それぞれの得意分野や専門分野が異なることで多面的な協議ができたと思います。
そうですね。各部から参加したメンバーは、リニューアルプロジェクトを社員みんなが自分ごとだと思えるように、所属する部署とプロジェクトをつなぐハブの役割も果たしていました。そうすると、例えば私のいる部署からは、「それって予算的に大丈夫なの」という現実的な指摘が入ることも。おかげで、理想だけで突っ走ることなく、予算とのバランスを取りながら最善の落としどころを探ることができました。
ポイントは「ワクワク感」「明治らしさ」「イノベーション」
リニューアルのテーマは、どのように設定されましたか。
テーマは大きく3つあります。1つ目は、出社を促進する「ワクワク感」があること。2つ目は、「明治らしさ」が感じられること。3つ目は、ホールディングスという役割を踏まえて、「イノベーションを促す仕組み」があることです。
中でも「ワクワク感」にも「イノベーションを促す仕組み」にも関わる「明治らしさ」は重視しました。
一般的に、企業の本社ビルは外観が象徴的だったり、事業内容や主力製品がデザインに落とし込まれていたり、社内外へのブランディングの場としても活用されていることが多いですよね。日々長い時間を過ごすオフィスで物理的な「らしさ」に触れることで、社員のエンゲージメントを高める狙いもあると思います。
一方、当社には「明治」と聞いて思いつくアイテムがたくさんあるにも関わらず、それまでのオフィスデザインにはほとんど反映されていませんでした。自分たちで事業を行わないホールディングスだからこそ、「明治らしさ」を前面に出し、商品やサービスへの誇りとリスペクトを高めていく必要があると思ったのです。
確かに、世の中によく知られている自社商品が身近に感じられると、会社への愛着が高まりますね!「明治らしさ」を中心に、「ワクワク感」「イノベーションを促す仕組み」をどう設計されたのか教えてください。

明治らしさってなんだろう?という点をみんなで話し合いました。自分が医薬品事業出身ということもあって、お菓子や乳製品に偏らず、事業全般を広く表現することは意識していましたね。後でご紹介しますが、オフィスのあちこちに物理的な「明治」が表現されていて、それだけでかなりワクワク感があると思います。イノベーションにつながるアイデアも生まれやすくなったのではないでしょうか。
また、グループスローガンが「健康にアイデアを」であることから、社員の健康に配慮したツールも取り入れたいと思いました。この点は、1日の生活リズムに合わせて色や明るさを自動調光し、人間の生体リズム(サーカディアンリズム)を整えるといわれるサーカディアン照明を導入した理由のひとつです。
「イノベーションを促す仕組み」については、食堂を活用して小さな打ち合わせスペースを増やすことで、社内外の交流がしやすい環境を整えました。事前の社員アンケートでは会議室の不足を訴える声が多く挙がっていたので、合わせて対応できたと考えています。
食堂は、事業や健康経営の実験場としても機能する場に
では、食堂から見学させて下さい!

従来の食堂は、無機質に机が並んでいて、安く早く食事を済ませたい人向けの場所でした。リニューアルを機にコンセプトを大きく変え、人が集まって企業文化を育む場所「meals」として再構築することに。入口から企業カラーの赤を多く使い、執務フロアとは異なる雰囲気を打ち出しています。

メニューも改訂されたそうですね。
味と健康に配慮したメニューを揃えました。特に人気なのが「スマートミール」。厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」を満たした、健康に資する要素を含む栄養バランスのとれた食事の総称で、塩分やカロリーが適切にコントロールされているうえにお手頃価格とあって最近は1番人気です。
また、新規事業開発の取り組みである「meiji IDEA CASE」から生まれた「乳酸菌発酵製法」を使ったメニューなど、今まさに事業会社が取り組んでいる事業の発表の場として使われていることも大きな特徴です。同製法で作られた発酵肉のメニューも人気商品のひとつですね。
食事ではなく、コーヒーを目的に来る人も多いですよね。
コーヒーは、豆から挽いているのに1杯60円なんですよ。おかげで、食事以外でも食堂に来る方が増え、狙い通り「人が集まる場所」として機能しています。

実際、食事の提供時間が終わってからも、たくさんの人がいらっしゃいますね。
ボックス席では、社内・社外を問わず打ち合わせをしているのをよく見かけます。会議室替わりとして想定していた通りの使い方ですね。
窓際の1人用のスペースや、カーテンで仕切って使える少し広めのスペースも、目的や人数に応じてよく使われています。


素敵な壁画がありますね!

