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失敗しない賃貸オフィスの探し方とは?坪単価は価格よりも計算方法に注意

賃貸オフィス物件を探していると必ず目にする「坪単価」。オフィスの面積あたりの単価と思われがちですが、実は、坪数が多いほど単価が高いというわけではありません。
誤った認識のまま、ただ単価だけを目安に購入してしまうと、後で「思っていたのと違う」などと何らかのトラブルに繋がる恐れがあります。

今回は、坪単価の計算方法や様々な単価事情について詳しく解説していきます。理想の賃貸オフィスを選べるように、ぜひ参考にしてください。

オフィス探しに必要な坪単価とは?

オフィスの坪単価

まずは、坪単価の基礎知識を理解することが大切です。冒頭でも少し説明しましたが、坪単価は単なる「面積」や「広さ」ではありません。また、元々決まっているものではなく、その土地や周辺の状況によっても変わる可能性があります。

では、坪単価とは一体何なのか、詳しく見ていきましょう。

坪単価は延床面積(平米)で求める

坪単価とは、一般的には家を建てる時の1坪あたりにかかる建築費のことで、家を建てる際の目安に参考にされています。賃貸オフィスにおいては、1坪あたりの賃料のことを表していて、おおよその賃料を計算する時に活用されています。
例えば、坪単価が20,000円で、10坪の賃貸オフィス物件の場合、賃料は200,000円になるということです。

「坪単価」自体は、基本的に「建物本体価格÷延床面積(坪)=坪単価」で算出されます。例えば、建物本体価格が1,000万円、延床面積が20坪の場合は「1,000万円÷20坪=50万円」となります。

ただしこれはあくまで基本的な算出方法のため、以下のポイントを事前確認しておくことが重要です。

1.建物本体価格は、設備や設計によって変わる
2.坪単価に別途工事費や諸経費は含まれていない
3.延床面積と施工面積のどちらで算出しているか

坪単価は建物の本体価格を面積で割ることで算出します。このことから、建物にかかる全ての費用は算出できていないことがわかるでしょう。

坪単価は、条件によって価格が変動することや、含まれていない費用があるということを理解しておかなければ、「面積が一緒だから坪単価も同じだろう」という勘違いをして、予想以上に費用がかかるということになりかねません。

だからといって坪単価の金額に意味がないわけではありません。これから建てるオフィスの場合は、あくまで「モデルプランの費用」となりますが、坪単価は、すでに建てられている建物の費用を表しているので、賃貸オフィス物件では参考にしやすい数値でしょう。

延床面積と施工面積の違い

「建物本体価格÷延床面積=坪単価」の算出方法が基本ですが、この延べ床面積を「施工面積」で算出しているハウスメーカーも存在しています。しかし、物件情報に載っているのは「坪単価」のみ。どのように算出したかまでは掲載されていません。
では、それぞれの違いについて説明します。

・延床面積
建物の各階床面積の合計のこと。各階の床面積とは、壁や柱の中心線で囲まれた壁芯面積のことを表す。壁に囲まれていない「吹き抜け」部分などは床面積に含まれないと言う特徴がある。

・施工面積
延床面積に吹き抜けや、バルコニーなどをプラスした面積。延べ面積ではない、施工の対象範囲になる床面積とも言われている。

両者の大きな違いは、建築基準法に基づいているかそうでないかです。
延床面積は、建築基準法で定められているため、厳密に算出できます。施工面積は、ハウスメーカーや工務店が独自に作った造語であり、会社によって算出方法が異なります。

自分で坪単価を計算する時に気を付けること

坪単価は、必要な条件がわかれば自分で計算することが可能です。

不動産サイトなどでは、物件情報に必ずと言っていいほど「坪単価」の記載がされています。自分で計算することもできますが、その際は注意しなければならないポイントがあります。

計算方法が各ハウスメーカーで異なる
先ほども少し説明しましたが、ハウスメーカーによって、坪単価の計算方法が異なる場合があります。建物本体価格を「延床面積で割る」のが基本的な坪単価の計算方法ですが、ハウスメーカーや工務店によっては「施工面積」を利用する場合もあります。

施工面積は、延床面積には含まれない部分もプラスして求められている面積のことで、ベランダや吹き抜け、地下室なども含まれます。延べ面積ではないけれど、施工の対象の範囲になる床面積であるため、工事金額に加えるべき面積であるという考え方から、ハウスメーカーや工務店が独自に作った造語と言われています。

しかし、建築基準法で定められている「延床面積」と違って特に決まりがないので、同じ広さでもハウスメーカーや工務店ごとに施工面積が異なる場合があるので注意しましょう。

また、坪単価の計算に「施工面積」が用いられている場合、「延床面積」よりも数字が大きいため、建築費を割った際に坪単価が安くなる傾向にあります。このことに気づかず安さばかり重視してしまうと、実際にかかっている費用が変わらないため、後になって「思っていたより賃料が高かった」という感じる可能性があります。

