- オフィスインタビュー
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「長居したくなるオフィス」を目指さない。 スタディーハッカーのオフィスが重視するのは“シンプルさ”
2010年の創業以来、合理的な学び=「Study Smart」を理念として事業を展開してきた株式会社スタディーハッカー(旧 恵学社)。学びの領域に先進的な科学の知見を取り入れ、効率的な学びを提案し続けています。2015年から始めた大人向けの英語スクールである StudyHacker ENGLISH COMPANYは、現在入会待ちが700人いるという人気ぶりです。
東京本部オフィスは、会社が重視する「Study Smart」を仕事にも体現できるシンプルな作り。効率性を高める意識は、働き方にも影響を及ぼしているのだとか。
今回は、そんなスタディーハッカーのオフィスの様子をレポートします。
▲エントランスの社名変更前に取材にうかがった
スタディーハッカーの前社名は、恵学社。会社理念や意思を明確にすべく、2019年8月に社名を変更しました。東京本部オフィスで、常務取締役・田畑さん、中村さん、濱田さんの3人にお話を伺いました。
株式会社スタディーハッカー 常務取締役
言語教育情報学修士。米国留学を経て、英語教育について研究。TESOL(英語教育の国際資格)を保持。2010年株式会社恵学社(現・株式会社スタディーハッカー)立ち上げ時より、英語科の責任者として参画。
10代より、作詞・作曲・バンド活動など音楽業界の仕事に従事。
2015年入社。コーディネーターとして、新規スタジオの内装デザインを担当。
慶應義塾大在学中、カナダとイギリスに留学。卒業後はスコットランドの大学で修士号を取得。帰国後は編集者として翻訳・通訳に従事。2016年入社後、ENGLISH COMPANY有楽町スタジオのマネージャーを経て現在広報を担当。
目次
教育領域に科学的知見を取り入れて、もっと合理的な学びを
卯岡
スタディーハッカーさんの事業内容についてお聞かせください。
田畑さん
2010年に京都で難関大専門予備校として創業しました。1年後には東京にも予備校部門を開設しています。2015年には、大人向け英語スクール「Study Hacker ENGLISH COMPANY」を東京で開始。現在の事業のメインは、このENGLISH COMPANY事業です。
卯岡
社名を「恵学社」から「スタディーハッカー」に変えたのは、なぜですか?
田畑さん
「STUDY HACKER」とは、「学びをHACKする者たち」という意味です。創業時から企業理念としてきた「Study Smart」をもっと明確にしようと採用しました。
卯岡
Study Smartについて、詳しくお聞かせください。
田畑さん
教育をもっと合理的にしたいという思いで、なるべく科学的な知見に基づいたコンテンツを作っています。たとえば、言語習得の研究者の間では当然のように効果的だとされているようなメソッドも、従来の日本の英語教育においてはまだまだ取り入れられていることが少ないのです。
ENGLISH COMPANYでは、脳科学や研究分野の知見を取り入れながら、より短期間で英語力を身に着けてもらえるコンテンツを提供しています。
現在14拠点、利用者はおよそ1,100人です。大変ありがたいことに現在待ち人数が700人くらいという状況であるため、採用と新拠点の開設を精力的に進めています。
卯岡
科学に基づいた英語スクールと聞くと、教える側に求められる資質も英語力だけではないのでしょうか。
田畑さん
他社と異なる点はいくつかありますが、たとえば、日本語を話せる人が条件である点などがあげられますね。
卯岡
英語のスクールなのに、日本語。
田畑さん
たとえば「リスニングが苦手だから、とにかく大量にリスニングをすればいい」という風に考える人がいます。もちろん、効果がまったく出ないわけではありませんが、誰にとってもそれが効率的な方法かと言われると、必ずしもそうではないんですね。
ENGLISH COMPANYでは、その人の英語力や問題点に応じた合理的な学びを提供するため、体系的な指導ができる専門性を持った人が講師を務めています。指導は日本語をベースとして行われます。
スタディーハッカーが目指すところが浸透してきたのか、採用に関する大きなギャップはなくなりました。どうしてもうちで働きたい、と転職される教育関係の方や、新卒で応募してくれる言語学専攻の大学生・大学院生も増えました。
卯岡
熱意が感じられますね…! スタディーハッカーさんは合理的なことに重きを置いていますが、仕事の進め方もやはり合理的なのでしょうか。
中村さん
会議が10分くらいで終わることがありますね。
濱田さん
「今回は30分の枠で」と決めていたのに、始めてみたら10分で終わっちゃったんです。
田畑さん
「他、何かある? ない? じゃあ終了!」みたいな(笑)無駄な会議は行いませんね。
卯岡
潔いです。
田畑さん
Study Smartを実現させようとしていくと、おのずと労働生産性の向上にも繋がると思うんですよ。教育業界は、どうしても仕事の終わりを決められずにブラック化していってしまう側面があると思うんですが、スタディーハッカーではそういったことはないようにしていきたいと思っています。
卯岡
違いは何でしょうか。
田畑さん
教育業界では、先生一人ひとりがそれぞれのやり方で教材作りをしたり授業プランをたてたりしなくてはいけないことが多いので、先生の負担が大きくなりがちです。当社では、これが今のベストなサービスだと思うものをコンテンツ開発室で開発し、講師全体に共有して全員が同じことをやれるようにしています。全員が同じことをやれるのは、品質維持でもありますし、効率化にも繋がりますから。
また、全員が共通したサービスを提供することで、講師からのフィードバックも建設的なものになりますし、サービス改善のサイクルも効率化していきます。
卯岡
東京本部オフィスや各拠点を作る際にも、「合理的」な視点は重視されていますか?