「自分たちの食堂」という愛着を深めてもらうために、参加者を募って色を塗りました。デザインには、乳製品やお菓子、医薬品の研究といった事業イメージのほか、多国籍な雰囲気も取り入れています。
描かれている「Meet」「Enjoy」「Ideas」「Join」「Inspire」の頭文字を繋げると「MEIJI」になるのも、ちょっとしたこだわりですね。

食堂の中の1つのテーブルに仕掛けがあって、テーブル下にあるネットを張ると卓球台になるんですよ。就業時間後のイベント時などに活用できれば、健康経営の観点からも意義があると思い設置しました。
オフィスエリアは、物理的な「らしさ」を全面に
続いて、執務フロアをご案内いただきます。入口近くの壁に、カラフルなイラストが描かれていますね。
当社は、グループ全体で「チャレンジド(障がい者)」の雇用を積極的に進めています。絵が得意な人、好きな人がたくさんいると聞いて、この壁を活用してもらうことにしたんです。得意なことを活かして貢献できるという自信を持ってもらえたらうれしいですし、私たちもチャレンジドの皆さんがどういう人柄で、どんな仕事をしているのかという輪郭が見えて、意義ある取り組みだったなと思っています。
今後もこの活動は続けつつ、より個別的な強みにフォーカスしてコラボレーションしていきたいですね。

執務スペースに入ると、「らしさ」が一気に目に飛び込んできますね!
執務スペースは、全体を「集中して作業するエリア」「活発なコミュニケーションを促すエリア」「リラックスして仕事できるエリア」の3つにわけて設計しました。各エリアに、明治らしさを表現するデザイン要素が配置されています。

コミュニケーションを促すエリアの壁に描かれているイラストも、事業や商品を表しています。プロテインや医薬品は悩みましたが、トレーニングの様子や注射器で表現しました。

リラックスエリアのイメージは牧場ですね!
その通りです。リクライニングの状態で作業できる椅子なども配置しました。アイデアを探しているときや、煮詰まったときなどに活用している方が多いようですね。
また、僕と山野邉さんが推しているキャラクターや、国民的なアニメキャラクターのグッズを配置した棚もあります。これは役得ではなく(笑)「かわいいものを見ると脳が活性化する」という研究に基づいて実験的に置いているんですよ。

ちなみに牛さんの人形は、加藤さんが定期的に衣装替えしてくれています。
通りかかった人や、リラックスエリアを使う人同士のコミュニケーションのきっかけになればと思って始めました。ちなみに今は、麦わら帽子をかぶせて夏仕様です。

事業会社の既製品や新製品を中心に、リラックスエリアの一角にお菓子を置いています。疲れたとき、お腹がすいたときに手に取って、グループ各社の仕事に思いを馳せるきっかけになればと思っています。

集中エリアでは、集中をサポートするために他のエリアに比べて落ち着いたトーンの配色としています。

広がるリニューアルの輪、次のフェーズへ
リニューアル後、社員の皆さんの反応はいかがですか。
社内からは「会社に来たくなった」というポジティブなメッセージが多く、実際に出社率も増加しています。3つのエリアに分けたことで、作業に没頭したいときは集中エリア、気分転換したいときやカジュアルな雑談ベースの打ち合わせにはリラックスエリア、部署や業務の垣根を超えた偶発的なアイデアの創出を狙うときはコミュニケーションエリアといった人の動きが生まれました。業務上の接点がない人が隣に座ることもあり、新しいアイデアの創出や生産性の向上、組織の活性化につながっていくことを期待しています。
食堂やリラックスエリアのおかげで打ち合わせがしやすくなったので、部署間の会話やちょっとした相談が増えている感覚はありますね。モニターやモバイルバッテリーなどが常備されるようになったことで、シンプルに「働きやすくなった」という声もありました。
リニューアルの目的を着実に達成されていてすばらしいです。最後に、今後の展望をおきかせください。
今回は明治ホールディングスの執務フロアと食堂のリニューアルでしたが、今後、他のフロアのリニューアルも進めていきたいと考えています。
また食堂は、社員が事業理解を深めたり、社外に事業の強みを発信したりする拠点としてもっと活用していきたいですね。これまでに、先に挙げた発酵肉のほか明治ブルガリアヨーグルトや明治おいしい牛乳を使ったレシピも展開しており、どれも好評でした。食堂としての一般的な役割を超えて、企業理念の浸透や帰属意識の向上を牽引する場所になることを期待しています。

執務フロアと食堂、それぞれの空間から伝わってきたのは「効率」だけでなく「愛着」を大切にする姿勢でした。デスクの配置や照明ひとつにも、社員が明治という会社を誇りに思えるようにという願いが込められています。何より印象的だったのは、部署の垣根を越えて集まったメンバーが、理想と現実のバランスを取りながら作り上げていったプロセスそのもの。オフィスは単なる箱ではなく、そこで働く人たちの想いが積み重なって初めて「居場所」になるのだと、改めて実感させられる取材でした。