坪単価の価格だけを見るのではなく、計算に用いられている面積の種類も、しっかりと確認するようにしましょう。

坪単価に含まれないものを理解しておく

オフィスを借りる際には、空調や排水などの設備にかかる工事費用や、ローン手数料や税金などといった諸経費が必要です。しかし、坪単価にはこれらの費用は含まれていません。あくまで、建物本体価格を延床面積や施工面積で割った数値なので、別途かかる工事や初期費用は別で考えておかなければならないため、注意しましょう。

オフィス契約後、稼働するまでに必要な初期費用は「坪単価×延べ面積+2~3倍」で見積もっておくと、予算を立てやすいでしょう。
ちなみに、オフィス移転までにかかる費用には以下のようなものがあります。

・仲介手数料
・保証金、敷金
・保証委託料(保証会社を利用する場合)
・入居時の内装工事
・火災保険料
・原状回復工事
・社員の引っ越し費用

原状回復工事や、社員の引っ越し費用は、旧オフィスから新オフィスに移転する場合に必要な費用になります。この他にも、実際オフィスを稼働させるまでには、家具や業務に必要な機器などに費用が発生します。
原状回復工事にかかる費用は、1坪あたり2万円程度と言われていますが、大規模オフィスの場合は5~10万円前後かかる場合もあります。

坪単価を計算する前に必要なこととは?

坪単価は、簡単に言うと「オフィスのグレードを表すもの」です。同じ面積でも場所や立地によっては、坪単価が異なることもあるなど、坪単価を左右するのは面積だけではありません。

坪単価になぜ高いところと低いところがあるのか、どのような基準でオフィスを選ぶべきなのかを事前に把握しておくことが大切です。ここでは、オフィスにおける坪単価事情や、オフィスを探す前に決めておくべき事柄を説明していきます。

オフィスビルの坪単価事情を知っておく

坪単価を左右するのは、大きく分けて3つの要因があります。
・オフィスビルのグレード
・土地の値段
・エリアの人気度合いや需要

まず、坪単価を主に左右しているのは「土地の値段」です。地方よりも都内の方が高い傾向にあるのは何となく想像つくでしょう。
しかし都内でも、丸の内では40,000円、八王子では15,000円~10,000円とかなりの差があります。これは、土地の値段にプラスして、エリアの人気や需要も関わっているからです。
例えば、駅から近く、多くの人で行きかう立地では坪単価が高く、逆に駅から遠く、あまり人が通らない場所では坪単価が低い傾向にあります。

ビルのグレードも坪単価を左右する要因です。グレードとは、簡単に言うと「築年数」や「構造」のことで、築年数が新しく高級感のあるビルオフィスは坪単価が高く、築年数が古く、エレベーターなどがないオフィスビルの坪単価は低くなります。
また、外装のデザイン性が高いオフィスビルなども坪単価が高い傾向にあります。見た目がおしゃれで特徴的な場合は、通常デザインのオフィス物件よりも珍しく、価値があると判断されやすいので坪単価も上がりやすいでしょう。

構造は、見た目の問題だけでなく、築年数も関係しています。1981年以前に建てられた物件の場合、旧耐震基準の可能性もあり、安全面が低くなってしまうためです。

オフィスを探す前に決めておこう!

坪単価は、賃貸オフィスを探す上で重要な確認ポイントです。しかし、最初に見てしまうと、後から計算や条件の確認などをやり直さなければならない可能性があります。

坪単価は賃料に直結するため、かなり綿密に検討する必要があるので、ある程度条件を絞ってから考えた方が良いでしょう。

オフィスを探す上で必要なポイントとしては、坪単価などの予算関係以外にエリアや広さが挙げられます。では、それぞれどのように決めていくべきか説明していきます。

オフィスの賃料や坪単価などの予算

オフィスの移転でも、新規設立でも必ず会社で予算を立てなければなりません。しかし、オフィス物件には高額な予算が必要になり、エリアやビルのグレードなどによってかかる費用がかなり異なるので、物件を何も見ない段階から正確に決めることは難しいです。しかし、予算をまったく考えずに物件を探すのも、数が多いため大変です。

最初は、オフィス賃料や坪単価のある程度の予算を立てておき、「エリア」や「広さ」の基準を決め、それに見合ったいくつかの物件を比較してから、再度正確に予算を算出するといったステップが一番良いでしょう。

ちなみに賃料以外にオフィス移転にかかる費用は、新オフィスの場合「内装工事に10~20万円」、旧オフィスから移転する場合はこれに「旧オフィスの原状回復工事に2~10万円」「不用品廃棄に7~15万円」「引越し費用=社員一人あたり2~5万円」が上乗せされるといわれています。