中村さん
東京本部オフィスも各拠点も、田畑常務と私とでイメージ写真をとにかくたくさん用意するところから始めています。イメージのズレが生じないようにするためです。
濱田さん
拠点によって、全然雰囲気が違うんですよ。
▲サーフボードが飾られるなど、海辺の街らしさが感じられる横浜拠点
▲コズミックな雰囲気が感じられる池袋の拠点
卯岡
この東京本部オフィスは、洗練されたシンプルな雰囲気ですよね。
田畑さん
最近は新たな会社の方針として「Simple?」というスローガンを掲げています。何か新しいものを作り出すときに、「それは果たしてシンプルなのだろうか?」と問い続ける姿勢が大事だと考えているからです。そのためオフィスも無駄を省いて使いやすさを重視しています。最近のオフィスによく見られる遊びのあるスペースはあえて設けませんでした。卓球台もありませんし、バーカウンターもありません。
卯岡
それはなぜでしょうか。
田畑さん
会社に長居するのではなくて、仕事をてきぱき済ませて早く帰ろう! というのが当社の考え方だからですね。
中村さん
何となく会社に長居したくなる居心地の良さはオフィスに求めず、かといって殺風景は落ち着かないので、程よいバランスを求めたところ今のオフィスになったんです。
卯岡
ちなみに、前オフィスから本部を移転したのはなぜだったのでしょうか。
田畑さん
経理や人事、研修センター、カスタマーセンターなど、本部機能がつぎはぎ状態で、非効率だったからです。
中村さん
会議室もなくて、打ち合わせのたびに隣の建物のスペースに行かなければいけませんでした。
濱田さん
一ヵ所に居場所をまとめられていなかったので、社員の居場所もわかりづらかったんです。
卯岡
では、さっそくオフィスを見学させてください!
仕事に集中できる「殺風景にならないシンプル」さを重視したオフィス
オフィスの内装を決めるときには、内装会社に海外サイトやPinterestで集めた画像を提供し、イメージギャップを少なくしているスタディーハッカー。
東京本部オフィスは、「シンプル」をテーマにしつつも、殺風景にならないラインを重視して作られました。
会議室に直接入れるエントランススペース
卯岡
インテリアショップやカフェのような、洗練されたおしゃれな印象のエントランスですね。
田畑さん
ありがとうございます。東京本部オフィスは、映画「マイ・インターン」に登場するオフィスをメインのイメージソースとしました。
卯岡
執務スペースに入らず、エントランスから会議室に入れるんですね。
中村さん
はい。会議室は3つありまして、「A」「B」「C」の頭文字から始まる名前になっています。これはすべて、本社のある京都の通りの名前なんです。
卯岡
壁の一部や扉がガラスになっているのは、こだわりがあったのでしょうか。
中村さん
透明性という観点や広さ・明るさといった面から、採り入れられるところには、できるだけガラスを使いたかったんです。
卯岡
お話を聞かせていただいた会議室Aからは、一角に設けられたガラス面から執務スペースが見えました。視線が抜ける開放感がありますね。
執務スペースはフリーアドレスですっきり感を維持
卯岡
すっきりとした印象の執務スペースですね。
田畑さん
ありがとうございます。フリーアドレスにしているのも、すっきりさを保てている理由だと思います。
卯岡
というのは?
田畑さん
固定席にしてしまうと、どうしてもデスクを乱雑にしてしまう人が出てきてしまうので。フリーアドレスだと、その日にはリセットされますから。
中村さん
前のオフィスからフリーアドレス制を続けています。当社には、自社で運営しているメディアのライターやエンジニアなど、リモートで仕事をすることがあるスタッフもいるので、席を決めてしまう方がスペースももったいないよねという話になりまして。
毎日15分の図書タイムを支えるライブラリー
卯岡
デスク脇には、書棚がずらっと並んでいますね。
田畑さん
メディアを担当している人たちが記事執筆の参考にするため、経費で一通りの本を購入し、並べています。
濱田さん
ちなみにENGLISH COMPANYの全拠点では、毎日午後4時10分から15分間、読書タイムがあるんです。講師も事務スタッフも読書を行い、自己研鑽に役立てています。
卯岡
毎日本を読む時間があると、読む習慣が作れそうですね…!
ランチや休憩、気分転換ができるスペースも
卯岡
こちらは休憩スペースでしょうか。
田畑さん
そうですね。ランチを取ったり、気分転換をしたりするスペースとして設けています。先ほども申し上げたとおり、「早く仕事を済ませて早く帰ろう」というのがモットーなので、憩いスペースはここだけです。
取締役・田畑さんの部屋もシンプルに
田畑さん
こちらが私のスペースです。
卯岡
おしゃれ…!かつ、すっきりシンプルにまとめられていますね。
田畑さん
ごちゃごちゃしていると集中できなくなり、ストレスが溜まってしまうんです。出社したら邪魔なものがなくすぐに仕事に取りかかれる状態を維持しようと心がけています。
効率的に働けるシンプルなオフィスから、合理的な学びを追求する
教育についての専門性をベースに、合理的な学びを提供するスタディーハッカー。オフィスで働く人たちの効率的に仕事を進めるてきぱきとした姿が印象的でした。
スタディーハッカーが提供するENGLISH COMPANYは、評判が評判を呼び、ますます人気を集めています。バックオフィスを一ヵ所にまとめた新オフィスで行う効率的な仕事で、今後も新拠点を精力的にオープンし、「合理的な学び」を追求していきます。