できたばかりの企業で、オフィスが初めて必要になった場合には、内装工事費用と賃料のみで大丈夫ですが、旧オフィスから新オフィスへの移転には、かなりの費用が必要になります。このことも踏まえて、賃料や坪単価などの予算立てを行うべきでしょう。

希望エリア

オフィスを置くエリアは非常に重要です。オフィスがあるエリアによって、信頼性や顧客の人数も変わってくるでしょう。しかし、企業や業種によって、基準は異なるため、それぞれのビジネススタイルに合っているエリアを選ぶことが大切です。

一般的には、「顧客が来訪しやすい場所」「取引先の近く」「従業員の通勤しやすい場所」などが挙げられます。顧客を相手にしない企業でも、必ず従業員はいるはずなので、従業員の通勤環境を整えることは検討した方がいいでしょう。具体的には、駅から近いエリアや、駐車場が広いエリアなど従業員の人数や通勤方法で検討すると選びやすいです。

オフィスの広さ

オフィスの広さも重要なポイントとなってきます。一人あたりに必要な坪数は約2~3坪と言われていますが、他にも共有スペースや顧客来訪時の応接室など、様々な場所の広さを考慮する必要があります。

内見前などに必要なスペースを計算して、レイアウトをある程度考えておくとスムーズに決められます。何人の従業員がいて、どのように業務を行うか、大体どのぐらいの広さが必要になるのかなどだけでいいので、内見前に必要な坪数を確認しておくと良いでしょう。

また、働き方やビジネススタイルに合わせて広さを検討することも必要。フレックス制を導入している企業や、自由な働き方を重視する企業では、コワーキングスペースなど、社員が自由に使えるスペースを設ける必要もあるでしょう。

その分、スペースが余る場合には、リラックススペースを設置する、一部分だけを有料で外部に貸出するなど、ビジネスとしても有効活用できます。自社で考えるのが難しいのであれば、仲介会社などのプロに相談してみると確実です。

賃貸オフィスの坪単価事情

では、実際に現代の坪単価はどうなっているのでしょうか?ここからは、賃貸オフィスにおける坪単価事情を詳しく説明していきます。

坪単価はエリアごとで異なるため、相場も変わってくるのがわかるでしょう。賃貸オフィスを選ぶ上で、坪単価の相場がどのぐらいか事前に把握しておくことは重要です。

エリアごとの相場や都内の平均坪単価などを把握できていれば、予算を立てやすく、どこにオフィスを建てられるか検討しやすくなるでしょう。

坪単価の相場はエリアごとで異なる

先ほども説明しましたが、坪単価はエリアごとに相場が異なります。同じ坪数でも、10,000円~30,000円前後まで変わってくるので、移転を検討しているエリアの坪単価は事前に確認しておきましょう。

オフィス物件は、土地代やビルのグレード、エリアの人気度合いで坪単価が左右されます。土地代が元々高いところは、そこまで大差ありませんが、グレードや需要に関しては、年月が経つと変動する可能性があります。そのため、坪単価の相場について最新情報を事前に確認しましょう。

また、全国の2020年のエリアごとの平均坪単価は以下のようになっています。

エリア 平均坪単価
船橋 11,065円
仙台 13,634円
札幌 13,815円
神戸 14,131円
名古屋 15,593円
福岡 16,205円
横浜 16,270円
川崎 16,415円
大阪 17,068円
京都 18,214円
さいたま 18,517円

2020年東京の平均坪単価

オフィスの移転や新規設立に、東京へ進出しようと考えている企業や、元々東京の企業でも、よりグレードが高いオフィスに移転しようと検討している企業も多いのではないでしょうか?ビジネスを行う上で、最高の環境が整っている東京ですが、その分坪単価も高い傾向にあります。

他の地方に比較すると、全国的に最も低い「千葉・船橋」の11,065円の相場に対して、東京23区の平均坪単価は28,438円です。また、東京都心5区では32,038円とかなりの差があります。

2020年の東京の平均坪単価は、最も高い千代田区の丸の内・大手町エリアで42,435円、最も低い中央区東日本橋・新川エリアで19,964円となっています。
同じ区内でも、20,000円前後の差があるほどエリアの需要や人気度によって坪単価は左右されています。

また、坪単価はエリアだけではなく、200坪以上の大規ビルか50坪未満の小型ビルかなど、坪数の規模によっても変わってくるので注意しましょう。

まとめ

坪単価の把握は、賃貸オフィスの賃料にも直結する重要なポイントです。しかし、ハウスメーカーや工務店によっては、延床面積ではなく、施工面積を用いて算出している場合もあるため注意が必要です。

また、諸経費や別途かかる工事費用などは坪単価に含まれていないため、別に予算を立てておきましょう。坪単価を左右する要因など、事情を知っておくことで、物件を決める際の融通もききやすくなるでしょう。今回紹介した内容を参考に、自社に合っている賃貸オフィスを探してみてください。

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